標準化によって将来テスト機関強化する

概要

航空宇宙/防衛関連の組織は、最先端のテクノロジを統合する一方で、レガシーテスタの維持、包括的なテストカバレッジの達成、そして最重要事項である納期の厳守を実現するという調整作業を続けていく運命にあります。この分野のリーダーは、従来のテクノロジと最新のテクノロジ、およびさまざまなシステムやテストグループに対応できる、より標準化されたテストアプローチを必要としています。このようなアプローチが提供する持続可能なソリューションを採用すれば、エンジニアは内製ツールの作成や維持に時間を費やすことなく、イノベーションに専念できます。このドキュメントでは、こうしたアプローチのメリットや、航空宇宙/防衛関連のトップ機関が将来に対応可能なテストを実装できるソリューションについて紹介しています。

内容

設計から製造利用

航空宇宙/防衛業界のテスト機関は、テストカバレッジ、プロジェクトのスケジュール、および予算に関するニーズのバランスを保ち続ける必要があります。このように競合するニーズを満たすため、ソリューションをカスタマイズして、スケジュールと技術的リスクを徹底的にコントロールするわけですが、これにはコストがかかります。結局は、予算を超過し、残業代を支払い、問題対応にリソースを追加するか、あるいは必要なテストシステムのアップグレードを延期して、プロジェクトの期限に間に合わせようとするか、どちらかの選択になります。  

テスト機関にとって最も望ましくない選択は、テストカバレッジで妥協し、何か見落としたり不良品をリリースしたりした可能性を甘受することです。この絶え間ない緊張が航空宇宙/防衛業界の現状であり、理想的ではありませんが、驚くべき成功をもたらしてきました。そして、業界の実績が好調なだけに、「壊れていないものをなぜ修理する必要があるのか」という疑問が持ち上がります。 しかし業界はこう自問すべきです。「このアプローチは持続可能なのか」と。  

顧客が新しい航空機に最新技術を求め、電動化などのトレンドが深く根付き、企業がグローバルな開発現場を必要とする国際的な人材に価値を見出していくなか、航空宇宙/防衛関連の組織は、現状が、将来の成長のために正しい選択であるかどうかを見極める必要があります。標準化されたテストアーキテクチャ、より多くのエミュレーションとシミュレーション、そして新しく改善されたシステムとデータ管理ツールを採用して、テストおよび設計サイクルアプローチを現代化できるかどうかが、持続可能な競争力に裏打ちされた成功と、生き残りへの茨の道との分かれ目になります。組織がテストを標準化するには、開発サイクル全体で、またアプリケーションや現場全体で同じテクノロジとツールを使用する必要があります。  

開発サイクル全体標準化する

テストエンジニアは一般的に開発サイクルの特定のフェーズを専門としていますが、成功するテスト組織はテストプロセスを総合的に検討する必要があります。テストマネージャは各種テストの予算をモニタリングし、各ステージが効率的に製品のリリースにつながるようにします。しかし、テストグループがほとんど自社開発のテクノロジに依存している場合、各グループは異なる方法で運用し、独自の好みやニーズに基づいてテスト設計にアプローチするはずです。各プログラム向けの専用システムにも同じ問題があります。テスト組織の総合的なニーズを考慮せずに1つのプログラム用に設計されているからです。維持および管理されている自主的で全社的な標準がなければ、組織はグループ間の一貫性をチェックする必要はありません。テストマネージャはこのような課題に精通しており、課題があるにもかかわらず成功しています。ただし、成功のたびに、失敗のリスク、そして時間および予算の浪費のリスクが累積していきます。こうした考慮事項は全てのエンジニアの悩みの種、つまり非効率につながります。 

