NI PXIe-5413、NI PXIe-5423、およびNI PXIe-5433は、スプリアスフリーダイナミックレンジ (SFDR) -92 dBとシステムジッタ435 fsを実現でき、かつ、専用の標準波形生成エンジンによって、従来よりも厳密な波形調整が可能な任意波形発生器です。また、新たにフラクショナルリサンプリングアーキテクチャを導入したことで、原波形のサンプルレートによらず、高いダイナミックレンジとジッタ性能を享受できます。さらに、PXIの特長である複数計測器の同期機能や高速波形ストリーミング機能も利用できます。
PXIe-54x3任意波形発生器には、以下のような特長があります。
図1:PXIe-5413、PXIe-5423、およびPXIe-5433には、チャンネル数のオプション (1または2) に加え、帯域幅のオプション (20、40、または80 MHz) も充実
表1:自動テストシステムの多様なニーズに応えるためにNIが提供する、複数タイプの任意波形発生器
信号の忠実度と確度を高めることは、現代のエンジニアリングにおける課題のひとつです。PXIe-54x3計測器では、1つまたは2つの独立した16ビットデジタル-アナログ変換器 (DAC) を使用して信号を生成することで、パスバンド全体で優れた正弦波フラットネスを示します。これらの波形発生器に内蔵されているデジタルフィルタ機能を有効にして生成信号の平滑性を高めたり、無効にして周波数領域の特性を犠牲にすることで、立ち上がり時間と時間領域信号の動作を高速化したりすることができます。
PXI波形発生器には、デバイスの帯域全体で正確な正弦波生成が可能となるよう、フラットネスキャリブレーション機能が組み込まれています。従来型のデバイスでは、計測器の規定帯域幅の上限近傍にてフィルタのロールオフ特性に起因した振幅誤差が生じていたのに対し、PXIe-54x3任意波形発生器ではこのロールオフの影響を補正し、帯域内でフラットな特性を示すようになっています。
図2:計測器のパスバンド全体にわたって、平坦な振幅の正弦波信号を生成するように設計
PXI-54x3任意波形発生器のデータパスは、任意波形生成モードで生成された信号から不要なイメージ成分を除去できるように、デジタルフィルタ機能を備えています (その他のモードでは使用できません)。多くの任意波形発生器において、生成された信号のイメージ成分は元の波形に設定されたサンプルレートの倍数の周波数近傍に発生します。デジタルフィルタを有効にすると、出力信号の帯域幅が制限され、イメージが除去されることで、より純粋でクリーンな出力信号が得られます。唯一の欠点は、信号の高周波成分が除去されるため、信号振幅が大きく変化した場合ののスルーレートが低下することです。フィルタ処理を無効にして、イメージを含む高周波数成分を除去しないようにした場合は、ユーザがプログラムした波形サンプル間の出力電圧は、最大限可能な速度でアップデートされます。
図3:PXIe-54x3任意波形発生器のハードウェアアーキテクチャは、優れたアナログ性能を実現すると同時に、多チャンネルからの同時信号生成、波形ストリーミング、および複数計測器間の同期に対応
NI PXI波形発生器は、LabVIEW、C、C#などの各種開発オプションに対応し、クラス最高の使い勝手を持つAPIを備えたNI-FGENドライバでプログラムできます。使用する波形発生器のモデルが変わっても相互運用性を長期間にわたって保証するため、NI-FGENドライバのAPIは、過去および現在のすべてのNIの波形発生器の間で共通化されています。また、ヘルプファイルやドキュメントに加えて、ユーザが独自のアプリケーションを開発する際の開始点として利用でき、かつ実行可能な状態で提供されるサンプルプログラムが多数用意されています。さらに、プログラミングを行わなくても信号発生器を対話的に使用できるソフトフロントパネルも提供されます。NI-FGENドライバのダウンロード
図4:機能の一貫性や互換性を維持しつつ、30年にわたり最新のPXI波形発生器のプログラムに使用されてきたNI-FGENドライバ
