航空機作動テストシステムテストプラットフォーム

「モジュールシステム設計高性能仕様実現し、拡張アップグレード可能にします。このフレームワークソフトウェア開発、テスト、統合必要労力70パーセント軽減しました」

- Moog India Technology Center、Balaji PK

課題:

柔軟性、信頼性、保守性に優れ、高速で容易にアップグレードできる航空機作動システムテスト用ソフトウェアテストプラットフォーム (STP) を開発する。複数のテスト対象装置の検査/認証テストを同時に実行可能な自動テストシステムを開発する。アクチュエータや空力負荷システムを厳しい制限下で高確度かつリアルタイムで制御する。

ソリューション:

NI LabVIEW、NI TestStand、NI VeriStandソフトウェアの優れた組み合わせによって、任意のプログラミング言語で記述されたテストステップを実行する高度なテストエグゼクティブ (TE) を開発する。再構成可能で堅牢なモジュール式ハードウェアテストプラットフォームである電子テストコンソール (ETC) を設計する。NI PXIテクノロジをリアルタイムコントローラとともに用いて、複数の作動システムのテストを並列実行しながら、コスト削減と設置面積の縮小を実現する。

作成​者:

Moog India Technology Center - Balaji PK
Moog India Technology Center - Joesamuel S
Moog India Technology Center - Kumar B

 

 

Moog社は、高精度なモーション制御製品やシステムの設計、製造、インテグレーションを行う世界的な企業です。Moog Aircraft Groupは、航空機作動システムの設計とインテグレーション分野におけるトップ企業のひとつです。バンガロールのエレクトロニクス・シティにあるMoog India Technology Center (MITC) Pvt. Ltd. は、Moog Inc., USAの全額出資子会社です。 MITCは、大手民間航空機メーカーが使用する民間航空機の制御作動システムの設計とテストを行っています。さまざまな航空宇宙製品をテストする一般的なハードウェアやソフトウェアテストプラットフォームを設計しました。

 

当社の目標は、システムや部品の専門技術を高度に組み合わせて、設計、インテグレーション、認証機能を統合したシステムソリューションを提供することでした。当社は、お客様が目標とするコスト、重量、信頼性、安全性、性能に最適化したソリューションを唯一作成できる企業として選ばれています。

 

 

ソフトウェアテストプラットフォーム

Moog社は、NI LabVIEW、NI TestStand、NI VeriStand ソフトウェアを使用して、当社のシステムを設計、開発しました。モジュール式のシステム設計は高性能仕様を実現し、優れた拡張性とアップグレードを可能にします。このフレームワークはソフトウェア開発、テスト、統合に必要な労力を70パーセント軽減しました。

 

TEはカスタマイズされたNI TestStandの逐次プロセスモデルで、任意のプログラミング言語で記述されたテストステップを作成、編集、実行します。NI TestStandシーケンスエディタのループオプション、プレアクション、ポストアクション、表現を用いて、テストステップの作成を柔軟に行うことができます。このTEは、あらかじめ定義した形式で自動的にテストレポートを生成します。NI TestStandは、並列/バッチ処理や簡単なハードウェアの初期化/シャットダウン手順を可能にするオプションも内蔵しています。

 

また、このTEはNI VeriStandを使用して、さまざまなソフトウェア環境からサーボ制御アルゴリズムや飛行シミュレーションモデルをインポートします。NIリアルタイムターゲットには、タイムクリティカルな制御アプリケーションを実装しました。NI VeriStandはこれらのタスクを監視、操作するオプションを内蔵しており、値の強制、アラーム監視、I/Oキャリブレーション、刺激プロファイルの編集など多くの便利なツールを搭載した編集可能なランタイムユーザインタフェースを使用します。

 

テストデータはNI DIAdemソフトウェアを使用して解析します。大量のデータはテクニカルデータ管理ストリーミングを使用してプロットおよび解析できます。TEは柔軟性のあるアーキテクチャで、設備に適応したり、航空宇宙のテスト要件を満たしたりすることができます。

 

 

