アナログ​信号​の​配線​と​ノイズ​に関する​注意事項

概要

データ​収集​デバイス​で​アナログ​信号​を​測定​する​こと​は、​必ずしも​信号​ソース​を​配線​する​だけ​で​測定​できる​ほど​容易​では​ありま​せん。​正確​で​ノイズ​の​ない​測定​を​行う​に​は、​信号​ソース​の​性質​に関する​知識、​データ​収集​デバイス​の​適切​な​構成、​適切​な​配線​スキーム​が​必要​です。​収集​データ​の​整合性​は、​アナログ​信号​の​パス​全体​に​依存​し​ます。​ほとんど​の​データ​収集​デバイス​は、​さまざま​な​アプリケーション​に​対処​できる​よう​に、​アナログ​入力​構成​において​ある程度​の​柔軟性​を​備え​てい​ます。​ただし、​その​代償​として​各​入力​構成​の​適切​な​利用​方法​や​それぞれ​の​利点​について​は​混乱​し​やすい​ので、​この​ドキュメント​では​データ​収集​デバイス​で​使用​可能​な​入力​構成​の​タイプ​を​明確​にし、​アプリケーション​に​最適​な​構成​を​選択、​使用​する​方法​について​説明​し​ます。​また、​干渉​ノイズ​が​取り​込​ま​れる​メカニズム​と、​適切​な​配線​や​シールド​を​施​し​て​干渉​ノイズ​を​最小限​に​抑える​方法​について​も​説明​し​ます。​信号​ソース​と​測定​システム​の​タイプ​について​理解​する​こと​が​適切​な​測定​テクニック​を​選択​する​ため​の​前提​条件​で​ある​ため、​まずは​それら​について​説明​し​ます。

内容

信号​ソース​と​測定​システム​の​タイプ

センサ​に​関連​する​信号​調節​回路​で​用​い​られる​最も​一般​的​な​電気​的​等価​は、​電圧​形式​です。​過酷​な​環境​下​で​長い​配線​が​必要​な​場所​では、​電流​や​周波数​など​他の​電気​現象​へ​変換​する​こと​が​あり​ます。​実際​に​は​すべて​の​場合​において、​変換​さ​れ​た​信号​が​測定​前​の​時点​で​電圧​信号​に​逆​変換​さ​れる​ため、​電圧​信号​ソース​を​理解​する​こと​が​重要​となり​ます。

電圧​信号​は​2​点​間​の​電位差​として​測定​が​行​われ​ます。​これ​を​図​1​に​示し​ます。



図​1. 電圧​信号​ソース​と​測定​システム​の​モデル

 

電圧​ソース​は、​接地​型​と​浮動​型 (接地​なし) の​2​種類​に​分類​する​こと​が​でき​ます。​同様​に、​測定​システム​も​接地​型​または​グランド​基準​型​と​浮動​型 (接地​なし) の​2​種類​に​分類​さ​れ​ます。

 

接地​型​または​グランド​基準​型​信号​ソース

接地​型​ソース​と​は、​建物​の​システム​グランド​と​接続​さ​れ​て​いる​電圧​信号​ソース​の​こと​です。​接地​型​ソース​の​最も​一般​的​な​例​として、​出力​信号​が​明示​的​に​浮動​で​ない​共通​の​プラグ​イン​計測​器​が​あり​ます。図​2​は​接地​型​信号​ソース​を​示し​ます。




図​2. 接地​型​信号​ソース

 

通常、​2​つ​の​接地​型​信号​ソース​では​電位差​が​生​じ​ます。​同じ建物の電力システムに接続された​2​つ​の​計測​器​の​グランド​電位差​は、​通常​は​10 mV​~​200 mV​ですが、​配電​回路​が​適切​に​接続​さ​れ​てい​ない​と​電位差​が​それ​以上​に​なる​場合​が​あり​ます。

 

浮動​型 (接地​なし​または​非​基準​化) 信号​ソース

浮動​型​ソース​と​は、​電圧​信号​が​アース​または​建物​の​グランド​など​の​どの​システム​グランド​に​も​接続​さ​れ​てい​ない​信号​ソース​の​こと​です。​浮動​型​信号​ソース​の​一般​的​な​例​として​は、​電池、​電池​式​信号​ソース、​熱電​対、​変圧​器、​絶縁​型​アンプ、​および​出力​信号​が​明示​的​に​浮動​で​ある​計測​器​など​が​あり​ます。浮動​型​信号​ソース​は​図​3​に​示す​とおり​です。




図​3. 浮動​型 (接地​なし​または​非​基準​化) 信号​ソース

 

浮動​型​信号​ソース​では、​信号​ソース​の​端子​の​どちら​も​コンセント​の​グランド​に​接続​さ​れ​てい​ま​せん。​各​端子​は​アース​から​離れ​てい​ます。

 

差動​および​非​基準​化​測定​システム

差動​または​非​基準​化​測定​システム​の​入力​は、​固定​さ​れ​た​基準 (アース​や​建物​の​グランド​など) に​接続​さ​れ​てい​ま​せん。​この​測定​システム​の​例​として​は、​携帯​型​の​電池​式​計測​器​および​計​装用​アンプ​を​搭載​した​データ​収集​デバイス​など​が​あり​ます。​通常​の​NI​の​デバイス​は、​図​4​に​示す​よう​に​8​チャンネル​の​差動​測定​システム​として​使用​でき​ます。​アナログ​マルチプレクサ​を​使用​する​こと​で、​計​装用​アンプ​が​1​つ​しか​なく​て​も​測定​チャンネル​数​を​増やす​こと​が​でき​ます。​図​4​では、​AI GND (アナログ​入力​グランド) ピン​は​測定​システム​グランド​です。




図​4. 8​チャンネル​の​差動​測定​システム

 

理想​的​な​差動​測定​システム​は、​2​つ​の​端子​間 (正 (+) と​負 (-) の​入力) の​「電位差」​のみ​に​反応​し​ます。アンプ​の​両方​の​入力​端子​に​存在​し、​計​装用​アンプ​の​グランド​に対して​測定​さ​れる​電圧​は​コモ​ン​モード​電圧​と​呼​ば​れ​ます。​理想​的​な​差動​測定​システム​では​コモ​ン​モード​電圧​を​完全​に​除去​でき、​測定​結果​に​現れ​ま​せん。​多く​の​場合、​配線​システム​の​回路​に​余分​な​ノイズ​が​コモ​ン​モード​電圧​として​取り​込​まれ​ます​が、​差動​測定​システム​を​使用​する​こと​で、​ノイズ​の​除去​を​行う​こと​が​でき​ます。​ただし、​実用​的​な​デバイス​に​は​コモ​ン​モード​電圧​レンジ​や​コモ​ン​モード​除去​比 (CMRR) など​の​パラメータ​で​示​さ​れる​いくつか​の​制限​が​あり、​コモ​ン​モード​電圧​を​完全​に​は​除去​でき​ない​こと​が​あり​ます。

