NI-DCPowerが提供する2つのVIは、測定に使用できます。最初のVIは、「niDCPower測定」VIです。このVIは、たった1つのチャンネルに対して1つの電圧または電流を測定するのに使用できます。2つ目のVIは、「niDCPower複数の値を測定」VIです。このVIは同時に1つ以上のチャンネルから電圧および電流を測定するのに使用できます。
電圧と電流両方の測定が必要な場合、または複数のチャンネルを測定する場合、「niDCPower複数の値を測定」VIは「niDCPower測定」VIよりも優れた性能を発揮します。しかし、1つの測定しか必要でない場合は、「niDCPower測定」VIのほうが優れた性能を発揮します。
PXI-4130は3 kS/sのサンプリングレートで、333 µsごとにすべてのチャンネルの電圧と電流を常時測定します。 「平均化するサンプル数」プロパティおよび「測定前に平均をリセット」プロパティを使用して、これらの測定がどのように使用され、「測定」および「複数を測定」によって報告されるかを制御できます。
測定の平均化
NI PXI-4130は、測定サンプルを平均化することによって、ノイズを軽減し、感度を向上させることができます。この計測器は、3 kS/sのレートで収集した固定サンプル数を平均化します。平均化するサンプル数は、「niDCPower平均化するサンプル数」プロパティを使用してプログラム的に設定できます。測定VIの1つが呼び出されると、平均化された測定データが返されます。
NI PXI-4130は、シンプルな平均化スキームを使用します。これは移動平均ではありません。計測器が固定数のサンプルを収集すると、必ず平均化され、サンプルは破棄されます。すると、次のサンプルのセットが収集され始め、平均化が行われます。
「測定前に平均をリセット」プロパティ
「測定前に平均をリセット」プロパティを使用して、平均化されたサンプルを収集するタイミングを制御することができます。
プロパティをfalseに設定した場合、計測器は常に計測データを収集して平均化します。「niDCPower測定」または「niDCPower複数の値を測定」を呼び出すと、最後に平均化された計測データが返されます。つまり、この平均値を取得するのに使用されたサンプルは、そのVIを呼び出す前に収集されたものだということになります。この設定を使用すれば、アプリケーションが別のタスクでビジー状態にあるときにサンプルを収集できることから、可能な限り高い性能を実現することができます。
プロパティをtrueに設定した場合、NI-DCPowerによって以前のサンプルと平均値が破棄され、新しいサンプルのセットが収集され始め、平均化されます。
したがって、「niDCPower測定」または「niDCPower複数の値を測定」によって返された計測データが、VIを呼び出す前に収集されたサンプルから構成されることを確実にするには、「測定前に平均をリセット」プロパティをtrueに設定します。このオプションはデフォルト設定です。
ソフトウェアの測定レート
ソフトウェアの測定レートは、NI-DCPowerを使用したアプリケーションが計測データを収集できる最も高いレートです。このレートは2つの要素によって決定されます。最初の要素は、PXI-4130の固定サンプリングレート (3 kS/s) です。2番目の要素は、「niDCPower平均化するサンプル数」プロパティで設定した平均化するサンプル数です。これは、次のLVループが実行される最大レートになります。
図2:最大レートで「複数の値を測定」VIを呼び出す。
「niDCPower平均化するサンプル数」プロパティと「NIDCPOWER_ATTR_SAMPLES_TO_AVERAGE」属性のデフォルト値は10です。次の式で示されるように、ソフトウェアで可能な最高測定レートは、デフォルト値を使用した場合、300回/秒の測定です。
測定の平均化が行われない場合 (平均化するサンプル数 = 1)、ソフトウェアの最速測定レートは1秒につき3,000の測定値です。
平均化なしの測定では最高速度を実現できますが、環境からのノイズ (たとえば、配線により発生する50 Hzまたは60 Hzのノイズ) により測定が不安定になります。必要に応じて「niDCPower平均化するサンプル数」プロパティまたは「NIDCPOWER_ATTR_SAMPLES_TO_AVERAGE」属性を調整して、ノイズ性能および測定レートを最適化します。
ノイズ除去の詳細については、NI DC電源およびSMUヘルプファイルをご参照ください。