対話式ソフトフロントパネルは、標準関数と、ファイルからの任意波形出力に対応しています。また、トリガソースやトリガモード、振幅、オフセット、周波数の設定を調整して、計測器を詳細に構成できます。さらに、計測器のリセット、キャリブレーション、セルフテストを通じたトラブルシューティングも行えます。
図5:InstrumentStudioのソフトフロントパネルは、複数のNI計測器のソフトフロントパネルを統合しています。例えば、NI-FGENドライバを使用して波形を迅速に生成できるNI Function Generators Instrumentは、波形タイプ、振幅、周波数のコントロールおよびトリガルーティングなどの高度な設定機能を備えています。
PXIe-54x3任意波形発生器は、標準関数や任意波形を、アップデートレート800 MS/sでDACから出力できます。任意波形生成時には、Xilinx Kintex-7 FPGA上に実装された、ユーザ定義の任意波形のサンプルレートをDACのアップデートレートに等しくなるようアップサンプリングするアルゴリズムを使用できます。PXIe-5413およびPXIe-5423を使用する場合、任意波形の最大サンプルレートは200 MS/sです。PXIe-5433では、デジタルフィルタ有効時は最大400 MS/s、無効時は250 MS/sのユーザー定義の波形を使用できます。任意波形のサンプルレートを高速化することで、スルーレートが高速化されるとともに波形の挙動がスムーズになり、時間領域の性能を向上できます。同時に、アップサンプリングによって、ポイントツーポイント遷移が平滑化され、イメージ成分を抑圧できるため、周波数領域の性能も大幅に改善できます。
PXI計測器プラットフォームは、高速なデータバスと複数計測器のトリガを駆使した自動テストに対応するよう設計されています。PXIe-54x3波形発生器では、PXIプラットフォームの恩恵を活かして、マルチチャンネル計測器ごとに独立して搭載された生成エンジンを基に、周波数リストモードでの周波数スイープの高速実行が可能です。
図6:PXIe-54x3波形発生器に加え、NIが提供する600種類のPXIモジュール、さらには60社にのぼるベンダから提供される1500種類のPXIモジュールを組み合わせることで、よりスマートなテストシステムが構築可能
PXIe-54x3任意波形発生器で特に注目に値するのは、チャンネルごとに出力信号生成用エンジンを1つずつ装備している点です。PXIe-54x3のこの仕様は、エンジンが1つしかないような他の2チャンネル計測器に比べて、ユーザに大きなメリットをもたらします。
波形生成エンジンが1つしかない計測器の場合、たとえ複数の出力チャンネルを有していたとしても、構成と実行の多くはチャンネル間で共有する必要があります。たとえば、2つの出力チャンネルの間で1つの波形生成エンジンを共用する波形発生器の場合、トリガ、マーカ、および各種エンジンイベントの共有が必要になる可能性があります。逆に、波形発生器に2つの独立したエンジンが搭載されている場合、トリガとマーカ、さらには波形スクリプトを各チャンネルで独自に設定できます。PXIe-54x3任意波形発生器において、2つのチャンネルの間で共通としなければならないのは、基準クロックソースと特定のハードウェアリソースだけです。たとえば2つのエンジン間では、外部PFIトリガ入力のみ共有が必要ですが、PXIで提供される多くの内部システムトリガについては、それらをエンジン間で共有する必要はありません。
最も重要な点は、2つの独立した生成エンジンを有する波形発生器の場合、信号生成の開始および停止を、チャンネルごとに完全に独立して行えることです。こうした特長は最終的に、テストシステムに実装できるチャンネル密度の増加やPXIスロット数の削減に寄与します。アプリケーションによっては、独立して動作する複数のチャンネルを必要とするものもあります。独立した生成エンジンを装備していない波形発生器の場合、アプリケーションが2つのデバイスを必要とすれば、2つのPXIスロットを使用しなければなりません。
