テスト、制御、設計したデジタルI/O

概要

高度なパターンを生成してカスタム回路の特性解析を実行したり、制御ラインを切り替えて製造を自動化したり、デジタル設計のプロトタイプを作成したりなど、どのようなアプリケーションでも、ある程度のデジタル入出力機能は必要になります。NIでは、速度、電圧、タイミングなど多彩なオプションのデジタルI/O (DIO) 製品を幅広く提供して、テスト、制御、設計アプリケーションのデジタルI/Oニーズにお応えしています。

内容

テスト/計測デジタルI/O

多くのデジタル自動テスト装置 (ATE) システムでは、0と1のパターンを生成/集録して、DUT (検査対象デバイス) と通信します。ところがデジタルコンポーネントの進化に伴い、オン/オフだけのシンプルなロジックアナライザでは対応しきれない機能を持つ高度なデジタルテストシステムが求められるようになりました。チップ速度の向上やシリアル対パラレルのデジタルプロトコルへの流れにより、かつてないほどの高いサンプリングレートが求められるようになってきています。また、製造と市場投入期日へのプレッシャーから、ハードウェアレベルのテストも短時間で終わらせることが求められます。その間にも、様々な電圧レベルのシングルエンド/差動信号の新しいロジックファミリにより、テストの複雑さは増すばかりです。NIの高速デジタルI/O (HSDIO) デバイスは、そのようなハイエンドデジタルテストアプリケーションのニーズに適した各種デジタルATEや刺激応答機能を備えています。

  • クロックレートとデータレートはそれぞれ最大200 MHzと400 Mb/秒で、最新の集積回路、FPGA (field-programmable gate arrays)、デジタル通信デバイスなどのテストに不可欠なハードウェアタイミングによる高精度制御が可能です。
  • サイクルごと、チャンネルごとの双方向制御とハードウェアでの集録応答データのリアルタイム比較により、ビットエラーレートテスト (BERT)、検証と妥当性確認 (V&V) のための故障解析、製造の合否テストなどのアプリケーション開発が容易になります。
  • プログラムで設定可能な電圧レベルは-2.0 Vから5.5 Vで、複数のロジックファミリと通信できる柔軟なデジタルシステムを構築したり、特定のDUTの上限と下限を指定することができます。

プログラム可能な電圧レベル

図1:プログラム可能な電圧レベル

  • 6つの論理チャンネル状態には論理LOW (0)、論理HIGH (1)、トライステート (Z)、 論理HIGH比較 (H)、論理LOW比較 (L)、無視 (X) があり、デジタルテスト波形の定義やデジタルテスタの動作の制御が行えます。
  • 複数のデバイスの同期では、外部配線をしなくても、多チャンネルシステムでナノ秒単位以下の同期が可能です。
  • 柔軟なハンドシェイクモードにより、信号の同期および非同期交換を行って、テストシステムとDUTの間のデータ転送を要求したり認識したりできます。

デジタルATEには、ソフトウェアも重要な要素です。NI Digital Waveform Editorは、カスタムインタフェース/テストアプリケーションで使用するためのデジタル波形の可視化、作成、編集、修正を行うツールです。データ操作がグラフィカルに簡単に行えることが特徴です。デジタル波形を一から設計することも、設計ツールから.VCD (Value Change Dump) またはASCIIファイル形式で既存の波形をインポートすることもできます。さらに、データを集録するとDigital Waveform Editorでビットエラーがハイライトされるので、不整合性を視覚化し、タイミング要件を評価したり波形を更新して設計の欠陥を取り除いたりすることも可能です。NI LabVIEWグラフィカル開発環境とNI TestStandテスト管理ソフトウェアを組み合わせたDigital Waveform Editorは、あらゆるデジタルテストシステムに必要なソフトウェアコンポーネントをすべて備えています。

