コムベックス株式会社 ソリューション営業部・システム営業課 田中 一郎 氏, コムベックス株式会社のHPはこちら
現在、部品に印刷されるシリアル番号の読み取りおよび製品の寸法測定は、人が目視で行っているが、この方法では、人が認識できないものがあるほか、ミスが生じる可能性がある。そこで、文字の識別や、寸法測定の精度を向上させる外観検査システムを安価に構築することが求められていた。
スマートカメラ(NI 1722 Smart Camera)とLabVIEWを組み合わせ、画像測定システムを構築したことにより、文字の識別や、寸法測定の精度向上を実現した。
同社のお客様である、小型電源メーカーでは、現在、部品に印刷されるシリアル番号の読み取りおよび製品の寸法測定を人が目視で行っている。しかし、この方法では、人が認識できないものがあるほか、ミスが生じる可能性があり、別品混入や不良品出荷を招きかねない。そこで、文字の識別や、寸法測定の精度を向上させる外観検査システムを安価に構築したいというのが先方の要望であった。
1) 文字の識別
部品に印刷されるシリアル番号の読み取りを、OCR(Optical Character Recognition: 光学文字認識)を用いて印刷ミスを検出することや、印刷工程へフィードバックすることで、シリアル番号の印刷品位を向上させる。また、LED照明では読み取れない浮き文字や、プレス文字を画像認識することも求められていた。
2) 寸法測定
小型部品のファイナルインスペクション工程に使用し、寸法測定を行うことで加工部品の寸法異常検出や、パーツの欠落検出を行う。
3) 安価なシステムを短期間で構築
画像認識システムは、一般的に多額のコストがかかるという印象があるが、採算上低価格での実現が求められていた。すでに人が目視で対応しているため、多大な開発時間をかけずにシステムの開発を行う必要があった。
4) 複数のライン管理及び多品種への拡張性
今回は、一本のラインでのみシステムを導入するがこのラインでの導入結果を踏まえ、今後その他のラインでも、必要に応じて段階的にシステム導入が進められるよう、拡張性を備えていることが重要とされていた。
<システム構成>
NI製スマートカメラの導入に至った経緯は次の通り。
映像の捕らえ方の単純性
将来的に様々なアプリケーションに対応できる柔軟性を備えている
LAN(TCP/IP)を積んでいるので、ライン対応が楽
導入により実現したことは次の通り。
1) 文字の識別 / 2) 寸法測定
スマートカメラ(NI 1722 Smart Camera)とLabVIEWを組み合わせ、画像測定システムを構築したことにより、文字の識別(正誤判断)、および寸法測定を自動化させ精度向上を実現した。また、複数台のスマートカメラを1台のパソコンにLAN接続し、測定結果や読み取り画像を一括管理することもできる。測定データや、NO/GOの結果を保存することも可能となった。
3) 安価なシステム構築
スマートカメラ(NI 1722 Smart Camera)とLabVIEWを使用し、コムベックスがインテグレーションを実施したことで、他社製品を使用した場合の70%のコストでシステム構築を実現できた(他社の計測器のみの価格が、NIの計測器にアプリケーションを追加した価格にほぼ相当する)。また、LabVIEWのVision Development Moduleの使用により、OCRや寸法測定を手軽に実現することができた。OCRと寸法測定をさほど変更することなくLabVIEWでプログラムを作ることができるので、少ない工数での開発が可能であった。
4) 複数のライン管理及び多品種への拡張性
複数台のスマートカメラを1台のPCにLAN接続することで測定結果や読み取り画像を一括管理することができる。種類の異なる検査を複数管理できるので様々なラインでの使用が可能。
今後は製品に印字されている文字品位(文字欠けや印字かすれ等)を検査するシステムへの転用も視野に入れている
○主な使用機器
スマートカメラ、リング照明/NI製
ライン用ハンドリングユニットおよび監査用治具/コムベックス製