オシロスコープ​を​選ぶ​にあたって​考慮​すべ​き​10​の​条件

概要

今日​の​デジタル​ストレージ​オシロスコープ​は、​ドイツ​の​物理​学者​カール・​フェルディナント・​ブラウン​が​1897​年​に​発明​した​陰極線​オシロスコープ​と​は​大​きく​異​なり​ます。​技術​の​進歩​が​新しい​機能​を​生み​出し​続​け、​オシロスコープ​は​エンジニア​にとって​使い​や​すく​改良​さ​れ​て​き​ま​した。​そういった​オシロスコープ​の​変遷​において​最も​重要​な​改良​の​1​つ​は、​デジタル​領域​へ​の​移行​です。​これ​により、​デジタル​信号​処理​や​波形​解析​といった​強力​な​機能​が​実現​さ​れ​ま​した。​今日​の​デジタル​オシロスコープ​に​は、​高速​低​分解能​(通常​8​ビット)​ADC、​定義​済み​の​制御/​表示​機能、​一般​的​な​計測​に​使用​さ​れる​ソフトウェア​アルゴリズム​を​実行​する​内蔵​プロセッサ​が​備​わっ​てい​ます。

​オシロスコープ​は​PC​ベース​の​ため、​計測​機能​を​ソフトウェア​で​定義​できる​という​メリット​が​あり​ます。​その​結果、​オシロスコープを使用すれば、​一般​的​な​計測​だけ​で​なく、​カスタム​計測​を​実行​する​こと​が​でき、​さらには、​スペクトラム​アナ​ラ​イザ、​周波数​カウンタ、​超音波​計測​器​として​も​利用​する​こと​が​でき​ます。​オープン​アーキテクチャ​と​ソフトウェア​の​柔軟性​は、​オシロスコープ​に​従来​の​スタンドアロン​の​オシロスコープ​に​は​ない​複数​の​メリット​を​も​たら​し​てい​ます。​オシロスコープ​を​選ぶ​際​に​は、​計測​器​の​選定​に関する​多く​の​ポイント​を​考慮​し、​用途​に​合​っ​た​もの​を​選ぶ​必要​が​あり​ます。

​この​ホワイト​ペーパー​では、​新しい​オシロスコープ​を​検討​する​際​に​考慮​すべ​き​10​の​条件​を​解説​し​ます。

内容

帯域幅

帯域​幅​は、​入力​信号​が​最小​の​振幅​損失​で​アナログ​フロント​エンド​を​通過​できる​周波数​の​範囲​で、​プローブ​の​先端​または​テスト​装置​から​A/​D​変換​器​(ADC)​の​入力​まで​の​間​を​指し​ます。​帯域​幅​は、-3 dB​ポイント​として​知​られる、​正弦波​入力​信号​が​元​の​振幅​の​70.7%​に​減衰​する​周波数​が​仕様​と​さ​れ​てい​ます。

​一般​的​に、​信号​の​最も​高い​周波​成分​の​2​倍​以上​の​帯域​幅​で​オシロスコープ​を​使用​する​こと​が​推奨​さ​れ​ます。

​オシロスコープ​が​よく​使用​さ​れる​の​は、​デジタル​パルス​など​の​鋭角​な​信号​の​立ち上がり​時間​を​計測​する​場合​です。​こうした​信号​は​高周波​から​なり​ます。​信号​の​正しい​形状​を​集録​する​に​は、​高​帯域​オシロスコープ​が​必要​です。​例えば、​10 MHz​の​方形​波​は、​10 MHz​の​正弦波​と​無数​の​高調​波​から​なり​ます。​この​信号​の​正しい​形状​を​集録​する​に​は、​これらの​高調​波​を​複数​集録​できるだけ​の​帯域​幅​を​持つ​オシロスコープ​を​使用​する​必要​が​あり​ます。​使用​し​なか​っ​た​場合、​信号​が​歪み、​正しい​計測​結果​が​得​ら​れ​ま​せん。

 

 

NI PXI-5152​オシロスコープ​の​20 MHz​ノイズ​フィルタ​を​かけ​て​集録​した​5 MHz​方形波

 

