計測制御システム最適ハードウェアバス選び方

概要

計測器に接続するためのバスが多種多様であると、アプリケーションのニーズに適したバスを選ぶのが難しい場合があります。バスにはそれぞれ、さまざまなメリットと最適化があります。選定の際は、次の項目について検討した上で、最も一般的なPCバスの選択肢を調べてください。

内容

計測コンピュータ利用できるバス何か

計測器には通常1つまたは複数のバスオプションが搭載されており、またPC側でも通常複数のバスオプションによる計測器制御が可能です。計測器で利用できるバスがPCに搭載されていない場合は、プラグインボードまたは外部変換器の形でPCに追加することができます。計測器制御用のバスには多くの種類があり、一般的に以下のように分類されています。

  • スタンドアロンバスは、ラックアンドスタック型の計測器との通信に使用します。スタンドアロンバスにはテストおよび測定専用バス (GPIBなど) やPC標準バス (シリアル (RS232)、イーサネット、USBなど) があります。一部のスタンドアロンバスは、USB⇔GPIB変換器といった他のスタンドアロンバスの媒体として使用することもできます。
  • モジュール式バスは、インタフェースバスを計測器に組み込みます。PCI、PCI Express、VXI、PXIなどがあります。これらのバスも、NI PCI-GPIBコントローラボードなど、スタンドアロンバスを搭載しないPCにバスを追加する媒体として使用することができます。

どのよう性能必要するか

バスの性能を決める主な要因として、帯域幅、レイテンシ、計測器の実装の3つがあります。

  • 帯域幅はデータレートであり、通常は1秒あたり数百万ビットの単位で測定されます。
  • レイテンシは転送時間で、通常は秒単位で測定されます。たとえば、イーサネット転送ではデータの大きなブロックが小さなセグメントに分割され、複数のパケットの形で送信されます。これらのパケットの1つを転送するのにかかる時間がレイテンシです。
  • バスソフトウェア、ファームウェア、およびハードウェアの計測器の実装は、その性能に影響を与えます。すべての計測器が同じように作られているわけではなく、ユーザ定義の仮想計測器でも、ベンダー定義の従来型計測器でも、計測器の設計者による実装のトレードオフが計測器の性能に影響を与えます。仮想計測器の主な利点は、計測器の設計者であるエンドユーザが最適な実装のトレードオフを決定できることです。

レイテンシ vs. 帯域幅.png

図1.主流となっているテストバスおよび計測バスの理論上の帯域幅を、レイテンシと比較してください。

どのよう環境計測使用するか

計測器制御アプリケーションの開発にあたっては、アプリケーションをデプロイする環境について考慮することが重要です。主な考慮事項として、PCからの計測器の距離と、インタフェースおよびケーブルの耐久性の仕様が挙げられます。どちらの要素も、計測器制御システムに使用すべきバスを決定する際に重要な要因となります。

PCから計測距離

計測器がPCに近い場合は (5メートル未満)、すべてのバスタイプから柔軟に選択できます。別の部屋や建物など、計測器がPCから離れている場合は、分散型の計測器制御システムアーキテクチャを検討する必要があります。分散型の計測器制御システムには、エクステンダー、リピータ、LAN/LXI、またはLAN変換器 (イーサネット⇔GPIB変換器など) の使用が含まれる場合があります。

インタフェースおよびケーブル耐久性仕様

計測器が工業環境などのノイズの多い環境にある場合は、そうした環境要素から保護するインタフェースバスの使用を検討してください。たとえば、製造現場ではケーブルラッチや堅牢なシールド仕様のために、GPIBまたはUSBがより適切な選択となります。

