フィルタ処理および補間
- 更新日2025-11-03
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すべてのNI信号発生器では、DAC (D/A変換器) を使用して出力コネクタの信号または波形を生成します。これらの生成された信号には、DACのビット数に依存する多くの離散電圧レベルがあります。
デジタル波形を正確に生成するには、希望とするアナログ信号の帯域幅の2倍以上の速さでデジタル波形をアップデートする必要があります(シャノンのサンプリング定理)。以下の図にあるように、サンプルクロックの理論値 (fs) が信号帯域幅の理論値 (fo) の2倍であっても、イメージは|f o ± nfs|で出力信号に表示されます。

上記の図にあるイメージでは信号のスペクトル純度が低いため、これらのイメージをフィルタ処理で除去する必要があります。
質の高い信号を生成するために、すべてのNI信号発生器は生成された信号をローパスフィルタに通します。ローパスフィルタは、未処理のDAC出力を平滑化します。フィルタは、デジタル生成により発生した高周波エイリアス成分を除去します。アナログおよびデジタルフィルタを介してローパスフィルタを実装することができます。
イメージを完全に除去し最大出力帯域幅 (0~0.43fs) を得るアナログフィルタの設計は困難です。以下の図では「アナログフィルタ1」の曲線が表されています。アナログフィルタ2は、より実用的なフィルタを表します。このフィルタは「アナログフィルタ1」ほど鋭いエッジではありません。「アナログフィルタ2」は、fo近傍のイメージはフィルタしませんが、その他はすべて除去します。アナログフィルタでは、3dBポイント後の減衰のロールオフまたは3 dBポイント前の減衰のフラットネスのどちらかを優先させる必要があります。
また、アナログフィルタには群遅延があります。これは、パルスなどの有限の継続時間を持つ信号がアナログフィルタを通過する際に必要な時間を示します。理想的には、線形群遅延を持つアナログフィルタでは、信号に含まれるすべての周波数は、信号に歪みが生じないように同じ遅延を持つ必要があります。
アナログフィルタ3には、上記2つのアナログフィルタよりも高い周波数に3dBポイントがあります。この高い周波数に3 dBポイントがあることから、このフィルタはパスバンドにおいて平坦です (0~0.43fs)。アナログフィルタ3はfsおよび2fsで生成されたイメージをフィルタしませんが、デジタル補間フィルタによってこの点を補うことが可能です。

アナログフィルタの要件を緩和し、より広い出力帯域幅を得るために、NI信号発生器ではハーフバンドデジタルフィルタを使用して、2つの波形サンプルごとにサンプル周波数 (fs) の2、4、8倍で、1、3、または7サンプルの補間を行います。また、DACはサンプル周波数の2倍 (2fs)、4倍 (4fs) および8倍 (8fs) の有効サンプリングレート (データがメモリからDACにクロックされるレート) で動作します。
以下の図では2倍の補間フィルタが使用されており、DACの有効サンプリングレートは2fsです。fs ± foでのイメージはもはや問題とはならず、イメージは|2fs ± fo|に位置します。

信号のデジタル生成により、アナログフィルタ2はすべてのイメージを容易にフィルタすることができます。この動作は、上記の図の周波数領域および以下の図の時間領域で確認することができます。

2fsDAC有効サンプリングレートと2倍の補間フィルタを使用すると、イメージを除去して質の高い信号を生成することができます。補間フィルタを4倍にまで高めると、さらに出力信号の質が向上します。
以下の図は、4倍補間と有効DACサンプリングレートが4fsの信号イメージを示します。イメージは最大4foまでシフトし、「アナログフィルタ3」のカットオフ周波数を大きく超えます。この構成によりスペクトルイメージが除去され、パスバンド内で最平坦になるフィルタを有します。この構成はデジタル生成されたノイズの少ない波形に対して、理想的な設計に近いものとなります。

デジタルフィルタを使用してノイズを最小限に抑えた信号を生成するには、最大補間係数を使用する必要があります。