タイムインタリーブサンプリング (TIS) は、デジタイザのリアルタイムレートを向上させる方法です。TISは、複数のA/D変換器 (ADC) を使用して、相対位相の異なる同じ入力波形をサンプリングします。その後、ハードウェアは、これらのサンプルを単一のADCによって高サンプリングレートで集録したかのようにインタリーブして波形を生成します。

メモ NI 5152、5153、5154のタイムインタリーブサンプリングを使用するには、「TIS有効」プロパティまたは「NISCOPE_ATTR_ENABLE_TIME_INTERLEAVED_SAMPLING」属性をTRUEに設定します。その他のすべてのデバイスでは、サンプリングレートを設定することでTISが自動的に有効になります。「TIS有効」プロパティは無視されます。

TISの機能

チャンネルに対してTISを有効にすると、デジタイザは複数のADCを使用して、チャンネルの入力信号をサンプルします。これらのADCのクロックは、より高いサンプリングレートを持つADCが1つのデータを集録すると、その時間を反映する位相へシフトされます。次の図にその例を示します。

1 G/sで動作する2つのADCを使用して2 G/sのTISレートを取得するには、いずれかのADCの1 GHzクロックが、もう一方のADCの1 GHzクロックに対して180°シフトします。

返されたデータは順番どおりとなり、リアルタイムで集録されます。そのため、入力信号は反復信号である必要がありません。

TISが測定に与える影響

TISでは複数のADCが使用されるため、ADC間の不一致およびクロック間の位相オフセットによって、デジタイザのスペクトル性能が若干変化する場合があります。これらの変化は、キャリブレーション時に除去されますが、わずかに残る場合があります。周波数領域アプリケーションを中心とする測定では、以下の影響を理解することが重要です。

  • オフセットの不一致—ADCが完全にDCオフセットに一致していない場合は、わずかなスプリアスがナイキスト周波数 (サンプリングレート/2) およびDCで現れる場合があります。
  • ゲインの不一致—ADCがDCゲインに完全に一致していない場合は、入力信号周波数のイメージ周波数でスプリアスが発生します。イメージ周波数でのスプリアスの大きさは、ゲインの不一致量に比例します。
  • 位相オフセット—インタリーブ因数による正確な位相でADCがサンプリングを行わない場合、ゲインミスマッチに見られるものと同様の周波数成分イメージが発生します。