カスタム計測設計メリットもたらすFlexRIOモジュール開発キット

概要

NI FlexRIOモジュール開発キット (MDK) には、NI FlexRIO製品 (NI PXI-798x、PXI-799xなど) で使用できるカスタムモジュールの開発に必要なツールがすべて含まれています。このドキュメントでは、FlexRIO MDKを使用してカスタムアプリケーション用の計測器を設計するメリットについて詳しく説明し、FlexRIO with Integrated I/Oアーキテクチャの技術概要を紹介します。詳細については、お近くの営業所までお問い合わせください。 

内容

FlexRIOとは

​市販の計測器では対応できない独自の要件がある場合、FlexRIOを利用することで、カスタム設計のコストやリスクを伴わずに、特殊な要件に対応することができます。FlexRIOはNIのプラットフォームにおいて最も柔軟性の高い計測器であり、統合I/O (FlexRIO with Integrated I/O) と取り外し可能なモジュール式I/O (FlexRIO with Modular I/O) の2つのアーキテクチャで提供されています。図1に、FlexRIO with Integrated I/OとFlexRIO with Modular I/Oの両方のアーキテクチャを示します。

 

 

これらのアーキテクチャの構造はまったく異なりますが、中核部分は基本的に似ています。FlexRIOデバイスはすべて、ユーザが自由にプログラム可能な大型のFPGAキャリアで構成されており、アナログ、デジタル、RF、カメラインタフェースなどの幅広いI/Oオプションと組み合わせることができます。

FlexRIO with Modular I/Oは、PXI FPGAモジュールとFlexRIOアダプタモジュールの2つの個別部品で構成されています。FlexRIOアダプタモジュールとPXI FPGAモジュールは、広い帯域幅のパラレルデジタルインタフェースを介して通信し、最大66の差動ペアで最高1 GbpsのLVDS通信が可能です。このアーキテクチャでは、要件の変更に合わせてFlexRIOアダプタモジュールを取り外して交換することができます。

FlexRIO with Integrated I/Oは、取り外し可能なアダプタモジュールではなく、I/Oメザニンカードで構成されています。I/OがFPGAキャリアに結合されており、単体のユニットとして販売しています。メザニンI/OモジュールとFPGAキャリアは高密度コネクタを介して通信します。このデバイスはシングルユニットとして販売していますが、設計はモジュール式となっています。このため、将来ADCやDACなどの新しいテクノロジが利用可能になった場合に、NI R&Dが新しいFlexRIOデバイスを迅速に設計、リリースすることが可能です。

モジュール開発キット必要なるケース

FlexRIOは (モジュール式と統合のどちらのアーキテクチャでも) 幅広いI/Oオプションを備えていますが、FlexRIOアダプタモジュールまたはFlexRIOモジュールのいずれによってもI/Oの要件を満たせないケースが多くあります。 

一般的な例として、FlexRIOをデジタルインタフェースに使用することがあります。プロトコルの一部は標準となっており、CAN、GPIB、車載イーサネットなどで専用の計測器が広く利用できます。しかし、プロトコルが独自であるために市販のバス計測器が広く利用できない、あるいはプロトコルが登場したばかりで専用のテスト計測器としてはまだ利用できない、という場合に問題が発生します。いずれのユースケースでも、NI FlexRIOのようなFPGA対応デジタル計測器は大きな付加価値をもたらします。 

独自のプロトコル要件であっても、多くの場合、市販されているFlexRIOのI/Oオプションで対応することができます。ただし、これらのプロトコルでは、入手できないハードウェアロジックレベルが必要になることがあります。このような場合には、要件に対応するためにカスタムのFlexRIO I/Oモジュールを設計する必要があります。そのようなとき、FlexRIOモジュール開発キットが威力を発揮します。

ニーズFlexRIO MDK選ぶ

モジュール式のアーキテクチャでカスタムモジュールを開発することもできますが、ライフサイクルを最大限延ばし、最新のFPGAを確保できるように、新規の設計ではすべて統合型のモジュール開発キットを利用することをお勧めします。統合型のFlexRIOアーキテクチャ用のモジュールを設計する際は、アプリケーションのニーズに応じて複数のFPGAキャリアから選択することができます。それらの主な違いは、FPGAキャリアとアダプタモジュール間のインタフェースにあります。

シリアルFPGAキャリア

シリアルFPGAキャリアのPXIe-7981、PXIe-7982、PXIe-7985、PXIe-7986は、電源、クロック、トリガ、構成信号とともに、8個のマルチギガビットトランシーバを装備しています。

データ変換器などの設計における主要なコンポーネントで、JESD204B/Cなどの高速シリアルリンクを使用している場合は、これらのFPGAキャリアがそうしたチップとのインタフェースとして最適です。 

パラレルLVDS FPGAキャリア

パラレルLVDS FPGAキャリアのPXIe-7990、PXIe-7991、PXIe-7992は、電源、クロック、トリガ、構成信号とともに、アダプタモジュールへの70 LVDSピンを装備しています。

アダプタモジュールの設計で多数のデジタル信号が必要な場合や、アダプタモジュールをモジュール式アーキテクチャからアップグレードする場合は、これらのキャリアが最適です。

パラレルD-PHY FPGAキャリア

パラレルD-PHY FPGAキャリアのPXIe-7993は、電源、クロック、トリガ、構成信号とともに、アダプタモジュールへの46 D-PHYピンを装備しています。

MIPI D-PHYは柔軟性、高速性、省電力性を備えた低コストのソリューションであることから、スマートフォンのカメラやディスプレイで一般的なPHYとなっています。また、D-PHYは、カメラセンシングシステム、衝突回避レーダー、車載インフォテインメント、独自のブリッジソリューションをサポートするダッシュボードディスプレイといった、自動車関連アプリケーションでも多く利用されています。

デジタル設計専門技術ですか

FlexRIO MDKを使用して独自のI/Oモジュールを開発する場合、カスタムのプリント基板 (PCB) の設計とハードウェア記述言語 (HDL) のコード開発経験をお持ちであることが推奨されます。

社内でこうした専門技術を必要とされる場合は、これらの設計サービスを提供しているパートナーを弊社よりご紹介できます。ご興味のある方は、弊社営業担当者までお問い合わせください。

 

 組み立て済みI/OFPGA
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 注:
FlexRIO with Integrated I/Oは単体ユニットとして販売
FlexRIO I/OドータカードFPGAキャリア (PCI Expressバリアントも利用可能)
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 注:
アダプタモジュールとFPGAモジュールは別売
FlexRIOアダプタモジュールPXI FPGAモジュール - FlexRIO用