基準クロックによる同期
- 更新日2025-12-03
- 4分で読める
基準クロックによる同期は、サポートされているデバイスで使用可能な、最も柔軟性が高く、有効な同期の方法です。基準クロックを使用した同期を使用すると、基準クロックから派生されたクロックが同時に開始され、同位相であるため、異なるレートでも、サブシステムを問わず、同期されたデバイスのすべてのタイミングを同期することが可能です。基準クロックよりも低速の周波数を持つ派生クロックは、同位相ではありません。カウンタ操作では、基準クロックを使用した同期を使うことで、異なるカウンタのタイムベース周波数が必要になったときに、カウンタタイムベースの同期、または同位相状態がドリフト無しで確実に維持されるようにします。
基準クロックによる同期を使用する際、デバイスはオンボードクロックの代わりに別のデバイスからのクロックを直接使用しません。代わりに、すべてのデバイスは、位相ロックループを使用してオンボード発振器を共通の基準信号に同期します。次に、各デバイスは同期された発振器から他のクロックを派生します。派生クロックが同位相になるには、開始トリガを共有する必要があります。
PXIデバイスの場合、基準信号は通常、シャーシのバックプレーンで10 MHzクロック (PXI_Clk10) です。PXI Expressデバイスの場合、基準信号は通常、シャーシのバックプレーンで100 MHzクロック (PXIe_Clk100) です。
PXIまたはPXI Expressシャーシのバックプレーンクロックは、デバイスのオンボード発振器と異なる確度を提供する可能性があります。たとえば、PXIe-1062Qシャーシのクロック確度は25 ppmですが、PXI-6259シャーシのクロック確度は50 ppmです。
PCIおよびPCI Expressデバイスの場合、基準信号は別のデバイスからのクロック (通常10MHzRefClk) です。特定のタスク用の基準信号の端子を指定するには、RefClk.Src 属性/プロパティを使用します。マスタデバイスでRefClk.SrcをOnboardClockに設定し、直接使用するのではなくオンボード発振器にロックします。オンボード発振器へのロックは、マスタとスレーブデバイス間のスキューの均一化に役立ちます。
基準クロックを使用した同期により、クロックのスキューが最小化されるか、または除去されるにもかかわらず、共有された開始トリガはマスタデバイスからスレーブデバイスへ移動する必要があるため、その結果スキューが発生します。いくつかのデバイスでは、そのスキューの補正を行うことが可能です。
いくつかのデバイスでは基準クロックの代わりにマスタタイムベースが使用されるため、これらのデバイスはマスタタイムベースによる同期を使用します。基準クロックによる同期でも、複数の信号の共有とこれらの信号用の複数のRTSIまたはPXIトリガラインの予約が必要になります。すべてのデバイスが同じレートで実行されるサンプリングクロックタイミングによるアプリケーションの場合、サンプリングクロックによる同期を使用すると、共有された開始トリガ、つまり追加のRTSI/PXIラインが不要になります。また、マスタタイムベースを使用するデバイスと基準クロックを使用するデバイスとの同期をとるために、サンプリングクロックによる同期を使用することもできます。