バスセットアップ構成どれくらい簡単か

バスインタフェースを選ぶ際は、設定と取り付けを念頭に置いてください。多数のユーザがシステムを操作する実験室などのエリアに計測器制御をデプロイする場合は、使いやすさや一貫したユーザの操作性の点から、USBバスインタフェースの使用を検討してください。セキュリティが問題となる可能性がある場所に計測器制御システムを設置する場合、イーサネット/LAN/LXIが情報テクノロジ部門で許可されない場合があることに注意する必要があります。イーサネット/LAN/LXIが計測器制御システムに最適なバスインタフェースであり、セキュリティに配慮した環境にデプロイすると判断した場合は、設計の実装プロセス全体にわたって情報テクノロジ部門と協力して取り組む必要があります。

一般バス選択ガイド

バス帯域幅 (MB/s)レイテンシ (µs)レンジ (m) (エクステンダーなし)設定と取り付けコネクタの堅牢性
GPIB

1.8 (488.1)

8 (HS488)

3020最適
USB60 (Hi-Speed)

1,000 (USB)

125 (Hi-Speed)

5最適

イーサネット/

LAN

12.5 (ファスト)

125 (ギガビット)

1,000 (ファスト)

1,000 (ギガビット)

100
PCI1321.7内部PCバス

最適 (PXIの場合)

PCI Express

250 (x1)

4,000 (x16)

0.7 (x1)

1.7 (x4)

内部PCバス

最適 (PXIの場合)

 

表1.ここでは、最も一般的な計測器ハードウェアバスを簡単に説明します。

計測制御ハードウェアバス概要

GPIB

汎用インタフェースバス (GPIB) は、スタンドアロン計測器で最も一般的なI/Oインタフェースの1つです。GPIBは、8ビットのデジタルパラレル通信インタフェースで、最大8 Mb/sのデータ転送レートを実現できます。1つのシステムコントローラで制御できる計測器は最大14個で、ケーブル長は20 m未満に制限されます。そのような制約は、GPIBエクスパンダ/エクステンダを使用することで回避することができます。GPIBケーブルおよびコネクタは多用途性が高く、あらゆる環境に適した産業用グレードを備えています。

GPIBはPC向けのバスではないため、通常PCには搭載されていません。ただし、PCI-GPIBなどのプラグインボードやNI GPIB-USBなどの外部変換器を使用すると、PCにGPIB計測器制御機能を追加することができます。

 

Serial

シリアルは、主に旧式のデスクトップPCやラップトップPCに見られるデバイス通信プロトコルです。USBと混同しないよう注意してください。シリアル通信は、多くのデバイスで計測用の一般的な通信プロトコルとなっており、GPIB対応デバイスの大半にはEIA232ポートが備わっています。EIA232およびEIA485/EIA422は、RS232およびRS485/RS422と呼ばれることもあります。

シリアル通信の概念はシンプルです。シリアルポートは、バイト単位の情報を1ビットずつ送受信します。一度にバイト全体を転送するパラレル通信よりは遅くなりますが、よりシンプルな上、長距離に使用できます。

一般に、エンジニアはシリアルを使用してASCIIデータの送受信を行います。エンジニアは、グランド、送信、受信の3つの伝送ラインで通信を完結させます。シリアルは非同期の通信規格であるため、ポートは送信ラインでデータを送信しつつ、別の受信ラインでデータを受信することもできます。他のラインはハンドシェイクに使用できますが、必須ではありません。シリアル通信における重要な特性は、ボーレート、データビット、ストップビット、およびパリティです。2つのポートが通信するには、これらのパラメータが一致している必要があります。

 

USB

ユニバーサルシリアルバス (USB) は元々、キーボード、マウス、スキャナ、ディスクドライブなどのPC周辺デバイスをPCに接続させるために設計されたものです。過去数年間で、USB接続に対応したデバイスの数は飛躍的に増加しました。USBはブラグアンドプレイテクノロジを使用しており、新しいデバイスが追加されるとUSBホストが自動的に検出し、デバイスの情報を問い合わせ、デバイスドライバを適切に構成することができます。

USB 2.0は、Low-SpeedデバイスとFull-Speedデバイスの両方と完全な下位互換性があります。Hi-Speedモードでは、最大480 Mビット/s (60 MB/s) のデータ転送レートが可能です。最新のUSB仕様であるUSB 3.0にはSuperSpeedモードがあり、理論上のデータ転送レートは最大5.0 Gbit/sです。