表1は、NIの高速デジタルI/Oの概要を示しています。

製品ライン

バス

最大データレート

電圧
レベル

チャンネル数

最大オンボードメモリ

NI 654x

PCI、PXI

100 Mb/s

5.0、3.3、2.5、1.8 V

32

64 Mb/ch

NI 653x

PCI Express、PXI Express

50 Mb/s

2.5、3.3 V(5 V対応)

32

32 Mb/ch

表1:NIの高速デジタルI/Oデバイス

工業制御/オートメーションデジタルI/O

工業アプリケーションには、一般的な測定デバイスが提供できる以上の機能が求められることがよくあります。たとえば、多くの工業用センサやアクチュエータでは、24 Vの論理レベルが必要です。さまざまな電位差で動作するため、グランドループを引き起こす場合があります。測定/制御システムへの安全性とユーザ/オペレータへの安全性は、同等に重要です。最大150 Vの電圧レベル、高電流ドライブ、絶縁を備えたNI工業用デジタルI/Oデバイスは、さまざまな配列の工業用ポンプ、バルブ、モータ、センサ/アクチュエータに直接接続できるだけでなく、高い安全性と信頼性を確保できます。

24 Vの論理レベルと絶縁を用いた工業用測定

図2:24 Vの論理レベルと絶縁を用いた工業用測定

これら低コストのデバイスは、工場オートメーション、組込マシン制御、および製造ライン検査などの工業用制御/製造テストシステムに最適です。さらに、NI工業用デジタルI/Oデバイスは、信頼性の高い工業用向け機能を備えており、要件の厳しいアプリケーションでも自動化することができます。

  • 絶縁によりノイズが軽減され、電圧範囲が拡張されるとともに、工業用センサやアクチュエータに直接接続できるようになります。
  • プログラム可能電源投入状態は、ポンプやモータ、そのほかの工業用アクチュエータ/マシンに接続した際に、安全性を確保できる既知の初期状態に設定します。
  • デジタルI/Oウォッチドッグは安全保護機能で、コンピュータまたはアプリケーションの機能停止を監視し、システムが安全に回復できる状態にします。
  • 変化検出機能により、デジタルイベントが発生するとアプリケーションに自動的にトリガがかかり、デジタル読み取り動作を実行します。この時のプロセッサの使用率は最小限に抑えられます。
  • プログラム可能な入力フィルタは、入力時のチャタリングやノイズ、グリッチ/スパイクを除去したり、デジタルスイッチ、リレーをデバウンスすることができます。
  • 工業規格 (CE、FCC、C-Tick、UL、VDE) の認定を受けているため、世界のほとんどの地域でEMIに準拠し、過酷な環境でも安全に動作できるシステムであることが保証されます。

工業用DIOは、工業用NI MシリーズおよびSシリーズマルチファンクションデバイスを含む工業用DAQ製品パッケージの一部です。これらのデバイスをNIプログラマブルオートメーションコントローラ (PAC) プラットフォームで使用することで、論理、モーション、プロセス制御、画像アプリケーションなどをシームレスに統合できる工業用I/Oが実現します。NI PACは、PLCの堅牢性とPCの機能性を柔軟なオープンソフトウェアアーキテクチャに統合したものです。LabVIEWを使用すると、工業用DAQおよびデジタルI/O機能を備えたPACにより既存のPLCアプリケーションと通信して、工業機械に高度な機能を追加したり、効率を向上させたりすることができます。