NI PXI-5152​オシロスコープ​の​300 MHz​帯域​幅​で​集録​した​5 MHz​方形波

図​1.​高周波​成分​の​波形​を​集録​する​場合、​高​帯域​オシロスコープ​が​重要​な​役割​を​果たす

 


​大まか​ですが、​次​の​公式​を​使用​すると、​信号​の​立ち上がり​時間​(信号​の​振幅​が​10%​から​90%​に​変化​する​の​に​要する​時間​として​定義​する)​を​基​に​した​信号​の​帯域​幅​を​求める​こと​が​でき​ます。

 

立ち上がり​時間 = 0.35÷​帯域幅

図​2.​立ち上がり​時間​は、​信号​が​フル​スケール​値​の​10%​から​90%​に​なる​まで​に​かかる​時間​を​指し​ます。  立ち上がり​時間​と​帯域​幅​は​直接​関係​し​て​おり、​上記​の​公式​を​使用​し​て​一方​から​他方​を​計算​でき​ます。

 


​上記​の​公式​で​求め​られる​信号​の​帯域​幅​の​3​~​5​倍​の​帯域​幅​を​持つ​オシロスコープ​を​使用​する​の​が​理想​的​です。​言い換えれば、​オシロスコープ​の​立ち上がり​時間​が、​信号​の​立ち上がり​時間​の​1/5​~​1/3​で​ある​と、​信号​集録​時​の​エラー​が​最小限​に​抑え​られる​という​こと​です。​次の公式を使用すれば、​いつ​でも​バック​トラッキング​し​て​信号​の​正しい​帯域​幅​を​算定​でき​ます。



= 計測​した​立ち上がり​時間、 = 信号​の​実際​の​立ち上がり​時間、 = オシロスコープ​の​立ち上がり​時間

 

サンプル​レート

ここ​まで​は、​帯域​幅​の​説明​を​してき​ま​した。​帯域​幅​は​オシロスコープ​の​最も​重要​な​仕様​の​1​つ​です。​ただ、​高​帯域​幅​は、​サンプル​レート​が​不十分​な​場合、​それほど​有用​で​ある​と​は​言​え​ま​せん。


​帯域​幅​が​最小​の​減衰​で​デジタル​化​できる​最高​周波数​の​正弦波​で​ある​とすれば、​サンプル​レート​は​単純​に、​オシロスコープ​の​ADC​が​入力​信号​を​デジタル​化​する​際​の​記録​タイミング​の​レート​です。​サンプル​レート​と​帯域​幅​に​は​直接​関連​が​ない​ことに​ご​注意​くだ​さい。​ただ、​これら​2​つ​の​重要​な​仕様​に​望ましい​関連​性​を​持​たせる​経験​則​が​あり​ます。

 

オシロスコープ​の​リアルタイム​サンプル​レート = オシロスコープ​の​帯域​幅​の​3〜​4倍

 

ナイキスト​定理​では、​エイリアス​を​防ぐ​ため​に、​オシロスコープ​の​サンプル​レート​が、​計測​中​の​信号​の​最高​周波数​成分​の​2​倍​以上​の​速​さ​で​ある​必要​が​ある​と​定義​し​てい​ます。​しかし、​サンプリング​が​最高​周波数​成分​の​2​倍​の​速​さ​で​ある​という​だけ​では、​時間​領域​信号​を​正確​に​複製​する​こと​は​でき​ま​せん。​入力​信号​を​正確​に​デジタル​化​する​に​は、​オシロスコープ​の​リアルタイム​サンプル​レート​は​オシロスコープ​の​帯域​幅​の​3​~​4​倍​以上​で​ある​必要​が​あり​ます。​その​理由​を​理解​する​に​は、​下​の​図​に​ある​デジタル​化​さ​れ​た​信号​を​見​て、​どちら​が​オシロスコープ​で​見​たい​と​思う​か​考え​て​み​て​くだ​さい。

 

 

図​3.​右​の​図​が​表​し​て​いる​の​は、​信号​を​正確​に​複製​する​の​に​十分​高い​サンプル​レート​を​持​っ​た​デジタイザ​です。​これ​を​使用​すると、​より​正確​な​計測​結果​を​得る​こと​が​でき​ます。

 