USBは元々PC周辺バスとして設計されたものですが、その速度、広範囲における普及、使いやすさは、計測器制御アプリケーションでの使用にとって魅力的です。ただし、計測器制御で使用するには難点もあります。第一に、USBケーブルは産業用グレードではありません。このため、ノイズの多い環境ではデータ損失が発生する可能性があります。また、USBケーブルにはラッチメカニズムがありません。ケーブルがPCまたは計測器から比較的簡単に外れてしまう可能性があります。さらに、USBシステムでの最大ケーブル長は、インラインリピータを使用しても30 mです。

イーサネット

イーサネットは、一般のネットワークやリモートデータ保存を行う測定システムにおいてさまざまな用途で幅広く使用されている完成度の高いテクノロジです。イーサネットが使用可能なコンピュータの数は世界で1億を越えるため、イーサネットもまた計測器制御において魅力的です。イーサネットはIEEE規格802.3で定義されており、理論上のデータ転送レートが10 Mビット/s (10BASE-T)、100 Mビット/s (100BASE-T)、1 Gビット/s (1000BASE-T) のネットワーク構成があります。最も一般的なネットワークは100BASE-Tです。

イーサネット経由の計測器制御アプリケーションでは、計測器の遠隔制御、計測器のシンプルな共有、データ結果の公開が簡単である点など、バス独自の特性を活かすことができます。さらに、企業内や研究所内の既存の広範なイーサネットネットワークを活用できます。ただし、従来型のエンジニアリングアプリケーションのネットワーク管理者を巻き込むことになるので、企業によっては問題が発生する場合もあります。

計測器制御バスとしてのイーサネットの短所は、実際の転送レート、確定性、セキュリティです。イーサネットネットワークの理論上の最高転送レートは1 Gビット/sですが、他のネットワークトラフィック、オーバーヘッドおよびデータ転送の非効率性などにより、実際のネットワークではほとんど実現できません。さらに、転送レートが不確定であるためイーサネット経由の通信では確定性が保証されません。また、機密データの場合は、追加のセキュリティ手法を取ってデータの整合性とプライバシーを確保する必要があります。

 

PCI

PCIバスは通常計測器制御に直接的には使用されませんが、GPIB/シリアルデバイスを接続するための周辺バスとして使用されます。また、帯域幅が広いため、計測デバイスにI/Oバスが組み込まれているモジュール式計測器用のキャリアバスとしても使用されます。

 

PXI

PXI (PCI eXtentions for Instrumentation) は、測定/オートメーションシステム用の堅牢なPCベースプラットフォームです。電子的にはPCIバスと同様なものをCompactPCIの堅牢なモジュール式Eurocardメカニカルパッケージと組み合わせて、さらにモジュール間専用の同期バスと主要なソフトウェア機能を追加したものです。PXIは測定/オートメーションシステム用の高性能かつ低コストのデプロイメントプラットフォームで、こうしたシステムは、製造テスト、航空宇宙/防衛、機械監視、自動車、産業用テストといったアプリケーションに利用されています。PXIは、複雑な計測器システムの需要の増加に対応するため、1997年に開発され、1998年に業界のオープン規格として発表されました。現在PXIは、PXI Systems Alliance (PXISA) によって管理されています。65社以上の企業が参画するPXISAは、PXI規格を推進し、相互運用性を確保し、PXI仕様を維持することを目的としています。コンパクトで高性能な測定ハードウェアデバイス間で高度なタイミングと同期が実現できるため、PXIは従来型のスタンドアロン計測に代わるモジュール式計測用のプラットフォームとしてよく使用されています。

 

PCI Express

PCIと同様、PCI Expressは通常計測器制御に直接的には使用されませんが、GPIBデバイスをPCに接続するための周辺バスとして使用されます。ただしPCI Expressは極めて高速なため、モジュール式計測器のキャリアバスとして使用することもできます。

 

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