多くのデジタル自動テスト装置 (ATE) システムでは、0と1のパターンを生成/集録して、DUT (検査対象デバイス) と通信します。ところがデジタルコンポーネントの進化に伴い、オン/オフだけのシンプルなロジックアナライザでは対応しきれない機能を持つ高度なデジタルテストシステムが求められるようになりました。チップ速度の向上やシリアル対パラレルのデジタルプロトコルへの流れにより、かつてないほどの高いサンプリングレートが求められるようになってきています。また、製造と市場投入期日へのプレッシャーから、ハードウェアレベルのテストも短時間で終わらせることが求められます。その間にも、様々な電圧レベルのシングルエンド/差動信号の新しいロジックファミリにより、テストの複雑さは増すばかりです。NIの高速デジタルI/O (HSDIO) デバイスは、そのようなハイエンドデジタルテストアプリケーションのニーズに適した各種デジタルATEや刺激応答機能を備えています。
図1:プログラム可能な電圧レベル
デジタルATEには、ソフトウェアも重要な要素です。NI Digital Waveform Editorは、カスタムインタフェース/テストアプリケーションで使用するためのデジタル波形の可視化、作成、編集、修正を行うツールです。データ操作がグラフィカルに簡単に行えることが特徴です。デジタル波形を一から設計することも、設計ツールから.VCD (Value Change Dump) またはASCIIファイル形式で既存の波形をインポートすることもできます。さらに、データを集録するとDigital Waveform Editorでビットエラーがハイライトされるので、不整合性を視覚化し、タイミング要件を評価したり波形を更新して設計の欠陥を取り除いたりすることも可能です。NI LabVIEWグラフィカル開発環境とNI TestStandテスト管理ソフトウェアを組み合わせたDigital Waveform Editorは、あらゆるデジタルテストシステムに必要なソフトウェアコンポーネントをすべて備えています。
表1は、NIの高速デジタルI/Oの概要を示しています。
製品ライン | バス | 最大データレート | 電圧 | チャンネル数 | 最大オンボードメモリ |
NI 654x | PCI、PXI | 100 Mb/s | 5.0、3.3、2.5、1.8 V | 32 | 64 Mb/ch |
NI 653x | PCI Express、PXI Express | 50 Mb/s | 2.5、3.3 V(5 V対応) | 32 | 32 Mb/ch |
表1:NIの高速デジタルI/Oデバイス
工業アプリケーションには、一般的な測定デバイスが提供できる以上の機能が求められることがよくあります。たとえば、多くの工業用センサやアクチュエータでは、24 Vの論理レベルが必要です。さまざまな電位差で動作するため、グランドループを引き起こす場合があります。測定/制御システムへの安全性とユーザ/オペレータへの安全性は、同等に重要です。最大150 Vの電圧レベル、高電流ドライブ、絶縁を備えたNI工業用デジタルI/Oデバイスは、さまざまな配列の工業用ポンプ、バルブ、モータ、センサ/アクチュエータに直接接続できるだけでなく、高い安全性と信頼性を確保できます。
図2:24 Vの論理レベルと絶縁を用いた工業用測定
これら低コストのデバイスは、工場オートメーション、組込マシン制御、および製造ライン検査などの工業用制御/製造テストシステムに最適です。さらに、NI工業用デジタルI/Oデバイスは、信頼性の高い工業用向け機能を備えており、要件の厳しいアプリケーションでも自動化することができます。
工業用DIOは、工業用NI MシリーズおよびSシリーズマルチファンクションデバイスを含む工業用DAQ製品パッケージの一部です。これらのデバイスをNIプログラマブルオートメーションコントローラ (PAC) プラットフォームで使用することで、論理、モーション、プロセス制御、画像アプリケーションなどをシームレスに統合できる工業用I/Oが実現します。NI PACは、PLCの堅牢性とPCの機能性を柔軟なオープンソフトウェアアーキテクチャに統合したものです。LabVIEWを使用すると、工業用DAQおよびデジタルI/O機能を備えたPACにより既存のPLCアプリケーションと通信して、工業機械に高度な機能を追加したり、効率を向上させたりすることができます。
図3:Innoventor 飲料包装システム
