ダイレクト​RF​サンプリング​アーキテクチャ​の​メリット

概要

​変換​器​の​テクノロジ​は​年々​進化​を​続​け​てい​ます。​大手​半導体​メーカー​の​アナログ-​デジタル​変換​器 (ADC) および​デジタル-​アナログ​変換​器 (DAC) の​サンプル​レート​は、​10​年前​の​前身​モデル​と​比べ​て​も​桁違い​に​進歩​し​てい​ます。​たとえば、​2005​年​の​12​ビット​分解能​の​世界​最速​ADC​の​サンプル​レート​は​250 MS/​秒​で​した​が、​2018​年​の​12​ビット​ADC​の​サンプル​レート​は​6.4 GS/​秒​に​な​って​い​ます。​こうした​性能​の​進歩​により、​変換​器​を​使用​し​て​RF​周波数​の​信号​を​直接​デジタル​化​し、​最新​の​通信​システム​および​レーダ​システム​に​十分​な​ダイナミック​レンジ​を​得る​こと​が​でき​ます。

​ ​この​よう​な​高​サンプリング​レート (主に​ダイナミック​レンジ) の​変換​器​を​使用​する​場合、​トレードオフ​を​考慮​する​必要​が​あり​ます​が、​この​テクノロジ​により、​特定​の​アプリケーション​において、​幅広​く​使用​さ​れる​ヘ​テロ​ダイン​RF​アーキテクチャ​を​ダイレクト​RF​アーキテクチャ​に​交換​する​こと​が​でき​ます。​たとえば、​小型化​や​コスト​削減​が​求め​られる​広帯域​幅​RF​アプリケーション​では、​ダイレクト​RF​計測​器​の​簡素​化​さ​れ​た​フロント​エンド​が​適切​な​選択肢​に​なる​可能性​が​あり​ます。​この​テクノロジ​は、​特に​レーダ​や​電子​兵器​など​の​航空​宇宙/​防衛​アプリケーション​で​躍進​を​遂​げ​てい​ます。 ​

内容

ダイレクト​RF​サンプリング​とは

ダイレクト​RF​アーキテクチャ​を​理解​する​ため​に​は、​他の​RF​アーキテクチャ​と​の​違い​を​理解​する​必要​が​あり​ます。

ヘ​テロ​ダイン​アーキテクチャ​では、​受信​機​が​RF​周波数​の​信号​を​受信​した​後、​信号​を​より​低い​中間​周波数 (IF) に​ダウン​コンバート​し​て、​デジタル​化、​フィルタ​処理、​復調​を​行い​ます。​図​1​は、​ヘ​テロ​ダイン​受信​機​の​ブロック​ダイ​ア​グラム​です。​ご覧​の​よう​に、​この​受信​機​は​バンド​パス​フィルタ、​低​ノイズ​アンプ、​ミ​キサ、​内部​発振器 (LO) で​構成​さ​れる​RF​フロント​エンド​を​備え​てい​ます。

図​1. この​ヘ​テロ​ダイン​受信​機​の​ブロック​ダイ​ア​グラム​は、​この​受信​機​が​バンド​パス​フィルタ、​低​ノイズ​アンプ、​ミ​キサ、​内部​発振器 (LO) で​構成​さ​れる​RF​フロント​エンド​を​備え​て​いる​こと​を​示し​てい​ます。

ただし、​ダイレクト​RF​サンプリング​受信​機​アーキテクチャ​は、​低​ノイズ​アンプ、​適切​な​フィルタ、​および​ADC​だけ​で​構成​さ​れ​ます。​図​2​の​受信​機​は​ミ​キサ​や​LO​を​使用​しま​せん。 ADC​が​RF​信号​を​直接​デジタル​化​し​て​プロセッサ​に​送信​し​ます。​この​アーキテクチャ​では、​受信​機​の​アナログ​コンポーネント​の​多く​を​デジタル​信号​処理 (DSP) で​実装​する​こと​が​でき​ます。​たとえば、​ミ​キサ​の​代わり​に​ダイレクト​デジタル​変換 (DDC) を​使用​し​て​ターゲット​信号​を​分離​する​こと​が​でき​ます。​また、​ほとんど​の​場合、​アナログ​フィルタ​処理​の​多く (アンチ​エイ​リア​ス​フィルタ​や​再​構成​フィルタ​を​除く) を​デジタル​フィルタ​処理​に​置き換える​こと​が​でき​ます。

アナログ​周波数​変換​が​不要​な​ため、​ダイレクト​RF​サンプリング​受信​機​の​ハードウェア​設計​全体​が​はるかに​シンプル​に​なり、​小型化​と​設計​コスト​の​削減​が​可能​に​なり​ます。