コモ​ン​モード​電圧Vcmは​以下​の​よう​に​定義​さ​れ​ます。

 

V cm = (V + + V )/2

 

この​とき、V+は​測定​システム​グランド​に対する​非​反転​端子​の​電圧​で、Vは​測定​システム​グランド​に対する​反転​端子​の​電圧​です。​CMRR​は​dB​単位​で​以下​の​よう​に​定義​さ​れ​ます。

 

CMRR (dB) = 20 log (微分​ゲイ​ン/​同相​ゲイ​ン)

 

CMRR​を​表す​簡単​な​回路​は​図​5​に​示す​とおり​です。​この​回路​では、​dB​単位​の​CMRR​は​20 log Vcm/Vout (ここ​でV+ = V = Vcm) で​測定​さ​れ​ます。



図​5. CMRR​測定​回路

 

コモ​ン​モード​電圧​の​範囲​によって、​測定​システム​グランド​に対する​各​入力​の​許容​電圧​の​範囲​が​制限​さ​れ​ます。​この​制限​を​超​え​た​場合、​測定​値​の​誤差​が​生じる​だけ​で​なく​デバイス​の​コンポーネント​が​損傷​する​原因​とも​なり​ます。​上記​で​説明​した​よう​に、​CMRR​は​差動​測定​システム​で​測定​し、​コモ​ン​モード​電圧​信号​を​除去​する​能力​を​示し​てい​ます。​CMRR​は​周波数​の​関数​で、​通常​は​周波数​で​返​さ​れ​ます。​平衡​回路​を​使用​すると、​CMRR​を​最適​化​でき​ます。​詳細​は​この​ドキュメント​の​後半​で​説明​し​ます。​ほとんど​の​データ​収集​デバイス​は、​最大​60 Hz​の​CMRR (電線​周波数) の​仕様​を​定め​てい​ます。

 

グランド​または​グランド​基準​測定​システム

グランド​または​グランド​基準​測定​システム​は、​グランド​に対して​測定​を​行う​点​で​接地​型​ソース​に​似​てい​ます。​図​6​は、​8​チャンネル​グランド​測定​システム​を​示し​ます。​これ​は、​シングル​エンド​測定​システム​とも​呼​ば​れ​ます。




図​6. 8​チャンネル​グランド​基準​化​シングル​エンド (RSE) 測定​システム

 

通常、​データ​収集​デバイス​では、​非​基準​化​シングル​エンド (NRSE) 測定​として​知​られる​シングル​エンド​測定​の​さまざま​な​テクニック​が​見​ら​れ​ます。​NRSE​測定​システム​は​図​7​に​示す​とおり​です。



図​7. 8​チャンネル​NRSE​測定​システム

 

NRSE​測定​システム​では、​すべて​の​測定​は​単一​ノード​の​アナログ​入力​センス (AI SENSE) に対して​行​われ​ます​が、​この​ノード​で​の​電位​は​測定​システム​グランド (AI GND) に対して​異なる​場合​が​あり​ます。​図​7​は、​単一​チャンネル​NRSE​測定​システム​が​単一​チャンネル​差動​測定​システム​と​同じ​で​ある​こと​を​示し​ます。

異なる​信号​ソース​タイプ​と​測定​システム​を​認識​できる​と、​各​信号​ソース​タイプ​に​適切​な​測定​システム​を​検討​できる​よう​に​なり​ます。

 

接地​型​信号​ソース​を​測定​する

接地​型​信号​ソース​は、​差動​または​非​基準​化​測定​システム​で​測定​する​の​が​最も​適​し​てい​ます。​図​8​は、​グランド​基準​測定​システム​で​接地​型​信号​ソース​を​測定​する​場合​の​問題​点​を​示し​てい​ます。​この​場合、​測定​さ​れ​た​電圧 (Vm) は、​信号​電圧 (Vs) と、​信号​ソース​グランド​と​測定​システム​グランド​間​に​存在​する​電位差​で​ある​DVgの​和​です。​この​電位差​は、​通常​DC​レベル​では​ありま​せん。​ノイズ​の​多い​測定​システム​では、​読み取り​値​に​電源​周波数 (60 Hz) 成分​が​含​ま​れる​場合​が​よく​あり​ます。​グラウンド​ループ​によって​生​じ​た​ノイズ​に​は、​AC​および​DC​成分​の​両方​が​含​まれ、​測定​時に​オフセット​誤差​や​ノイズ​が​生じる​可能性​が​あり​ます。​2​つ​の​グランド​間​の​電位差​は、​配線​上​に​電流​が​流れる​原因​となり​ます。​この​電流​は、​グラウンド​ループ​電流​と​呼​ば​れ​ます。




図​8. 接地​型​信号​ソース​を​グランド​基準​システム​で​測定​した​こと​で​グラウンド​ループ​が​発生

 

グランド​基準​システム​は、​信号​電圧​レベル​が​高​く、​信号ソースと測定デバイス間の配線のインピーダンスが低ければ、​使用​し​て​も​問題​ありま​せん。​この​場合、​信号​電圧​測定​値​は​グラウンド​ループ​によって​悪化​し​ます​が、​許容​範囲​内​で​ある​と​考え​ら​れ​ます。​接地​型​信号​ソース​を​グランド​基準​測定​システム​に​接続​する​前​に、​信号​ソース​の​極性​を​確認​する​必要​が​あり​ます。​これ​は、​信号ソースがグランドに短絡され、​信号​ソース​に​損傷​を​与える​可能性​が​ある​ため​です。​配線​に関する​注意事項​は​この​ドキュメント​の​後半​で​説明​し​ます。

差動​測定 (DIFF) システム​や​非​基準​化​シングル​エンド (NRSE) 測定​システム​の​入力​構成​は、​一般​的​な​データ​収集​デバイス​に対して​非​基準​測定​を​行い​ます。​いずれ​の​場合​も、​信号​ソース​と​測定​デバイス​の​基準​間​の​電位差​は、​測定​システム​に対して​コモ​ン​モード​電圧​として​現れ​ます​が、​測定​さ​れる​信号​では​この​コモ​ン​モード​電圧​は​差し​引​か​れ​ます。​これ​を​示し​た​の​が​図​9​です。




図​9. 接地​型​信号​ソース​の​測定​に​使用​する​差動​測定​システム

 

