ミリ帯:5Gどの周波数採用れるか。

概要

ワイヤレス対応デバイスの数と、それらによってやり取りされるデータ通信量は毎年急速なペースで増加し続けています (CAGRで53%に達する[1])。 デバイスが生成、消費するデータ量が増大するにつれて、こうしたデバイスの接続先となるワイヤレス通信インフラストラクチャには、需要に応えられるような進化が求められています。モバイルのブロードバンドデータをユビキタスに、かつ瞬時に提供することを目標として3GPPが定めた3つの高レベル5Gユースケース[2]について、それらに必要なデータレートのステップ関数を提供するためには、4Gベースのネットワークのスペクトル効率を上げるだけでは不十分です (図1を参照)。このことを踏まえ、研究者たちは潜在的な解決策として、より高い周波数に目を向けてきました。初期のチャンネル策定作業の前向きな結果を踏まえて、世界のワイヤレス標準化団体は、こうした新しい周波数や、より広い帯域幅が、次世代の5Gワイヤレスシステムにどのように組み込まれて利益をもたらすのかについて、再び注目しています。

内容

5GにおけるKPI定義

どのユースケースも、既存のワイヤレス標準では十分対応できない新しいアプリケーションに対して将来のワイヤレス標準が対応できることを想定しており、それぞれが異なる新しいKPI (主要業績評価指標) のセットを必要としています。 IMT 2020のユースケースで定義されたeMBB (Enhanced Mobile Broadband) では、4Gの100倍となる10 Gb/sのピークデータレートを想定しています[3]。 「通信路容量は帯域幅 (周波数スペクトル) とチャンネルノイズに比例する」というシャノン・ハートレーの定理によると、データレートは利用可能な周波数スペクトルに関連することが経験的に知られています[4]。 6 GHz以下のスペクトルは完全に割り当て済みとなっているため、6 GHzを超えるスペクトル、特にミリ波の範囲は、eMBBのユースケースに対応するための魅力的な代替手段となります。

 

1:3GPPIMT 2020定める3レベル5G使用シナリオ

 

ミリ帯:3周波数をめぐって

世界のサービス事業者は、顧客にサービスを提供するため、周波数スペクトルに数十億ドルという額を支払ってきました。 スペクトルがオークションに出されるという事態は、市場におけるその価値と、この貴重なリソースの不足を浮き彫りにしています。 新たなスペクトルの道が開かれれば、サービス事業者がより多くのユーザにサービスを提供できるだけでなく、広帯域モバイルデータ通信の性能も向上します。 6 GHz以下と比べて、ミリ波帯は周波数スペクトルが豊富に存在し、ライセンス管理もさほど厳格ではありません。つまり世界中のサービス事業者が利用できるのです。 シリコン製造技術の進歩によって、ミリ波装置の価格は家電製品に実用化できるまでに大幅に値下がりしました。 ミリ波の導入にあたって現在最大の課題となっているのは、まだ調査が不十分なこの周波数スペクトルに関して、技術的に未解決となっている問題の答えを出すことです。

サービス事業者各社は、モバイルアプリケーションでの利用に最適な周波数帯の候補を評価するため、ミリ波技術の調査に着手しています。 国際電気通信連合 (ITU: International Telecommunication Union) と3GPPは、5G規格の調査を2つのフェーズで進める計画について足並みを揃えています。 第1フェーズでは、緊急性の高い一部の商業ニーズに対応するため、40 GHz未満の周波数帯の調査期間として2018年9月の完了を定めています。 第2フェーズについては、IMT 2020で概説されたKPIに対応するために、2018年開始、2019年12月完了を予定しています。 この第2フェーズは最大100 GHzの周波数帯が中心となっています。
ミリ波周波数帯の世界的な標準化の足並みを揃えるため、ITUは直近の世界無線通信会議 (WRC: World Radiocommunications Conference)[5]の開催後、世界的に実用化できる24 GHz~86 GHzの周波数帯リストの案を公開しました。

 

24.25~27.5 GHz                                        31.8~33.4 GHz

37~40.5 GHz                                             40.5~42.5 GHz

45.5~50.2 GHz                                           50.4~52.6 GHz

66~76 GHz                                                      81~86 GHz


ITU案の直後、米国の連邦通信委員会 (FCC: Federal Communications Commission) は、2015年10月21日、28 GHz、37 GHz、39 GHz、および64~71GHzバンドにおいて新しい柔軟なサービスルールを提案する規則​制定​案​告示 (NPRM: Notice of Proposed Rule Making) を発表しました[6]。

 



2:FCC​が​モバイル​向け​に​提案​した​帯域[6]



