電気機械式リレーは、今日のATEアプリケーションで最も広く使用されているリレーです。電気機械式リレーはコイル、アーマチュア機構、および電気接点で構成されています。コイルが励起されると、誘導された磁界によってアーマチュアが動作し、接点を開閉します。図1をご覧ください。
メカニカルリレーは、低電圧/電流から高電圧/電流、DC~GHz周波数まで、幅広い信号特性に対応します。このため、ほとんどの場合、システム要求を満たす信号特性を持つメカニカルリレーを見つけることができます。メカニカルリレーの駆動回路は、リレー接点から絶縁されており、接点自体もそれぞれお互いに絶縁されています。このように絶縁されたメカニカルリレーは、ガルバニック絶縁が要求される場合に最適です。
メカニカルリレーの接点は通常他のタイプのリレーの接点に比べて大きく堅固です。接点が大きいことで、回路やケーブルなどに存在する寄生キャパシタンスによる予期しないサージ電流に耐えることができます。ただし、残念なことに、接点が大きいほどパッケージサイズが大きくなるため、スイッチモジュールに高密度に配置することができません。
メカニカルリレーの仕組みはスイッチ機能に大きな柔軟性を提供しますが、速度という重要な制限が1つあります。他のリレーと比較すると、メカニカルリレーは比較的低速なデバイスで、一般的なモデルでは5~15 msで切り替えと整定が行われます。この動作速度は、アプリケーションによっては遅すぎる場合があります。
メカニカルリレーの機械的寿命は、通常他のタイプのリレーに比べて短くなります。技術の進歩により電気機械式リレーの機械的寿命は延びましたが、作動回数はリードリレーに比べてまだ少ないと言えます。リレーの種類にかかわらず、切り替える電力量やその他のシステム要件はリレーの全体的な寿命に大きな影響を与えます。実際、電気機械式リレーの機械的寿命はリードリレーに比べて短いものですが、類似した負荷 (特にキャパシタンス負荷) における電気的寿命はリードリレーに比べてかなり遅い速度で減少します。大きく堅固な接点を持つメカニカルリレーは、類似したリードリレーより長持ちする場合があります。
メカニカルリレーにはラッチ型と非ラッチ型があります。非ラッチ型リレーでは、リレーを継続して作動させるためにコイルに連続的に電流を流す必要があります。これらは、停電が発生した場合にリレーを安全な状態に切り替える必要のあるアプリケーションによく使用されます。ラッチ型リレーは、永久磁石によってアーマチュアを現在の位置に保持します。この位置は駆動電流がコイルに流れなくなっても保持されます。電圧が非常に低いアプリケーションには、ラッチ型リレーが最適です。これはコイルにおける過熱がないため、測定に影響を与える接触電位(EMF)を最低限に抑えることができるためです。
メカニカルリレーは多種多様なスイッチモジュールで使用されています。その堅固さが多様なアプリケーションに適応するため、特にスイッチ速度が優先要件でない場合に最適です。また、汎用目的、マルチプレクサ、マトリクスなどすべてのスイッチ構成で多用途に使用できます。
リードリレーにはメカニカルリレーと同様、機械的に作動してパスを開閉する物理接点があります。しかし、リードリレーの接点は電気機械式リレーの接点に比べてサイズも質量もかなり小さくなります。ドライリードリレーは、リードスイッチの周りに巻かれたコイルで構成されています。リードスイッチは、2つの重なった強磁性ブレード(リードと呼ばれる)を、不活性ガスで満ちたガラスカプセルで密閉したものです。リードの接点は、重なり合う両先端にあります。コイルが活性化されると、2つのリードが引きよせられて接続し、リレーのパスが繋がります。コイルが活性化されていないときは、リードのバネの力で接点が離れます。図2をご覧ください。
サイズが小さく質量も少ない接点と異なる作動メカニズムにより、リードリレーは同じ定格のメカニカルリレーに比べると10倍速くスイッチ切り替えを行うことができます。リードリレーの機械的寿命もメカニカルリレーに比べてかなり長くなります。しかし、トレードオフとしてリードリレーの接点が小さいため回路を閉じた時に起こるアーク放電の影響を受けやすくなります。接点間でアーク放電が発生した場合、接点表面の一部が融解する場合があります。接点が閉じたままで、融解した部分が再び固ってしまうと、接点が溶接してしまう可能性があります。リードのバネの力では、駆動電流がオフになったあとで溶接してしまった部分を機械的に分離するのは難しく、リレーは使用不可能になります。メカニカルリレーもアーク放電による影響を受けますが、メカニカルリレーでアーク放電が起こるにはかなりの量の電力が必要になります。