フロント​エンド​アナログ​回路​を​通過​する​実際​の​信号​が​同じ​でも、​左​の​図​では、​サンプリング​数​が​少​なく、​デジタル​化​さ​れ​た​信号​が​歪​め​ら​れ​てい​ます。​一方、​右​の​図​では、​信号​を​正確​に​複製​する​の​に​十分​な​数​の​サンプリング​が​ある​ため、​より​正確​な​計測​結果​が​得​ら​れ​ます。​エラー​の​ない​信号​の​表示​は、​立ち上がり​時間、​オーバー​シュート、​その他​の​パルス​計測​など、​時間​領域​の​アプリケーション​では​重要​です。​したがって、​高い​サンプル​レート​を​持つ​オシロスコープ​は​メリット​と​なる​の​です。

 

 

サンプル​モード

主​な​サンプル​モード​は​2​種類​あり​ます。​リアルタイム​サンプリング​と​等価​時間​サンプリング​(ETS)​です。

リアルタイム​サンプル​レート​は​上記​でも​述​べた​ADC​の​クロック​レート​で、​シングル​ショット​で​集録​できる​入力​信号​の​最大​レート​を​指し​ます。​一方、​ETS​は、​1​つ​1​つ​を​シングル​ショット​モード​で​集録​した​トリガ​波形​の​連続​を​基​に​した​信号​の​複製​方法​です。​ETS​の​メリット​は、​より​高い​有効​サンプル​レート​を​得​られる​こと​です。​しかし、​デメリット​として、​より​時間​が​かかる​こと​と、​繰り返し​信号​の​場合​で​しか​適用​でき​ない​こと​が​挙​げ​ら​れ​ます。​注意​し​て​いただき​たい​の​は、​ETS​は​オシロスコープ​の​アナログ​帯域​幅​を​拡張​する​わけ​では​なく、​高い​サンプル​レート​で​信号​を​複製​する​必要​が​ある​場合​に​のみ​便利​で​ある​という​点​です。​ETS​を​実装​した​一般​的​な​もの​が​ランダム​インタリーブ​サンプリング​(RIS)​で、​下​の​表​に​記載​さ​れ​た​ナショナル​イン​ス​ツル​メンツ​の​オシロスコープ​の​ほとんど​で​採用​さ​れ​てい​ます。

 

分解能​と​ダイナミック​レンジ

上記​で​述​べた​とおり、​デジタル​オシロスコープ​は​ADC​を​備え​て​おり、​信号​を​アナログ​から​デジタル​へ​変換​し​ます。​ADC​から​返​さ​れる​ビット​数​が​オシロスコープ​の​分解能​です。​ある​入力​範囲​に対して、​信号​の​デジタル​表示​に​使用​さ​れる​離散​準​位​は、2bです。​b​は​分解能​を​表​し​ます。​この​入力​範囲​は2bステップ​に​分割​さ​れる​ため、​オシロスコープ​で​検出​できる​最も​小さい​電圧​は、​(入力​範囲/2b)​で​示​さ​れ​ます。​例えば、​8​ビット​オシロスコープ​が、​10 Vpp​の​入力​範囲​を​39 mV​の​準​位28 = 256​に​それぞれ​分割​する​ところ、​24​ビット​オシロスコープ​は、​同じ​10 Vpp​の​入力​範囲​を​596 nV​の​準​位224 = 16,777,216​に​分割​し​ます​(8​ビット​の​場合​より、​約​65,000​倍​小さい)。

高​分解能​の​オシロスコープ​を​使用​する​目的​の​1​つ​に​は、​小さい​信号​を​計測​する​こと​が​挙​げ​ら​れ​ます。​低​分解能​の​計測​器​を​使用​し​て、小さい​入力​範囲​で​信号​に​「ズーム​イン」​する​方法​で​小さい​信号​を​計測​し​て​はい​け​ない​の​か、という​質問​が​よく​あり​ます。 しかし、​信号​の​多く​は​大小​両方​の​信号​成分​を​含​んで​い​ます。​入力​範囲​が​大きい​と、​大きな​信号​は​計測​できる​かも​し​れ​ま​せん​が、​小さな​信号​は​大きな​信号​の​ノイズ​に​さら​さ​れ​ます。​一方、​入力​範囲​が​小さい​と、​大きな​信号​を​クリップ​する​ことに​なり、​正しい​計測​結果​は​得​ら​れ​ま​せん。​したがって、​ダイナミック​信号​(大小​の​電圧​成分​を​持つ​信号)​を​含む​アプリケーション​の​場合、​広範​な​ダイナミック​レンジ​を​持つ​高​分解能​の​計測​器​が​必要​となり​ます​(つまり、​大きな​信号​に​混​じ​って​小さい​信号​を​計測​できる​オシロスコープ​の​能力​が​必要​となり​ます)。