ITUや3GPPなどの標準化団体は、5G規格の策定期限を2020年とすることを決定しましたが、携帯電話事業者は5Gサービス提供のスケジュールを加速させる取り組みを進めています。 米国では、Verizon社とAT&T社が2017年に5Gの初期バージョンを展開することを目指しています。 韓国では2018年のオリンピックで5Gの試行サービスを導入することを目指しており、日本は2020年の東京オリンピックで5G技術の実演を望んでいます。 こうしたさまざまな団体や動機がきっかけとなって、28 GHz、39 GHz、72 GHzという一連の周波数帯が5Gの候補として浮上し始めています。

これら3つの周波数帯が注目されたことにはいくつかの理由があります。 まず、下の図に示すように、酸素吸収により約20 dB/kmの損失が生じる60 GHz帯[7]と異なり、酸素吸収率がはるかに低く、長距離通信の実用に向いています。 これらの周波数帯はマルチパス環境での動作も良好で、見通し外通信に利用できます。 高指向性のアンテナを使用し、ビームフォーミングやビームトラッキングと組み合わせることで、信頼性とセキュリティに優れたミリ波のリンクを提供できます。 28 GHz、38 GHz、73 GHzにおけるチャンネルの特性や潜在的な性能の研究は、すでにニューヨーク大学科学技術専門校のTed Rappaport博士と学生たちによって開始されています。 同博士らは、各周波数帯における伝搬測定やサービス停止の可能性に関する調査結果をまとめた論文をいくつか発表しています。 こうした既存のデータや研究結果と、世界中で利用できるスペクトルを結び付けることで、これら3つの周波数帯をミリ波に対応するプロトタイプ開発の出発点とすることができます。

 

3: ミリ周波数における大気吸収 (dB/km)[7]

 

28 GHzに関する現状

前述のように、サービスプロバイダは未割り当てのミリ波スペクトルの広範な利用を切望しており、どの周波数がミリ波スペクトルで採用されるのかを大きく左右する存在になるでしょう。 Samsung社は2015年2月、独自のチャンネル測定を実施し、28 GHz帯がセルラー通信で実用化できる周波数となることの実証に成功しています。 同社の測定では都市環境で想定されるパス損失を検証しました (パス損失指数は見通し外 (NLoS) リンクで3.53)。Samsung社ではこのデータについて、ミリ波通信リンクが200メートル以上の距離に対応できることを示唆するものであると主張しています[8]。 同社はフェーズドアレイアンテナについても調査しており、 複雑なフェーズドアレイを携帯電話の内部に搭載した場合、どのような特性が得られるのかを評価する取り組みを始めています。 日本では、NTTドコモがNokia社、Samsung社、Ericsson社、Huawei社、富士通と提携して、28 GHz帯 (ならびにその他の周波数帯) で独自の実地試験を成功させました。

Verizon社は2015年9月、Samsung社を含む主要パートナーとともに、2016年に米国で実地試験を実施すると発表しました。 5Gの規格策定時期として提案されている2020年よりも4年も早く実験を行うことで、Verizon社はいち早く5Gの市場に参入したいと考えています。 2015年11月には、Qualcomm社が128基のアンテナによる28 GHzの実験を行い、密集した都市環境におけるミリ波技術をアピールし、見通し外通信に指向性ビームフォーミングを利用できることを示しました。 FCCからは、28 GHzの周波数スペクトルはモバイル通信に利用可能であるという発表があり、米国ではさらなる実験や実地試験が続くと予想されます。 さらに、Verizon社はXO Communications社から28 GHz帯をリースする契約も発表しました。この契約には、2018年末にそのスペクトルの買い取りも行えるというオプションが付与されています。

ただし、28 GHz帯は、ITUが示した世界規模で実用化可能な周波数のリストには含まれておらず、 5Gミリ波の分野で長期的に採用されるかどうかはまだ決定されていません。米国、韓国、および日本で利用可能なスペクトル、そして米国の各種サービスプロバイダによる早い段階での実地試験の取り組みにより、世界的な規格とは関係なく、米国では28 GHz帯をモバイル技術として推進する可能性があります。 また、韓国は2018年のオリンピックで5G技術を披露したいと考えているため、標準化団体が5Gの規格を正式に策定するよりも前に、28 GHz帯を消費者向け製品に投入する可能性があります。 一部のFCC委員は、この周波数がIMT (International Mobile Telecommunications) のスペクトルのリストに含まれていなかったことを見過ごさず、この事実に注目しています。 Jessica Rosenworcel氏は、2016年2月にワシントンで行われた講演で次のように述べました。


