データ収集デバイスまたはデータ収集システムいずれ選択する方法

概要

お客様が将来のために、最適なデータ収集 (DAQ) アプリケーションをお探しの場合には、NIは複数のオプションを提供しています。特定の機能を提供するプラグアンドプレイUSBやPCI Express DAQデバイスをはじめ、アナログ、デジタルおよび特定のセンサに対応した入出力を組み合わせて構成できるデータ収集システムなど、お客様のニーズをすべて満たすさまざまなオプションをご用意しています。また、どのオプションを選択した場合でも、実際の入力データを画面上のビジュアルに結び付けるソフトウェアは、ビジネスにおいてデータや情報に基づいて意思決定をするうえで非常に重要です。これらのコンポーネントを詳しく検討し、いくつかのデータ収集アプローチを比較して、どれを選択すべきかその理由を説明します。特定のアプリケーションに対応したソリューションが必要な場合、NIは自動車向けのHIL(Hardware-In-the-Loop)テスト産業機械向けのデータロギング航空宇宙/防衛向けの電気機械的システムテストなどのアプリケーションに対応したさまざまなソリューションを提供しています。

内容

データ収集デバイス使用する場合

データ収集デバイスを使うと、お使いのPCを計測システムにすることができます。アナログまたはデジタルI/OチャンネルによってPCを拡張し、電圧やパルス列の読み取り、デジタルラインの制御などが可能になります。データ収集デバイスは単一機能(例: 電圧測定のみ)として使うこともできますが、アナログおよびデジタルI/O、カウンタ/タイマ機能をはじめとするさまざまなタイプのI/Oを組み合わせてマルチファンクションとして使うこともできます。データ収集デバイスは機能が固定されているため、要件の変更がなく、拡張の必要がないプロジェクトに最適です。計測アプリケーションはそれぞれ異なるため、フォームファクタとして簡単かつ利便性の高いUSBを使うことも、帯域幅と低レイテンシを必要とする場合にはPCIまたはPCI Expressを使うこともできます。

NIのほとんどのデータ収集デバイスには、すぐに計測に利用できるインタラクティブなソフトウェアであるDAQExpressが同梱されています。このソフトウェアを使ってハードウェアにシームレスに接続し、計測、データ記録、解析をすばやく実行することができます。また、NIのデータ収集デバイスはLabVIEWと完全に統合されているほか、MathWorks社のMATLAB®およびSimulink®用のData Acquisition Toolboxを使用してMATLAB®ソフトウェアに直接統合することができます。さらに、NIのあらゆるデータ収集デバイスをサポートするNI-DAQmxドライバを併用すれば、Python、C#.NET、およびANSI Cを使って計測することが可能になり、アプリケーションに付属するサンプルも利用できます。

DAQExpressとDAQデバイス

NIハードウェアおよびソフトウェア使ってデータ収集システム(DAS)構築する方法

データ収集システム(DAS)は、DAQシステムとも呼ばれ、開発プロセスの早い段階で設計を検証し、製品の欠陥を発見するのに役立ちます。毎日数百万とは言わないまでも数千の製品が開発途上にある状況で、どれだけ多くの異なる計測システムが存在するのかを想像してみてください。

NIのデータ収集システムの基盤となるハードウェアはモジュール式であるため、混合型の計測システムを自由に構築して固有の要件を満たすことができます。検討の対象となるハードウェア側のアプローチは主に2つあります。他方、ソフトウェア側のオプションは、FlexLoggerTMというプログラミング不要でさまざまな設定が可能なデータ収集アプリケーションソフトウェアから、Python、C#.NET、ANSI Cなどのさまざまなプログラミング言語群、さらにMathWorks社のデータ収集ツールボックスによるLabVIEWとMATLABとの完全な統合にいたるまで幅広く用意されています。

データ収集システム

FlexLogger™データ収集ソフトウェア

FlexLoggerデータ収集ソフトウェアを使うと、セットアップに費やす時間を最小限に抑えながら、必要としている計測値の収集に注力することができます。センサを中心としたメニューベースのワークフローが用意されており、アナログセンサやデジタルI/O、自動車ネットワークなどを組み合わせて柔軟な計測システムを構築することができます。サードパーティ製ハードウェアやカスタム解析機能をプラグインと統合することにより、FlexLoggerソフトウェアの機能を拡張することができます。

FlexLoggerTMソフトウェアでは、画面上でビジュアルコンポーネントをドラッグアンドドロップすることで、キャリブレーションやアラーム、ビジュアルインタフェースのカスタマイズを行うことが可能です。データをロギングする方法については、ユーザ側ですべてコントロールできるよう、さまざまなオプションが用意されています。データの保存先として、単一のファイルまたは複数のファイルを選択できます。キー入力とアラームトリガのどちらでロギングを開始するかを設定できます。また、データ管理を簡略化するために、対象となるテストからメタデータをインポートすることができます。ログに記録されたデータは、FlexLoggerのデータビューアで確認することができます。このビューアでは複数のセンサと計算チャンネルから得られたデータが視覚的に表示されるため、データからすばやくインサイトを得ることができます。

