Digital Radio Mondialeトランスミッタ開発

「LabVIEW強力ツールです。使いやすいグラフィカルプログラミング言語利用することで、学習した理論実際ハードウェアスムーズ実装することできした。また、LabVIEW使用することで、コードデバッグ難なく進めることできした。グラフィカルプログラミング開発したコードが、事前作成したシステムブロックよくていからです。

- Sandeep K. Yadav、インド工科大学ジャスタン校

課題:

Digital Radio Mondiale (DRM/DRM+) 規格を使用した、高度なデジタル音声放送トランスミッタの開発。このトランスミッタは、複数の音声サービス、テキストストリーム、および画像を送信でき、AM放送で現在使用されている周波数帯で動作できる必要がある。また、エンコードされたソースコードデータを入力として受け入れる必要もある。さらに、6人月という非常に短い期間で、最終学年の学生グループによって開発しなければならない。

ソリューション:

NI LabVIEWやNI Modulationツールキットに組み込まれている多数の信号処理関数を使用して、DRM/DRM+用IPを短期間で開発した。併せて、NI PXIe-5673無線周波数 (RF) ベクトル信号発生器で信号を生成し、市販の他社製受信機を使用してこの信号のテストを行った。

投稿者:


Sandeep K. Yadav - インド工科大学ラジャスタン校
Anupam Mehta - インド工科大学ラジャスタン校
Amit Gaurav - インド工科大学ラジャスタン校
Shivansh Chaudhary - インド工科大学ラジャスタン校
Prateek Agarwal - インド工科大学ラジャスタン校
Ashish Katiyar - インド工科大学ラジャスタン校
Narendra Chaudhary - インド工科大学ラジャスタン校

 

 

Digital Radio Mondiale (DRM) はデジタル音声放送テクノロジ用に開発された標準規格であり、長波、中波、短波、帯域I、II (FM帯域)、III (30 MHz以上) を含む、すべての放送周波数向けに標準化されたデジタル放送システムです。このテクノロジは、AM放送に置き換わる技術として使用されます。DRMは、AMよりも低い電力利用率で、より多くの高品質なチャンネルを限られた帯域に収めることができます。DRMの開発は放送テクノロジに革新をもたらし、利用可能な限られた帯域幅を活用するための新しい可能性を切り開きました。こうした帯域幅の効率的な活用は、最新の圧縮技術やコンピュータによる低コストの処理によって可能になりました。DRMシステムは、174 MHz以下のあらゆる周波数で使用できるように設計されています (これらの帯域幅にはさまざまなチャネライゼーション制約や伝播条件があります)。DRMは、30 MHzでFMと同等の音質を提供できます。検討の対象として、高度なバージョンのDRM (DRM+) もあります。このDRMは、30 MHz~174 MHz間の極めて高い周波数で有効に動作します。

 

 

我々システム

我々は、LabVIEWを使用してDRMおよびDRM+用のトランスミッタを開発しました。このトランスミッタでは、音声、テキストストリーム、および画像の伝送だけでなく、異なるモードを使用した複数のサービスの伝送もできるようにします。こうした動作条件に対応するために、複数の伝送モードを利用することができます。伝送モードは2つの種類に分類されます。1つは信号帯域幅関連のパラメータに基づくもの、もう1つは伝送効率関連のパラメータに基づくものです。

 

DRMアーキテクチャは、動作概念を示したブロック図を読み解くと容易に理解できます。図1は、音声やデータなど、異なる情報のクラスに基づく一般的なフローを示しています。1つまたは複数の情報のクラス内で伝達できる異なるサービスは区別しません。

 

ソースエンコーダとプリコーダにより、入力ストリームを適切なデジタル伝送フォーマットに適合させることができます。音声ソースをエンコードする場合、この適合では音声圧縮も行われます。ソースエンコーダおよびデータストリームプリコーダの出力は、後に続くチャンネルエンコーダで異なるレベルの保護を必要とする、2つの要素で構成されている場合があります。すべてのサービスで、同じ2つのレベルの保護を使用する必要があります。伝送中に最適な品質を実現するには、さまざまなソースコーディングの技術を異なるビットレートで使用します。

 

マルチプレクサは、すべてのデータ/音声サービスの保護レベルを組み合わせます。DRM伝送スーパーフレームは、3つのチャンネルで構成されています。それらは、メインサービスチャンネル (MSC)、高速アクセスチャンネル (FAC)、サービス記述チャンネル (SDC) です。MSCには、サービスのデータが含まれています。FACは、チャンネル幅などのパラメータに関する情報を提供します。また、高速スキャンを可能にするサービス選択情報も提供します。SDCは、MSCを復号化する方法、同じデータの代替ソースを見つける方法、マルチプレクス内のサービス属性を見つける方法に関する情報を提供します。また、アナログの同時放送サービスへのリンクを含めることができます。

