計測システムしたコンピュータ選ぶには

概要

利用するデータ収集デバイスを決めると、アプリケーションに適したコンピュータを自然な流れで選ぶことができます。コンピュータは、データ収集システムの最も重要な部分となる可能性があります。データ収集デバイスを収容し、ソフトウェアを実行してデバイスを制御し、測定値を解析して結果を保存できるため、従来のボックス型のシステムと比べて柔軟に運用できます。このホワイトペーパーでは、アプリケーションに適したコンピュータを選ぶ際に必要となる情報について説明します。

追加情報

コンピュータ選択ガイド

コンピュータの主なタイプ

1.どのくらい処理能力必要か

ほとんどのコンピュータにおいて、データの管理機能に大きく影響するのは次の3つの要素です。すなわち、プロセッサ、RAM、ハードドライブです。プロセッサはコンピュータにおいて命令を解釈して実行する部分であり、コンピュータの頭脳と捉えることができます。最新のコンピュータに搭載されているプロセッサは、デュアルコアかクアッドコアのいずれかです。つまり、コンピュータは2個以上の独立した実プロセッサ (「コア」と呼ばれます) を使用して、プログラム命令を読み取り、実行することができます。コンピュータの処理能力は、RAM、ハードドライブのサイズ、プロセッサの速度にも依存しています。RAMの容量が大きいほど処理速度は高まり、より多くのアプリケーションを同時に実行できるようになります。ハードドライブの容量を増やすと、より多くのデータを格納することができます。さらに、高速なプロセッサを選べば、アプリケーションの実行速度を高めることができます。一般に、プロセッサの速度は高い方が良いのですが、実際の処理能力はプロセッサのブランドによって異なる場合があります。アプリケーションから収集したデータの解析や保存を必要とする場合は、コンピュータの処理能力を重視する必要があります。

 

2.ポータブルある必要あるか

作業場所やアプリケーション間を頻繁に行き来する場合は、可搬性を重視してコンピュータを選ぶ必要があります。たとえば、現場で計測を行い、ラボに戻ってデータを解析する場合は、ポータブル型のコンピュータが不可欠です。また、アプリケーションをさまざまな場所でモニタリングする必要がある場合でも、可搬性が重要です。可搬性を判断する際は、製品のサイズと重さを考慮する必要があります。重いコンピュータは持ち運びには不向きです。

 

3.購入いくらかかるか

予算はほぼすべてのプロジェクトで問題になります。システムの総コストの大部分を占めているのはおそらくコンピュータでしょう。コストの総額に最も影響を与えるのは機能とフォームファクタです。アプリケーションに適したコンピュータを選ぶ際は、価格と性能について妥協点を探ることになります。高機能なものほど費用がかかり、高価格になります。たとえば、コンピュータに搭載されているプロセッサが高速であるほど、コンピュータの値段は高くなります。また、フォームファクタもコンピュータの費用に違いをもたらします。一般に、同等の機能を備えたノートブックとデスクトップを比較すると、ノートブックの方が可搬性が向上するため高価になります。さらに、工業向けの仕様になっているものや、計測用途向けに最適化されているものは、堅牢なテストプラットフォームというメリットが得られることから、システムコストが高くなる場合があります。

 

4.どのくらい堅牢必要か

過酷な環境条件でアプリケーションをモニタリングする場合は、コンピュータの堅牢性が重要な機能となる可能性があります。コンピュータの堅牢性を判断する際に基準となるのは、動作条件です。市販の標準的なPCは、工業​環境​で​耐え​られる​よう​に​は​設計​さ​れ​てい​ま​せん。コンピュータの動作条件には、動作温度、保管温度、相対湿度、最高動作高度、最高保管高度などがあります。一般的な仕様となっているのは、50゚F~95゚F (動作温度)、-13゚F~113゚F (保管温度)、10,000フィート (動作高度)、15,000フィート (保管高度) です。したがって、これらを超える仕様のコンピュータは堅牢であるとみなすことができます。こうした機能については、アプリケーションで必要となる場合にのみ考慮します。

