加速度​計​を​使​っ​た​振動​計測

概要

この​ホワイト​ペーパー​では、​基本​的​な​振動​の​概念、​加速度​計​の​仕組み、​異なる​センサ​の​仕様​が​加速度​計​性能​に​与える​影響​について​解説​し​ます。 ​


​ ​加速度​計​計測​の​正しい​調節、​収集、​視覚​化​を​行う​に​は、​センサ​の​特性​に​加​えて、​必要​な​ハードウェア​および​ソフトウェア​を​検討​する​必要​が​あり​ます。​例えば、​未処理​の​振動​信号​に​は、​信号​処理​を​施​し​て、​周波数​スペクトル​など、​より​有用​な​形式​で​データ​を​表示​する​必要​が​あり​ます。​加速度​計​計測​に​必要​な​計測​ハードウェア​および​ソフトウェア​処理​の​詳細​は、​「高​確度​の​センサ​計測​を​実現​する​ため​の​テクニカル​ガイド」​を​ダウンロード​し​て​お​読み​くだ​さい。

目次

  1. 振動​とは
  2. 振動​の​計測​方法
  3. 加速度​計​の​仕組み
  4. 最適​な​加速度​計​の​選び方
  5. 加速度​計​の​信号​調節
  6. 参考文献

振動​とは

振動​と​は、​機械​や​部品​の​均衡​位置​の​周囲​における​運動、​あるいは​機械​的​な​揺れ​の​こと​を​指し​ます。​振動​に​は、​振り子​の​動き​など​の​よう​に​周期​的​な​もの​と、​砂利​道​を​走る​車​の​タイヤ​の​動き​など​の​よう​に​ランダム​な​もの​が​あり​ます。​振動​は、​メートル法​(m/s2)、​または​重力​定数​「g」​(1 g = 9.81 m/s2)​で​表す​こと​が​でき​ます。​物体​の​振動​に​は、​自由​振動​と​強制​振動​の​2​種類​が​あり​ます。

自由​振動​は、​物体​または​構造​物​が​動​かさ​れ​たり、​衝撃​を​与​え​ら​れ​たり​した​後、​自然​に​揺れる​こと​が​できる​場合​に​起​こ​り​ます。​例えば、​音叉​を​叩​い​た​とき、​音​が​鳴り、​最終​的​に​止​み​ます。​固有​振動​数​と​は、​構造​物​が​衝撃​を​受け​たり、​動​かさ​れ​たり​した​後に​揺れる​必要​の​ある​周波数​の​こと​を​指し​ます。​共振​(共鳴)​と​は、​系​が​ある​特定​の​周波数​において、​他​より​激​しく​揺れる​傾向​を​指し​ます。​物体​の​固有​振動​数、​あるいは​それに​近い​振動​数​における​強制​振動​は、​構造​物​内​の​エネルギー​を​高め​ます。​時間​が​経つ​につれ、​加​え​られる​強制​振動​が​非常​に​小​さく​て​も、​振動​は​大変​大​きく​なり​得​ます。​構造​物​の​固有​振動​数​が​標準​的​な​環境​振動​に​一致​する​場合、​構造​物​は​より​激​しく​振動​し、​早々​に​崩壊​し​ます。



図​1. 環境​振動​と​同じ​固有​振動​数​を​持つ​構造​物​は​崩壊​する​場合​が​ある。


強制​振動​と​は、​変容​を​促す​力​が​加​え​ら​れ​た​こと​で​構造​物​が​揺れ​て​起こる​もの​です。​回転​した​り、​往来​する​動き​は、​物体​に​強制​的​に​固有​周波数​では​ない​振動​を​起こす​こと​が​でき​ます。​その​例​が、​洗濯​機内​に​生じる​不均衡​です。​洗濯​機​は​洗濯​槽​の​回転​に​等しい​周波数​で​振動​し​てい​ます。​状態​監視​において、​振動​計測​は、​圧縮​機、​タービン、​ポンプ​など​の​回転​機械​の​状態​を​示す​もの​として​使用​さ​れ​ます。​これらの​機械​に​は​様々​な​部品​が​組み​合​わ​さ​って​おり、​各​部品​が​独自​の​振動​パターン​や​特徴​によって​機械​を​成立​さ​せ​てい​ます。​時間​の​経過​とともに​変化​する​振動​特徴​を​見​て、​機械​の​故障​時期​を​予測​し、​適切​に​保守​を​スケジューリング​し​て、​安全​性​の​向上​と​コスト​の​削減​を​実現​でき​ます。

 

