NI FlexRIOアダプタモジュール開発キット

概要

NI FlexRIOモジュール開発キット (MDK) には、NI FlexRIO製品 (NI PXI-797xRなど) と一緒に使用するカスタムモジュールの開発に必要なツールがすべて含まれています。本ドキュメントでは、NI FlexRIOアダプタMDKの内容を紹介するほか、アダプタモジュール開発プロセスの概要について高度な技術的内容も含めて説明します。詳細については、NI営業担当者までお問い合わせください。

内容

モジュール開発キット (MDK) の内容 

NI FlexRIOアダプタMDKは、カスタムアダプタモジュールの開発に必要な情報を網羅しています。  NI FlexRIOとのハードウェアおよびソフトウェアインタフェースについて詳細に説明したドキュメントが付属します。MDKのファイルやサンプルを利用して、すぐに開発を始めることができます。このほかにケース、プリント基板 (PCB) のレイアウトファイル、および機械製図が付属します。また、NI FlexRIO MDKに特化したサポート情報を利用できるほか、NI R&Dによる技術サポートを受けることができます。 MDKの内容は以下のとおりです。

ドキュメント

  • NI FlexRIOアダプタモジュール開発キットユーザマニュアル
  • MDKエンドユーザライセンス使用許諾契約書
  • MDK情報シート

ソフトウェア

  • アダプタモジュールサポートファイルのサンプル
  • I2CアクセスのサンプルVI

ハードウェア

  • アダプタモジュールケースが3個
  • 回路の点検用窓付きアダプタモジュールケースが1個

設計ファイル

  • プリント基板 (PCB) 機械製図の概略図 
  • カードエッジコネクタの機械製図
  • アダプタモジュールのフロントパネル機械製図

ユーザ専用サポート

  • NI FlexRIO MDKのサポート関連情報、およびNI R&Dによる技術的サポート
  • NI R&Dによる回路図/レイアウトのチェック (1時間相当)

MDK使用カスタムアダプタモジュール作成する

カスタムアダプタモジュールを作成する手順は、以下のとおりです。

1.アダプタモジュールの設計と作成―回路図、レイアウト、アセンブリ、その他

このMDKには、NI FlexRIO FPGAモジュールとの機械的/電気的インタフェースとして動作するプリント基板 (PCB) を作成する上で必要となるすべての製図、レイアウトファイル、および操作説明書が含まれています。ファイルは、お使いのPCB設計ツールで利用可能な標準のファイル形式 (.dxf、.dwg) です。

2.I/​O​モジュール​ID​の​登録​と​ID EEPROM​の​プログラミング

EEPROMのプログラミング手順は、NI FlexRIOアダプタモジュール開発キットユーザマニュアルに記載されています。

3.アダプタモジュール定義ファイル (.fam) の作成

この定義ファイルによって、LabVIEW開発環境にモジュールを表示し、モジュールが持つ電気特性の一部を定義します。操作説明書とサンプルファイルは、MDKに含まれています。

4.アダプタモジュールCLIPの作成 (HDL/XML)

アダプタモジュールのコンポーネントレベルIP (CLIP) とXMLの記述によって、個々の入力および出力ポートに対してハードウェアからLabVIEWへのマッピングを確立します。このファイルのドキュメントとサンプルは、MDKに含まれています。

5.アダプタモジュールとCLIPのLV FPGA VIを作成

すべてのインタフェースを定義した後、LabVIEW FPGAを使用してカスタムアダプタモジュールと通信し、システムの残りの部分を開発します。MDKには、FPGA設計VIのサンプルとドキュメント、PXIバス経由のDMA通信のサンプル、およびホストプログラムのサンプルがあります。

アダプタモジュールの開発には、以下の経験またはスキルが必要です。

  • PCBの設計―回路図およびレイアウト
  • PCBの製造/アセンブリ
  • ハードウェア記述言語 (HDL) の開発と統合
  • LabVIEWおよびLabVIEW FPGAでの開発

 

アダプタモジュール電気インタフェース

1. Virtex-5をベースにしたNI FlexRIO

アダプタモジュールインタフェースは、Virtex-5 FPGA I/Oのパワーと柔軟性をフルに活用できるよう設計されています。同時に、インタフェースの汎用性を保持して、多様なアダプタモジュールアプリケーションに対応します。 このインタフェースは固定式および構成可能な電源レールのほかに、アダプタモジュールを検出して識別するための定義済み制御信号を備えています。 以下は、NI FlexRIO FPGAとアダプタモジュール間の物理インタフェースの概要です。

