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電流は電荷の流れであり、電流計で測定されます。電流測定のSI単位はアンペア (A) で、これは1秒あたり1クーロンの電荷の流れに相当します。
電流の測定方法はいくつかありますが、最も一般的な方法は、精密抵抗の両端の電圧を間接的に測定し、抵抗を通過する電流をオームの法則によって測定します。
導電性の高い金属には、可動電子または自由電子が多数存在しています。電池などのDC電圧源の2つの端子に金属線を接続すると、電圧源によってこの導線に電界が発生します。接続された瞬間、この導線の自由電子が電界の影響を受けてプラス端子に向かって移動します。
このように一般的な固体の伝導体では、自由電子が電流キャリアとなります。1アンペアの電流では、毎秒1クーロンの電荷 (約6.242 x 1018個の電子から成る) が、伝導体の虚数平面を移動します。
図1. 電流の図解
電気科学の歴史の初期において、従来、電流は正電荷の流れと定義されていました。導線などの固体金属では、正電荷キャリアは不動であり、負の電荷を持つ電子のみが流れます。電子は負電荷を運ぶため、電子は電流とは逆の方向に流れます。
電気回路を解析すると、特定の回路素子を流れる電流の実際の方向は通常不明です。したがって、各回路素子に電流変数を割り当て、基準方向を任意に決定します。回路解析の結果、各回路素子に割り当てた電流変数は正または負の値を持つことになります。負の場合は、その回路素子を流れる実際の電流の向きは、先に決定した基準方向とは逆であることを意味します。
電流の主な測定方法は2つあります。1つは、電磁気学に基づいた方法で、初期の可動コイル (ダルソンバル) 検流計を使用します。もう1つの方法は、電気学の代表的な基本定理であるオームの法則に基づいています。
ダルソンバル検流計は電流計の一種で、電流の検出や測定を行います。これはアナログの電気機械トランスデューサで、コイルに電流が流れると、指針が一定の範囲内で円弧を描くように振れます。
今日使用されているダルソンバル検流計は、永久磁界内でワイヤ製の小さなコイルが向きを変える構造になっています。コイルには細い指針が取り付けられていて、この指針が目盛上を行ったり来たりします。小さな渦巻きバネが、コイルと指針をゼロの位置まで引っ張ります。
直流 (DC) がコイルを流れると、コイルによって磁界が発生します。この磁界が永久磁石に反発します。それによりコイルが向きを変え、バネを押すことで指針が動きます。そして指針の先が、電流の目盛を指します。精密に設計された磁極片によって磁界が均一に保たれるため、指針の角度偏向は電流に比例します。
基本的に今日の電流計のほとんどは、電気学の基本定理であるオームの法則に基づいています。最近の電流計は基本的に精密抵抗を持つ電圧計であり、オームの法則を利用して高確度でコスト効率のよい測定を実現しています。
オームの法則 – 電気回路において、2点間の導体を流れる電流は、その2点間の電位差 (電圧降下または電圧) に正比例し、2点間の抵抗に反比例する。
以下の式が、この関係を表します。
I = V/R
Iは電流 (単位:アンペア)、Vは2点間の電位差 (単位: ボルト) です。Rは回路パラメータで単位オーム (1アンペアあたりのボルトと等価) で測定され、抵抗と呼ばれます。
電流計の動作 - 電流計には内部抵抗があり、与えられた信号の電流を測定します。ただし、大きな電流を測定するのに内部抵抗が十分でない場合は、外部の構成が必要になります。
大電流を測定する場合、シャントと呼ばれる精密抵抗を検流計と並列に配置します。電流のほとんどはシャントを流れるため、検流計には少量の電流しか流れません。これにより、検流計で大電流を測定できます。
予期される最大電流に抵抗値を掛け合わせたものが、電流計またはデータ収集デバイスの入力許容範囲を超えない限り、どのような抵抗でも使用できます。
この方法で電流を測定する場合、出来る限り抵抗値の小さいシャントを使用する必要があります。理由は、既存の回路への影響を最小限にするためです。ただし、抵抗が小さくなると、電圧降下も少なくなるので、分解能と回路に対する影響との間で妥協点を見出す必要があります。
図2は、シャント抵抗を使用した電流測定の一般的な回路図です。
図2. シャント抵抗を接続した電流測定回路
この方法では、電流は検流計/データ収集ボードには流れず、外部シャント抵抗に流れます。シャント抵抗の電圧降下が検流計/データ収集ボードの動作電圧範囲を超えなければ、測定可能な電流の上限は理論的には無限大です。
規約電流は今日の電子機器、電気回路、送電線などで一般的な電流測定法です。この意味での電流は伝送規格には準拠せず、アンペアの範囲は0から大きな値まで含みます。
アナログ電流ループは、一対の導体を使用してデバイスをリモートで監視または制御する場合に使用します。どの時点でも、電流レベルは1つのみ存在します。
4-20 mAと呼ばれる「4~20 ミリアンペアの電流ループ」は、工業用計測器および通信で使用されるアナログ電送規格です。伝送信号が電流ループです。その際、4 mAが0%の信号を表し、20 mAが100%の信号を表します。[1] ただし、mAはミリアンペアで、アンペアの1/1000の単位です。
4 mAにおける「ライブゼロ」によって、受信側計測器はゼロ信号と断線または計測器の故障との違いを認識できます。[1] 1950年代に開発されたこの規格は現在も業界で広く使用されています。4-20 mA規則の利点として、メーカーに広く普及していること、実装にかかるコストが比較的低いこと、さまざまな種類の電気的ノイズに強いことが挙げられます。また、ライブゼロを利用して、ループから直接低電力計測器に電源を投入できるため、追加配線のコストを節約できます。
シャント抵抗の回路への配置方法は重要です。外部回路が、検流計/データ収集ボードを接続したコンピュータと同じコモングランドグランドを使用する場合、シャント抵抗を回路のグランドに可能な限り近付けて配置する必要があります。コモングランドを共有しない場合、シャント抵抗が生成するコモンモード電圧が検流計/データ収集ボードの仕様の範囲を超えることがあります。これによって読み取り値の確度が低くなったり、ボードを損傷したりすることがあります。図3に、シャント抵抗の正しい配置と誤った配置を示します。
図3. シャント抵抗の配置
アナログ入力の測定方法は3つあります。各構成の詳細については、「電圧測定の方法」を参照してください。
例として、NI CompactDAQ USBデータ収集システムについて説明します。図4に、NI cDAQ-9178シャーシとNI 9203アナログ電流入力モジュールを示します。NI 9203は内部に精密抵抗を備えているため、外部シャント抵抗を必要としません。
図4. NI cDAQ-9178シャーシとNI 9203アナログ電流入力モジュール
図5は、NI cDAQ-9178シャーシとNI 9203を併用した基準化シングルエンド (RSE) 電流測定の接続図とこのモジュールのピン配列を示しています。図では、ピン0が「アナログ入力0」チャンネルに、ピン9がコモングランドに対応します。
図5. RSE構成での電流測定
NI 9203に加えて、NI 9205などの汎用アナログ入力モジュールは、外部シャント抵抗を用いて電流入力機能を提供できます。
センサを計測器に接続したら、LabVIEWグラフィカルプログラミングソフトウェアを使用して、必要なデータを視覚化して解析できます。
図6.LabVIEWによる電流測定
参考資料
Bolton, William (2004)、『Instrumentation and Control Systems』Elsevier、ISBN 0750664320