V2X​ユース​ケース​を​迅速​に​統合​する​ソフトウェア​定義​アプローチ

概要

自動車​市場​では​専用​狭​域​通信​(DSRC)​テクノロジ​が​主流​に​な​って​い​ます​が、​5G​セルラー​接続​が​普及​しな​け​れ​ば​完全​自動​運転​車​は​実現​でき​ない​という​声​が​多く​聞​か​れ​ます。​V2X​通信​テクノロジ​が​採用​さ​れる​か​どうか​は​予測​でき​ない​ため、​技術​的​な​要件​を​常に​把握​し、​トレンド​の​変化​に​適応​できる​柔軟性​を​維持​する​こと​が​重要​です。​この​新興​市場​で​競争​力​を​高める​ため​に、​自動車​OEM​や​サプライヤ​は、​テクノ​ロ​ジ​ロード​マップ​を​速やか​に​見直し、​技術​的​関連​性​と​製品​統合​の​枠組み​を​構築​した​いと​考え​てい​ます。​新しい​テクノロジ​の​実現​性​を​証明​する​に​は、​シミュレーション​も​重要​ですが、​新しい​アイデア​を​プロトタイプ​として​具体​化​する​こと​が​不可欠​です。

内容

現在​V2X​の​妨げ​と​な​って​いる​テクノロジ

自動車​と​家電​製品​の​境界​が​あいまい​に​なる​につれて、​自動車​メーカー​は​5G​接続​を​含む​幅広い​通信​技術​を​備え​た​システム​を​提供​する​こと​が​求め​ら​れ​てい​ます。​そして、​特に​米国、​日本、​および​多く​の​欧州​諸国​では、​多数​の​世界​的​な​自動車​メーカー​や​政府​が​DSRC​を​支持​し​てい​ます​が、​帯域​幅​の​制限、​相互​運用​性​の​欠如、​不十分​な​サイ​バー​セキュリティ​対策​といった​理由​により、​DSRC​の​導入​に​は​時間​が​か​かって​い​ます。​2017​年​の​キャデラック​CTS​セダン​や​2015​年​の​トヨタプリウス​など、​車​車間​通信​テクノロジ​を​搭載​した​車​は​現在​も​いくつか​存在​し​ます​が、​明らか​に​普及​し​て​いる​と​言える​次世代​テクノロジ​は​ありま​せん。

図​1.​急速​に​変化​する​次世代​テクノロジ。

テスト​ベッド​が​標準​に​与える​影響

グローバル​システム​フォー​モバイル​コミュニケ​ー​シ​ョ​ンズ​(GSM)​など​の​過去​の​標準​と​同じ​よう​に、​コンバージェンス​に​向け​た​本格​的​な​取り組み​が​行​われ​てい​ます。​国際​標準化​は、​社会​を​変える​大きな​可能性​を​秘​め​てい​ます。​図​2​は​GSM​が​開始​さ​れ​た​経緯​を​示し​てい​ます。​参加​者​が​アイデア​を​吟味​し、​議論​を​重ね​た​末​に、​標準​を​定義​しま​した。​そして、​制定​後​は、​至るところで採用され、​最終​的​に​数​十億​もの​デバイス​に​導入​さ​れ​ま​した。​現在、​V2X​において、​特に​セルラービークルツーエブリシング​(C-​V2X)​において、​大きな​転換​点​を​迎え​てい​ます。​アイデア​は​短期間​で​収束​し、​標準​を​形​作り​ます。​この​標準​に​影響​を​及ぼす​機会​が​最大限​に​高まり​つつ​ある​ため、​差別​化​を​推進​し、​市場​で​の​競争​力​を​高める​チャンス​を​逃​し​て​は​なり​ま​せん。​ただし、​具体​的​な​メリット​が​必要​です。​アイデア​や​ユース​ケース​の​実現​性​を​どの​よう​に​分析​し、​証明​す​れ​ば​よい​ので​しょう​か。

図​2.​大きな​転換​点​へ​の​アプローチ​[1]

答え​は​明白​です。​プロトタイプ​を​作成​する​こと​です。​システム​の​複雑​さ​が​増す​と、​シミュレーション​では​実現​性​を​証明​でき​ま​せん。​テスト​ベッド、​つまり​プロトタイプ​を​使用​する​必要​が​あり​ます。​テスト​ベッド​は​ワイヤレス​の​分野​で​広​く​使用​さ​れ​てい​ます。​米国​国立​科学​財団​(NSF)​の​ある​ワークショップ​は、​次​の​よう​な​結論​を​出​しま​した。​「理論​的​研究​において​提示​さ​れ​た​仮説​が​現実​世界​によって​否定​さ​れる​傾向​に​ある​こと​は、​経験​から​明らか​だ。​そのため、​きわめて​現実​的​な​動作​条件​で​の​評価​に​は​テスト​ベッド​が​重要​な​ツール​となり、​急進​的​な​アイデア​を​完全​で​実用​的​な​システム​で​テスト​できる​テスト​ベッド​の​開発​が​重要​で​ある。」​[2]