 

5.モジュールある必要あるか

将来を見据えたアプリケーションの利用を検討している場合や、複数のアプリケーションで作業している場合は、コンピュータのモジュール性が重要になる可能性があります。モジュール性とは、システムのコンポーネントを他から切り離して任意に組み合わせられるかどうかの度合いのことです。システムでモジュールの交換やアプリケーションの変更を簡単に済ませたい場合は、モジュール式のシステムにすることが重要です。モジュール式のコンピュータを採用すれば、他の方法では得られない高度な柔軟性を享受できます。システム​を​特定​の​ニーズ​に​対応​できる​よう​に​改修​した​り、​将来​に​向け​て​拡張​した​り、​システム​全体​を​新調​する​こと​なく​コンポーネント​を​個別に​アップ​グレード​した​り​する​こと​ができます。モジュール式のシステムであれば、容量が足りなくなったときは新しいハードドライブを設置でき、より高速なサンプリングが必要になったときは、より高速なアナログ/デジタル変換器を備えたデータ収集デバイスを使用できます。ノートブックやネットブックは、可搬性は優れていますが、統合度が高い分、アップグレードが難しくなるため注意が必要です。現在利用しているアプリケーションを将来のニーズに対応させる必要がある場合は、モジュール性が重要になる可能性があります。

 

6.リアルタイムオペレーティングシステム必要か

オペレーティングシステムは、データ収集用のコンピュータを選ぶ際に考慮すべき重要な機能です。最も一般的な汎用のオペレーティングシステムはWindowsですが、データの収集や制御を行うアプリケーションでは、より専門的なオペレーティングシステムが必要になる場合があります。リアルタイムオペレーティングシステムを使用すれば確定的な処理が可能になり、アプリケーションを正確なタイミング要件に従って実行することができます。リアルタイムオペレーティングシステムでは、オペレーティングシステムがどのプロセスをどのタイミングで実行するかを決定するのではなく、ユーザがプロセスの順序やタイミングを規定できるため、確定性を確保することができるのです。それにより、ユーザはアプリケーションをより細かく制御でき、確定的でないオペレーティングシステムを使用する場合に比べてアプリケーションの実行速度を高めることができます。確定性のあるオペレーティングシステムを搭載したコンピュータが必要な場合は、こうした要件を満たすコンピュータを検討する必要があります。

リアルタイムオペレーティングシステムの詳細を見る

 

コンピュータ選択ガイド

表1は、前述の6つのポイントに基づいて、ごく一般的なコンピュータのタイプを選ぶ際のガイドをまとめたものです。

 

 

PXIシステム

デスクトップ

工業用PC

ノートブック

ネットブック

処理能力

最適

最適

OSの互換性

最適

最適

モジュール性

最適

堅牢性

最適

可搬性

最適

最適

コスト

最適

表1.この表は、最も重要な6つの機能に基づいてコンピュータを選ぶ際のガイドを示したものです。

 

コンピュータタイプ

通常、データ収集には5種類のコンピュータが使われます。コンピュータはデータ収集ハードウェアと通信するため、どのようなコンピュータを選ぶかは、データ解析のニーズ、システムの動作環境、システムに必要なチャンネル数によって異なります。ここでは以下のタイプのコンピュータについて主に説明します。