図​2. ダイレクト​RF​サンプリング​受信​機​アーキテクチャ​は、​低​ノイズ​アンプ、​適切​な​フィルタ、​および​ADC​のみ​で​構成​する​こと​が​でき​ます。

ダイレクト​サンプリング​の​実現​方法

近年​の​変換​器​技術​の​進歩​以前​は、​変換​器​の​サンプリング​レート​と​分解能​の​限界​の​ため、​ダイレクト​サンプリング​アーキテクチャ​は​実用​的​では​ありま​せん​で​した。​半導体​メーカー​は​変換​器​内​の​ノイズ​を​低減​する​新​技術​を​使​って、​より​高い​サンプリング​周波数​で​分解能​を​向上​させる​ことに​成功​しま​した。​分解能が向上された、​はるかに​高速​の​変換​器​が​利用​可能​に​なり、​RF​入力​信号​を​数​ギガ​ヘルツ​まで​直接​変換​する​こと​が​できる​よう​に​なり​ま​した。

この​変換​レート​により、​L​バンド​および​S​バンド​で​非常​に​幅広い​即時​帯域​幅​による​デジタル​化​が​可能​に​なり​ます。​変換​器​が​進化​を​続ける​につれて、​他の​バンド (C​バンド​や​X​バンド​など) で​の​ダイレクト​RF​サンプリング​も​実行​可能​に​なる​で​しょう。

ダイレクト​RF​サンプリング​アーキテクチャ​を​検討​する​べ​き​状況

ダイレクト​RF​サンプリング​の​主​な​メリット​は、​シンプル​な​RF​信号​チェーン、​チャンネル​あたり​の​コスト​削減、​チャンネル​密度​の​低減​です。​ダイレクト​RF​アーキテクチャ​を​備え​た​計測​器​は、​アナログ​コンポーネント​が​少ない​ため、​通常、​小型​で​電力​効率​の​高い​もの​に​なり​ます。​多​チャンネル​システム​を​構築​する​場合、​ダイレクト​RF​サンプリングを採用すれば、​システム​に​必要​な​設置​面積​の​縮小​と​コスト​の​削減​を​実現​でき​ます。​これ​は、​最大​数百​から​数​千​もの​アンテナ​から​放射​さ​れる​信号​を​位相​シフト​する​こと​で​ビーム​フォーミン​グ​を​行う、​完全​に​アクティブ​な​フェーズ​ドア​レイ​レーダ​など​の​システム​を​構築​する​際​に​特に​重要​です。​同じ​システム​内​に​このように​多く​の​RF​信号​発生​器​と​アナ​ラ​イザ​が​存在​する​場合、​チャンネル​あたり​の​サイズ​と​コスト​が​重要​な​要素​に​なり​ます。

サイズ、​重量、​消費​電力 (SWaP) の​低減​に​加​えて、​シンプル​な​アーキテクチャ​は、​RF​計測​器​内部​の​ノイズ、​イメージ、​その他​の​エラー (LO​リーク​や​四位​相​偏移​障害​など) の​潜在​的​な​原因​を​排除​でき​ます。

最後​に、​ダイレクト​RF​サンプリング​アーキテクチャ​は​同期​を​簡素​化​する​こと​も​でき​ます。​たとえば、​RF​システム​の​位相​コヒーレンス​を​実現​する​ため​に​は、​RF​計測​器​および​LO​の​内部​クロック​を​同期​させる​必要​が​あり​ます。​しかし、​ダイレクト​サンプリング​では​LO​を​必要​と​しない​ため、​デバイス​の​クロック​同期​に​のみ​焦点​を​絞る​こと​が​でき​ます。​位相​コヒーレント​で​ある​こと​が​必要​な​複数​の​RF​受信​機​を​持つ​フェーズ​ドア​レイ​レーダ​アプリケーション​の​場合、​これ​が​設計​を​簡素​化​する​の​に​好ましい​選択肢​となり​ます。

NI​の​役割

NI​は​さまざま​な​タイプ​の​RF​アーキテクチャ​に​基づく​各種​RF​計測​器​を​提供​し​てい​ます​が、FlexRIO IF​トランシーバは、​ダイレクト​RF​サンプリング​を​活用​した​初めて​の​NI​計測​器​です。​高速​変換​器​の​機能​の​進歩​に​合わせ​て、​NI​は​ベンダ​と​緊密​に​連携​し、​この​よう​な​新しい​テクノロジ​を​お客様​に​迅速​に​提供​し​てい​き​ます。