浮動​型​信号​ソース (非​基準​化) を​測定​する

浮動​型​信号​ソース​は、​差動​および​シングル​エンド​測定​システム​の​どちら​でも​測定​する​こと​が​でき​ます。​ただし、​差動​測定​システム​を​使用​する​場合​は、​測定​システム​グランド​に対する​信号​の​コモ​ン​モード​電圧​レベル​が、​測定​デバイス​の​コモ​ン​モード​入力​レンジ​内​で​ある​こと​を​確認​し​ます。

浮動​型​信号​ソース​の​電圧​レベル​は、​さまざま​な​現象 (計​装用​アンプ​入力​バイアス​電流​など) によって​データ​収集​デバイス​の​入力​ステージ​の​有効​な​レンジ​範囲​外​に​なる​可能性​が​あり​ます。​この​電圧​レベル​を​ある​基準​に​安定​させる​に​は、​図​10​に​示す​よう​に​抵抗​を​用​い​ます。​バイアス​抵抗​と​呼ばれる​これらの​抵抗​を​用いる​こと​により、​計​装用​アンプ​の​入力​から​計​装用​アンプ​の​グランド​へ​の​DC​パス​が​用意​さ​れ​ます。​これらの​抵抗​は、​ソース​が​測定​基準 (前述​の​測定​システム​に​説明​が​ある​AI GND) に対して​浮動​で​あり、​信号​ソース​を​ロード​し​なく​て​も​デバイス​の​入力​範囲​の​電圧​値​を​維持​できる​値​で​なく​て​は​なり​ま​せん。​熱電​対​や​信号​調節​モジュール​の​出力​など​の​低​インピーダンス​を​持つ​ソース​では、​通常​10 kΩ​~​100 kΩ​の​値​が​適​し​てい​ます。​これらの​バイアス​抵抗​は、​各​リード​と​測定​システム​の​グランド​の​間​に​接続​さ​れ​ます。

警告: このような抵抗を使用しないと読み取り値が一定しなかったり、​プラス​の​フル​スケール​または​マイナス​の​フル​スケール​に​飽和​した​り​する​こと​が​あり​ます。

入力​信号​が​DC​カプリング​さ​れ​て​いる​場合、​(–) 入力​から​測定​システム​の​グランド​に​接続​さ​れ​て​いる​抵抗​のみ​が​要求​さ​れ​ます。​これ​は、​バイアス​電流​パス​要件​を​満​た​し​ます​が、​信号​ソース​の​ソース​イン​ピ​ー​ダンス​が​比較的​高い​場合​に​不平衡​型​システム​の​原因​となり​ます。​平衡​型​システム​は​耐​ノイズ​性​の​点​で​効果​的​です。​この​ため、​信号​ソース​の​ソース​イン​ピ​ー​ダンス​が​高い​場合​は、​値​の​等しい​2​つ​の​抵抗 (HIGH (+) 信号​入力​へ​の​抵抗​と​LOW (–) 信号​入力​から​グランド​へ​の​抵抗) を​使用​する​必要​が​あり​ます。​熱電​対​など​の​DC​カプリング​さ​れ​た​低​イン​ピ​ー​ダンス​ソース​に対して​は、​1​つ​の​バイアス​抵抗​で​問題​ありま​せん。​平衡​型​回路​について​は、​この​ドキュメント​の​後半​で​説明​し​ます。

入力​信号​が​AC​カプリング​さ​れ​て​いる​場合​は、​計​装用​アンプ​の​バイアス​電流​パス​の​要件​を​満たす​に​は​2​つ​の​バイアス​抵抗​が​必要​です。

図​10​に​示す​とおり、​抵抗 (10 kΩ < R < 100 kΩ) によって、​計​装用​アンプ​の​入力​バイアス​電流​の、​グランド​へ​の​リターン​パス​が​用意​さ​れ​ます。​DC​カプリング​の​信号​ソース​に​は​R2​のみ​が​必要​です。​AC​カプリング​の​信号​ソース​の​場合​は、​R1 = R2​にし​ます。



図​10. 浮動​型​ソース​と​差動​入力​構成

 

シングル​エンド​入力​モード​を​使用​する​場合​は、​RSE​測定​システム (図​11a) で​浮動​型​信号​ソース​を​測定​でき​ます。​この​場合、​グラウンド​ループ​は​発生​しま​せん。​また、​NRSE​測定​システム (図​11b) も​使用​でき​ます。​こちら​の​方​が​ノイズ​除去​という​観点​から​見る​と​適​し​てい​ます。​NRSE​入力​構成​で​浮動​型​信号​ソース​を​測定​する​場合​に​は、​AI SENSE​入力​と​測定​システム​グランド (AI GND) の​間​に​バイアス​抵抗​が​必要​です。




図​11. 浮動​型​信号​ソース​と​シングル​エンド​構成

 

次​の​表​1​は、​これまで​の​ディスカッション​を​図式​化​し​て​まとめ​た​もの​です。


表​1. アナログ​入力​接続

メモ: 接地​型​信号​ソース​を​使用​する​場合​は、​基準​化​シングル​エンド (RSE) は​推奨​さ​れ​てい​ま​せん。 

警告: バイアス​抵抗​は、​DIFF​構成​と​NRSE​構成​の​浮動​型​信号​ソース​の​測定​時に​使用​しな​け​れ​ば​なり​ま​せん。​このような抵抗を使用しないと読み取り値が一定しなかったり、​プラス​の​フル​スケール​または​マイナス​の​フル​スケール​に​飽和​した​り​する​こと​が​あり​ます。

一般​的​に​は、​グラウンド​ループ​に​起因​する​誤差​だけ​で​なく、​一定​の​条件​の​環境​下​で​ノイズ​も​除去​できる​差動​測定​システム​の​使用​が​推奨​さ​れ​ます。​一方で、​シングル​エンド​構成​は​差動​構成​に​比べ​て​2​倍​の​測定​チャンネル​数​を​利用​でき​ます​が、​起因​し​て​いる​誤差​振幅​が​要求​さ​れ​た​データ​確度​より​も​小さい​場合​に​のみ​に​使用​が​限定​さ​れ​ます。​シングル​エンド​入力​接続​は、​すべて​の​入力​信号​が​以下​の​条件​を​満たす​場合​に​使用​し​ます。

 

  • 入力​信号​レベル​が​高い​場合 (1 V​より​大きい​場合)
  • 信号​配線​が​短​く、​ノイズ​の​ない​環境​で​測定​が​行​われる​か、​適切​に​シールド​さ​れ​て​いる​場合
  • すべて​の​入力​信号​が​ソース​で​共通​の​基準​信号​を​共有​できる​場合

 

