NI LabVIEWNI PXIハードウェア使用した、自動車電動シート製造ラインにおける音質測定

「LabVIEW State Diagramツールキット使用することで、マシン操作コンセプトSci-Mech Technical Services管理部門クライアント共有することできした。」

- John Purse、Sci-Mech Technical Services社

課題:

自動車の電動シートをテストする製造ライン向けのコスト効率の良いソリューションを開発して、客観的な基準を提供できるようにし、是正措置を提案して、標準化した音質測定基準に組み合わせる。そうすることによって、人間が持つ主観的印象を全体の判定基準に組み込めるようにする。

ソリューション:

NI LabVIEW、Sound and Vibration Measurement Suite、およびNIモーションコントロール製品を使用して、制御およびデータ収集を行う。この時に使用する15ステーションテストラインには、音響試験室内に設置された2つのステーションがあり、加重力追跡テストおよび揚力テストが行われ、音響データを収集できる。

作成​者:

John Purse - Sci-Mech Technical Services社
Michael Albright - Signal.X Technologies社

 

NIパートナーのSci-Mech Technical Services社は、完全自動化された組み立ておよびテストセルの要件を満たす計測/自動化ソリューションの設計、構築、統合を行う会社です。弊社のクライアントは、座枠を北米の自動車業界に供給しており、当時、異なる製品を認識して、音質を含む適切なパラメータに対してテストできるような新しいテストシステムを必要としていました。部品は、最高品質基準を満たし、出荷前に100パーセントの機能テストを完了している必要がありました。また、弊社のクライアントの場合、顧客がショールームでシートを操作する状況を考慮に入れておく必要があります。  

 

音質測定基準

電動シートの核となるのは、DCモータ駆動式送りネジ、つまり、直接的なウォーム駆動です。ディーラーのショールームでは、シートの操作音によって、その自動車の品質の第一印象が決まってしまいます。自動車メーカーが新車のショールームにおいて、音響/振動の状態を極めて適切にしておく必要があるのは、電動シートの騒音が最も重要な主観的品質の指標になるためです。

 

防音ステーションでシートトラックの音響計測を実行するには、NI PXI-4462 24ビットダイナミック信号収集 (DSA) モジュールとPXI-4462から直接電源供給されるG.R.A.S. Type 46 AE ½ in.の偏極型自由音場マイクロホンを使用します。   

 

騒音、振動、ハーシュネス (NVH) のスペシャリストでNIパートナーでもあるミシガン州ミルフォードのSignal.X Technologies社は、Sci-Mechおよび顧客と協力し、LabVIEWとLabVIEW Sound and Vibrationツールキットを使用して音質測定基準を測定しました。対象とした測定基準は次の通りです。ピークA加重SPL、Zwicker静止ラウドネス (Sones)、疑似時間変化ラウドネス、キーハーモニック検出、周期的および非周期的インパルスインジケータ、rpm変動およびドリフト。  

 

製造環境で重要となる要件は、測定基準が、業界標準の構成に基づいて欠陥の可能性を直観的に説明できることです。注目すべきは、測定基準のセットが、客観的パラメータと主観的パラメータの混合で、繰り返し可能な製造プロセスの確保に焦点が絞られていることです。測定基準がセットになっていると、シートトラックの音に対して人間が持つ主観的印象との相互関係、および1つ以上の客観的測定基準を満たさなかった特定の欠陥に対する直接指摘との相互関係がわかります。騒音/振動の性能評価にSignal.X Technologies社のこうした方法を取ることによって、品質の優れたシートのみが合格することが保証されます。

 

機能テスト

15ステーションテストラインは、さまざまなプラットフォームおよびシステムを含んでおり、単一のEthernetネットワークで実行されます。最新のシートクッション組み立て/テストラインのような複雑なプロジェクトにはデジタル多チャンネルが必要とされるため、デスクトップPCだけでは必要なPCIボードの数に対応できませんでした。そこで、NI PXIリモートシャーシを使用して、大規模なデータ収集を実行し、PCベースコントローラと通信させることにしました。また、NI PXI-6511低コスト工業用デジタル入力モジュールを2つ使用して、バンク絶縁の24 V入力を128ラインにしました。

 

バンク絶縁があると、Turck製センサを直接接続できるため、組み立て時間の短縮、回路の複雑性の軽減、およびコストの削減が実現できました。NI PXI-6512低コスト工業用デジタルI/Oモジュールを2つ使用してバンク絶縁デジタル出力を128ラインにすることで、すべての信号をそれぞれ光アイソレータに通すことなく、モジュールのブレークアウトボックスからデバイスに直接接続することができました。チャンネル数を多くすることで、セットアップ時間だけでなく、パネルスペースも節約できました。

 

システムのサーボモータの制御には、NI 7340 4軸モーションコントローラ、およびRockwell Control Logix 5561コントローラに接続したNI 7774 4軸モーションコントロールインタフェースを使用しました。NI Measurement & Automation Explorer (MAX) の構成ユーティリティを用いた完全なドライバ統合によって、直観的なグラフィカルユーザインタフェース (GUI) でセットアップやトラブルシューティングができました。

 

ソフトウェアによる設計段階をサポートし、全体のプログラミング時間を削減するために、LabVIEW State Diagram Toolkitを使用して、プログラムアーキテクチャの可視化とコードの開発を同時に行いました。LabVIEW State Diagram Toolkitを使用することで、マシン操作のコンセプトをSci-Mech Technical Services社の管理部門やクライアントと共有することができました。

 

また、最初のモーションプロファイルを設定するときに、NI Motion Assistantも使用しました。このツールによって、開発時間を数時間短縮でき、サーボモータの最初のセットアップが簡単になりました。プログラムの実装前に、加速/減速ランプのプロファイル、および自動車シートテストシステムの全体的な速度を安全に確認できました。

 

 

 

NIプラットフォームメリット

Sci-Mech Technical Services社とSignal.X Technologies社は、LabVIEWおよびNI PXIハードウェアを使用して、音質を機能テストの一部として組み込んだ、シートトラック用の高度な製造ラインテストシステムを作成し、100パーセントのテスト内容によって部品が最高品質の基準を満たすことを保証しました。   

 

著者​情報:

John Purse
Sci-Mech Technical Services社
312 Alliance Road Unit #1
Milton L9T 2V2
カナダ
電話:905-693-0866
test@scimech.com

 

NIパートナーは、NIからは独立した企業体で、NIとの代理店関係、パートナーシップ、合弁事業関係を有するものではありません。

 

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