NI​が​果たす​役割

現在​の​市場​に​は、​すぐ​に​使用​可能​な​C-​V2X​ソリューション​は​存在​しま​せん​が、​ソフトウェア​定義​さ​れ​た​プラットフォーム​ベース​の​ソリューション​を​テスト​ベッド​として​選択​した、​ワイヤレス​分野​の​成功​した​研究者​は、​次​の​よう​な​構成​要素​を​使用​し​てい​ま​した。

  • プラットフォーム​ベース​の​アプローチ — こうした​テクノロジ​を​研究​し​て​迅速​に​プロトタイプ​を​作成​する​効果​的​な​方法​は、​シミュレーション​から​実装​まで​を​網羅​する​統合​さ​れ​た​設計​ソフトウェア​と​既製​の​ハードウェア​を​使用​する​こと​です。​コア​プラットフォーム​要素​として​ソフトウェア​を​使用​し​て、​アプリケーション​が​必要​と​する​適格​な​システム​を​構築​でき​ます。​プラットフォーム​に​拡張​性​が​ある​ため、​アイデア​を​形​に​できるだけ​で​なく、​使用​し​て​いる​機器​の​再​利用​性​が​向上​し、​投資​を​保護​でき​ます。5G​ミリ​波​システム​の​プロトタイプ​の​作成​に​成功​した​Nokia​の​事例を​覧​くだ​さい。

 

図​3.​ワン​プラットフォーム​アプローチ​は、​テスト​ベッド​の​迅速​な​構築​に​効果的

 

図​4.​拡大​を​続ける​NI​エコ​システム​が​テスト​ベッド​開発​の​加速​に​貢献

  • 実​世界​で​の​成功 — NI​は​世界​各国​の​研究者​と​協力​し​て​ワイヤレス​研究​を​進​め​てい​ます。​その​ユース​ケース​は​興味​深​く、​刺激​を​与​えて​く​れ​ます。​ワイヤレス​研究​における​新しい​アイデア​を、​研究者​たち​が​実際​に​機能​する​プロトタイプ​に​具現​化​した​方法​に関する​驚く​べ​き​事例​について​学ぶ​こと​が、​どこ​から​着手​し、​何​を​使用​したら​よい​か​を​理解​する​助け​に​なり​ます。こちら​の​ワイヤレス​研究​ハンドブック[3]​を​参照​し​て、​ワイヤレス​研究​プロトタイピング​の​ベスト​プ​ラ​ク​テ​ィ​ス​を​学​んで​くだ​さい。

V2X​ツール​と​ソリューション

この​3GPP NR V2X​作業​項目[4]​による​と、​車両​の​隊列​走行、​拡張​センサ、​高度​な​運転、​および​リモート​運転​という​4​つ​の​主要​ユース​ケース​が​あり​ます。​これらの​ユース​ケース​に​は、​きわめて​厳しい​要件​を​満たす​ため​に、​レイ​テン​シ​が​低​く​信頼​性​の​高い​新しい​NR​サイド​リンク​通信​戦略​が​必要​です。​LTE-​V2X、​NR V2X、​DSRC​など​の​マルチ​無線​アクセス​技術​(Multi-​RAT)​が​共存​する​ことに​なり、​6 GHz​を​超える​周波数​が​検討​対象​となり​ます。​最新​の​無線​規格​の​導入​が​可能​か​どうか​は、​車両​通信​シナリオ​の​実験​によって​判断​でき​ます。​ここ​で​紹介​する​プラットフォーム​ベース​の​V2X​ツール​および​ソリューション​は、​拡大​を​続ける​エコ​システム​を​提供​し​ます。

図​5.NI SDR​プラットフォーム​に​基づく​S.E.A.​社​の​V2X​テスト​ベッド​(画像​提供: S.E.A社

  • NI mmWave Transceiver Systemは、​一連​の​モジュール​式​ハードウェア​で​あり、​チャネル​サ​ウン​ディン​グ​から​リアルタイム​双方向​通信​システム​の​プロトタイプ​作成​まで、​広範​な​アプリケーション​に​使用​でき​ます。​この​システム​は、PXI​プラットフォーム上に構築され、​変化​し​続ける​研究​ニーズ​に​合わせ​て​組み合わせ​を​変​えて​構成​できる​柔軟性​の​高い​モジュール​セット​です。​ミリ​波​ラジオ​ヘッド​を​他の​RF​フロント​エンド​に​置き換える​こと​により、​基礎​と​なる​ハードウェア​および​ソフトウェア​は​同じ​もの​を​使用​し​て、​さまざま​な​周波数​を​検証​できる​ため、​開発​時間​を​短縮​でき、​システム​を​最大限​に​再​利用​でき​ます。​この​ハードウェアとLabVIEWを​組み合わせる​こと​で、​ミリ​波​通信​の​プロトタイプ​作成​に​最適​な​プラットフォーム​となり、​イノベーション​の​迅速​化​に​も​役​立ち​ます。