上記​の​条件​が​満​た​さ​れ​ない​場合​は、​差動​接続​を​使用​し​て​くだ​さい。

 

相互​接続​で​ノイズカプリング​を​最小限​に​する

上記​の​ガイドライン​沿​って​構成​し、​グラウンド​ループ​や​アナログ​入力​ステージ​の​飽和​を​回避​し​て​いる​場合​でも、​環境​下​で​発生​した​ノイズ​や​不要​な​信号​が​測定​信号​に​含​まれ​て​しま​い​ます。​特に、​これ​は​多く​の​データ​収集​デバイス​の​オン​ボード​アンプ​で​低​レベル​の​アナログ​信号​を​増幅​し​て​いる​場合​に​よく​見​られる​現象​です。​現象​が​悪化​すると、​PC​データ​収集​ボード​では、​一般​的​に​I/​O​コネ​クタ​上​で​複数​の​デジタル​I/​O​信号​が​発生​し​ます。​その​結果、​相互​接続​ケーブル​の​低​レベル​アナログ​信号​に対して​近い​場所​で​発生​し​て​いる​ため、​データ​収集​ボード​で​発生​する​デジタル​信号​は、​増幅​した​信号​で​ノイズ​の​原因​となり​ます。​この​増幅​信号​や​その他​の​外部​ソース​で​ノイズカプリング​を​最小限​に​する​に​は、​適切​な​配線​と​シールド​構造​が​必要​です。

適切​な​配線​と​シールド​の​検証​を​行う​前​に、​干渉​や​ノイズカプリング​の​問題​の​性質​について​理解​する​こと​が​必要​です。​ノイズカプリング​問題​について​は、​単純​明瞭​な​解決​策​は​ありま​せん。​さらに、​解決​策​が​不適切​な​場合​に​は​問題​を​さらに​悪化​させる​可能性​も​あり​ます。

図​12​は、​干渉​や​ノイズカプリング​の​問題​を​示し​ます。



図​12. ノイズカプリング​問題​の​ブロック​図

 

図​12​に​示す​とおり、​ノイズ​を​「拾う」​主​な​原因​と​なる​カプリング​の​メカニズム​は、​4​つ (伝導、​静​電、​誘導、​放射) あり​ます。​伝導​カプリング​は、​共通​インピーダンス​で​異なる​回路​から​電流​を​共有​すると​発生​し​ます。​静​電​カプリング​は、​信号​パス​の​付近​で​時間​変動​電界​から​発生​し​ます。​誘導​カプリングノイズ​または​電磁​カプリングノイズ​は、​信号​回路​に​囲​まれ​た​領域​で​時間​変動​電界​から​発生​し​ます。​電磁場​源​が​信号​回路​から​離れ​て​いる​場合、​電界​と​磁界​の​カプリング​は、​電磁​カプリング​や​放射​カプリング​の​組み合わせ​と​みな​さ​れ​ます。

 

伝導​カプリングノイズ

伝導​カプリングノイズ​は、​配線​する​伝導​体​に​有限​インピーダンス​が​ある​ため​に​発生​し​ます。​これらの​配線​インピーダンス​による​影響​は、​配線​構造​を​設計​する​際​に​考慮​する​必要​が​あり​ます。​グラウンド​ループ​が​存在​する​場合​は​切断​する​か、​または​低​レベル​と​高​レベル​の​両方​の​高​電力​信号​に対して​異なる​グランド​を​使用​すると、​伝導​カプリング​を​除去​した​り​最小限​に​抑え​たり​する​こと​が​可能​です。​図​13a​に​示す​よう​な​グランド​接続​により、​伝導​カプリング​が​発生​し​ます。

A​から​B​の​一般​的​な​戻り​線​の​抵抗​が​0.1 Ω​の​場合、​0.1 Ω×1 A = 100 mV​となり、​温度​センサ​の​測定​電圧​は、​スイッチ​の​開閉​状態​により​変化​し​ます。​温度​測定​誤差​に​変換​すると、​10℃​となり​ます。​一方、​図​13b​の​回路​では​異なる​グランド​リターン​が​あり​ます。​したがって、​測定​温度​センサ​出力​は、​重​負荷​回路​の​電流​の​ON/​OFF​でも​変化​しま​せん。




図​13. 伝導​カプリングノイズ

 

静​電​カプリング​と​誘導​カプリング

ノイズ​および​信号​回路​における​磁界​と​電界​の​相互作用​の​検証​に​必要​な​解析​ツール​として、​数学​的​に​自明​で​ない​マクスウェル​方程式​が​あり​ます。​ただし、​これらの​カ​プリン​グチ​ャン​ネル​の​直観​的​で​質​的​な​確認​について​は、​集中​等価​回路​が​使用​でき​ます。​図​14​および​15​は、​電界​カプリング​と​磁界​カプリング​の​集中​等価​回路​を​示し​ます。




図​14. 等価​回路​で​キャパシタCefによりモデル化された、​ノイズ​ソース​と​信号​回路​間​の​静​電​カプリング



図​15. 等価​回路​で​相互​インダクタンス​M​によりモデル化された、​ノイズ​ソース​と​信号​回路​間​の​誘導​カプリング

 

ノイズ​等価​回路​へ​の​集中​等価​回路​モデル​の​導入​は、​基底​と​なる​2​つ​の​電気​回路​解析​の (すべて​の​電界​は​コンデンサ​内部​の​範囲​内/​すべて​の​磁界​は​誘導体​内部​の​範囲​内​という) 仮説​の​問題​点​を​処理​し​ます。

 

