お​使い​の​センサ​に​最適​な​工業​用​デジタル​I/​O​モジュール​の​選び方

概要

デジタル出力センサ/アクチュエータは、産業界では一般的に使用されています。あらゆる種類の変数(温度、フロー、圧力、速度など)に対応し、デジタル出力信号を複数の形式で表すことのできるデジタル出力センサがあります。このドキュメントでは、まずデジタル出力センサを出力信号と回路インタフェースによって分類し、次にアプリケーションに使用するデジタルI/Oモジュール1を選ぶ際に考慮すべき重要ポイントについて説明します。

内容

デジタル出力センサ概要

デジタル出力センサとは、全範囲にわたって連続的に変動する出力値を生成するアナログ出力センサと異なり、オンまたはオフの2つの値のみを出力するセンサのことです。最もシンプルなデジタルセンサの例は、タッチ式スイッチです。一般的なタッチ式スイッチは、押されていない時には無限抵抗の開回路で、押されるとゼロ抵抗の短絡回路となります。

デジタル出力センサと通信するには、センサとデジタルI/Oデバイスとの互換性を決定付ける要素について考慮する必要があります。このページでは、そのような要素について説明するとともに、お客様のアプリケーションに適したデータ集録デバイスを選ぶ簡単な方法を紹介します。

デジタル出力センサ分類


デジタル出力センサは、以下のパラメータに基づいて分類できます。

  1. センサの出力信号の特性
  2. シンク vs.ソース出力
  3. 2線式/3線式センサ
  4. センサの信号出力に使用する電子部品

センサ出力信号特性


 技術の発展に伴い、様々な複雑なデジタル出力センサが市場に登場しています。近年では、オン/オフ状態の遷移列を出力するセンサもあります。そのようなセンサを使用すると、周波数特性や、パルス列の形状によってもセンサ計測を行うことができるため、連続的な信号を出力することが可能です。

図1は、出力の基となる信号特性によるデジタル出力センサの分類を示しています。このチャートからわかるように、45%のデジタル出力センサはデジタルラインのオン/オフ変化を出力します。35%は周波数、12%はデューティー比の変化を出力します2


図1 – デジタル出力センサ – 伝送測定の特性2


センサ計測の信号特性は、工業用デジタルI/Oモジュールを選ぶ際に最初に考慮すべきポイントです。デジタルI/Oモジュールにカウンタが必要かどうか考慮することも重要です。

工業用スタティックDIOデバイス一覧

カウンタ/タイマデバイス一覧

シンク vs.ソース出力


  シンクおよびソースという用語は、負荷における直接電流フローの制御を定義するために使用されます。

  • シンクデバイス: グランドへの電流経路を提供し、電源としての役割はありません。シンクデバイスには、NPN、オープンコレクタ、常時High、IEC負論理などの用語が使われます。
  • ソースデバイス:ソースデバイスは、電源または正の電位を提供します。ソースデバイスは、負荷を通して電流を供給する役割をします。ソースデバイスには、PNP、オープンエミッタ、常時Low、IEC正論理などの用語が使われます。


ソースとシンクの概念は、操作を実装するコンポーネント(トランジスタ、メカニカルリレーなど)には依存しません。この概念はあらゆるデジタル入出力回路に適用され、その回路を実装するコンポーネントは様々です。


図2.シンク出力センサ

図3.ソース出力センサ

2式/3センサ

3つ目の分類は、センサのオン状態とオフ状態で電流と電圧の関係を定義する上で重要です。2線式と3線式は、以下のように分類します。

  • 2線式センサ:データを集録するデバイスと直列に接続します。

 

図4 – 2線式センサ


センサがアクティブでない場合、通常オフ状態の漏れ電流と呼ばれる最小動作電流を引き込む必要があります。センサメーカーはこれを残留電流と呼ぶこともあります。この電流は、センサの電子部品が正常に動作するために必要です。残留電流は、センサがデータ集録デバイス以外のロードに直接接続されている場合は問題になりません。例えば工業環境では、2線式センサをモータのような低インピーダンスのデバイスに直接接続するのも珍しいことではありません。