  • PXIシステム
  • デスクトップ
  • 工業用PC
  • ノートブック
  • ネットブック

PXIシステム

図1.PXIシステムは、コントローラ、シャーシ、そして最大17台のモジュール式計測器で構成されます。

PXI (PCI eXtensions for Instrumentation) は、計測システムやオートメーションシステム向けのモジュール式で堅牢なPCベースプラットフォームです。PXIシステムは、コントローラ、シャーシ、モジュール式計測器で構成されています。PXIシステムコントローラはオペレーティングシステムを実行し、文字通りシステムのコンピュータ、つまり「計算機」として機能します。これにはプロセッサ、RAM、ハードドライブなどが含まれます。シャーシはコントローラを収容するもので、4~18個のスロットを備えており、コンピュータと計測器を1つのコンパクトなパッケージとしてまとめることができます。アプリケーションにさまざまな計測器が組み込まれていて、それらの計測器間で緊密な同期を必要とする場合や、将来のアプリケーションにも同じ計測器を適合させる必要がある場合は、PXIが最適なソリューションとなる可能性があります。PXIは高機能で柔軟性のある計測プラットフォームですが、モジュール式のPXIシステムは、USB計測器を備えたノートブックやデスクトップよりも初期費用が多くかかる場合があります。それでも、将来に備えてPXIシステムを選択しておけば、あとで計測器のニーズが変化した場合に時間と費用を節約できる可能性があります。

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デスクトップ

図2.デスクトップコンピュータでは、多くの場合、最新のPCテクノロジを手頃な価格で手に入れることができます。

 

デスクトップコンピュータは、1​つ​の​場所​に​据​え​置​い​て​定常​的​に​利用​する​こと​を​想定​した​PC​です。通常はオフィスやラボなどで用いられ、極端​に​厳しい​環境​で​使​われる​こと​は​ありま​せん。これらのコンピュータは、モニタ、キーボード、マウス、コンピュータ本体などの機器で構成されています。デスクトップコンピュータは多数の機器で構成されているため、複数の場所で繰り返し移動させるような用途には向いていません。しかし、サイズが大きいことから放熱量を多くすることができ、より高性能の大型プロセッサを搭載できます。したがって、処理能力はデスクトップコンピュータの最も大きな特徴となります。データを高速で解析したりディスクに記録したりする必要がある一方で、モビリティは必要ないという場合には、デスクトップコンピュータがまさにアプリケーションに最適となる可能性があります。

 

工業PC

図3.工業用コンピュータでは、堅牢な機械的仕様を備えた標準的なPCのコンポーネントがすべて搭載されています。

工業用PCはその名のとおり、工業用として、または過酷な環境での使用に耐えられるように最適化された特殊なコンピュータです。工業用PCは機械的強度に優れ、環境的に極端な振動、衝撃、温度、湿度にも耐えうる定格となっています。ただし、そうした堅牢性の高い設計を採用していることから、他のタイプのコンピュータと比べると高価です。こうした定格は多くのアプリケーションで不可欠であるため、アプリケーションを過酷な環境でモニタリングする必要がある場合は、工業用PCが最適な選択肢となります。

 

ノートブック

 

図4.軽量で持ち運びがしやすいノートブックコンピュータを使えば、現場でデータを収集できます。

ノートブックコンピュータは、モバイルでの利用を目的としたPCです。小型​という​利点​を​生​かし、​通常はポータブル型の計測システムで使われます。すべてのパーツが1台のノートブックにまとめられているため、持ち運びがとても楽です。ノートブックを使えば、複数の場所に設置したさまざまなアプリケーションを簡単にモニタリングできます。ただし、すべての部品が1つのユニットにまとめられているため、ノートブックに影響を与えないような環境で利用する必要があります。たとえば、大部分のノートブックは、ほこりや湿気について十分な定格を備えていない可能性があります。データの解析や保存の機能を備えた汎用のポータブルコンピュータが必要な場合は、ノートブックコンピュータがそうしたニーズに応える可能性があります。

 

ネットブック

図5.ネットブックは、​処理​性能​は​高​く​ありま​せん​が、​小型​で​低​コスト​という​メリット​が​あり​ます。

ネットブックコンピュータもまた、ノートブックコンピュータと同様に、モバイルでの利用を目的としたPCです。コンポーネントの費用が安く、プロセッサの消費電力が少ないため、非常に小型で低コストです。周辺機器を接続するためのポートや処理能力は犠牲になりますが、最終的には、それよりも高機能な選択肢の数分の1の価格で、非常にポータブルなコンピュータを手に入れることができます。ネットブックはコスト、サイズ、性能の面で妥当な選択肢となりえます。データ収集用の低コストで可搬性の高いコンピュータを必要としていて、処理負荷の低い解析も実行できるアプリケーションの場合に最も適しています。

 

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