FlexLoggerデータ収集アプリケーションソフトウェア

CompactDAQハードウェア

CompactDAQは、CompactDAQシャーシCシリーズI/Oモジュールから構成されるポータブルで柔軟なデータ収集アプローチです。1つのシャーシあたり最大14枚のI/Oモジュールを差し込めるモデルもあり、測定タイプを幅広く組み合わせて拡張性と柔軟性に重点を置くアプリケーションに最適な製品です。Ethernet CompactDAQシャーシは、ネットワーク経由での同期が可能です。これにより、複数シャーシ間での緊密な同期を実現します。CompactDAQのハードウェアは堅牢なため、現場での多チャンネル分散型DAQアプリケーションに最適です。

CシリーズI/Oモジュールは、広範な種類の入出力機能に対応しています。たとえば、音響/振動計測用、歪みゲージ、温度センサなど、特定のセンサに対応したモジュールがあります。また、電圧、電流、デジタルI/Oに特化したモジュールや、CANやLINなどの車載通信バスに特化したモジュールもあります。各モジュールはシャーシのバックプレーンに接続され、そこからUSBまたはイーサネットを介してホストPCと通信します。

NIはまた、温度、電圧、歪み、音響/振動などの一般的なセンサテスト測定用に、NIの一般的なCompactDAQハードウェアの事前構成済みバンドルも提供しています。これらのバンドルには、CompactDAQシャーシ、Cシリーズモジュール、テストシステムを簡単に開始できる関連アクセサリが含まれています。

CompactDAQシャーシ付きCシリーズI/Oモジュール

PXIデータ収集ハードウェア

PXIハードウェアは、多チャンネルデータ収集アプリケーションおよびセンサ計測アプリケーションに対応するために、モジュール式アプローチを採用しています。最大18スロットのシャーシ、バックプレーン上での緊密な同期、シャーシ内蔵のコントローラを使用する機能、またはリモートコントロールモジュールを介して外部PCに接続する機能という特徴を備えた全内蔵型の多チャンネルデータ収集システム用ハードウェアです。最新のチップテクノロジで構築されており、OSにはWindowsを使用しています。

モジュール式アプローチを採用したこのPXIハードウェアは、複数の信号調節モジュールを取り揃えて幅広いアプリケーションに対応しています。モジュールには線形可変差動変圧器(LVDT)、アナログ入力(±1V~±600Vの範囲)、アナログ出力測温抵抗体(RTD)/熱電対音響/振動(DSA)歪み/ブリッジがあり、計測機能と出力能力を組み合わせて数十から数百のチャンネルを持つシステムを設計できます。さらに多くのチャンネルが必要な場合は、システムを複数のシャーシに拡張できます。

PXIeコントローラ、信号調節モジュール、およびシャーシ

 

NIでは、オシロスコープ、デジタルマルチメータ、SMU、LCRメータなどのNI PXI計測器の構成済みバンドルも提供しています。これらのバンドルには、シャーシ、モジュール、およびテストシステムを簡単に開始するための関連アクセサリが含まれています。

データ収集アプローチ選択方法

ここまで、データ収集に対する異なるアプローチを見てきましたが、以下では他の要素も考慮に入れながらお客様にとって最適なアプローチについて検討します。NIのデータ収集製品は、プラグアンドプレイのデータ収集から、同期された分散型計測、多チャンネルシステムまで、あらゆる要件に対応しています。しかし、現在のタスク要件以外のことも考慮に入れた場合、将来のプロジェクトで現行のデバイスやシステムを再利用することも考えられます。データ収集デバイスは、現状のままで拡張する必要のないタスクに適しています。CompactDAQは、モジュール式アプローチを採用しており、将来システムにチャンネルまたは測定タイプを追加する際に必要な柔軟性と拡張性を備えています。また、混合型の計測や分散型のアプリケーションに最も良く適合します。最後に、チャンネル数の多いアプリケーションや高電圧の入力測定の場合、PXIeのモジュール式アプローチにより、要件に合わせてシステムを設計できるほか、将来の拡張にも対応できます。

ほとんどのデータ収集プロジェクトはそれぞれが独特なものですが、そこから得られるデータを利用して、お客様はビジネス上の意思決定を下します。このため、現在のプロジェクトに適しているだけでなく、複数のプロジェクトで再利用したり拡張したりできるアプローチが、組織にとってより価値の高い選択肢となります。システム構成を決定付けるのは要件ですが、プロジェクトによって変化するのもまた要件です。したがって、長期的な計測のニーズを考慮して最適なアプローチを選択し、予算や費用を最大限に活用してください。