NIデータ収集:確度性能違い

内容

NIのPCベースのデータ収集 (DAQ) デバイスは、30年以上にわたって、確度と性能の基準を定める役割を果たしています。計測確度は、あらゆるデータ収集アプリケーションを設計する上で最も重要な考慮事項の1つということができます。ただしI/Oサンプリングレート、スループット、遅延時間など、システム全体に関わる性能も同様に重要です。多くの技術者や研究者にとって、スループットのために確度を犠牲にしたり、分解能のためにサンプリングレートを犠牲にするのは問題外です。NIは、長年にわたる経験を通じて、PCIからPXI、USBからワイヤレスまでのPCベースデータ収集において業界をリードするパフォーマンスを提供しながら、測定の絶対確度を最大化するいくつかの主要技術を開発してきました。

NI-MCal:3多項式によるセルフキション

NI-MCalは、3次多項式を生成するソフトウェアベースの校正アルゴリズムで、オフセット、ゲイン、非線形性という3つの一般的な計測誤差の原因を修正することができます。今日のほとんどのデータ収集デバイスは、オンボード電圧およびグランド基準を使用してA/D変換器 (ADC) で発生するオフセットおよびゲイン誤差を決定するセルフキャリブレーションを実行します。しかし、多くのデータ収集ベンダは、ADCが非線形システムであることを見落としています。これを考慮しないと、特にデバイスの最大および最小測定レンジにおいて、測定に重大な誤差が生じる可能性があります。

図1.NI-MCalは、ゲインおよびオフセット誤差の補正に加えて、高度なソフトウェアアルゴリズムを使用してすべてのADCに固有の非線形性も補正します。

NI-MCalは、ソフトウェアを使用してADCの非線形性を解析し、3次多項式を生成してADCのデジタル出力を電圧データに正確に変換します。具体的には、NI-MCalはディザリングと平均化技術を使用してADCの伝達曲線を平滑化し、3次多項式係数のセットによってADC伝達関数を線形化します。セルフキャリブレーションが実行されるたびに、NI-MCalはデータ収集デバイスの各入力レンジに対してこの手順を繰り返し、オンボードEEPROMに結果を格納します。スキャンリストの各チャンネルは、入力レンジが異なる場合でもセルフキャリブレーションされたデータを返します。

NI-PGIA 2:高速かつ正確測定

プログラマブルゲイン計装用アンプ (PGIA) は、ADCの次に重要なデータ収集デバイスです。PGIAは、様々なゲイン設定を使用してスケールされた電圧信号をADCに提供し、データ収集デバイスの分解能を最大化します。ほとんどの商用PGIAは、整定時間が長すぎるためデータ収集アプリケーション向けには最適化されていません。整定時間とは、増幅された信号が一定の確度に到達するまでに必要な時間を指します。整定時間が短いほど、確度を犠牲にすることなくサンプリングレートが速くなるため、1つのデバイスで複数のチャンネルを異なる電圧レベルでスキャンする場合、これは重要な仕様です。

図2.NI-PGIA 2は、レガシーNI-PGIAおよび市販のPGIAと比較して、データ収集デバイス上の2つの隣接チャンネル間で20 Vステップの整定時間が大幅に向上します。

NI MシリーズデバイスのNI-PGIA 2カスタムアンプ設計では、信号経路をADCと組み合わせた完全バランス設計となっています。NI-PGIA 2テクノロジーは、整定時間を最小限に抑え、デバイスの最高サンプリングレートにおいても指定の分解能を維持することで、確度と性能を高める技術です。上の図2は、高速NI-PGIA 2が20 Vステップ (最悪の場合) で1.5 µs以内に誤差を実質的にゼロに整定する様子を示しています。

USBベースのDAQデバイスを使用して簡単に測定を行う方法のビデオを視聴する

絶縁

多くのNIのDAQデバイスには、計測確度とデバイス性能を高める様々なレベルの電気的絶縁機能が搭載されています。計測システムにおける「絶縁」とは、高電圧過渡やノイズにさらされる可能性のあるセンサ信号を、計測システムの低電圧バックプレーンから電気的、物理的に切り離すことです。ユーザや高価な機器、データを有害な過渡電圧から保護するほか、ノイズイミュニティの向上やグランドループの除去、コモンモード電圧除去性能の向上といったメリットがあります。

図3.絶縁は、測定システムの低電圧バックエンドから危険信号を分離することで、保護を提供し、ノイズ耐性を向上させます。

絶縁されたNIのDAQデバイスは、アナログおよび/またはデジタルフロントエンドとデバイスバックプレーンの地板を分けることで、センサ計測部分をシステムの他の部分から切り離しています。絶縁機能付きフロントエンドのグランド接続は、接地グランドとは異なる電位で動作可能な浮動ピンです。グランドと計測システムグランドの間に存在するコモンモード電圧は、(デバイスの動作電圧仕様内で)すべて拒否されます。また、グランドループが形成されるのも防ぐため、計測信号内のノイズを減らすことができます。DAQデバイスは、チャンネルごと、チャンネルグループごと、あるいはシステム全体で絶縁することができます。

絶縁により測定ノイズを低減する5つの方法

NI信号ストリーミング

計測アプリケーションの多様性を認識するNIでは、特定のPCバス技術に依存しないデータ収集を展開しています。NI-DAQmx APIは、PCI、PCI Express、PXI、PXI Express、USB、Ethernet、Wi-Fiで同じものを使用することができます。それぞれのバスは可搬性やスループット、遅延時間など特性が異なるため、NIの信号ストリーミング技術により、異なるアーキテクチャの複雑なプログラミングをユーザが行わずにすむようになります。たとえば、NI信号ストリーミング技術では、USB転送の低スループットと高遅延時間を克服して、ケーブル接続されたUSB DAQデバイスでの双方向波形ストリーミングが可能となります。

図4.NI USB DAQデバイス用NI信号ストリーミングには、バスを介して連続双方向波形データをストリーミングするためのカスタムハードウェアおよびソフトウェアインタフェースが含まれています。

USB向けに開発された技術が、EthernetやIEEE 802.11(Wi-Fi)など他の計測バスにも適用されています。その結果、ソフトウェアを変更することなく、PCI DAQデバイス用に開発されたアプリケーション (高速アプリケーションを含む) をUSBまたはワイヤレスDAQデバイス向けに再利用することが可能となっています。つまり、NIのデDAQ技術は、どのバスにも依存していないということになります。