静​電​カプリング

図​14​は、​有効​な​カ​プリン​グチ​ャン​ネル​の​集中​等価​回路​です。​電界​カプリング​は​2​つ​の​回路​間​の​キャパシタンス​として​モデル​化​さ​れ​ます。​等価​キャパシタンスCefは、​重なり合う​領域​に​比例​し、​2​つ​の​回路​間​の​距離​に​反比例​し​ます。​したがって、​ノイズ​回路​から​信号​回路​まで​の​距離​を​離​した​り、​重​なり​を​最小限​にし​たり​するとCefも​最小限​に​なり​ます。​静​電​カプリング​の​その他​の​特性​は、​モデル​によって​異​なり​ます。​たとえば、​静​電​カプリング​の​レベル​は、​ノイズ​ソース​の​周波数​と​振幅、​および​影響​を​受ける​回路​の​インピーダンス​に​比例​し​ます。​したがって、​静​電​カプリング​は、​ノイズ​ソース​電圧​や​周波数、​または​信号​回路​インピーダンス​が​少​なくなる​と​減少​し​ます。​また、​等価​キャパシタンスCefは、​容量​性​シールド​を​使用​する​場合​も​減少​し​ます。​容量​性​シールド​は、​誘導​電流​を​バイパス​した​り、​別​の​パス​を​提供​する​こと​により​動作​する​ため、​信号​回路​に​は​流れ​ま​せん。​適切​な​容量​性​シールド​は、​シールド​位置​と​シールド​接続​の​両方​に​注意​する​必要​が​あり​ます。​シールド​は、​静​電​カプリング​が​発生​する​伝導​体​と​ソース​終端​側​のみ​に​グランド​接続​を​しな​け​れ​ば​なり​ま​せん。​シールド​が​両端​で​接地​さ​れる​場合、​かなり​の​グランド​電流​が​シールド​に​流れ​て​しま​い​ます。​たとえば、​グランド​間​の​1 V​の​電位差​は、​0.5 Ω​の​抵抗​が​ある​場合​に​シールド​に​流れる​2 A​の​グランド​電流​を​強制​でき​ます。​約​1 V​の​電位差​は​グランド​間​で​発生​し​ます。​この​グランド​高​電流​の​影響​に関する​詳細​は、​誘導​カプリングノイズ​の​説明​に​記載​し​ます。​一般​的​に、​金属​または​信号​パス​の​付近​の​伝導​体​は、​静​電​カプリングノイズ​が​大​きく​なる​可能性​が​ある​ため、​電気​的​に​浮動​の​まま​に​しない​で​くだ​さい。



図​16. 不適切​な​シールド​終端 ― グランド​電流​が​シールド​に​流れ込む



図​17. 適切​な​シールド​の​終端 ― シールド​に​グランド​電流​または​信号​電流​が​流れ​ない

 

誘導​カプリング

前述​した​よう​に、​誘導​カプリング​は、​結果​として​信号​回路​ループ​により​囲​まれ​た​領域​に​時間​変動​磁界​が​生​じ​ます。​これらの​磁界​は​ノイズ​回路​付近​の​電流​により​生成​さ​れ​ます。​信号​回路​の​誘導​電圧Vnは​以下​の​式​で​求め​ら​れ​ます。

 

V n = 2πfBACosθ (1)

 

ここ​で、​f​は​正弦​的​に​変化​する​磁束​密度​の​周波数、​B​は​磁束​密度​の​rms​値、​A​は​信号​回路​ループ​の​領域、​θ​は​磁束​密度​B​と​領域​A​の​間​の​角度​です。

図​15 (b) に​示す​とおり、​誘導​カプリング​の​集中​等価​回路​モデル​は​相互​インダクタンス​M​です。​相互​インダクタンス​M​について、Vnは​以下​の​式​で​求め​ら​れ​ます。

 

V n = 2p fMI n (2)

 

ここ​で、Inは​ノイズ​回路​の​正弦波​電流​の​rms​値、​f​は​周波数​です。

M​は​影響​を​受ける​回路​ループ​の​領域​に​比例​し、​ノイズ​ソース​の​回路​と​信号​回路​間​の​距離​に​反比例​する​ため、​距離​を​離​した​り、​信号​ループ​領域​が​最小​に​なる​と、​2​つ​の​回路​間​の​誘導​カプリング​も​最小限​に​なり​ます。​または、​ノイズ​回路​の​電流Inまたは​周波数​を​下げ​て​も、​誘導​カプリング​が​減少​し​ます。​ノイズ​回路​の​磁束​密度​B​も、​ノイズ​ソース​の​配線​を​ツイスト​すると​減少​し​ます。​最終​的​に、​磁気シールドがノイズソースまたは信号回路に適用され、​この​カプリング​を​最小限​に​でき​ます。

低​周波数​磁界​に対する​シールド​は、​電界​に対する​シールド​ほど​容易​では​ありま​せん。​磁気​シールド​の​効果​は、​材料​の​タイプ (透​磁​率、​厚み、​周波数​の​状態) によって​異​なり​ます。​スチール​は​相対​的​に​高い​透​磁​率​の​ため、​低​周波数 (概算​で​100 kHz​未満) の​磁界​シールド​として​アルミニウム​や​銅​より​も​効果​的​です。​ただし、​より​高い​周波数​の​場合​に​は​アルミニウム​と​銅​も​同様​に​使用​でき​ます。​2​種類​の​厚​さ​の​銅​と​鋼​の​吸収​損失​は​図​18​に​示す​とおり​です。​これらの​金属​の​磁気​シールド​特性​は、​通常​の​環境​下​で​主要​低​周波数​の​磁気​カ​プ​リング​ノイズ​ソース​の​電源 (50​~​60 Hz) など、​低​周波数​では​非常​に​効率​が​悪​く​なり​ます。​ミューメタル (鉄​と​ニッケル​の​合金) を​使用​した​磁気​シールド​は、​低​周波数​の​磁気​シールド​用​に​利用​でき​ます​が、​ミューメタル​は​非常​に​壊​れ​や​すく、​劣化​し​て​透​磁​率​が​低下​する​こと​が​あり​ます。​この​劣化​は、​耐​衝撃​による​磁気​シールド​として​の​劣化​効率​です。




図​18. 周波数​関数​として​の​吸収​損失 (参考​資料​1​より)

 

ノイズ​回路​パラメータ​上​で​制御​が​不可能​で​ある​こと、​また​磁気​シールド​を​完成​させる​こと​が​比較的​困難​で​ある​こと​から、​信号​回路​ループ​領域​を​小​さくする​こと​は、​誘導​カプリング​を​最小限​に​する​際​に​効果​的​です。​ツイスト​ペア​ワイヤ​は、​信号回路のループ領域を減少させ、​誘導​誤差​を​相殺​する​ため​有益​です。

式 (2) は、​図​16​の​よう​に​回路​の​シールド​で​グラウンド​ループ​によって​電流​が​流れる​影響​を​算出​し​ます。​ここ​で、In = 2 A、​f = 60 Hz、​M = 1 µH/​ft​で、​10-​ft​ケーブル​は​以下​の​とおり​に​なり​ます。

 

V n = 2×3.142×60×(1×10–6×10)×2 = 7.5 mV

 

この​ノイズ​レベル​は、​10 V​範囲​で​12​ビット​データ​収集​システム​の​3.1 LSB​に​変換​さ​れ​ます。​したがって、​データ​収集​システム​の​効果​は​概算​で​10​ビット​収集​システム​の​状態​に​下がり​ます。

E​シリーズ​デバイス​において​差動​モード​で​シールド​ケーブル​を​使用​する​場合、​信号​回路​ループ​領域​は、​信号​リード​線​の​各​ペア​が​ツイスト​ペア​として​構成​さ​れる​ため、​誤差​が​最小​に​なり​ます。​これ​は、​異なる​サイズ​の​ループ​領域​が​さまざま​な​チャンネル​で​構成​さ​れる​ため、​同じ​デバイス​と​ケーブル​を​使用​する​シングル​エンド​モード​の​状態​と​は​異​なり​ます。

図​19​に​示す​とおり、​磁気​誘導​電圧​が​一連​の​電流​信号​ソース​に​発生​する​ため、​この​電流​信号​ソース​は​電圧​信号​ソース​と​比較​し​て​この​タイプ​の​ノイズ​に​影響​を​受け​ま​せん。V21およびV22は​誘導​カ​プ​リング​ノイズ​ソース​で、Vcは​静​電​カ​プ​リング​ノイズ​ソース​を​表​し​てい​ます。



図​19. 誘導​ノイズ​電圧​カプリング​および​静​電​ノイズ​電圧​カプリング​の​回路​モデル
(参考文献: H. W. Ott, Noise Reduction Techniques in Electronic Systems, Wiley, 1976.)