周波数リストモードを使用して、標準関数モードの事前定義された周波数リストをすばやく参照すれば、周波数ホッピングとスイープを作成できます。この機能は、ホストソフトウェアをプロセスから切り離し、デジタルトリガまたはハードウェアタイミングの内部カウンタを使用してリストを進める場合に有用です。周波数リストモードエンジンは、周波数を位相連続的に調整します。このような位相連続性の存在は、ハードウェアのカウンタタイミングを使用した一連の小ステップを作成することで、1つのスイープに統合することを可能にします。この機能を利用すると、任意波形シーケンスの作成が不要となり、一連の標準関数発生を含むテストの所要時間を大幅に短縮できます。
図7:ソフトウェアベースのPXIテストシステムは、市場投入までの期間の短縮、テストスループットの向上、テスト全体に要するコストの削減を同時に実現。モジュール式計測器により、テストシステムの機能を必要十分なものに設計できるとともに、計画的なテクノロジの導入により将来的なニーズ変化にも対応可能
PXI波形発生器は、オープンなモジュール式のPXIアーキテクチャをベースに構築されており、航空宇宙/防衛、運輸、半導体など多くの産業分野でテストコストを削減し、市場投入までの期間の短縮します。
PXIe-54x3任意波形発生器は、高インピーダンス負荷に対して24 Vppの電圧レンジでの出力に対応しており、各種信号を高い確度と精度で生成します。このように大きな電圧レンジと正確な信号表現を有する波形発生器は、航空機および自動車で使用される多数のセンサやサブシステムへの刺激信号の印加やシミュレーションにご利用いただけます。
PXIe-5413、PXIe-5423、およびPXIe-5433は、いずれもNI-FGEN計測器ドライバを使用してプログラムでき、これは数世代前のPXI波形発生器から共通して使用され続けている計測器ドライバです。このように共通した計測器ドライバを一貫して使用できることで、新世代の計測器導入に付随する負担を軽減しています。
PXI-54x3任意波形発生器は、半導体の評価・検証テストおよび製造テストに最適な機能を有しています。これらの計測器は柔軟性が高く、広範囲な出力電圧と多数の電圧レンジステップを提供します。また、周波数および時間領域での波形生成を非常に正確に実行できます。
さまざまなコンポーネントのテストに対応できる柔軟な計測器は、テスタの占有スペースを節約し、テスタに関する導入コストの削減に寄与します。また、2チャンネル搭載PXIe-54x3波形発生器は独立したエンジンを備えているため、自動検証テストシステムや半導体製造向け自動テスト装置 (ATE) に求められる各テストサイトの独立した処理・実行を可能にします。
PXIは、PXIシャーシ内またはシャーシ間のすべての計測器間または計測器のサブセット間で、同期とトリガ共有が可能な設計となっています。計測器間でのハードウェアトリガ機能は、テストシーケンスの実行時間を大幅に削減することで、テスト全体の時間短縮に寄与します。
| PXIe-5413 | PXIe-5423 | PXIe-5433 | ||||
| 帯域幅 | 20 MHz | 40 MHz | 80 MHz | |||
| DACの分解能とアップデートレート | 16ビット、800 MS/s | 16ビット、800 MS/s | 16ビット、800 MS/s | |||
| 最大ユーザ定義の任意波形 | 200 MS/s | 200 MS/s | 400 MS/s (フィルタ有効) 250 MS/s (フィルタ無効) | |||
| チャンネル | 1 | 2 | 1 | 2 | 1 | 2 |
| メモリ | 128 MB | 256 MB | 128 MB | 256 MB | 512 MB | 1 GB |
| 最大電圧 | ±6 V (50 Ω負荷) ±12 V (高負荷) | ±6 V (50 Ω負荷) ±12 V (高負荷) | ±6 V (50 Ω負荷) ±12 V (高負荷) | |||
| 任意シーケンスおよび周波数リストモード | あり | 有り | あり | |||
| スクリプトおよびストリーミング | なし | 有り | あり | |||