スマートテストシステム高い測定確度性能なるPXI Express DMM

概要

デバイスの複雑性が増し、経済的なプレッシャーが続くなか、オートメーションに対する注目が高まっています。オートメーションは、特性評価、検証と妥当性確認、製造テストという設計サイクル全体を通して、反復的な結果を出すにはコスト効率の良い手段だと言えます。現在の市場において、デジタルマルチメータ (DMM) に求められる役割は、単に高確度かつ高精度な測定を行う機器というだけでは足りなくなってきています。DMM測定を自動化するには、高確度かつ高精度なDMMが必要とされます。つまり、測定時間を短縮し、他の計測器とシームレスに統合し、スイッチによってチャンネル拡張を簡単に行えるDMMです。こうしたニーズを最も満たすことができるのはモジュール式プラットフォームです。モジュール式プラットフォームなら、優れた測定品質と高速処理が、オートメーションに最適なフォームファクタで実現します。



内容

自動テスト最適

NIのPXIベースDMMには、低コストの6½桁デバイスから、高性能な7½桁モデルまで、幅広い種類があります。この7½桁DMMは、市場でも非常に確度の高い製品に分類されます。モデルの中には、拡張測定範囲、最大1.8 MS/sのサンプリングレートを備えた絶縁デジタイザモード、拡張キャリブレーションサイクル、基本的なインダクタンス/キャパシタンス測定といった、専門的な特長を持ったものがあります。こうした特長が1つの計測器に組み込まれることによって、従来の高精度計測器につきものだった、測定スループットや柔軟性の限界といった測定上の課題にソリューションがもたらされます。これらのDMMを使えば、家電から航空宇宙にいたるまで、あらゆる業界における難易度の高いアプリケーションに洗練された方法で対応できます。

 図1. NI PXIe-4081 DMMは、あらゆるテスト/測定システムの妥協なきソリューションである。

 

NIのDMMラインナップでひときわ注目すべきは、業界最高レベルの高確度7½桁DMM、NI PXIe-4081です。NI PXIe-4081は、26ビットの分解能と高い安定性を備えており、10 nV~1,000 Vの範囲の電圧測定、1 pA~3 Aの範囲の電流測定、10 µΩ~5 GΩの抵抗測定が可能です。

 

 

PXI-4065

PXIe-4080

PXIe-4081

PXIe-4082

分解能 (桁)

最大電圧 (V)

300

300

1,000

300

最大電流 (A)

3

1

3

1

最大サンプリングレート

3 kS/s

1.8 MS/s

1.8 MS/s

1.8 MS/s

電圧確度 (10 VDC、2年)

*90 + 12 ppm

25 + 6 ppm

12 + 0.5 ppm

25 + 6 ppm

最大キャリブレーションサイクル

1年

2年

2年

2年

DC/AC電圧

DC/AC電流

2線式/4線式抵抗

周波数/周期

 

基本的なインダクタンス/キャパシタンス

 

 

 

*PXI-4065は2年間仕様がないため、1年間仕様が示されています。

 

 表1. NIは、低コスト6½桁オプションから高性能な7½桁モデルまで、幅広い種類のDMMを提供している。

 

 図2. NIのPXIベースDMMは、従来の高精度計測器につきものだった、測定スループットや柔軟性の限界といった測定上の課題にソリューションをもたらす。

 

NIソフトウェアメリット 

NIのDMMは自動テストアプリケーション向けのため、計測器に対する制御と通信にはソフトウェアを使います。素早い測定やアプリケーションのデバッグには、従来のベンチトップ計測器のフロントパネルと同様の使い心地を得ることができる、DMMソフトフロントパネルを使用します。

 図3. NIのDMMドライバ (NI-DMM) には、対話式ソフトフロントパネルが含まれており、素早い測定やアプリケーションのデバッグが可能。

 

ソフトフロントパネルの他にも、DMMドライバには大変優れたAPIが含まれており、LabVIEW、C、C#など、さまざまな開発オプションに対応します。NI-DMMドライバAPIは、過去から現在までのすべてのNIのDMMにおいて共通であるため、長期にわたる相互運用性が保証されます。また、このドライバを使って、ヘルプファイルやドキュメントにもアクセスできます。さらに、アプリケーションを開発する際の開始点として即使用可能なサンプルも多数使用できます。

NIのDMMドライバ (NI-DMM) には多数の即使用可能なサンプルが多数含まれている

 図4. NIのDMMドライバ (NI-DMM) には多数の即使用可能なサンプルが多数含まれている。

 

精度DMM測定

AD変換器 (ADC) は、高性能なNI PXIe-408x DMMのバックボーンです。市販の高速ADCのテクノロジとカスタム設計のシグマ/デルタ変換器を組み合わせるという独自の手法で、高速かつ高精度な測定に必要なノイズ、線形性、速度のパフォーマンスを得ることができます。

 

図5. 入力範囲を100 mV、アパーチャ遅延を10 PLCに設定した各DMMで、12時間の0 VDCのノイズおよびドリフトテストを行った場合、NI PXIe-4081 (青色) が、6½桁 (薄い灰色) と7½桁 (濃い灰色) のどちらのハイレベルベンチトップDMMのパフォーマンスよりも優れたパフォーマンスを見せる。

 

NI PXIe-4081は、最上級の安定性を持つオンボード電圧リファレンスを採用しており、温度変化と時間に対して安定したパフォーマンスを発揮します。この価格帯で、これだけの基準ソースと安定性を提供できるDMMは他にありません。だからこそ、NI PXIe-4081の確度 (12 ppm) の保証は2年間となっており、計測器キャリブレーションのダウンタイムを最小限に抑えて、テストのコストをさらに削減できます。従来のほとんどのベンチトップDMMは、確度保証が1年間のため、NI PXIe-4081はその点でも優れており、総所有コストとダウンタイムを抑えつつ、高確度な測定を実現しています。また、オフセット補正抵抗、高次DCノイズ除去、セルフキャリブレーションなどの高度なDMM測定技術を使用して、高確度な測定を保証しています。