 

誘導​カプリング​と​静​電​カプリング​の​レベル​は、​ノイズ​振幅、​および​ノイズ​ソース​と​信号​回路​の​近接​性​によって​異​なり​ます。​したがって、​回路​の​干渉​から​離​し​て​ノイズ​ソース​の​振幅​を​減少​させる​こと​は​有益​です。​伝導​カプリング​は​直接​接点​を​生​じ​させる​ので、​ノイズ​回路​の​物理​的​な​距離​を​長​く​する​こと​は​役​に​立ち​ま​せん。

 

放射​カプリング

ラジオ​や​TV​の​ブロードキャスト​ステーション​および​通信​チャンネル​など、​放射​ソース​が​原因​の​放射​カプリング​は、​通常、​低​周波数 (100 kHz​未満) の​帯域​幅​測定​システム​の​干渉​ソース​として​みな​さ​れ​ま​せん。​ただし、​高​周波数​ノイズ​は、​「オーディオ​整流」​と​呼ばれる​処理​を​介​し、​低​周波数​回路​に​整流​さ​れ​て​発生​する​こと​が​あり​ます。​この​処理​で、​整流器​として​IC​に​非線形​点​が​生​じ​ます。​長い​配線​の​終端​に​ある​受信​機​で、​シンプル​で​受動​的​な​R-​C​ロー​パス​フィルタ​を​使用​する​こと​で、​オーディオ​整流​を​減少​させる​こと​が​でき​ます。

ユ​ビ​キタ​ス​コンピュータ​端末​は、​状況​により​変化​する​回路​の​付近​では​電界​と​磁界​の​干渉​ソース​となり​ます。​図​20​は、​オン​ボード​の​プログラマブル​ゲイ​ン​アンプ​で​500​の​ゲイ​ン​を​使用​する​データ​収集​デイ​バス​で​取得​した​データ​の​グラフ​を​示し​ます。​入力​信号​は​終端​ブロック​で​短絡​し​て、​0.5 m​の​非​シールド​内部​接続​ケーブル​が​端子​台​と​デバイス​I/​O​コネ​クタ​の​間​で​使用​さ​れ​てい​ま​した。​差動​信号​接続​では、​チャンネル​HIGH​入力​と​チャンネル​LOW​入力​を​配線​し、​アナログ​システム​の​グランド​が​さ​れ​てい​て、​シングル​エンド​接続​では、​この​チャンネル​入力​は​アナログ​システム​の​グランド​に対して​接続​さ​れ​てい​ま​した。



図​20. 差動​入力​構成​と​RSE​構成​の​耐​ノイズ​性 (DAQ​ボード​ゲイ​ン: 500、​ケーブル: 0.5 m​非​シールド、​ノイズ​ソース: コンピュータ​モニタ) と​の​比較

 

その他​の​ノイズ​ソース

振動​する​環境​で​内部​ケーブル​が​振動​し​て​しまう​場合​は、​常に、​信号​回路​ループ​の​磁束​の​変更​による​摩擦​電気​の​影響​と​誘導​電圧​に​注意​する​こと​が​必要​です。​ケーブル​導体​が​固定​さ​れ​てい​ない​場合、​その​ケーブル​内​の​誘電​体​に​生成​さ​れ​た​電荷​により​摩擦​電気​が​発生​し​ます。

磁束​が​変わる​と、​一方​または​両方​の​伝導​体​の​モーション (誘導​カプリング​と​は​別​の​現象) により​発生​する​信号​回路​ループ​領域​で​変更​が​生​じ​ます。​これ​を​避ける​に​は、​ケーブル​が​垂れ​さ​が​ら​ない​よう​に​調整​し、​その​ケーブル​を​固定​する​こと​です。

不注意​により​異​種類​の​金属​で​構成​さ​れ​た​熱電​対​など、​非常​に​低​レベル​の​回路​を​使用​した​測定​回路​では、​別​の​ソース​の​測定​誤差​に​注意​を​払う​必要​が​あり​ます。​熱電​対​の​影響​による​誤差​は​干渉​タイプ​の​誤差​と​は​みな​さ​れ​ま​せん​が、​低​レベル​信号​測定​の​チャンネル​間​で​不明​な​オフセット​が​発生​する​原因​と​なる​可能性​が​ある​ため、​確認​が​必要​です。

 

平衡​型​システム

差動​測定​システム​の​説明​で、​CMRR​は​平衡​型​回路​で​最適​化​さ​れる​こと​を​説明​しま​した。​平衡​型​回路​と​は​以下​の​3​つ​の​条件​を​満​た​し​て​いる​もの​です。

 

  • ソース​の​均衡​が​と​れ​て​いる ― ソース​の​両端​子 (HIGH​信号​および​コモ​ン​信号) で​グランド​に対して​同じ​インピーダンス​が​ある。
  • ケーブル​の​均衡​が​と​れ​て​いる ― 両方​の​伝導​体​で​グランド​に対して​同じ​インピーダンス​が​ある。
  • 受信​側​の​均衡​が​と​れ​て​いる ― 測定​の​終端​に​ある​両端​子​で​グランド​に対して​同じ​インピーダンス​が​ある。

 

誘導​ノイズ​電圧​は、​グランド​と​ノイズ​ソース​に対して​等しい​インピーダンス​により、​両方​の​伝導​体​で​同じ​に​なる​ため、​平衡​型​回路​で​容量​性​の​影響​が​最小限​に​なり​ます。



図​21. 静​電​カプリングノイズ​の​回路​モデル
(参考文献: H.W. Ott, Noise Reduction Techniques in Electronic Systems, Wiley, 1976.)