 

MSCには、1~4つのストリームが含まれます。各ストリームは、論理フレームに分割されます。各論理フレームは通常、2つの要素で構成され、それぞれが独自の保護レベルを持ちます。2つの要素の長さは、個別に割り当てられます。モードA、B、C、およびDの場合、論理フレームの長さはそれぞれ400 msです。ストリームが音声を伝達する場合、論理フレームは1つの音声スーパーフレームのデータを伝達します。すべてのストリームの論理フレームはまとめてマッピングされ、同じ長さ (400 ms) の複数の多重フレームを形成します。音声スーパーフレームは、ソースエンコーディングが論理フレームにマップされた後に形成され、1つの伝送フレームを形成するために多重化されます。3つの伝送フレームはさらに組み合わされ、長さ1.2秒の伝送スーパーフレームが形成されます。

 

FACは、マルチプレクスの復調に必要なチャンネルパラメータに関する情報と、高速スキャンのための基本サービス選択情報を提供するために使用されます。各伝送フレームには、FACブロックが含まれています。FACブロックには、チャンネルとサービスのパラメータについて記述するパラメータが含まれています。これらのパラメータは、8ビットの巡回冗長検査とともに1つのサービスを記述するためのものです。

 

 

エネルギー拡散により、ビット数の確定的な選択補完が提供され、伝送された信号内で体系的なパターンによる不要な規則性が生じる可能性が低減されます。チャンネルエンコーダによって、擬似エラーのない伝送を実現するための手段として、冗長な情報が追加され、符号化されたデジタル情報の直交振幅変調 (QAM) へのマッピングが定義されます。

 

セルのインタリーブは、時間と周波数で擬似ランダムに分離された一連のセルに、連続したQAMセルを分散させて、時間/周波数分散チャンネルで伝送を提供します。パイロットジェネレータは、受信機でチャンネル状態情報を取得する手段を提供し、信号のコヒーレント復調を可能にします。直交周波数分割多重 (OFDM) のセルマッパは、セルのさまざまなクラスを収集し、それらを時間/周波数グリッドに配置します。

 

OFDM方式の信号ジェネレータは、同じ時間インデックスを持つセルの各集合を信号の時間領域表現に変換します。次に、信号の一部分のサイクル反復としてガードインターバルを挿入することで、OFDMのシンボルがこの時間領域表現から取得されます。変調器では、OFDM信号のデジタル表現がそのままアナログ信号に変換されます。この操作には、デジタルとアナログ間の変換、およびスペクトル要件に準拠するフィルタ処理が含まれます。

 

 

LabVIEWPXI Express使用するメリット

DRM/DRM+規格をLabVIEWに実装した後で、NI PXIe-5673 RFベクトル信号発生器を使用してRF信号を生成することによってプログラムをテストし、WiNRADiO G313e DRM受信機でDRM信号を受信しました。NI PXIe-5673の場合、RF信号生成範囲が85 MHz~6.6 GHzであるため、25 MHzの信号が発生するように、デバイスの設定を変更する必要がありました。デバッグを終えた後は、1つのサービスと複数のサービスの音声ストリームをDRM受信機で聞くことができました。LabVIEWは強力なツールです。使いやすいグラフィカルプログラミング言語を利用することで、学習した理論を実際のハードウェアにスムーズに実装することができました。また、LabVIEWを使用することで、コードのデバッグも難なく進めることができました。グラフィカルプログラミングに基づいて開発したコードが、事前に作成したシステムのブロック図によく似ていたからです。DRM/DRM+トランスミッタプロジェクトでは、以下が行われました。

  • 6人月という短い期間内での開発
  • 市販の他社製受信機で動作を確認することにより、トランスミッタの設計を検証
  • 書き込みユーティリティのVIを作成して他社製受信機と通信

 

このプロジェクトは今後も継続され、FPGAボードにトランスミッタを実装して、トランスミッタシステムを構築できるようにする予定です。

 

投稿者​情報:

Sandeep K. Yadav
インド工科大学ラジャスタン校
Administrative Block NI Lab, IIT Rajasthan Old Residency Road, Near Ratanada Circle
Jodhpur 342011
India
電話: +912912516872
sy@iitj.ac.in

図1. DRM伝送の動作概念を示すブロック図
図2. コードのテスト手順を示す図
図3. DRMフロントパネル
図4. NI PXIe-5673
図5. WiNRADiO G313e DRM受信機