工業用機能の詳細はこちらを参照してください。表2は、NIの工業用デジタルI/Oの概要を示しています。
製品ライン | バス | 最大チャンネル数 | 電圧 | 絶縁 |
NI 650x | PCIe、PXIe、USB | 96 DIO | 5 V TTL/CMOS | — |
NI 652x | PCI、PXI | 24 DI、24 DO | 60~150 V | チャンネル間 |
NI 660x | PCI | 8 CTR | 5 V TTL、48 VDC | チャンネル間 |
表2: NIの工業用デジタルI/O製品
設計とは、本質的に反復を繰り返すプロセスです。どのようなアプリケーションでも、設計サイクルは定義、シミュレーション、プロトタイプ、そしてテストという順序で進み、通常これらのサイクルはレビジョンが更新されるたびに繰り返されます。これらの段階を簡単に行ったり来たりする方法があれば、設計の効率を最大限に高めることができます。NI LabVIEWを使ってグラフィカルシステム設計を行うと、1つのプラットフォームで設計サイクル全体に対応できるので便利です。さらに、再構成可能ハードウェアをLabVIEW FPGAモジュールと組み合わせることで、設計、プロトタイピング、デプロイメントのすべての段階において、ハードウェアおよびソフトウェアの柔軟性が他に類を見ないものとなります。
再構成可能ハードウェアには、ユーザ定義のオンボードFPGA処理機能が搭載されており、システムのタイミングとトリガを完全に制御できます。LabVIEW FPGAモジュールでLabVIEWブロックダイアグラムを作成すれば、VHDLの経験がなくてもFPGAチップを構成でき、全てのI/Oを直接制御することが可能となります。これにより、40 MHzを超えるレートでのオンボード意思決定のみならず、ユーザが構成できる高性能なタイミングと同期を実行できます。
たとえば、サポートされていない、あるいはカスタムのデジタル通信プロトコルを使用しているアプリケーションを開発する場合、LabVIEW FPGAモジュールを使用すると、FPGAベースのRシリーズマルチファンクションRIOハードウェアでさまざまな通信インタフェースをすばやく実装またはプロトタイプすることができます。
図4:RシリーズマルチファンクションRIOおよびLabVIEW FPGAを使用したカスタムデジタルプロトコル
LabVIEW FPGAを使用すると、各デバイスの「特性」をプログラミングすることができます。この場合の特性とは、オンボードFPGAにダウンロードされた構成情報を含んだコンパイル済みのビットファイルです。特性が固定されたデバイスや特定用途向け集積回路 (ASIC) を搭載したデバイスとは異なり、ボードをカスタマイズすることが可能になります。設計やプロトタイプを何度も繰り返すうちに特性の変更が必要になっても、LabVIEWブロックダイアグラムを修正して再コンパイルするだけ、という手軽さです。特性が完成すると、デバイスへはWindows用LabVIEWまたはLabVIEW Real-Timeでアクセスできるようになるため、LabVIEW FPGAはもう必要ありません。カスタムRIOの特性の詳細については、下記の関連リンクをご覧ください。
NI再構成可能I/Oハードウェアには、入力、出力、カウンタ/タイマデバイス、パルス幅変調などを個別に構成できる最大160のデジタルI/Oラインがあります。表3にこれらのオプションの概要を示します。
製品ライン | バス | DIO | アナログ入力 | アナログ出力 |
NI 783xR、784xR、785xR再構成可能マルチファンクションI/Oモジュール | PCI、PXI、USB | 48~96 | 4~8 | 4~8 |
NI 781xR、NI 782x | PCI、PXI、PXIe | 128~160 | — | — |
表3:NI RシリーズマルチファンクションRIO
NI高速デジタルI/O デバイスは、デジタルデバイス設計プロセスに組み込まれている多数の一般的なテストに別のオプションを提供します。たとえば、高速刺激応答テストや非標準電圧レベルを扱う必要のあるアプリケーションの場合、インテリジェントDAQボードとともにNI HSDIOを使用して設計を行うことをお勧めします。HSDIOデバイスはさらに高速なデバイスとも通信可能で、最大400 Mb/秒でデータを転送することができます。詳しくは以下の関連リンクをご覧ください。