リードリレーは接点を破損してしまう可能性が非常に高く、特にシステムキャパシタンスによる突入電流は危険です。突入電流は、リレーとキャパシタンス間に位置する抵抗やフェライトのような直列インピーダンスによって制御できます。システム内のキャパシタンスは、リアクタンス検査対象デバイス内、またはシールドケーブルからであっても、突入電流の原因となります。
リードリレーを構成している強磁性素材によって、同等のメカニカルリレーより接触電位が高くなります。そのため、非常に低電圧のアプリケーションには不向きです。これは、接触電位によって導入されるノイズにより測定誤差が発生する可能性があるためです。
小型で高速なリードリレーは、多くのスイッチアプリケーションに最適です。リードリレーは汎用モジュールよりもマトリクスやマルチプレクサモジュールによく使用されます。
SSRは感光性MOSFETデバイスとデバイスを作動するLEDで構成されています。図3を参照してください。
SSRはメカニカルリレーに比べて高速で、スイッチ切り替えの時間はLEDをオンまたはオフにするために必要な時間(それぞれ約1 msおよび0.5 ms)に依存します。機械的部品がないため、寿命もメカニカルリレーやリードリレーよりも長くなります。
SSRは、LEDが作動することによって制御回路とMOSFET間にガルバニック絶縁バリアが生成されるため、高電圧アプリケーションに適しています。一方で、MOSFETでスイッチングが行われているため、接点間にガルバニックバリアは生じません。MOSFETにゲートドライブが存在しない場合、MOSFETのドレインソースチャンネルの抵抗が非常に高くなり、接点間の接続を解除します。
接続がメカニカルリレーやリードリレーのように物理的金属ではなくトランジスタによって行われるため、SSRでは接点抵抗が大きくなります。テクノロジが発展するに伴い、SSRの接点抵抗も改善されていますが、まだ今日の生産過程では100Ω以上の抵抗を搭載するリレーがよく見られます。
SSRはメカニカルリレーほど堅固ではありません。リードリレーと同様、突入電流の影響に弱く、定格を超える信号レベルで使用すると破損します。溶接する金属接点はありませんが、MOSFETが破損するとリレーが使用できなくなります。SSRはマトリクスおよびマルチプレクサでよく発生します。
SSRと同様、FETスイッチは機械的デバイスではありません。FETスイッチは一連のCMOSトランジスタを使用してスイッチ切り替えを行います。SSRと異なるのは、制御回路が、LEDではなくトランジスタのゲートを直接駆動させる点です。トランジスタのゲートを直接駆動することで、LEDをオンまたはオフにする問題が解消されるため、スイッチ速度が速くなります。通常、FETスイッチはこのドキュメントで説明されているスイッチの中で最も高速です。また、機械部品やLEDを搭載していないため、FETスイッチは非常に小さいサイズにすることもできます。ただし、FETスイッチの主な欠点は物理的絶縁バリアがないことで、低電圧信号のアプリケーションのみに使用することができます。
FETベースであるため、FETスイッチとSSRは同じ利点と欠点を数多く共有しています。たとえば、スイッチ寿命は長くなりますが、メカニカルリレーやリードリレーよりもパス抵抗が高くなります。
FETスイッチは、高速低電圧アプリケーション用のマルチプレクサ構成に最もよく使用されます。
メカニカルリレーは、パッケージサイズ、スイッチ速度、機械的寿命などに制限がありますが、総合的なソリューションを提供します。リードリレーでは、パッケージサイズ、密度、および速度が改善されますが、突入電流が存在する環境では破損しやすくなります。SSRは機械的リレーの代替として適していますが、パス抵抗が高く、接点間の絶縁が不完全です。FETスイッチは高速で低コストのソリューションですが、低電圧のアプリケーションのみで使用できるという制限があります。
すべてのアプリケーションにおいて、特定のリレータイプを選択する前にシステムパラメータをすべて確認します。この情報を使用して、アプリケーションに適したトレードオフを検討してください。