NI-DCPowerのチャンネルには、主に3つの状態があります。

  • コミット解除
  • コミット済み
  • 実行中

セッション内の各チャンネルは、互いに独立してこれらの状態に移行することができます。

図 1. NI-DCPower プログラミング状態
メモ 「初期化 (独立チャンネル指定)」関数を使用して作成されたセッションは、以前のNI-DCPower初期化関数を使用して作成されたセッションとは異なる機能を備えています。

コミット解除

「NI-DCPower初期化 (独立チャンネル指定)」を呼び出すか、「NI-DCPower中止 (チャンネル指定)」を使用してセッションを中止すると、チャンネルは「コミット解除」状態になります。

「NI-DCPowerリセット (チャンネル指定)」および「NI-DCPowerデバイスをリセット」も、チャンネルが「コミット解除」状態になります。

「コミット解除」状態でプロパティを構成することはできますが、「コミット」または「実行中」状態になるまでプロパティは適用されません。たとえば、「NI-DCPower属性構成をエクスポート」では、セッション用に構成したプロパティが有効であることが確認されますが、「コミット」状態には移行しません。そのため、「コミット解除」状態にあるチャンネルの構成は、前回セッションがコミットされたときのままです。

コミット

「NI-DCPowerコミット (チャンネル指定)」を呼び出すと、すべてのプロパティが確認され、選択した設定グループがチャンネルに適用され、「コミット」状態に移行します。

「コミット」状態になるとNI-DCPowerでは以下のプロパティが適用されます。

  • アパーチャ遅延
  • アパーチャ遅延単位
  • オートゼロ
  • 電流補正周波数
  • 電流ゲイン帯域幅
  • 電流極/零点比
  • 測定タイミング
  • 測定レコード長
  • 測定レコード長有限?
  • マージするチャンネル
  • 出力キャパシタンス
  • 出力接続
  • 出力抵抗
  • 電源周波数
  • 電源
  • パルスバイアス電流レベル
  • パルスバイアス電流制限
  • パルスバイアス電流制限上限
  • パルスバイアス電流制限下限
  • パルスバイアス電圧レベル
  • パルスバイアス電圧制限
  • パルスバイアス電圧制限上限
  • パルスバイアス電圧制限下限
  • 測定前に平均をリセット
  • 平均化するサンプル数
  • センス
  • シーケンスループカウント有限?
  • シーケンスループカウント
  • ソース遅延
  • ソースモード
  • 過渡応答
  • 電圧補正周波数
  • 電圧ゲイン帯域幅
  • 電圧極/零点比
  • トリガ、イベント、およびルーティングに関連するすべてのプロパティ
メモ 「実行中」状態のチャンネルには、上記の表にリストされていない任意のプロパティが適用されます。

チャンネル上でプロパティを複数回構成した場合は、「コミット」状態への移行時に最新の構成のみが適用されます。「コミット」状態でプロパティを変更した場合、チャンネルは暗示的に「コミット解除」状態に戻り、チャンネル構成には前回コミットされたプロパティが引き続き反映されます。

「コミット」状態から「実行中」状態に移行するには、「NI-DCPower開始 (チャンネル指定)」を呼び出します。

実行中

チャンネルを「実行中」状態にするには、「NI-DCPower開始 (チャンネル指定)」を呼び出します。「実行中」状態になったチャンネルは、出力信号生成を開始し、測定値を収集します。

メモ 「NI-DCPower初期化 (独立チャンネル指定)」を使用してセッションを開いた場合には、開始前にいずれかのチャンネルの出力を明示的に無効にしない限り、「NI-DCPower開始 (チャンネル指定)」で指定したチャンネルの出力が「実行中」状態に移行します。

「実行中」状態では、チャンネル構成によってチャンネルの動作が異なります。たとえば、チャンネルはシングル出力ポイントかシーケンスのいずれかに構成することができます。また、操作を実行する前にトリガを待機するようにチャンネルを構成することもできます。

シングルポイントソースモードで実行中、一部のプロパティおよび属性は動的に再構成することができます。(「実行中」状態で)動的に再構成されたプロパティおよび属性は、即座に適用されます。

メモ シーケンスソースモードでの実行中は、シーケンスエンジン完了イベントの後でチャンネルを無効にすることができます。シーケンスの実行中は、その他のプロパティを動的に構成することはできません。

「実行中」状態において、測定を行ったり、バッファされた測定値をフェッチしたり、出力状態やデバイス状態をクエリできる関数がいくつかあります。「実行中」状態では、以下の関数のみを呼び出すことができます。

  • NI-DCPower測定
  • NI-DCPower複数の値を測定
  • NI-DCPower複数の値をフェッチ
  • NI-DCPowerソフトウェアエッジトリガを送信 (チャンネル指定)
  • NI-DCPowerコンプライアンスをクエリ
  • NI-DCPower出力状態をクエリ
  • NI-DCPowerイベントを待機 (チャンネル指定)
ヒント 「実行」状態から「コミット解除」状態に移行するには、「NI-DCPower中止 (チャンネル指定)」関数を呼び出します。シーケンスモードで実行中に中止すると、シーケンスが完了していなくても、実行の途中でキャンセルされます。

独立したチャンネルを指定して作成されるセッションと廃止予定の初期化関数の違い

「NI-DCPower初期化 (独立チャンネル指定)」関数は、以前のすべてのNI-DCPower「初期化」関数を置き換えるものです。新しいプログラムでは「初期化 (独立チャンネル指定)」を使用することを推奨します。独立したチャンネル指定で初期化すると、同じ計測器または複数の計測器の複数のチャンネルを互いに独立して構成することができます。

独立したチャンネルで初期化されたセッションでは、他の初期化関数で初期化されたセッションよりも制限が少なくなります。

表 1. 「初期化」 (廃止予定) と「初期化 (独立チャンネル指定)」での初期化動作の変更
機能 初期化に使用した関数によるセッションの動作の違い
初期化 (独立チャンネル指定) その他のNI-DCPower初期化関数
トリガおよびイベント チャンネルごとに構成可能 複数のチャンネルが含まれるセッションでは使用不可
測定タイミングプロパティ チャンネルごとに構成可能 セッションに複数のチャンネルが含まれている場合には、オンデマンドに設定する必要があります。
測定レコード 複数のチャンネルが含まれるセッションで使用可能 複数のチャンネルが含まれるセッションでは使用不可
シーケンスソースモード チャンネルごとに構成可能 複数のチャンネルが含まれるセッションでは使用不可
メモ 同じ「初期化 (独立チャンネル指定)」セッションに単純シーケンスと上級シーケンスの両方を混在させることはできません。

完全修飾チャンネル名と独立したチャンネル指定による初期化

NI-DCPower「初期化 (独立チャンネル指定)」を使用して作成したセッションでは、複数の計測器のチャンネルを含めることができ、かつそれらを互いに独立して構成することができます。セッションで物理的に複数の計測器を対象にする場合は、チャンネルを明確に識別して構成するために、「完全修飾チャンネル名」または「完全修飾チャンネル範囲」を使用する必要があります。

  • 完全修飾チャンネル名—計測器名とチャンネル。例: PXI1Slot3/0
  • 完全修飾チャンネル範囲—計測器名とチャンネル範囲。例: PXI1Slot3/0-23またはPXI1Slot3/0:23
  • メモ セッションに含まれているのが物理的に1つの計測器のチャンネルだけの場合は、修飾していないチャンネル名 (0-23または0:23) を使用することができます。