特筆すべきLabVIEWのTEユーティリティは以下のとおりです。

  • テストシーケンサ:  TEを使用すれば、お客様の要件ごとに実行順序を作成、編集、命令することができます。権限のあるユーザなら、いかなる作業指示でも編集、リリース、取り消しを行うことができます。製造環境においては、技術者はリリースされた (承認された) 作業指示にのみアクセスできます。こうすることによってヒューマンエラーを軽減しています。権限のあるオペレータはテストシーケンスを開始、一時停止、再開、再テスト、中止することができます。
  • レポートジェネレータ:  TEレポート生成モジュールには、複数形式 (MHT、HTML、XML、ARC、.bin、.xls) でテストレポートを生成、保存できるというメリットがあります。
  • ハードウェア構成マネージャ:  TEはハードウェア抽象層を使用して、ソフトウェアモジュールの依存関係を取り除きます。動的連携が可能になることによって、ソースコードに変更を加えなくてもハードウェア間の互換性が成立します。
  • キャリブレーション:  TEはキャリブレーション機能を内蔵しており、テストシステムに接続されたさまざまなトランスデューサやセンサをキャリブレートします。
  • 統計解析:  TEは、統計処理機能と互換性のある結果ファイルを生成して、製造プロセスを監視、制御します。異なるソースが検出および計測されても対応することができます。同様に、多様性の補正は製造段階における無駄を削減し、お客様に届く製品の品質を向上できます。
  • テストデータ管理システム:  TEは一般的なサーバにあるテストデータシートをWebインタフェースで処理します。テストデータシートをグローバルに維持したり、すばやく取得したりする場合に役立ちます。
  • PID (比例/積分/微分) 調整システム:  TEには独自のシステム調整アルゴリズムがあります。これがあることで、複合システムを最小時間で調整することができます。
  • その他の注目すべきTEの特長: TEには、油圧制御パネル (HCP) モジュール、アカウント管理、メモリ管理、通信インタフェースが飛行制御コンピュータ (MIL-STD-1553とARINC 429) とともに搭載されています。

 

 

ハードウェアテストプラットフォーム

ETCはMOOG専用の自動テスト装置です。ETCは、リアルタイムコントローラ、マルチファンクションデータ収集システム、信号調節器、プログラム可能な線形可変差動変圧器 (LVDT) 信号復調器、飛行通信インタフェース、プログラム可能な電源、デジタルマルチメータ、ハードウェアスキャナで構成されています。当社の新世代ETCには、NI PXIリアルタイムクワッドコアコントローラを使って複数の作動システムのテストを並列実行するような設計が施されています。こうした設計によって、主要なテスト装置にかかるコストは第1世代ETCよりも低くなります。

 

ETCはNIリアルタイムコントローラを使用して、確定性と信頼性に優れた性能を発揮します。NI PXI-8196およびNI PXI-8110組込コントローラは、負荷作動システムで油圧サーボ制御システムを制御するのに使用します。このシステムのアクチュエータは開ループと閉ループの両方で制御することができます。Moogカスタム制御アルゴリズムは、この作動システムに対してより大きな制御力を持っています。この制御アルゴリズムはリアルタイムターゲットに実装しました。

 

データ集録システムはNIマルチファンクションデータ収集デバイスで設計されており、テストシステムに接続されたさまざまなセンサやトランスデューサからデータをサンプリングできるようにしました。プログラム可能なカスタムLVDT信号復調器は、NI FPGAボードで設計しました。NIスイッチは単独あるいは組み合わせで、ハードウェアスキャニングおよび任意の入力から出力への接続に使用しました。

 

実際の飛行では、飛行制御コンピュータ (FCC) とアクチュエータ間の通信は、ARINCおよびMIL-STD-1553の通信プロトコルで確立します。アクチュエータによるFCC通信をシミュレートするには、他社製のPXI MIL-STD-1553ディスプレイデータチャンネルモジュールを使用します。他社製のPXIモジュールは油圧モータの制御に使用されます。 ETCはGPIBを介してプログラム可能な電源を制御します。HCPの制御には、プログラム可能なロジックコントローラ (PLC) を使用します。ETCはOLEを使用してPLCと通信して、プロセス制御を行います。

 

NI製品使用するメリット

NI製品を使用することで複数のメリットがありました。NI製のハードウェアは信頼性と堅牢性に優れており、使用しやすいデータ収集/制御システムを設計するのに役立ちました。また、NIハードウェアドライバによって、ハードウェアの制御が非常に柔軟に行えます。グラフィカルプログラミング環境は、開発、デバッグ、システム統合にかかる時間を短縮してくれました。さらに、NIディスカッションフォーラムのIdea Exchangeを利用することで、納期を守ることができました。

 

著者​情報:

Balaji PK
Moog India Technology Center
Moog India Technology Center, Plot No 1, 2 & 3, Electronic City
Bangalore
India
電話: +91-9663133991
pbalaji2@moog.com

図1. ボーイング787ドリームライナー用MOOG社製作動システム
図2. TEメイン画面
図3. シーケンスエディタ
図4. ETCを正面から見たところ