システムで残留電流が問題となるのは、デジタルI/Oモジュールが持ちこたえられる以上の残留電流がセンサに必要な場合です。そのような場合、引き込まれている電流が想定より高いため、デジタルI/Oモジュールは誤ってオン状態を検出する可能性があります。ほとんどの2線式センサのオフ状態の漏れ電流または残留電流は1.7 mA以下となっています。

オフ状態と似たもので、センサのオン状態を維持するのに必要な最小電流というのもあり、最小保持電流と呼ばれます。この電流は通常3~20 mAの範囲になります。デジタルI/Oモジュールがこの電流をシンクまたはソースできないと、センサは正しく動作しません。

  • 3線式センサ:3線式センサは、デジタル出力ラインからではなく励起端子から電流を取り込むため、一部のメーカーではライン電源センサと呼ぶこともあります。

 



図5. 3線式センサ



これらのデバイスがデジタルI/Oモジュールから引き込む動作電流は負担電流と呼ばれ、通常20 mA前後です。この負担電流は、センサの励起端子から供給します。

センサ信号出力使用する電子部品


  センサの信号出力に使用する電子部品としては、通常以下の3種類があります。

  • メカニカルリレー
  • トランジスタ
  • 双方向FETデバイス

メカニカルリレー:メカニカルリレーとは、接点を閉じることにより回路を閉じ、接点を開いて回路を遮断する電気機械デバイスです。高電圧での電流負荷が扱えます。

ソリッドステートリレーに比べると低速で、接点の摩耗や接触抵抗の増加が発生しやすくなります。接点寿命は、負荷電流や動作周波数により異なります。カウンタやデジタルI/Oモジュールに接続すると、接点バウンスにより不安定な結果になる可能性があります。

トランジスタとは、DC電流を制御するためのソリッドステートデバイスです。低DC電力センサで出力スイッチとしてよく使用されています。トランジスタには、NPNとPNPの2つの種類があります。

図6は、NPN(電流シンク)オープンコレクタトランジスタを示しています。


図6 – センサのNPN出力

双方向FETデバイス:市販されている多くの光センサの出力部には、図7に示すような双方向FETデバイスというアーキテクチャが採用されています。このアーキテクチャには多くの利点がありますが、中でも重要なのは、TTLおよびCMOS回路と直接接続できる点です。さらに以下のようなメリットもあります。

  • オフ状態の漏れ電流が低い
  • 応答が速い

FETはField Effect Transistor(電界効果トランジスタ)の略で、動作特性が理想モデルに近いため、デジタル出力センサとしての利用に最適です。


図7 - 双方向FETデバイス出力を備えたセンサ

使いセンサ最適工業デジタルI/Oモジュール選び方

デジタルI/Oモジュールを選ぶにあたっては、次の3つの質問に答える必要があります。

  • センサが出力するデジタル信号の仕様は何ですか?これについては、このドキュメントの「センサの出力を駆動する信号の特性」で説明しています。

この質問の答えに基づき、表Aを参照して、アプリケーションに適したデジタルI/Oモジュールのタイプを確認してください。

  • センサの出力はシンク、ソースのどちらですか?

表Aでは、シンク/ソース機能に基づいてNIのボードを分類しています。例えばシンク出力を搭載したセンサを使用している場合は、ソース入力を搭載したボードを選ぶ、という具合になります。

  • センサのオフ状態の漏れ電流量と、オン状態の最小保持電流はどれくらいですか?

