NI PXIプラットフォームNI LabVIEWソフトウェア使用ECUテストHIL高速シミュレーション開発し、データ収集システム構築

Thomas J.Mangliers, DGE Inc.

「データ収集システムログファイルツール開発使用したLabVIEWだけです。このシステム速度確度は、すべてNI製品ってます。」

- Thomas J.Mangliers, DGE Inc.

課題:

エンジン制御ユニット (ECU) をテストするために、複数の信号を生成および監視できるHIL (Hardware-In-the-Loop) シミュレータを開発する。このHILシミュレータの収集レートは非常に高速で、許容範囲もごく小さいものにする。また、カムとクランクの波形を高精度のタイミングで生成する機能に加えて、スパーク、インジェクタ、その他のタイミング信号を監視する機能も備える必要がある。

ソリューション:

NIが提供するPXIプラットフォームとグラフィカルプログラミングソフトウェアのLabVIEWを使って、高速データ収集システム (DAS) を開発する。このシステムは、複雑な信号を監視および生成することで、走行中のエンジンと車両の環境を高確度でシミュレートし、ECUテストを所期の通り実行する。

このデータ収集システム (DAS) は、車両環境をシミュレートし、ECUをテストすることが主な目的です。テストは、実際の車両やエンジンを使用することが非現実的であるか、実施不可能である実験室条件の下で実行します。それには、カムやクランクのようにナノ秒単位の分解能を必要とする複雑なタイミングの信号を生成し、監視する必要があります。

 

一般のECUモジュールであっても、そのI/Oレイアウトは複雑です。DGE社では、ECU信号を1枚のExcelワークシート上に定義します。このシートを参照して、既存の信号に生ずる変化をすべて識別するのです。​ユーザはこのワークシートに信号の名称、許容範囲、および単位を記載するほか、DAS用の多段​数学関数によって求めた信号変換とスケールを記述します。通常の信号であれば、システムソフトウェアを変更せずに簡単に追加したり削除したりできます。

 

ところが、ECU信号の許容範囲が小さいため、当社のDASは工場生産されたモジュール間に存在するわずかな差異と、各テストのセットアップで生ずる変化に問題なく適応する必要があります。この要求に応えるため、DASは一定期間ECUから出力される信号すべてのデータを記録してそれをベースラインとします。それに基づき、各時点におけるECU出力に合わせてユーザは許容範囲をダイナミックに調整します。このベースライン情報のおかげで、テスト中にユーザはごくわずかに逸脱した信号を検出できるようになりました。

 

テストシステムは高いレートで信号を監視します。そのため、読み取り値をすべて記録すると大量のデータが発生します。このデータを管理するため、DASからレポートを生成します。このレポートにはベースラインとして記録された読み取り公称値と、ユーザ定義の許容範囲から逸脱した読み取り値が表示されます。この結果、DASはより多くの時間をECUの監視と異常の検出に割くことができるようになりました。ユーザは、私達のLabVIEWログファイルツールを利用して、テストごとに記録したモジュールのパフォーマンス情報を即座に詳細なレポートとして生成できます。

 

テスト手順の中でDASは、EMCテスト、ベンチトップHILシミュレータ、機能テスタにおいて、またはイーサネット環境で既存テスト制御ソフトウェアとのシンプルな統合化において、マスタあるいはスレーブとして機能します。

 

この高速DASは、以下の機能を備えています。

  • 192本のデジタルI/Oライン
  • 16本のアナログI/Oライン
  • 任意波形発生器
  • 2つのCANポート
  • 測定基準値を簡単に定義しておけるExcelスプレッドシート。これに信号タイプ、パラメータ、許容範囲、その他の情報を記載
  • イーサネット経由でリモートから操作できるコマンドインタフェースによるテストオートメーション
  • 自動化モジュールのあらゆる信号に対してベースラインを設定することで、システムの異常をより高確度で検出
  • データログファイルの作成
  • LabVIEWで開発したログファイルツールを使って、データレポート、サマリー、Excelのグラフを生成
  • タイミング信号の表示

 

NI PXIプラットフォームによる高速データ収集

当社システムの中核を成すのはNI製品です。複雑な信号の生成、高速データ収集、車両バスのシミュレーションと監視など、データ収集システム (DAS) で使用しているI/OはすべてNI製です。そのDASとログファイルツールの開発で私達が使用したのはLabVIEWだけです。このシステムの速度と確度は、すべてNI製品に拠っています。ECU信号には精度​の高いタイミングが求められるため、当社標準のキャプチャカードはこのアプリケーションで使用できませんでした。その代わりに、NI RシリーズインテリジェントDAQのFPGAモジュールを使用して、複雑なタイミングの波形とシミュレートされたセンサ出力を作成しました。また、NI PXI​ RシリーズインテリジェントDAQモジュールによって、ECUの出力信号を高い収集レートで捕捉し、これに適切なタイミングを施すことができました。

 

DASのデータ処理は、私達が直面したもう1つの課題です。当社のソリューションは、並列処理機能を持つLabVIEWでログファイルツールを開発してマルチコアアプリケーションを作成し、これにホストコンピュータのパワーをすべて注ぎ込んでデータを処理するというものです。

 

NIプラットフォーム利点

車両全体を格納する特別な実験室を用意する必要がなく、通常のラボ環境でテストできるツールが揃っているため、DASにかかる顧客のコストを大幅に削減できました。当社のDASは、あらゆるECU信号を監視および制御できます。したがって、テストは単一のパスで完了し、複数のパスで実行する必要はありません。顧客から提供されていた旧来のデータ収集システムでは、利用可能なチャンネル数が限られていたため、複数のパスが必要でした。現在では、顧客がテストプロファイルを完成するまで3週間しか要しません。旧来のデータ収集システムでは3か月かかりました。

 

作成情報:

Thomas J.Mangliers
DGE Inc.