テストサイクル全体に標準化されたアプローチを使用することで、エンジニアは、テスト工程の各ステージでデータを一貫して比較し、テストを、特にエミュレーションとシミュレーションベースのテストを開発サイクルの早い段階に移動できます。システム内のコンポーネントをテストするとき、そのコンポーネントの妥当性確認中に収集したデータを確実に参照できます。さらに、様々なグループのエンジニアが共通の言語とアプローチを使用することにより、ベストプラクティスの共有と、より効率的なコラボレーションが促進されます。また、一貫したプラットフォームにより、あるグループのアウトプットが次のグループのインプットとして適合するため、標準化されたアプローチを使用することで、テストエンジニアは、他のグループを気にすることなく専門分野を深く掘り下げて調べることができます。最後に、テストシステムを1つのグループから次のグループへと再利用できるため、テスト機関は、財務投資を完全に実現できます。このような成果はカスタマイズされたアプローチによっても可能ですが、これは社内の管理組織を必要とし、持続可能でなく、非効率的であることもしばしばです。こうなると、ソリューションの醍醐味が失われます。

アプリケーション現場全体標準化

航空宇宙/防衛企業では、プロジェクトグループが、特に異なるプログラムにおいて、孤立した実体となる可能性があります。管理構造、予算の分配、過去の慣行によって、それぞれの労力がつながりのない分断されたものになってしまう場合があります。大企業は、様々なグループが様々な現場で様々なプロジェクトを実装していることから、特にこのジレンマの影響を受けやすく、一貫性の維持の課題が高まります。現状維持は、業界内で安定性を維持している実績ある手法と言えるものの、組織はやはり、この目標のためにも標準化を検討するべきです。 

テストに対する一貫性のあるアプローチを採用すると、必要な時と場所に応じて人材をシフトすることが可能になります。エンジニアは同じようなツールの使用方法を知っているため、異なるプロジェクト間や現場間での移動が簡単になるわけです。この柔軟性は、従業員の関与を増やし、燃え尽き症候群を減らすことにもなります。そして、従業員が退職すると失われてしまうような、どこにも規定されていない専門知識が増えるリスクを抑えます。さらに、標準化されたテストアプローチにより、企業はより明確な期待値を顧客に提示できます。たとえば、サプライヤが航空機の複数のサブシステムを担当しているとします。サプライヤ側の標準化されたテストアプローチは、サブシステム全体で同じアプローチに基づくテストラックを航空機メーカーに提供することを意味し、航空機メーカーが直面する統合の課題を削減します。

標準化強化する

航空宇宙/防衛業界は、リスクを軽減し、認定を満たすために、テクノロジに対して統制力を発揮する必要があります。従来、独自データを保護することで、ベンダからの購入には問題がつきものでした。しかし、市販の(COTS)テクノロジを備えたプラットフォームベースのアプローチに投資することで、航空宇宙/防衛企業は、基盤となるテクノロジの知識を犠牲にすることなく、標準化の目標を達成することができます。

NIには大手の航空宇宙/防衛企業やサプライヤと連携してきた40年にわたる歴史があります。この経験に基づいてNIのエンジニアが開発したプラットフォームは、あらゆる業界のニーズに対応できる幅広さを持っており、特定のアプリケーション要件に合わせて即座にカスタマイズできます。また、NIのモジュール式ハードウェアとソフトウェアは優れた統合性を発揮するため、これらの組織が妥当性確認から製造テストまでを通して必要とするテクノロジが実現されます。このプラットフォームは適応性に優れているため、変化するテスト要件に対応したり、新しいプロジェクトを開始したりすることが大変容易です。NIのテストシステムは、PXIなどのモジュール式テクノロジやSLSC (Switch Load Signal Conditioning) に基づいているため、テストエンジニアは、負荷の高いカスタム設計なしに、徹底した制御を行うことができます。さらに、豊富な業界経験を持つNIパートナーのグローバルなネットワークが、統合とカスタマイズサービスを提供して、テストシステムが組織に固有な要件を満たすのを支援します。

標準化はプロジェクトからプロジェクト、テストからテストへの投資を最大限に生かします。この持続可能なアプローチは、真に将来を見据えた航空宇宙/防衛組織の品質証明と言えるでしょう。