センサのオフ状態の漏れ電流とオン状態の最小保持電流がどれくらいか確認してください。

お客様のセンサに最適なデジタルI/Oボードを選択するため、表Bを用いてセンサの仕様とデジタルI/Oボードの仕様を比較します。電圧レベル以外にも、見過ごされがちな以下の2つの状態について確認する必要があります。

1.オフ状態の漏れ電流(センサ)<Low状態での最大入力電流(ボード)
2.最小保持電流(センサ) < High状態での最大入力電流(ボード)

NIボードオン/オフ(状態)時間ベースセンサ(周波数、デューティサイクルなど)デジタルI/Oモジュールの出力タイプ絶縁タイプチャンネル数
NI6601シンク4 CTR
NI 6602/6608シンク8 CTR
NI6624シンクチャンネル間8 CTR
NI 6501√*シンク/ソース24 DIO 1 CTR
NI 6509シンク/ソース96 DIO
NI 6514ソースバンク32 DI 32 DO
NI 6515シンクバンク32 DI 32 DO
NI 6518ソースバンク16 DI 16 DO
NI 6519シンクバンク16 DI 16 DO
NI 6520/6521シンク/ソースチャンネル間8 DI 8 DO
NI 6525√*シンク/ソースチャンネル間8 DI 8 DO 1 CTR
NI 6528シンク/ソースチャンネル間24 DI 24 DO

表A
(* USB-6501とUSB-6525はイベントカウンタを1個搭載)


NIボード電圧入力電流入力最大スイッチ容量
入力論理Low電圧(VIL)入力論理High電圧(VIL)最大入力電流(Low)最大入力電流(High)
最小最大最小最大
NI6601-0.3 VDC0.8 VDC2 VDC+0.3 VDCを��給-10 µA200 µA4 mA
NI 6602/6608-0.3 VDC0.8 VDC2 VDC+0.3 VDCを��給-10 µA200 µA4 mA
NI66240.8 VDC3.2 VDC48 VDC0.1 mA10 mA200 mA
NI 6501-0.3 VDC0.8 VDC2 VDC5.8 VDC±8 mA
NI 65090 VDC0.8 VDC2 VDCVCC-91.0 µA91.0 µA±24 mA
NI 65140 VDC±4 VDC±11 VDC±30 VDC4.5 mA/ライン12.5 mA/ライン350 mA
NI 65150 VDC±4 VDC±11 VDC±30 VDC4.5 mA/ライン12.5 mA/ライン500 mA
NI 65180 VDC±4 VDC±11 VDC±30 VDC4.5 mA/ライン12.5 mA/ライン350 mA
NI 65190 VDC±4 VDC±11 VDC±30 VDC4.5 mA/ライン12.5 mA/ライン500 mA
NI 6520/65210 VDC±4 VDC±11 VDC±30 VDC4.5 mA/チャンネル12.5 mA/チャンネル2 A
NI 6525-60 VDC1 VDC3.2 VDC60 VDC3.0 mA/チャンネル3.0 mA/チャンネル500 mA
NI 6528-60 VDC1 VDC3.2 VDC60 VDC1.5 mA2 mA150 mA

表B

デジタル出力センサ事例

測定タイプ:流量計測
製造元:宝石センサ
デジタル出力タイプ:周波数




測定タイプ:加速度(ADXL202、±2 g 2軸加速度計)
製造元:アナログデバイス
デジタル出力タイプ:デューティサイクル(TTL、CMOS互換)

測定タイプ:位置スイッチ(メカニカルリレー)
製造元:シュメルザール
デジタル出力タイプ:ON-OFF出力。


 

その他のデジタル出力センサメーカー


・オメガ
· Omron
· エンコーダ製品株式会社
· US.センサ
・センサテック
· Watlow
· PCBピエゾトロニクス
· 除草器
· 特殊測定
・セレスコ
· Endevco社
· マクロセンサ
· Transducer Techniques Inc.

1 本ページ全体を通して、「デジタルI/Oモジュール」とはデジタル出力センサに接続されたデータ集録デバイスのことを示しています。

2 Kirianaki, Yurish, Shpak, Deynega.Data Acquisition and Signal Processing for Smart Sensors, 2002 [ISBN 0-470-84317-9].