 

平衡​型​システム​を​示す​図​21​の​回路​モデル​の​場合、​以下​の​条件​が​適用​さ​れ​ます。

 

Z 1 = Z 2および​Z c1 = Z c2

 

簡易​回路​の​解析​では、​平衡​型​ケース​がV+ = Vの​ため、​静​電​カプリング​電圧Vcが​コモ​ン​モード​信号​として​表示​さ​れる​こと​を​示し​ます。​非​平衡​型​ケース​では、Z1<> Z2またはZc1<>Zc2の​いずれ​か​に​なり、​静​電​カプリング​電圧Vcは差動電圧として表示され、V+<>Vの​ため​計​装用​アンプ​で​除去​する​こと​は​でき​ま​せん。​システム​の​不均衡、​または​グランド​や​静​電​カ​プ​リング​ノイズ​ソース​に対する​インピーダンス​の​不一致​の​度合​が​高​く​な​れ​ば​なるほど、​静​電​カプリングノイズ​の​差動​コンポーネント​も​高​く​なり​ます。

差動​接続​では​配線​の​データ​収集​デバイス​側​で​平衡​型​受信​機​が​あり​ます​が、​ソース​や​配線​の​バランス​が​と​れ​てい​ない​と​回路​の​バランス​は​と​れ​ま​せん。​これ​を​示し​た​の​が​図​22​です。​データ​収集​デバイス​は、​差動​入力​モード​として​ゲイ​ン​500​で​構成​さ​れ​てい​ます。​ソース​イン​ピ​ー​ダンスRsは​両方​の​構成​で​同じ (1 kΩ) です。​図​22b​の​回路​で​使用​さ​れる​バイアス​抵抗​は​両方​とも​100 kΩ​です。​コモ​ン​モード​除去​は、​図​22a​の​回路​より​も​図​22b​の​回路​の​ほうが​良い​状態​です。​図​22c​と​図​22d​は、​22a​と​22b​の​それぞれ​の​構成​で​データ​収集​した​時間​領域​プロット​です。​均衡​型​ソース​構成​に​は​ノイズ​周波数​成分​が​存在​しない​こと​が​わか​り​ます。​この​構成​で​の​ノイズ​ソース​は​コンピュータ​モニタ​です。​また、​均衡​型​の​構成​では​以下​の​式​で​信号​ソース​に​も​負荷​が​あり​ます。

 

R = R g1 + R g2

 

この​負荷​効果​は​無視​でき​ま​せん。​不均衡​型​の​構成​では​信号​ソース​に​負荷​が​ありま​せん。

図​22a​の​よう​な​構成​では、​システム​の​不均衡 (HIGH​状態​の​信号​と​LOW​状態​の​伝導​体​の​グランド​に対する​インピーダンス​で​の​不一致) は、​ソース​イン​ピ​ー​ダンスRsに​比例​し​ます。Rs = 0 Ω​に​限定​さ​れ​た​場合​では、​図​22a​の​設定​も​均衡​が​と​れ​て​いる​ため、​ノイズ​の​影響​が​減少​し​ます。




図​22. ソース​構成​と​集録​データ

 

ツイスト​ペア​または​シールド​ツイスト​ペア​は​均衡​の​と​れ​た​ケーブル​の​例​です。​一方、​同軸​ケーブル​は、​2​つ​の​伝導​体​の​グランド​に対する​キャパシタンス​が​異なる​ため、​均衡​が​と​れ​てい​ま​せん。

 

ソース​イン​ピ​ー​ダンス​特性

ソース​イン​ピ​ー​ダンス​は、​ソース​から​データ​収集​システム​へ​の​配線​で​容量​性​ノイズ​耐性​を​決定​する​場合​に​重要​に​なる​ため、​最も​一般​的​な​トランスデューサ​の​一部​について、​インピーダンス​特性​の​一覧​を​表​2​に​示し​ます。

トランスデューサ
インピーダンス​特性
熱電​対
低 (<20 Ω)
サーミスタ
高 (>1 kΩ)
抵抗​温度​計
低 (<1 kΩ)
ソリッドステート​圧力​トランスデューサ
高 (>1 kΩ)
歪み​ゲージ
低 (<1 kΩ)
ガラス​pH​電極
高 (1 GΩ)
ポテンショメータ (直線​変位)
高 (500 Ω ~ 100 kΩ)
表​2. トランスデューサ​の​インピーダンス​特性

 

高​インピーダンス​で​低​レベルセンサ​の​出力​は、​センサ​付近​の​信号​調節​機器​側​で​処理​し​て​くだ​さい。

 

測定​設定​で​ノイズ​問題​を​解決​する

測定​設定​で​ノイズ​問題​を​解決​する​に​は、​まず、​干渉​問題​の​原因​を​見つける​必要​が​あり​ます。 ノイズ​問題​は​トランスデューサ​から​データ​収集​デバイス​まで​の​すべて​が​対象​に​なり​得​ます。​一般​的​に​問題​の​原因​追究​に​は、​試行​と​除外​が​繰り返し​行​われ​てい​ます。

まず、​配線​しない​状態​で​低​イン​ピ​ー​ダンス​ソース​の​データ​収集​デバイス​自体​の​測定​ノイズ​を​表示​し​て​確認​する​必要​が​あり​ます。​これ​は、​データ​収集​デバイス​の​I/​O​コネ​クタ​で、​できるだけ​短​く​した​ワイヤ​を​アナログ​入力​の​グランド​に対して​HIGH​と​LOW​の​信号​を​短絡​すると​簡単​に​実行​でき​ます。​この​試行​で​得​ら​れ​た​ノイズ​レベル​を​検証​する​こと​により、​目的​の​データ​収集​デバイス​で​の​最良​の​ケース​が​わか​り​ます。​測定​した​ノイズ​レベル​が、​すべて​セットアップ​さ​れ​た​状態 (データ​収集​デバイス、​配線、​信号​ソース) で​検証​した​レベル​より​減少​し​てい​ない​場合、​測定​システム​自体​が​ノイズ​の​原因​となり​ます。​データ​収集​デバイス​で​検証​した​ノイズ​が​仕様​を​満​た​し​てい​ない​場合、​コンピュータ​システム​の​他の​デバイス​の​1​つ​が​原因​となり​ます。

システム​から​他の​ボード​を​取り外し、​検証​した​ノイズ​レベル​が​減少​する​か​どうか​試し​て​くだ​さい。​代替​方法​は、​データ​収集​ボード​が​取り付け​ら​れ​て​いる​スロット​の​ボード​位置​を​変更​する​こと​です。

