Promethean Power社: NI共同インドにおけるミルク廃棄削減

「当社画期的牛乳冷却システムは、インド農村における牛乳腐敗問題軽減ます。このプロジェクトは、Planet NIプログラムば、実現なかしょう。このプログラムを通じて、NIは、社会かつ環境大きな影響持つプロジェクト支援する機会見出しした。また、NIは、当社NI製品使用できるよう協力てくした。」

- Sorin Grama、Promethean Power Systems社 (米国)

課題:

インドの乳製品製造加工業者は、国内のあちこちの村に散在する数百万軒の酪農農家から、遠く離れた都市部にある中央加工施設に牛乳を運搬するにあたって、日々頭を悩ませている。加工業者は、1日2回温かい生乳を収集しているが、運搬コストは高く、しばしば腐敗の問題が生じている。

ソリューション:

Promethean Power Systems社は、Planet NIプログラムの支援を受けて、熱電池式冷却システムを構築した。このシステムを導入することで、搾乳が行われる村にて生乳の冷却を可能にし、牛乳の運搬と冷却の両方のコスト削減を実現する。

インドでは、毎年、約100億ドルに相当する生鮮食品が腐敗によって損なわれています。コールドチェーンの発達の遅れと、農村地域の電力源が整備されていないことが原因です。インドの農村地帯の酪農業は、特に腐敗による損害を受けやすい状況にあります。インドの農村地帯に散在する小規模農場で約80パーセントの家畜が飼育されているためです。こうした状況から、品質を満たす集乳にはコストと時間がかかります。酪農農家は、暑季になると、生産量の30パーセントを腐敗で失う場合があります。

 

 

これまで、牛乳が酪農工場に到着する前に腐敗しないように、農家は専用のバルクミルクチラー (BMC: Bulk Milk Chiller) を使用して、牛乳を冷却していました。しかしながら、インドの農村地帯には送電網が整備されておらず、冷蔵庫はディーゼル発電機を使って電力供給するしかありません。これは、資本コストと運用コストを増加させる望ましくない解決策です。Promethean Power Systems社の創設者であるSorin Grama氏とSam White氏は、このような課題を認識し、遠隔地の農村により適した牛乳冷却システムの開発に乗り出しました。

 

 

ラピッドミルク開発

Grama氏は、農村における集乳センターとして、ラピッドミルクチラー (RMC: Rapid Milk Chiller) を設計しました。牛乳は、集荷され、酪農工場あるいは中央集乳センターに運ばれるまでの間、ここで冷却しておくことができます。しかし、牛乳冷却システムは障害などによる中断を許されないため、365日24時間体制で稼動している必要があります。そこで、十分な整備がなされていないグリッドインフラストラクチャに熱電池を補完することで、長時間の電力供給停止中でも稼動する優れたシステムに仕上げました (図1参照)。

 

このシステム設計の鍵となる要素は、システム全体の動作を管理する制御システムでした。制御する冷却コンプレッサは、電力を冷却力に変換し、エネルギーを熱エネルギーとして保存する、いわば専用氷タンクです。この氷は後に、配電網が使えない可能性がある朝夕の集乳時に牛乳を冷却するために使用します。制御システムは、全ての温度の監視と制御、食品の安全性検証のためのデータ記録を行い、緊急事態がないかどうかを中央施設とSMSを使って連絡を取り合います。Grama氏は、これらのタスクを実行する組み込み制御システムを設計する必要があることを認識していました。さらに、農業従事者が使いやすいシンプルな操作インタフェースにする必要があることも認識していました。考慮の結果、これらの要件を満たすNI Single-Board RIOプラットフォームとLabVIEW Real-Timeモジュールをシステムの中心部に使用しました。


ラピッドミルクメリット

RMCは、冷熱エネルギーを熱電池の形で保存するため、1回の集乳で最大500リットルの冷却処理が可能です。これにより、停電が発生しても牛乳を冷却保存することができます。RMCはこの熱電池を使用して、生乳を瞬時に4℃に冷却できるため、バクテリアの繁殖を防ぎ、牛乳の品質を大幅に向上することができます。また、このシステムがあることで、コストのかかる中央冷却センターを牛乳の運搬経路から外すことができ、サプライチェーンに柔軟性が増します。結果、運搬コストを最大40パーセント削減することが可能です。さらに、ディーゼル発電機が不要になり、運用コストを50パーセント削減できます。今後3~5年の間に、1,000台のミルクチラーが導入される可能性があります。各RMCシステムは、30~40軒以上の農家に影響を及ぼすと予想されます。これはすなわち、インド国内の約30,000軒の酪農家と約100万人の牛乳消費者に直接の影響が及ぶ可能性があることを意味します。これにより、大量の牛乳の腐敗を防ぎ、高品質の牛乳の流通を実現できるでしょう。

 

Planet NIプログラム共同作業によるメリット

Promethean Power Systems社の創設者がPlanet NIプログラムとの共同作業を希望したのは、このプログラムの目標がイノベーションを育み、社会に貢献する技術を開発する企業を支援することだと知ったためです。Planet NIは、Promethean Power Systems社がRMCを設計・試作・実装するために必要なハードウェアおよびソフトウェアを提供しました。このプロジェクトによって、現在ではインドの村レベルの集乳センターにて、毎日収集する数百リットルの牛乳を保存できるようになりました。RMCができる前、乳製品製造加工業者は、牛乳を中央冷却センターへ急いで運搬する必要があり、センターへの到着の遅れによる牛乳の腐敗が頻繁に起こっていました。集乳を行った場所で牛乳を冷却することで、高品質でより健康的な牛乳を提供できるようになります。こうした牛乳は、チーズや粉ミルクといった、より高価な製品に使用できます。つまり、酪農農家の収益を高めることで、農村の経済にもプラスの影響を与えることになります。


会社概要

Promethean Power Systems社は、発展途上国において、配電網がなく、部分的にしか電気が通っていない地域で使用する、商用冷却保存アプリケーションの農業用冷却システムを設計・製造する企業です。当社の技術によって、食品業者は高価なディーゼル発電機を使用せず、牛乳、果物、野菜などの生鮮食品を安全に保存できるようになります。

 

著者​情報:

Sorin Grama
Promethean Power Systems社 (米国)

    

図1: Grama氏はNI Single-Board RIOプラットフォームとLabVIEW Real-Timeモジュールをシステムの中心部に使用しました。
青い屋根の建物内にある冷却システムに電力を供給する太陽光発電アレイ。
今後3~5年の間に、1,000台のミルクチラーが導入される可能性がある。各システムは30~40軒の農家に影響を及ぼすため、この革新技術はインド国内の約30,000軒の酪農家に直接の影響を与える可能性がある。
インドの農業従事者。集乳センターにおいて、牛乳を注ぎ、生計を立てる。