 

トリガ

通常、​オシロスコープ​を​使用​する​の​は、​一定​の​イベント​に​基​づ​い​て​信号​を​集録​する​場合​です。​この​計測​器​の​トリガ​機能​は、​この​イベント​を​分離​し​イベント​の​前後​の​信号​を​集録​し​ます。​ほとんど​の​オシロスコープ​に​は、​アナログ​エッジ​トリガ、​デジタル​トリガ、​および​ソフトウェア​トリガ​機能​が​備​わっ​てい​ます。​その他​の​トリガ​機能​に​は、​ウィンドウ、​ヒステリシス、​および​ビデオ​トリガ​機能​が​あり​ます。

ハイエンド​オシロスコープ​では、​トリガ​間​の​再​構成​時間​が​短い​ため、​複数​レコード​集録​モード​を​使用​でき​ます。​オシロスコープ​は​任意​の​トリガ​に対して​指定​した​回数​の​集録​を​行い、​す​ば​やく​再​構成​し、​次​の​トリガ​を​待機​し​ます。​再​構成​時間​が​短い​と、​オシロスコープ​が​イベント​または​トリガ​を​逃す​こと​が​ありま​せん。​複数​レコード​モード​は​必要​な​データ​のみ​を​集録​し、​保存​する​場合​に​非常​に​便利​です。​これ​により、​オン​ボード​メモリ​の​使用​状況​を​最適​化​し、​PC​バス​の​動作​を​制限​する​こと​が​でき​ます。

 

オン​ボード​メモリ

多く​の​場合、​データ​は​オシロスコープ​から​PC​に転送され、​計測​と​解析​が​行​われ​ます。​これらの​計測​器​は​数​GS/​秒​に​及ぶ​最大​レート​で​サンプリング​でき​ます​が、​PC​へ​の​データ​転送​レート​は、​PCI、​LAN、​GPIB​といった​接続​バス​の​帯域​幅​によって​制限​さ​れ​ます。​現在、​こうした​バス​で​数​GS/​秒​の​データ​転送​レート​を​維持​する​こと​は​でき​ま​せん​が、​PCI Express​および​PXI Express​が​進化​し​て​数​GB/​秒のデータレートに対応すれば、​それ​が​可能​に​なり​ます。

インタフェース​バス​が、​集録​時​の​サンプル​レート​で​の​連続​データ​転送​を​維持​する​こと​が​でき​ない​場合、​計測器のオンボードメモリを使用すれば、​最大​レート​で​信号​を​集録​し​て​から、​データ​を​PC​に​転送​し​て​処理​する​こと​が​可能​です。

 

大​容量​メモリ​は​集録​時間​だけ​で​なく、​周波数​領域​でも​メリット​が​あり​ます。​最も​一般​的​な​周波数​領域​計測​は、​高速​フーリエ​変換​(FFT)​で、​信号​の​周波数​成分​が​表​さ​れ​ます。​FFT​の​周波数​分解能​が​高い​と、​離散​周波数​が​より​簡単​に​検出​さ​れ​ます。

 

 

上記​の​公式​では、​周波数​分解能​を​向上​させる​の​に​2​つ​の​方法​が​あり​ます。​サンプル​レート​を​低減​する、​または​FFT​の​ポイント​数​を​増やす​という​方法​です。​サンプル​レート​の​低減​は、​周波数​スパン​を​も​低減​し​て​しまう​ため、​理想​的​な​ソリューション​と​は​いえ​ない​場合​が​あり​ます。​この​場合​の​唯一​の​解決​策​は、​FFT​の​ポイント​を​増やす​方法​で、​これ​に​は​大​容量​の​オン​ボード​メモリ​が​必要​に​なり​ます。