コンピュータ​モニタ​の​位置​も​対象​に​なり​ます。​低​レベル​信号​測定​では、​信号​配線​と​コンピュータ​から​モニタ​を​できるだけ​遠い​場所​に​置く​こと​が​最良​の​方法​です。​低​レベル​信号​の​収集​や​生成​を​行う​場合、​コンピュータ​上部​に​モニタ​を​設置​する​こと​は​好​ま​しく​ありま​せん。

集録​デバイス​が​原因​でなければ、​次に​信号​調節​の​配線​と​集録​デバイス​まで​の​配線​環境​を​確認​し​ます。​信号​調節​ユニット​または​信号​ソース​は、​検証​済み​の​デジタル​化​さ​れ​た​データ​の​ノイズ​レベル​で​ある​低​イン​ピ​ー​ダンス​ソース​に​置き換える​必要​が​あり​ます。​低​イン​ピ​ー​ダンス​ソース​は、​アナログ​入力​の​グランド​に対する​HIGH​と​LOW​の​信号​で​直接​短絡​に​なる​こと​が​あり​ます。​ただし、​この​場合、​短絡​は​ケーブル​の​終端​に​位置​し​ます。​検証​した​ノイズ​レベル​が、​概算​で​短絡​に​代わる​実際​の​信号​ソース​の​レベル​と​同じ​場合​は、​配線​や​配線​環境​が​原因​となり​ます。​考え​られる​解決​策​は、​ケーブル​の​再​配線​および​ノイズ​ソース​と​の​距離​を​とる​こと​です。​ノイズ​ソース​が​不明​な​場合、​ノイズ​の​スペクトル​解析​により​干渉​周波数​を​確認​し​ます。​この​干渉​周波数​は​ノイズ​ソース​を​見つける​際​に​有益​です。​ただし、​検証​した​ノイズ​レベル​が​実際​の​信号​ソース​より​低い​場合、​ソース​の​出力​抵抗​と​ほぼ​等しい​抵抗​器​を、​ケーブル​の​終端​に​短絡​する​よう​取り付け​ます。​これ​により、​高​ソース​イン​ピ​ー​ダンス​による​ケーブル​の​静​電​カプリング​が​問題​に​な​って​いるか​どうか​が​わか​り​ます。​この​最後​の​構成​で​検証​した​ノイズ​レベル​が、​実際​の​信号​で​の​レベル​より​も​低い​場合、​配線​と​環境​は​問題​の​対象​から​外​さ​れ​ます。​この​場合、​原因​は​信号​ソース​そのもの、​または​ソース​タイプ​に対する​データ​収集​デバイス​の​不適切​な​構成​の​いずれ​か​です。

 

ノイズ​除去​に関する​信号​処理​技術

信号​処理​技術​は、​適切​な​システム​の​相互​接続​の​代用​に​は​なり​ま​せん​が、​ノイズ​除去​に​利用​でき​ます。​すべて​の​ノイズ​除去​信号​処理​技術​は、​SN​比​を​向上​させる​代わり​に​信号​帯域​幅​を​制限​し​ます。​大​きく​見る​と、​この​処理​は​集録​前​測定​または​集録​後​測定​に​分け​ら​れ​ます。​集録​前​技術​の​例​として、​信号​で​帯域​外​ノイズ​を​除去​する​さまざま​な​タイプ​の​フィルタ​処理 (ロー​パス、​ハイ​パス、​バンド​パス) が​挙​げ​ら​れ​ます。​測定​帯域​幅​が​ダイナミック​信号​や​トランスデューサ​の​周波数​レンジ​を​超える​必要​は​ありま​せん。​集録​後​技術​は、​デジタル​フィルタ​処理​で​説明​でき​ます。​最も​シンプル​な​集録​後​の​フィルタ​処理​テクニック​は​平均​化​です。​これ​により​集録​データ​の​コム​フィルタ​処理​が​行​われ​ます。​この​処理​は​特定​の​干渉​周波数 (50​~​60 Hz​など) の​除去​に​特に​役​立ち​ます。​50 Hz​~​60 Hz​電源​など、​低​周波数​ソース​の​誘導​カプリング​は、​シールド​処理​が​困難​です。​平均​化​による​最適​な​干渉​の​除去​について​は、​平均​化Tacqに​使用​した​集録​データ​の​時間​間隔​がTrej = 1/ Frejの​整数​倍​でなければ​なり​ま​せん。​ここ​で、Frejは​最適​な​状態​で​除去​さ​れ​た​周波数​です。

 

T acq = N cycles×T rej (3)

 

ここ​で、Ncyclesは​平均​化​さ​れ​た​干渉​周波数​の​サイクル​数​です。​これ​は、Tacq = Ns×Tsと​なる​ため​です。​ここ​で、Nsは​平均​化​に​使用​した​サンプル​数​で、Tsは​サンプリング​間隔​です。​式 (1) は​以下​の​とおり​に​なり​ます。

 

N s×T s = N cycles×T rej

または

N s×T s = N cycles / F rej (4)

 

式 (4) は​サンプル​数、​および​平均​化​で​特定​の​干渉​周波数​を​除去​する​サンプリング​間隔​数​の​組み合わせ​です。​たとえば、Ncycles = 3​とNs = 40​を​使用​する​60 Hz​除去​について、​以下​の​とおり​最適​な​サンプル​レート​を​計算​でき​ます。

 

T s = 3 / (60×40) = 1.25 ms

 

したがって、​1.25 ms (または​800​サンプル/​s) の​サンプリング​間隔​で​集録​した​40​サンプル​の​平均​は、​集録​データ​で​60 Hz​ノイズ​を​除去​し​ます。​同様​に、​800​サンプル/​s (10​読み取り/​s) で​集録​した​80​サンプル​の​平均​は、​50 Hz​と​60 Hz​の​両方​の​周波数​を​除去​し​ます。​平均​化​など、​ロー​パス​デジタル​フィルタ​処理​技術​を​使用​する​場合、​グラウンド​ループ​で​発生​する​オフセット​の​よう​に​結果​として​生じる​データ​に​は​DC​誤差​が​ない​こと​は​想定​でき​ま​せん。​つまり、​測定​システム​の​ノイズ​問題​が​平均​化​によって​解決​さ​れ​て​いる​場合​でも、​その​システム​に​は​DC​オフセット​誤差​が​残​って​いる​可能性​が​あり​ます。​そのため、​この​システム​で​測定​に​絶対​確度​が​重要​で​ある​か​どうか​を​確認​する​必要​が​あり​ます。

 

参考​資料

  • Ott, Henry W., Noise Reduction Techniques in Electronic Systems. New York: John Wiley & Sons, 1976.
  • Barnes, John R., Electronic System Design: Interference and Noise Control Techniques, New Jersey: Prentice-​Hall, Inc., 1987.

 

Was this information helpful?

Yes

No