 


図​6.24.25〜​33.4 GHz​および​37〜​43.5 GHz​ラジオ​ヘッド​(左)​と​71〜​76 GHz​ミリ​波​ラジオ​ヘッド​(右)

  • NI SDR​を​使用​する​ことでワイヤレス​通信​システム​の​プロトタイプ​を​す​ば​やく​作成​し​て、​より​迅速​に​成果​を​上げる​こと​が​でき​ます。​低コストながらも柔軟性に優れた​SDR​により、​普通​の​PC​が​次世代​ワイヤレス​プロ​ト​タイ​ピン​グ​ツール​に​変わり​ます。​NI SDR​ソリューションをLabVIEWと​組み合わせる​こと​で、​ソフトウェア​と​ハードウェア​の​他​に​類​を​見​ない​統合​が​実現​し、​イノベーション​が​加速​し​ます。​また、​すぐ​に​使用​可能​な​標準​準拠​の​アプリケーション​フレーム​ワーク​による、​特定​の​コンポーネント​を​対象​と​した​迅速​かつ​集中​的​な​イノベーション​も​可能​となり​ます。
 
図​7.​移植​性​と​パフォーマンス​に​優れる​NI SDR​プラットフォーム
 
  • Tata Elxsi​の​V2X​エミュレータは、​リアルタイム​の​RF​および​コントローラ​エリア​ネットワーク​(CAN)​信号​を​生成​し​て、​実​世界​の​シナリオ​を​エミュレート​できる、​DSRC​ベース​の​包括​的​な​V2X​テスト​ソリ​ュ​ー​ション​です。​V2X​エミュレータ​で、​実​世界​の​フィールド​テスト​中​に​発生​する​可能性​の​ある​課題​に​取り組み​ます。​フィールド​テスト​の​前​に​エミュレータ​ベース​の​テスト​を​実行​する​こと​により、​テスト​の​コスト、​時間、​品質​が​大幅​に​改善​さ​れ​ます。

図​8.NI​プラットフォーム​に​基づく​Tata Elxsi V2X​エミュレータ​(画像​提供: Tata Elxsi​社)

まとめ

V2X​通信​テクノロジ​が​最終​的​に​どこ​まで​普及​する​か​は​予測​でき​ま​せん​が、​技術​的​な​要件​を​常に​把握​し、​トレンド​の​変化​に​適応​できるだけ​の​十分​な​柔軟性​を​維持​する​必要​が​あり​ます。​将来​的​に​どの​よう​な​技術​が​普及​する​の​か、​明確​な​答え​は​ありま​せん。​そのため、​テクノ​ロ​ジ​ロード​マップ​を​見直し、​技術​的​関連​性​と​製品​統合​の​枠組み​を​短期間​で​構築​できる​社内​能力​を​育成​する​こと​が​不可欠​です。​新しい​テクノロジ​の​実現​性​を​証明​する​に​は、​シミュレーション​も​重要​ですが、​新しい​アイデア​を​プロトタイプ​として​具体​化​する​こと​も​不可欠​な​ステップ​です。​しかし、​市場​に​利用​可能​な​V2X​ソリューション​が​ない​場合、​どの​よう​に​プロトタイプ​を​構築​す​れ​ば​いい​で​しょう​か。​プラットフォーム​ベース​の​アプローチ、​拡大​を​続ける​エコ​システム、​および​成功​した​ワイヤレス​研究者​の​ベスト​プ​ラ​ク​テ​ィ​ス​を​研究​する​こと​で、​研究者​や​設計​者​は​V2X​テスト​ベッド​を​構築​し、​ソフトウェア​定義​の​アプローチ​で​迅速​に​検証​でき​ます。​それ​によって​差別​化​を​推進​し、​市場​で​の​競争​力​を​高める​こと​が​でき​ます。

関連​情報

 

 

参考​資料

[1]​「Who created GSM?」、​History of GSM、​2019​年​2​月​18​日​に​アクセス、 http://​www.gsmhistory.com/​who_created-​gsm/

[2]​「Report:NSF Workshop on Future Wireless Communication Research」、​NSF Workshop on Future Wireless Communication Networks、​2019​年​2​月​18​日​に​アクセス、https://​cpb-​us-​e1.wpmucdn.com/​blogs.rice.edu/​dist/​2/3274/​files/​2014/08/​nsf-​wireless-​workshop.pdf

[3]​「ワイヤレス​研究​ハンドブック:​第​3​版」、http://​www.ni.com/​en-​us/​innovations/​wireless/​5g.html

[4]​「3GPP TSG RAN Meeting #80」、​2019​年​2​月​18​日​に​アクセス、http://​www.​3gpp.org/​ftp/​tsg_ran/​TSG_RAN/​TSGR_80/​Docs/​RP-181480.zip