 
図​4.​オン​ボード​メモリ​を​増やす​と、​高い​サンプル​レート​で​長時間​サンプリング​し、​より​多く​の​ポイント​を​収録​でき​ます。  FFT​の​計算​時に、​より​多く​の​ポイント​を​使用​すると、​周波数​分解能​が​向上​し​ます。

 

チャンネル​密度

オシロスコープ​を​購入​する​際​に​重要​な​要素​と​なる​の​は、​計測​器​の​チャンネル​数、​または​同期​させる​複数​の​計測​器​によって​チャンネル​を​追加​できる​機能​です。​ほとんど​の​オシロスコープ​に​は、​2​~​4​個​の​チャンネル​が​あり、​全て​の​チャンネル​において​一定​の​サンプル​レート​で​同時に​集録​が​実行​さ​れ​ます。​全​チャンネル​を​使用​した​場合​に、​サンプル​レート​に​どの​よう​な​影響​が​ある​の​か​を​考慮​する​の​は​重要​です。​その​理由​は、​よく​使用​さ​れる​時間​インタリーブ​サンプリング​と​呼ばれる​技術​に​あり​ます。​これ​は、​複数​の​チャンネル​を​インタリーブ​し​て、​高い​サンプル​レート​を​実現​する​技術​です。​オシロスコープ​に​この​方式​が​採用​さ​れ​てい​て、​全て​の​チャンネル​を​使用​した​場合​でも、​最大​レート​で​の​集録​が​可能​と​は​限り​ま​せん。

​必要​と​なる​チャンネル​数​は、​アプリケーション​によって​決まり​ます。​従来​の​2​~​4​個​の​チャンネル​では、​アプリケーション​によって​十分​で​ない​場合​が​よく​あり​ます。​そういった​場合​の​選択肢​は​2​つ​あり​ます。​1​つ​は、​チャンネル​密度​の​高い​製品​を​使用​する​方法​です。​例えば、NI PXI-5105オシロスコープ​(8​チャンネル​(同時​サンプリング)、​12​ビット、​60 MS/​秒、​60 MHz)​など​です。​分解能、​速度、​帯域​幅​の​要件​を​満たす​計測​器​が​見​つ​から​ない​場合​は、​緊密​な​同期​によって​テスト​システム​が​拡張​でき​て、​トリガ​および​クロック​の​共有​が​可能​な​プラットフォーム​の​使用​を​検討​し​ます。​GPIB​または​LAN​を​使用​し​て​複数​の​箱​型​オシロスコープ​を​同期​させる​の​が、​高​遅延、​スループット​の​限界、​外部​ケーブル​の​利用​といった​理由​により、​実質​不可能​な​の​に対し、​PXI​は​優​れ​た​ソリューション​となり​ます。​PXI​は​業界​標準​で​あり、​PCI​や​PCI Express​といった​既存​の​高速​バス​に対して、​優​れ​た​同期​技術​を​も​たら​し​ます。

図​5.​同期​技術​を​使用​すると、​多​チャンネル​の​オシロスコープ​を​作成​でき​ます。  上の​画像​は、​最大​68​チャンネル​を​提供​する​システム​を​示し​てい​ます。  複数のシャーシを同期すれば、​チャンネル​数​を​さらに​増やす​こと​が​でき​ます。

 

複数​の​デバイス​の​同期​は、​多く​の​アプリケーション​で​重要​な​要件​となり​ます。​ソフトウェア​開発​時間​に​も​関​わ​って​くる​可能性​が​大いに​あり​ます。 しかし、​NI​オシロスコープ​は、SMC(Synchronization and Memory Core)アーキテクチャ​で​構築​さ​れ​て​おり、NI-​TClkを​利用​する​こと​が​できる​ため、​最も​短い​開発​時間​で​正確​な​同期​を​取る​こと​が​でき​ます。 NI-​TClk​の​API​を​使用​し​て、​複数​の​NI​オシロスコープ、​任意​波形​発生​器、​および​高速​デジタル​I/​O​デバイス​を​同期​させる​ため​の​プログラミング​を​行う​こと​が​でき​ます。 さらには、​こう​い​っ​た​同期​を​行う​ため​の​あらゆる​サンプル​プログラム​も​用意​さ​れ​て​いる​ため、​計測​を​迅速​かつ​簡単​に​開始​する​こと​が​でき​ます。 下記​に​示し​た​の​は、​LabVIEW​環境​で​プログラミング​した、​複数​の​PXI​オシロスコープ​における​同期​を​実行​する​の​に​必要​な​3​つ​の​機能​(niTClk​同一​トリガ​を​構成、​niTClk​同期、​niTClk​開始)​です。