Innoventor飲料包装システム

図3:Innoventor 飲料包装システム

工業用機能の詳細はこちらを参照してください。表2は、NIの工業用デジタルI/Oの概要を示しています。

製品ライン

バス

最大チャンネル数

電圧

絶縁

NI 650x 
低コストデバイス

PCIe、PXIe、USB

96 DIO

5 V TTL/CMOS

NI 652x 
高電圧リレー

PCI、PXI

24 DI、24 DO

60~150 V

チャンネル間

NI 660x 
カウンタ/タイマ

PCI

8 CTR

5 V TTL、48 VDC

チャンネル間

表2: NIの工業用デジタルI/O製品

設計プロトタイプデジタルI/O

設計とは、本質的に反復を繰り返すプロセスです。どのようなアプリケーションでも、設計サイクルは定義、シミュレーション、プロトタイプ、そしてテストという順序で進み、通常これらのサイクルはレビジョンが更新されるたびに繰り返されます。これらの段階を簡単に行ったり来たりする方法があれば、設計の効率を最大限に高めることができます。NI LabVIEWを使ってグラフィカルシステム設計を行うと、1つのプラットフォームで設計サイクル全体に対応できるので便利です。さらに、再構成可能ハードウェアをLabVIEW FPGAモジュールと組み合わせることで、設計、プロトタイピング、デプロイメントのすべての段階において、ハードウェアおよびソフトウェアの柔軟性が他に類を見ないものとなります。

再構成可能ハードウェアには、ユーザ定義のオンボードFPGA処理機能が搭載されており、システムのタイミングとトリガを完全に制御できます。LabVIEW FPGAモジュールでLabVIEWブロックダイアグラムを作成すれば、VHDLの経験がなくてもFPGAチップを構成でき、全てのI/Oを直接制御することが可能となります。これにより、40 MHzを超えるレートでのオンボード意思決定のみならず、ユーザが構成できる高性能なタイミングと同期を実行できます。

たとえば、サポートされていない、あるいはカスタムのデジタル通信プロトコルを使用しているアプリケーションを開発する場合、LabVIEW FPGAモジュールを使用すると、FPGAベースのRシリーズマルチファンクションRIOハードウェアでさまざまな通信インタフェースをすばやく実装またはプロトタイプすることができます。

RシリーズマルチファンクションRIOおよびLabVIEW FPGAを使用したカスタムデジタルプロトコル

図4:RシリーズマルチファンクションRIOおよびLabVIEW FPGAを使用したカスタムデジタルプロトコル

LabVIEW FPGAを使用すると、各デバイスの「特性」をプログラミングすることができます。この場合の特性とは、オンボードFPGAにダウンロードされた構成情報を含んだコンパイル済みのビットファイルです。特性が固定されたデバイスや特定用途向け集積回路 (ASIC) を搭載したデバイスとは異なり、ボードをカスタマイズすることが可能になります。設計やプロトタイプを何度も繰り返すうちに特性の変更が必要になっても、LabVIEWブロックダイアグラムを修正して再コンパイルするだけ、という手軽さです。特性が完成すると、デバイスへはWindows用LabVIEWまたはLabVIEW Real-Timeでアクセスできるようになるため、LabVIEW FPGAはもう必要ありません。カスタムRIOの特性の詳細については、下記の関連リンクをご覧ください。

NI再構成可能I/Oハードウェアには、入力、出力、カウンタ/タイマデバイス、パルス幅変調などを個別に構成できる最大160のデジタルI/Oラインがあります。表3にこれらのオプションの概要を示します。

製品ライン

バス

DIO

アナログ入力

アナログ出力

NI 783xR、784xR、785xR再構成可能マルチファンクションI/Oモジュール

PCI、PXI、USB

48~96

4~8

4~8

NI 781xR、NI 782x 
再構成可能デジタルI/Oモジュール

PCI、PXI、PXIe

128~160

表3:NI RシリーズマルチファンクションRIO

NI高速デジタルI/O デバイスは、デジタルデバイス設計プロセスに組み込まれている多数の一般的なテストに別のオプションを提供します。たとえば、高速刺激応答テストや非標準電圧レベルを扱う必要のあるアプリケーションの場合、インテリジェントDAQボードとともにNI HSDIOを使用して設計を行うことをお勧めします。HSDIOデバイスはさらに高速なデバイスとも通信可能で、最大400 Mb/秒でデータを転送することができます。詳しくは以下の関連リンクをご覧ください。