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振動​の​計測​方法

振動​は​通常、​圧​電​セラミックス​セン​サ​や​加速度​計​を​使​って​計測​さ​れ​ます。加速度計は、​物理​デバイス​の​動的​加速度​を​電圧​として​計測​する​センサ​です。​加速度​計​は​通常、​ローリング​ベアリング、​ギア​ボックス、​ス​ピ​ニ​ン​グ​ブ​レ​ード​など​の​高周波​素子​に​直接​取り付け​られる、​接触​トランスデューサ​です。​これらの​多​用途​センサ​は、​衝撃​計測​(爆発/​障害​テスト)​や、​より​低速​な​低​周波数​振動​計測​に​も​使用​さ​れ​ます。​加速度​計​の​メリット​は、​幅広い​周波数​範囲、​大規模​な​ダイナミック​レンジ​と​全体​における​線形​性​です。

図​1. 加速度​計​と​は​高/​低​周波数​振動​および​衝撃​計測​に​使用​さ​れる​多​用途​センサ​で​ある。

 

振動​を​計測​できる​もう​一つ​の​センサ​と​は​近接​プローブ​です。​加速度​計測​から​振動​を​判断​する​加速度​計​と​は​異​なり、​近接​プローブ​と​は、​ターゲット​まで​の​距離​を​計測​する​非​接触​トランスデューサ​です。​これらの​センサ​は、​ほぼ回転機械のみで使用され、​シャフト​の​振動​を​計測​し​ます。​一般​的​な​アプリケーション​の​例​は、​ターボ​機械​など​の​メカニカル​システム​の​機械​監視​と​保護​計測​です。​柔軟​な​流体​膜​ベアリング​と​重厚​な​筐​体​が​原因​で、​振動​が​外​箱​へ​伝​わり​にくい​ため、​加速度​計​では​なく、​近接​プローブ​を​使​って​シャフト​の​動き​を​直接​計測​し​ます。

 

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加速度​計​の​仕組み

特定​の​水晶​圧​電​素子​に​圧力​が​かかる​と、​電圧​が​生​じ​ます。​これは圧電効果と呼ばれ、​大半​の​加速度​計​に​利用​さ​れ​てい​ます。​テスト​構造​の​加速度​は、​比例​した​力​を​圧​電​性​結晶​上​に​生成​する​サイズモ​質量​に​伝達​さ​れ​ます。​結晶​へ​の​外​的​応力​によって、​適用​さ​れ​た​力、​つまり​加速度​に​比例​した​は​高​インピーダンス​の​電荷​が​発生​し​ます。

図​3. 圧​電​性​結晶​の​振動​の​力​に​比例​する​IEPE​加速度​計​の​出力​電圧​信号

 

圧​電​性​または​電荷​モード​の​加速度​計​は、​生成​した​電荷​を​増幅​した​り、​計測​デバイス​に​対応​させる​ため​に​出力​インピーダンス​を​低​く​した​り、​外部​ノイズ​ソース​および​クロス​トーク​の​影響​を​最低限​に​抑える​ため​に、​外部​アンプ​や​インライン​チャージ​コンバータ​を​必要​と​し​ます。​その他​の​加速度​計​は、​電荷​感度​の​高い​アンプ​を​内蔵​し​てい​ます​この​アンプ​は​定​電流​ソース​を​受け入れ、​圧​電​性​結晶​の​電荷​の​変動​に​応​じ​て​インピーダンス​を​調整​し​ます。​これらの​センサ​は、​IEPE(Integrated Electronic Piezoelectric)​センサと呼びます。​こうした​タイプ​の​加速度​計​用​計測​ハードウェア​は、​アンプ​用​に​電流​励起​機能​を​内蔵​し​てい​ます。​この​インピーダンス​の​変化​は、​加速度​計​の​入力​全体​で​電圧​の​変化​として​計測​さ​れ​ます。

加速度​計​計測​に関する​これらの​機能、​また​その他​の​ハードウェア​に関する​考慮​点​の​詳細​について​は、「高​確度​の​センサ​計測​を​実現​する​ため​の​テクニカル​ガイド」​を​ダウンロード​し​て​くだ​さい。

 

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最適​な​加速度​計​の​選び方

加速度​計​は​多​用途​の​ため、​様々​な​種類​の​設計、​サイズ、​範囲​から​選択​する​こと​が​でき​ます。​計測​しよう​と​する​信号​の​特性​と​環境​的​制約​を​把握​する​こと​で、​加速度​計​の​様々​な​電気​的/​物理​的​仕様​を​見分け​て、​最適​な​加速度​計​を​選ぶ​こと​が​でき​ます。

 