電源レール

  • +3.3Vと+12Vのレール
  • FPGA I/Oバンクおよびアダプタモジュール用の構成可能なVccoA/VccoBレール (1.2、1.5、1.8、2.5、3.3に設定)

汎用FPGA I/O

  • 132本のシングルエンドライン (66組の差動ピンとして構成可能) がVirtex-5 FPGAとアダプタモジュールを接続
    • FPGA I/Oバンク (VccoA/VccoBから電源供給)
    • トレースインピーダンス:50Ωシングルエンド、100Ω差動

クロック

  • アダプタモジュールからNI FlexRIO FPGAへのグローバルクロック入力が2つ
    • 3.3 V LVTTL入力が1つ
    • 2.5 LVDS差動入力が1組

制御

  • NI FlexRIO FPGAへのIOモジュールステータスハンドシェイク信号が2種類 (present & power good)
  • IOモジュールID EEPROM用のI2Cバス

 

2. 7​シリーズをベースにしたNI FlexRIO

アダプタモジュールインタフェースは、7​シリーズFPGA I/Oのパワーと柔軟性をフルに活用できるよう設計されています。同時に、インタフェースの汎用性を保持して、多様なアダプタモジュールアプリケーションに対応します。 このインタフェースは固定式および構成可能な電源レールのほかに、アダプタモジュールを検出して識別するための定義済み制御信号を備えています。 以下は、NI FlexRIO FPGAとアダプタモジュール間の物理インタフェースの概要です。

電源レール

  • +3.3Vと+12Vのレール
  • FPGA I/Oバンクおよびアダプタモジュール用の構成可能なVccoレール (1.2、1.5、1.8、2.5、3.3に設定)

汎用FPGA I/O

  • 136本のシングルエンドライン (68組の差動ピンとして構成可能) が7​シリーズFPGAとアダプタモジュールを接続
    • FPGA I/Oバンク (Vccoから電源供給)
    • トレースインピーダンス:50Ωシングルエンド、100Ω差動

クロック

  • アダプタモジュールからNI FlexRIO FPGAへのグローバルクロック入力が6つ
    • 3.3 V LVTTL入力が1つ
    • 2.5 LVDS差動入力が1組

制御

  • NI FlexRIO FPGAへのIOモジュールステータスハンドシェイク信号が2種類 (present & power good)
  • IOモジュールID EEPROM用のI2Cバス

 

アダプタモジュール機械特性

NI FlexRIOアダプタモジュールの標準的な構成では、金属ケースに収めたPCBをFlexRIO FPGAモジュールの前面に取り付けます。 NIは、すべてのアダプタモジュールがこの機械的要件に適合することを推奨しています。ただし、アプリケーションによっては、異なる寸法が必要になることがあります。この推奨要件に適合しない方法で運用する場合、おそらくケースや取り付け器具を部分的に変更しなければなりません。

アダプタモジュールPCB寸法

アダプタモジュールPCB寸法は、幅約9.1 cm (3.6 in.)、高さ約11.0 cm (4.3 in.) です (エッジコネクタ部分を除く)。  したがって、各面とも電気回路の面積は約99.9 cm2 (14 sq. in.) になります。 推奨するPCBの厚さは、1.57 mm (0.062 in.) ±10%です。  高さ制限が1.27 mm (0.05 in.) であるため、二次面では小さなパッシブ部品のみ使用してください。 [v1] NI FlexRIO FPGAモジュールとのインタフェースには、エッジコネクタを使用します。 これによって、すべてのアダプタモジュールにおいて特殊なコネクタは不要となりますが、特定のPCB製造仕様が必要となります。カードエッジコネクタのレイアウトファイルと機械製図はMDKに含まれています。 

 

 

アダプタモジュールケース

アダプタモジュールケースは、2つ折りのデザインです。PCBは、4本の取り付けネジで設置します。 同梱のアライメントピンと取り付けネジ類は、NI FlexRIO FPGAモジュールへの接続に使用します。

アダプタモジュール前面コネクタスロット

アダプタモジュールケースの前面パネルには、コネクタ用スロットが1つ空いています。 この前面パネルはシンプルな四角形の金属パネルで、必要な数のコネクタに応じてカスタマイズ可能です。 下図の例では、前面パネルに2個のBNCコネクタを取り付けています。