I2S、Clark Hummel氏
市販のプログラマブルオートメーションコントローラ (PAC) ハードウェアを使用してPLCアーキテクチャを刷新する。
NI CompactRIOプログラマブルオートメーションコントローラ (PAC) ハードウェアを使用して効率と確度を向上させ、鉄鋼圧延機の生産と品質を高める。
当社 (I2S: Intergrated Industrial Systems) では、長年にわたって圧延機の自動化と制御にプログラマブルロジックコントローラ (PLC) を利用しています。製鉄所の効率と品質を高めるため、金属の厚みをより正確に制御するガンマゲージシステムを導入しています。ガンマゲージシステムは長らくI2Sの定番製品として広く愛用され続けていますが、ハードウェアとソフトウェアともに機能の多くが現状にそぐわないものになってきました。圧延機の効率を最適化するため、高確度のアナログI/Oと、センサからの信号を正確な金属の厚みに変換する高度な処理機能を備えた、カスタムの測定デバイスを必要としていました。しかし、圧延機の自動化に用いているPLCでは、必要とされる高速なアナログI/Oや処理が行えませんでした。 NI CompactRIO PACハードウェアは、当社のアプリケーションにとって優れたカスタム測定/解析ソリューションとなることがわかりました。複数のCompactRIOシステムを既存のPLCハードウェアと簡単に連携させることができ、圧延機の品質と効率を速やかに向上させることができました。
CompactRIO PACは、過酷な環境で重要な目的に用いられる制御システムにおいて、PLCの信頼性と堅牢性をもたらし、当社が必要としていた高速アナログI/Oと信号処理機能を実現しました。NI LabVIEWのグラフィカルプログラミングツール、そしてLabVIEW FPGAとLabVIEW Real-Timeの組込関数ブロックを利用することで、CompactRIOでFPGAとリアルタイムプロセッサを迅速にプログラミングすることができました。CompactRIOのアナログ入力モジュールをガンマ線ベースの厚みセンサに接続することで、CompactRIOの内蔵フィールドプログラマブルゲートアレイ (FPGA) を使ってI/Oレートと同期をカスタマイズできます。CompactRIOのアナログI/OとデジタルI/Oモジュールをガンマ線ベースの厚みセンサに接続し、CompactRIOの内蔵FPGAを使ってI/Oレートと同期をカスタマイズできます。センサから受信したデータは、CompactRIOリアルタイムプロセッサで組込のNI LabVIEW Real-Time浮動小数点関数ブロックを使用して処理され、センサからのデータが正確な厚み測定値に変換されます。LabVIEW Real-Timeは、FPGAから受信したデータに対して高度な確定的対数処理を実行して厚み測定値を算出します (下の式1、式2を参照)。
式1: log I = log I0 γ/μ = (γ/μ) log I0
式2: μ = γ log I0 / log I = γ log (I0 – I)
CompactRIOシステムは、FPGAとリアルタイムプロセッサですべてのI/Oと信号の処理を行い、既存のPLC制御ループレートを低下させることなく、高確度な厚み測定値を接続先のPLCに送信します。高性能なCompactRIOのおかげで、制御レートの速度を落とすことなく、こうしたカスタムの測定/解析を当社のガンマ線ベースセンサに追加することができました。
圧延機にはそれぞれ、ネットワーク接続されたCompactRIOシステムが3つ設置されています。3つのCompactRIOシステムはいずれも、業界標準のModbus/TCP、TCP/IP、UDPプロトコルを使用して無数のコントローラと通信するインテリジェントノードです。2つのCompactRIOシステムはガンマ線ベースセンサに接続され、アナログ入力測定を行う他、正確な厚み測定値を計算するための高度な処理を実行します。3つ目のCompactRIOシステムは、他の2つのシステムから厚み測定値を受け取り、圧延機を制御しているPLCへアナログ出力測定値を送ります。3つのシステムはすべてイーサネットで接続され、UDPイーサネットメッセージングプロトコルを使用して厚み測定の計算値を伝送します。処理されたデータは、ネットワークに接続されたCompactRIOシステム間で、イーサネットを介して20ミリ秒以下の間隔で伝送されます。CompactRIOによる測定値の収録、処理、伝送はすべて高速で行われるため、制御ループの速度を落とすことなく、正確な厚み測定値をPLC制御ループに投入できます。10/100 Mbpsのイーサネットポートを備えたLANベースのCompactRIOシステムは、標準のTCP/IPプロトコルを介してネットワーク接続されたAllen Bradley製のPLCやヒューマンマシンインタフェース (HMI) システムに簡単に接続することができました。圧延機内の計測器はすべてイーサネットをベースとしているので、電気的ノイズの多い環境下でアナログ信号を長距離伝送する必要がありません。下の図1は本システムのブロック図を示したものです。
ガンマゲージとは、一定量の放射線を放つ線源 (本例ではアメリシウム) を用いたデバイスのことです。線源は「C」形状のフレームアセンブリの下部に保持されています。フレームの上部にはレシーバとプリアンプが搭載されています。線源とレシーバを隔てる隙間を金属片が通過すると、その厚みと密度に応じて放射線の一部が金属片に吸収されます。残った線量をレシーバで測定し、金属片の厚み測定値に換算します。
Clark Hummel
I2S
475 Main Street
Yalesville, CT 06492
米国
電話: (203) 265-5684
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