振動​振幅

計測​し​て​いる​振動​の​最大​振幅​または​範囲​によって、​使用​できる​センサ​の​範囲​が​決まり​ます。​センサ​の​範囲​外​の​振動​を​計測​しよう​と​する​場合、​応答が正しく伝わらなかったり、​クリップ​さ​れ​たり​し​ます。​通常、​高い​振動​レベル​の​監視​に​使用​さ​れる​加速度​計​は、​感度​と​質量​が​低​く​なり​ます。

 

感度

感度​は、​加速度​計​にとって​最も​重要​な​パラメータ​の​ひとつ​です。​感度​は、​160 Hz​など、​基準​周波数​における​振動​と​電圧​間​の​変換​を​表​し​ます。​感度​は、​mV/​g​で​表​さ​れ​ます。​通常​の​加速度​計​の​感度​が​100 mV/​g​で、​10 G​の​信号​を​計測​した​場合、​1000 mV​または​1 V​の​出力​が​予測​さ​れ​ます。​精密​な​感度​は​キ​ャ​リ​ブ​レ​ー​ション​によって​決まり、​通常、​その​センサ​とともに​出荷​さ​れる​校正​証明書​に​記載​さ​れ​てい​ます。​感度​は​周波数​に​も​依存​し​ます。​感度​が​周波数​によって​どの​よう​に​変化​する​の​か​を​知る​に​は、​有効​な​周波数​範囲​全体​に対して​キ​ャ​リ​ブ​レ​ー​ション​を​実行​する​必要​が​あり​ます。​図​4​は、​加速度​計​の​通常​の​周波数​応答​の​特性​を​表​し​てい​ます。​一般​的​に​は、​高​振幅​信号​の​計測​に​は​感度​の​低い​加速度​計​を​使用​し、​低​振幅​信号​の​計測​に​は、​感度​の​高い​加速度​計​を​使用​し​ます。

図​4. 加速度​計​の​有効​な​周波数​範囲​は​広​く、​感度​は​比較的​一律​で​ある。

 

軸数

加速度​計​の​軸​は​2​種類​から​選ぶ​こと​が​でき​ます。​最も​一般​的​な​加速度​計​は、​単​軸​のみ​に​沿​って​加速度​を​計測​し​ます。​この​タイプ​が​よく​使用​さ​れる​の​は、​機械​的​振動​レベル​を​計測​する​場合​です。​2​つ​目​の​タイプ​は、3​軸​加速度計です。​この​加速度​計​は​加速度​の​3D​ベクトル​を​直交​成分​の​形​で​作成​する​こと​が​でき​ます。​この​タイプ​の​加速度​計​を​使用​する​必要​が​ある​の​は、​平​振動、​横​振動、​回転​振動​といった​振動​の​タイプ​を​確認​する​必要​が​ある​場合​です。

 

重量

加速度​計​は、​監視​対象​の​構造​物​より​大幅​に​軽量​で​ある​必要​が​あり​ます。​構造​物​に​質量​を​加わる​と、​構造​物​の​振動​特性​が​変わる​可能性​が​あり、​不正確​な​データ/​解析​に​つながる​可能性​が​あり​ます。​加速度​計​の​重量​は、​一般​的​に、​テスト​構造​物​の​重量​の​10​パーセント​より​大​きく​な​って​はい​け​ま​せん。

 

取り付け​オプション

振動​計測​システム​に関して​考慮​すべ​き​点​として、​加速度​計​を​ターゲット​の​表面​に​どの​よう​に​取り付ける​か​という​こと​も​挙​げ​ら​れ​ます。​4​種類​の​取り付け​方法​から​選択​する​こと​が​でき​ます。

  • ハンド​ヘル​ド​または​プローブチップ
  • 磁石
  • 接着剤
  • スタッドマウント

スタッドマウント​は​最も​優​れ​た​取り付け​技術​ですが、​ターゲット​素材​に​穴​を​開ける​必要​が​あり、​一般​的​に​は​常設​の​センサ​装置​向け​です。​その他​の​方法​は、​一時​的​な​取り付け​用​です。​取り付け​方法​は​様々​ですが、​これ​は​全て、​加速度​計​の​計測​可能​な​周波数​に​影響​し​ます。​一般​的​に​言​え​ば、​取り付け​方​が​緩い​ほど、​計測​可能​な​周波数​限界​が​低​く​なり​ます。​接着​剤​や​磁石​の​取り付け​ベース​といった​質量​を​加速度​計​に​追加​すると、​共振​周波数​が​低​く​なり、​加速度​計​の​有効​な​周波数​範囲​の​確度​および​制限​に​影響​する​可能性​が​あり​ます。​加速度​計​の​仕様​を​参考​にし​て、​各​取り付け​方法​が​どの​よう​に​周波数​計測​の​制限​に​影響​する​の​か​を​確認​し​て​くだ​さい。​表​1​は、​100 mV/​g​加速度​計​の​通常​の​周波数​限界​を​表​し​てい​ます。

