実はていないオシロスコープ最も重要3仕様

概要

オシロスコープの仕様には、サンプリングレート、帯域幅、電圧レンジといった項目が並んでいますが、果たしてこれらの仕様は新しい計測器を選ぶ場合に最も重視すべき要素なのでしょうか。確かに、これらの仕様は、新しいオシロスコープの概要を知る上では役立つものですが、オシロスコープの計測品質を把握するには、より詳しくユーザマニュアルを読み込む必要があります。そして、実は見過ごされることの多いENOB(Effective Number Of Bits:有効ビット数)、パスバンドフラットネス、-3 dBのフィルタロールオフという3つの項目が最も重視すべき仕様なのです。以下で、その理由を説明します。

内容

有効ビット数

オシロスコープのENOBとは、計測器の歪み、ノイズの影響、およびスプリアスを考慮に入れた、実質的な計測分解能です。ENOBによって、フロントパネルやデータシートに記載されている分解能よりもはるかに正確なオシロスコープの計測性能がわかります。また、ENOBは、SINAD(signal-to-noise-and-distortion)の仕様から直接算出することができます。ノイズとデバイスのスプリアスは、計測対象の信号源に由来しない電圧のオフセットや周波数成分として、計測結果に影響を及ぼします。

図1:ENOBとは、計測器のノイズとスプリアスを考慮したうえで算出される、オシロスコープの実質的な分解能を示す指標である。

計測器ベンダは、非常にノイズスペクトル密度の低い最新のADコンバータを使ったり、高度なアルゴリズムを実装してデータを補正したりして、ENOBの改善に努めています。新しくオシロスコープを選ぶときには、ENOB、SINAD、またはスプリアスフリーダイナミックレンジ(SFDR)の値が高いものにすると、優れた計測性能を得ることができます。NIのNI PXIe-5171Rオシロスコープは、14ビットオシロスコープの1つで、比較的高いENOB(11ビット)を備えています。 また、16~24ビットの分解能と、最大105 dBのSINADという大変優れたスペクトル性能を備えたPXI-5922フレックス分解能オシロスコープデバイスも提供しています。

 

ENOBとSFDRの算出方法については、「周波数性能仕様を理解する」(ホワイトペーパー) をご覧ください。

パスバンドフラットネス

オシロスコープの全周波数レンジにわたって一貫した振幅計測が行えるという思い込みは禁物です。パスバンドフラットネスは、オシロスコープがカバーする周波数レンジ全域にわたって、どの程度一貫した振幅計測が可能かを示す指標です。非常に優れたフラットネスを持つオシロスコープは、計測対象の周波数レンジ全域において、同じ電圧レベルの信号の振幅計測結果にほとんど差異が生じません。

図2:通常のオシロスコープの周波数応答(赤)は、オシロスコープの動作周波数内において、理想的な理論的周波数応答(灰色)から大きく逸脱するため、不正確な計測結果につながる場合があります。

これをチェックするには、オシロスコープの周波数応答のボード線図、SN比、または複数の周波数におけるSFDRを見るか、フラットネスの仕様を確認します。優れたフラットネスを持つ計測器は、どの周波数においても一貫した計測を行うことができます。その結果、データの比較を行う際に周波数に対する補正が最小限ですむため、異なる周波数における計測結果の相関取りがより簡単かつすばやく行えます。

非常に優れたパスバンドフラットネスを持つオシロスコープの例として、1.5 GHz、10ビット分解能のNI PXIe-5162オシロスコープが挙げられます。『PXIe-5162 仕様書』の「帯域幅と過渡応答」セクションを参照してください。

-3 dBフィルタロールオフ

オシロスコープを高精度な振幅または周波数計測デバイスとして使用する場合、計測信号に高調波成分、ノイズ、スプリアスが含まれることで、計測結果に悪影響を及ぼす可能性を考慮する必要があります。どのオシロスコープの仕様にも、3 dB減衰点に基づいて定義されるアナログ帯域幅が記載されていますが、それよりも知っておくべきことは、計測がその仕様の帯域幅を超えた信号によってどれくらいの影響を受けているかということです。オシロスコープの動作周波数レンジよりも高い周波数領域の信号成分は、エイリアスとして計測対象の周波数レンジに現れる可能性があります。こうした影響に対処するには、対象となる特定領域に対してアンチエイリアスフィルタを備えたオシロスコープを使用したり、通常約-20 dB/decadeの急峻度の高いフィルタロールオフを備えたオシロスコープを探す必要があります。

 

図3:オシロスコープに記載された帯域幅どおりに、高周波数信号がカットされるとは限らない。貧弱な-3 dBロールオフ性能しか持ち合わせていないオシロスコープでは、動作周波数範囲外の信号が計測スペクトルに意図せず現れることがある。

非常に優れたローパスフィルタ応答を備えたオシロスコープは、-3 dBポイントの後に急峻なロールオフ特性を有します。フィルタが十分なロールオフ性能を持っていない場合、周波数スペクトル計測結果は、対象領域でエイリアス信号によって大幅に変化させられてしまう可能性があります。

エイリアシングとナイキスト理論の詳細については、次のセクションを参照してください: アナログ信号を集録: 帯域幅、ナイキストサンプリング理論、およびエイリアシング

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