Saab社、世界最も費用効果高い戦闘機テスト強化

Anders Tunströmer、SAAB Aeronautics

「SLSCば、自社システム開発するために、時間もの工数多大資金費やすことにかもせん。COTS製品開発および保守コストまれいるため、Saab戦略沿うコスト削減することできます。SLSCシステム使用したことで、高度ハードウェア開発ではなく、HILテストシステムグ (無線設備) の構築集中できるようなりした。」

- Anders Tunströmer、SAAB Aeronautics

課題:

Saabは、Saab AeronauticsシミュレータのLRU (ライン交換可能ユニット) への接続用のカスタムシステムを置き換えるために、COTS (商用オフザシェルフ) ソリューションを見つける必要がありました。

ソリューション:

私たちは、使用されるCompactRIOおよびPXIベースのシステムにインタフェース接続するためのカスタムシステムを開発する代わりに、NIのSLSC (Switch Load and Signal Conditioning) システムを試験導入することで、コスト削減と柔軟性の最大化を実現しました。

 

概要

Saab社は、軍事用防衛から民間セキュリティまで、業界をリードする製品、サービス、ソリューションを世界市場に提供しています。当社は、世界で最もコスト効率が高く、高度な技術を持った、防衛およびセキュリティ企業であることを自負しています。スウェーデンのリンシェーピングにある航空部門の主要製品は、Gripen戦闘機システムです。Gripenは独自の戦闘機のコンセプトであり、優れた運用パフォーマンス、高度なテクノロジ、産業パートナーシップ、およびコスト効率をバランスよく単一のスマートマルチロール戦闘機システムに統合した、独自の戦闘機コンセプトです。

 

現在は、Gripenファミリの新製品であるGripen E.を開発中です。この戦闘機は、最新の航空電子技術、改良されたレーダーシステム、戦闘機間の重要な戦闘情報の交換を行う高度な通信機能を備えています。

 

HILアプリケーション

当社は戦闘機の開発を支援するために、GripenのLRU (ライン交換可能ユニット) をテストするHIL (hardware-in-the-loop) システムのシミュレータとリグ (無線設備) を構築しています。これらのLRUには、飛行制御システム、戦術システム、センサ、およびその他の航空電子機器が含まれています。最も複雑なテストを行う場合、相互接続されたLRUを最大40個一緒にテストする必要があります。私たちは、HILシステムでI/Oシステムとして使用するのに適したCOTS (商用オフザシェルフ) 製品を探していました。そして、モジュール式で拡張が容易なNI PXIとCompactRIOプラットフォームを選択しました。このプラットフォームは、異なる信号タイプを使用することが多い当社のシステムにとって非常に有用です。当社は、複数のCompactRIOシステムに基づいてHILシステムを構築し、LabVIEWを使用して制御しています。また必要に応じて、CompactRIOデバイスを簡単に追加できます。

 

HILシステムでは、実際に使用する環境のシミュレーションを行うことで、LRUが想定どおり機能することを確認できます。実際に戦闘機を飛行させなくても多数のLRUテストを実行できるため、コストとリスクを軽減できます。HILシステムでは、CompactRIOを使用してLRU用のシミュレーション済み信号を生成し、装置からの出力を受信しています。

 

 

スイッチング、負荷、信号調節

当社のアプリケーションにシステムを合わせるために、CompactRIOとLRU間の信号調節と機能をカスタマイズする必要がありました。しかし、カスタマイズされた信号調節、負荷のスイッチングおよび適用に適したCOTSソリューションがすぐには見つからなかったため、シミュレータとNI機器を統合する内部開発プロジェクトを開始しました。


このプロジェクト期間中、SLSC (Switch Load and Signal Conditioning) システムの概要をNIスタッフから教えてもらいました。SLSCソリューションでは、高電力リレーによってPXIおよびCompactRIO計測ハードウェアを拡張し、信号スイッチ、電力負荷、追加のインライン信号調節機能に対応することができます。このシステムは、モジュールを12個格納できる冷却機能内蔵のシャーシで構成されており、HILテストなどのアプリケーションで使用可能です。

 

 

私たちは社内で開発していたシステムと類似していたSLSCシステムに関心を持ちました。さらに、NIはすでにSaab社の優先サプライヤでしたので、システムを簡単に作成することができました。NIプラットフォームのHILアプリケーションを対象としたスイッチング、負荷、信号制御のエコシステムまたは「制約」の定義がNIによって行われていたため、自社で定義するのにかかる時間と労力が不要となり、コストを削減できました。その結果、社内システムの開発は保留とし、COTS SLSCシステムを使用することになりました。

 

私たちは、さまざまな他社製SLSCモジュールを選択することも、独自のモジュールを作成することも、他社に依頼してNIの詳細なハードウェア/ソフトウェア開発キットと設計仕様に基づいてモジュールを構築することもできます。こういった点で当社のカスタムニーズに適合しており、上記のすべての手段を活用しています。独自のモジュールを作成する際は、Syncore Technologies ABと呼ばれる地元の開発業者と協力しています。この業者もリンシェーピングに拠点を置いているため、モジュールを迅速に開発することができ、私たちにとって大きな利点となっています。

 

SLSC MDKと設計ガイドラインを活用することで、自社の既存設計の一部から知的財産を流用できます。また、NIと協力して、要件をまとめ、航空宇宙分野の専門家やNIアライアンスパートナーであるBloomy Controls社やSET GmbHと提携を結び、モジュールの提供を受けました。

 

SLSCメリット

SLSCシステムを使用すれば、NIがSLSC標準で定義した制約に従って、カスタム回路を開発することに注力し、時間と開発リソースを節約できます。SLSCがなければ、自社でシステムを開発するために、数千時間もの工数と多大な資金を費やすことになったかもしれません。さらに、カスタム信号調節システムを構築するために、冷却、フォームファクタ、コネクタなどを検討する必要があったでしょう。

 

COTS製品には開発および保守コストが含まれているため、Saabの戦略に沿う形でコストを削減することができます。SLSCシステムを使用することで、高度なハードウェアの開発ではなく、HILテストシステムとリグ (無線設備) の構築に集中できるようになりました。

 

 

将来計画

Saab社で使用しているあるシミュレータにSLSCを統合する計画をすでに開始しています。これまでにない大規模なプロジェクトで課題もありますが、前向きに進めています。今回、NIのCOTSシステムの活用によりコストを削減できました。近い将来、CompactRIOとSLSCを多数の新しいシミュレータで使用して、Gripen戦闘機の革新的な機能を短期間でテストし、コストの削減目標を達成する計画を立てています。

 

先日、Gripen Eは、スウェーデン南部で初飛行に成功しました。これは航空史上に残る大きな偉業であり、画期的な出来事です。今後、SLSCベースのシミュレータの使用を開始し、Gripen EのLRUシステムをさらに改良して、数年以内に最初の航空機を出荷する予定です。

 

著者​情報:

Anders Tunströmer
SAAB Aeronautics
Bröderna Ugglas Gata, Linköping, Sweden
電話: +46 734 18 52 48
anders.tunstromer@saabgroup.com

図1. Saab社のSLSCシステム
図2. Saab LRUテストシステムの図
図3. Saab社が採用したBloomy Controls社の8チャンネルVDT/リゾルバシミュレーションモジュール
図4. Saab社が採用したSyncore社のS131 8チャンネルVDT復調器モジュール
図5. Gripen E戦闘機システム。著作権: Saab AB