方法 周波数​限界
ハンド​ヘルド 500 Hz
磁石 2,000 Hz
接着剤 2,500​~​5,000 Hz
スタッド >6,000 Hz

表​1. 100 mV/​g​加速度​計​の​取り付け​方​による​周波数​限界

 

環境​的​制約

加速度​計​を​選択​する​とき、​最大​動作​温度、​有害​な​化学​物質​へ​の​暴露、​湿度​といった​重要​な​環境​パラメータ​に​注意​を​払う​必要​が​あり​ます。​大半​の​加速度​計​が​危険​な​環境​で​使用​できる​の​は、​構造​が​堅牢​性​と​信頼​性​に​優​れ​て​いる​ため​です。​さらに​保護​性​を​高める​場合、​ステンレス​製の工業​用​加速度計なら、​腐食​や​化学​物質​から​センサ​を​保護​する​こと​が​でき​ます。

システム​が​極端​な​温度​で​動作​する​必要​が​ある​場合、​電荷​モード​の​加速度​計​を​使用​し​ます。​これらの​加速度​計​は、​エレクトロニクス​を​内蔵​し​てい​ない​ため、​動作​温度​は、​構造​物​に​使用​さ​れ​た​センサ​と​素材​によって​のみ​制限​さ​れ​ます。​ただし、​電荷​モード​加速度​計​は、​調節​機能​および​電荷​増幅​機能​を​搭載​し​てい​ない​ため、​環境​的​干渉​に​影響​さ​れ​や​すく、​低​ノイズ​ケーブル​を​使用​する​必要​が​あり​ます。​環境​に​ノイズ​が​多い​場合、​インライン​チャージ​コンバータ、​または​内蔵​電荷​アンプ​を​備え​た​IEPE​センサ​を​使用​する​必要​が​あり​ます。

湿度​仕様​は、​加速度​計​の​シール​剤​の​タイプ​によって​決まり​ます。​一般​的​に​は、​気密​シール​剤、​エポキシ​樹脂​系​シール​剤、​環境​保護​シール​剤​など​が​あり​ます。​これらの​シール​剤​の​大半​に​は、​高​レベル​の​湿度​に対する​耐性​が​備​わっ​てい​ます​が、​浸水​や、​長時間​にわたる​過剰​な​湿度​へ​の​露出​に対して​は、​気密​シール​が​推奨​さ​れ​ます。

 

コスト

電荷​モード​加速度​計​と​IEPE​加速度​計​の​価格​に​あまり​変わり​は​ありま​せん​が、IEPE​加速度計は、​大規模​な​マルチ​チャンネル​システム​の​場合、​大幅​に​コスト​を​下げる​こと​が​でき​ます。​それ​は、​IEPE​加速度​計​の​場合、​特殊​な​低​ノイズ​ケーブル​や​電荷​アンプ​を​必要​と​しない​ため​です。​さらに、​IEPE​加速度​計​の​ほうが​使い​やすい​という​特徴​が​あり​ます。​手入れ、​配慮、​操作​や​保守​に​かかる​労力​が​少​なく​て​すむ​から​です。

 

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加速度​計​の​信号​調節

DAQ​デバイス​で​適切​な​計測​が​行​われる​よう​に​加速度​計​を​整える​場合、​次​の​点​を​考慮​し​て、​信号​調節​の​要件​を​全て​満たす​必要​が​あり​ます。

  • 増幅 - 計測​分解能​を​高め、​SN​比​を​向上​する
  • 電流​励起 - IEPE​センサ​の​電荷​アンプ​に​電力​供給​する
  • AC​カプリング - DC​オフセット​を​除去​し、​分解能​を​向上​し、​入力​デバイス​の​全​範囲​を​使用​する
  • フィルタ​処理 - 外部​の​高​周波数​ノイズ​を​除去​する
  • 適切​な​接地 - 異なる​接地​電位​間​の​電流​から​ノイズ​を​除去​する
  • ダイナミック​レンジ - 加速度​計​の​全​振幅​範囲​を​計測​する

 

加速度​計​計測​の​調節、​収集、​解析、​および​表示​方法​の​詳細​について​は、「高​確度​の​センサ​計測​を​実現​する​ため​の​テクニカル​ガイド」​を​ダウンロード​し​て​くだ​さい。



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参考文献

https://​www.pcb.com/​techsupport/​docs/​vib/​TN_17_VIB-0805.pdf

http://​www.pcb.com/​techsupport/​tech_accel

https://​www.endevco.com/​news/​newsletters/​2012_07/​tp327.pdf

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