  

複数​の​計測​器​の​同期

ほとんど​全て​の​自動​テスト​および​多く​の​ベンチ​トップ​アプリケーション​に​は、​オシロスコープ、​信号​発生​器、​デジタル​波形​アナ​ラ​イザ、​デジタル​波形​発生​器、​スイッチ​といった​よう​に​様々​な​計測​器​を​使用​し​ます。

PXI​および​NI​モジュール​式​計測​器​が​本来​備え​て​いる​タイミング/​同期​機能​では、​外部​ケーブル​なし​で​全て​の​タイプ​の​計測​器​を​同期​させる​こと​が​でき​ます。​例えば、​オシロスコープ(NI PXI-5122など)​と​任意​波形​発生​器(NI PXI-5421など)​を​統合​すると、​パラメータ​スイ​ー​プ​を​実行​でき、​テスト​対象​の​デバイス​の​周波数​および​位相​応答​の​特性​評価​を​する​場合​に​便利​です。​スイープ​全体​を​自動化​する​こと​が​できる​ため、​オフライン​解析​の​前​に​スコープ​および​発生​器​の​パラメータ​を​手動​で​設定​する​必要​が​ありま​せん。​PXI​の​モジュール​式​アプローチ​は、​桁違い​の​速度​の​向上​と、​煩わしい​作業​なし​で​結果​のみ​に​集中​できる​という​効果​を​も​たら​し​ます。

ミックス​ド​シグナル​機能

前述​の​よう​に、​この​T-​Clk​機能を使用すれば、​1​つ​の​PXI​シャー​シ​で​最大​136​個​の​チャンネル​を​同期​させる​システム​を​構築​でき​たり、​複数​の​シャー​シ​で​最大​5000​チャンネル​の​システム​を​構築​でき​たり​し​ます。​さらには、​異なる​タイプ​の​計測​器​を​同期​させる​こと​も​でき​ます。​例えば、​NI​オシロスコープ​は、​T-​Clk​機能​を​使用​し​て、​信号​発生​器、​デジタル​波形​発生​器、​および​デジタル​波形​アナ​ラ​イザ​と​同期​させる​こと​が​でき、​ミックス​ド​シグナル​システム​を​構築​でき​ます。

 

 
図​6.​上記​の​VI​は、​ミックス​ド​シグナル​オシロスコープ​(アナログ​および​デジタル​入力)​機能​用​に​構成​さ​れ​た​アプリケーション​を​示し​てい​ます。 デジタル​または​アナログ​出力​機能​を​アプリケーション​に​追加​し​て​も、​全て​の​計測​器​を​同期​でき​ます。


デジタル​機能​に​制限​の​ある​ミックス​ド​シグナル​オシロスコープ​で​妥協​する​の​では​なく、​モジュール​式​PXI​オシロスコープ​を​任意​波形​発生​器​および​デジタル​波形​発生​器/​アナ​ラ​イザ​と共に​使用​し​て、​完全なミックスドシグナルアプリケーションを構築すれば、​オシロスコープ​と​ロジック​アナ​ラ​イザ​の​両方​の​メリット​を​活用​でき​ます。

 

ソフトウェア、​解析​機能、​カスタマイズ性

ソフトウェア​および​解析​機能​の​選択​は、​モジュール​式​オシロスコープ​と​スタンドアロン​の​オシロスコープ​の​どちら​を​アプリケーション​に​使用​する​か​を​決定​する​場合​に​鍵​となり​ます。