 

絶縁デジタイザ使柔軟測定速度

従来のDMMは、データ収集速度についてはほとんど考慮せず、高分解能と高確度を重視して設計されています。NI PXIe-408x DMM独自のアーキテクチャによって、読み取り速度を7 S/s~10 kS/sの範囲の連続値から選択できるため、アプリケーションに必要なサンプリングレートと分解能を選択することができます。

図5. 市販の高速ADCテクノロジとカスタム設計のシグマ/デルタ変換器を組み合わせるという独自の手法で (上図の回路)、線形性とノイズを最適化し、最大7½桁の精度と安定性を確保するとともに、最大1.8 MS/sのデジタイザサンプルレートを実現する。

 

より高いサンプリングレートが必要な場合、NI PXIe-408x DMMを高電圧絶縁デジタイザモードで使用すれば、最大1.8 MS/sのサンプリングレートで、最大電圧範囲におけるデータ収集を実行できます。最大サンプリングレートが50 kS/sの従来のベンチトップDMMと比較すると、NI PXIe-4081 DMMのサンプリングは36倍速いと言えます。つまり、高速な測定と高精度な測定のそれぞれを行うために個別の計測器を用意する必要がなくなります。NI PXIe-4081 7½桁DMMの柔軟なアーキテクチャに関する詳細をぜひご覧ください。

 

DMMの最大サンプリングレートのテスト

 図6. NI PXIe-408x DMMは、従来のベンチトップDMMの36倍の速度でサンプリングするため、検査対象デバイスに対してより正確な洞察が得られる。

 

セルフキション2保証仕様

NIのDMMは、従来であれば、非常に高い分解能を備えたDMMでしか可能でなかったセルフキャリブレーションを提供します。セルフキャリブレーションは、優れた温度係数および時間ドリフト値を持つ、精度と安定性の高い内部電圧基準を使用して、DMM内の全てのDCゲインとオフセットドリフトを修正します。セルフキャリブレーション機能を使用することで、NI DMMはいかなる動作温度においても (従来の18~28 ℃の範囲外でも)、非常に高い精度と安定性を保つことができます。

 図7. NI PXI DMMは、推奨される2年の外部キャリブレーションサイクル間にも、セルフキャリブレーションによって、さらに測定確度を高めることができる。

 

この作業にかかる時間は1分未満で、外部キャリブレータも不要であるため、実装済みのシステムのメンテナンスの負担が最小限に抑えられます。NI PXIe-408x DMMは、このセルフキャリブレーション回路の恩恵により、外部キャリブレーションサイクルが2年となっています。この点においても、実装済みのシステムのメンテナンスの負荷を最小限に抑えることができます。ni.comで、NIのキャリブレーションサービスの詳細をご覧ください。

 

同期統合

NI DMMは、PXIプラットフォームに本来備わっているタイミング/同期機能を使って、スイッチなど、PXIシャーシ内の他の計測器と通信します。DMMとともにスイッチを使えば、計測器の測定機能を数百、または数千のテストポイントにまで拡張することができます。NIのDMMがNIのスイッチと「ハンドシェイク」するには、ハードウェアタイミングのトリガをPXIバックプレーン経由で送受信し、スイッチモジュールに搭載されたメモリに保存されているスイッチ接続のリストをスキャニングします。こうしたスキャニング方法によって、従来のスキャンリストに伴うソフトウェアのオーバーヘッドを取り除き、確定的なスキャンリストを作成するため、より再現性の高いスイッチングタイミングの下でテスト実行の速度を向上させることができます。

 図8. NIのDMMとNIのスイッチを同期させて、ハードウェアタイミングによるスキャンリストを作成することで、より速いテスト時間を実現する。

 

さらに、PXIプラットフォームには、電源オシロスコープ関数発生器など、自動テストアプリケーションでよくDMMと使用される計測器も含まれているため、緊密に統合されたシステムを小型サイズで構築することができます。こうした状況においても、DMMはPXIバックプレーンを使って、トリガを送受信し、自身の測定を他の計測器の作業と同期させることができます。これに際して、トリガのルーティングを行うための外部配線は必要ありません。

PXIプラットフォーム

 図9. PXIプラットフォームでは、ソースメジャーユニット (SMU)、オシロスコープ、デジタル計測器、RF信号アナライザ/発生器など、あらゆる計測器とのシームレスな統合と正確な同期が可能。

 

NI DMM使ってテスト/測定システムしく構築する

半導体特性評価から航空宇宙関連の製造テストまで、NIのDMMはあらゆるアプリケーションで使用されています。高性能な測定品質を業界最先端の高速かつ包括的なソフトウェアサポートとともに提供できるNIのDMMは、よりスマートな自動テスト/測定システムの開発に最適な製品です。PXIベーススイッチとともにNIのDMMを使用すれば、多チャンネル収集システムを構築し、確定的なハードウェアタイミングの下で、数百または数千のリレーの動作が入力されたスキャンリストを実行できます。PXIプラットフォームは、SMU、電源、オシロスコープ、波形発生器、RFアナライザ/発生器といった、スタンドアロンのベンチトップDMMでは使用できない計測器も提供します。自動テストシステムアプリケーションに向けて設計され、新しいテストシステムの構築に最適なNIのDMMは、従来のDMMに比べてはるかに優れた計測品質を実現します。