​スタンドアロン​の​オシロスコープ​は​ベンダ​定義​ですが、​モジュール​式​オシロスコープ​は​ユーザ​定義​の​ため、​柔軟性​が​あり、​アプリケーション​の​幅​が​広がり​ます。​箱​型​オシロスコープ​が​提供​する​標準​機能​の​多く​は、​大半​の​エンジニア​に​共通​する​ニーズ​に​対応​し​てい​ます。​ご​想像​の​とおり、​こうした​標準​機能​では、​全て​の​アプリケーション​の​問題、​特に​自動​テスト​アプリケーション​の​問題​に​は、​対応​しき​れ​ま​せん。​オシロスコープ​による​計測​を​定義​する​必要​が​ある​場合、​モジュール​式​オシロスコープ​を​選択​すると、​スタンドアロン​の​オシロスコープ​の​固定​機能​と​違​って、​PC​の​アーキテクチャ​を​活用​し​ながら、​ニーズ​を​満たす​よう​に​アプリケーション​を​カスタマイズ​でき​ます。

​ナショナル​イン​ス​ツル​メンツ​の​オシロスコープ​全​製品​は、​無料​の​NI-​SCOPE​ドライ​バ​ソフトウェア​を​使用​し​て​プログラミング​し​ます。​この​ドライバ​に​は、​NI​オシロスコープ​の​フル​機能​を​活かす​サンプル​プログラム​が​50​以上​含​まれ​て​おり、​付属​の​NI-​SCOPE​ソフト​フロント​パネル​は、​オシロスコープ​に​似​た、​使い​やすい​インタフェース​を​持​って​い​ます。​また、​NI LabVIEW、​LabWindows/​CVI、​Visual Basic、.NET​など​の​プログラミング​言語​を​使用​した​プログラミング​により、​1​つ​の​ハードウェア​で​一般​的​な​計測​と​カスタム​計測​の​両方​を​実現​する​こと​が​でき、​アプリケーション​の​幅​を​広げる​こと​が​でき​ます。​この​ドライバ​により、​Express​関数​を​NI LabVIEW​で​利用​する​こと​も​でき​ます。

 

図​7.NI​オシロスコープ​を​NI LabVIEW Jitter Analysis(ジッタ​解析)​ツール​キット​と​組み合わせ​て、​NI LabVIEW​内​で​信号​整合性​を​計測​でき​ます

 

  

オシロスコープ​と​デジタイザ​の​違い

インライン​FPGA​処理​を​行う​場合​など、​カスタマイズ​性​が​必要​な​場合​は、​オシロスコープ​より​も​デジタイザ​の​方​が​アプリケーション​に​適​し​て​いる​場合​が​あり​ます。​例えば、FlexRIO​デジタイザは​高性能​の​ADC​を​備え​てい​ながら、​より​多く​の​カスタマイズ​が​可能​です。​オシロスコープ​は、​柔軟​な​フロント​エンド​と​選択​可能​な​入力​範囲​や​設定​を​備え​た​汎用​テスト​機器​として​使用​さ​れ​ます​が、​デジタイザ​は​通常、​科学​計測​器​や​医療​計測​器​の​設計​や​試作​など​の​特定​用途​用​の​ソリューション​として​使用​さ​れ​ます。

モジュール​式​オシロスコープ​と​は​異​なり、​FlexRIO​デジタイザ​は、​固定​式​の​アナログ​フロント​エンド​を​備え​て​おり、​購入​し​て​すぐ​に​使用​できる​ソフトウェア​機能​は​わずか​しか​ありま​せん。​また、​NIST​認定​製品​と​異​なり、​標準/​計測​仕様​が​あり​ます。​一方で、​FlexRIO​デジタイザ​では、​通常、​複数​の​集録​速度​を​使用​できる​ほか、​FPGA​を​使用​し​て​多く​の​カスタマイズ​や​インライン​信号​処理​を​行う​こと​が​でき​ます。

次​の​ステップへ

モジュール​式​オシロスコープ​と​スタンドアロン​の​オシロスコープ​は​どちら​も​電圧​を​集録​する​ため​に​使用​さ​れ​ます​が、​それぞれ​の​メリット​は​異​なり​ます。 ただし、​どの​製品​を​購入​する​場合​でも、​本稿​で​取り上げ​た​項目​について​検討​する​こと​が​重要​です。  アプリケーション​の​要件、​コスト​に関する​制約、​性能、​将来​の​拡張​性​を​事前​に​検討​し​て​おく​こと​により、​全て​の​ニーズ​に​最も​適​した​計測​器​を​選定​する​こと​が​可能​に​なり​ます。