「情勢を俯瞰してみると、米国が単独で取り組む必要があると信じる領域がいくつかあります。 たとえば28 GHz帯ですが…残念なことに、昨年ジュネーブで開催された世界無線会議ではこの帯域は議題から外され、5Gスペクトルの調査リストには含まれませんでした。しかし、28 GHz帯は世界中でモバイル向けに割り当てられています。そのため、米国は28 GHz帯の​調査​を​続ける​べ​き​で​しょう。韓国と日本ではすでにこの帯域の試験が進行中です。そのため、躊躇している時期ではないでしょう。独自に取り組みを進め、年末までに28 GHz帯の​枠組み​を​構築​する​必要​が​ある​と​考え​ます。」


同じく​FCC​の​委員​を​務める​Michael O’Rielly氏は、2015年の世界無線会議 (WRC) の結果について不満を表明し、現時点までFCCのすべてのブログ記事を執筆しています。


「WRC-15がもたらす実質的な効果と、それが今後のITUの役割に及ぼす影響について、​憂慮​せ​ざる​を​得​ま​せん。 このままでは、今後のWRCの価値を損なう可能性があります。また、ITUが政府機関の手先となり、現行の帯域利用者によるスペクトルの活用や技術的な進歩を妨げる存在になりかねないということが現実的な懸念になっています[9]」


28 GHz帯が5Gで広く採用されるかどうかはまだわかりませんが、現時点で重要な周波数帯であることは確かです。

 

73 GHzに関する現状

28 GHz帯をめぐる取り組みと並行して、過去数年にわたり、Eバンドの周波数帯もモバイル通信で注目されてきています。 Nokia社は、ニュー​ヨーク​大学が73 GHz帯で行ったチャンネル測定を参考に、同周波数帯の調査を開始しました。 2014年に開催されたNIの年次会議であるNI Weekにおいて、Nokia社は、NIのプロトタイプ向けハードウェアを使用して、73 GHz帯を使用した無線でのデモンストレーションを同社としては初めて披露しました。 このシステムは研究が進むにつれて進化を続け、新しい技術的成果を披露するデモンストレーションが継続的に公開されています。 Mobile World Congress 2015までには、このプロトタイプシステムにレンズアンテナとビームトラッキングを採用しました。それにより、2ギガビット/秒 (Gbps) を超えるデータスループットを実現しました。 2015年のBrooklyn 5G Summitでは、このシステムのMIMOバージョンが登場し、10 Gbpsを超える動作が実現されました。それから1年足らずの時期に開催されたMobile World Congress (MWC) では、14 Gbpsを超える双方向の無線リンクのデモが行われました。

MWC 2016で73 GHz帯のデモを披露したのはNokia社だけではありません。 Huawei社もDeutsche Telekom社と共同で、73 GHz帯で動作するプロトタイプを披露しました。 マルチユーザ (MU) MIMOを用いたこのデモは、高いスペクトル効率を実現するだけでなく、個々のユーザに対して20 Gbpsを超えるスループットレートが提供される可能性を示すものでした。

73 GHz帯で開始されている研究例もあり、今後3年間でさらに多くの研究が期待されています。 73 GHz帯が28 GHz帯や39 GHz帯と一線を画している特徴の1つとして挙げられるのが、利用可能な連続帯域幅が広いことです。 73 GHz帯でモバイル通信に使用できる連続帯域幅は2 GHzですが、これは提案されている周波数スペクトルの中で最も広い帯域幅です。 米国では、28 GHz帯で850 MHz、39 GHz帯で1.6 GHz/1.4 GHzの連続帯域幅しか利用できません。 そして前述のシャノンの定理に基づき、帯域幅が広いほどデータスループットが高くなることから、73 GHz帯はこれまでに述べた他の周波数よりも大きなメリットがあるということです。

 

38 GHzに関する現状

一般に入手できる現在進行中の研究データの量が最も少ない38 GHz帯ですが、これもまた5Gの規格に加わる可能性があります。 この周波数帯は、ITUによって世界的に実用化が可能な周波数としてリストに加えられました。 すでにニューヨーク大学が実施した研究のチャンネルデータは、この帯域が実用化可能な周波数であることを証明しています。 この周波数​帯​に関する​問題​の​1​つ​は、​28 GHz​帯​や​73 GHz​帯​と​比べ​て​すでに​多く​利用​さ​れ​て​いる​こと​です。 FCCでは潜在的なモバイル利用のためのスペクトルを提案しており、今後米国ではこのバンドの調査研究が進むと見られます。

Verizon社は、2016年の最初の現地試験で28 GHz帯に注力していますが、39 GHzでの試験計画をすでに整えています。 XO Communications社は、28 GHz帯で所有しているライセンスに加えて、39 GHz帯でも大量のライセンスを所有しています。 1つのサービスプロバイダがこれだけの大規模な投資を行っていること、またIMTのリストにも加えられていることから、2020年の5G標準の有力な候補となっています。

 

ミリ対応するプロトタイプ開発

ミリ波を5Gにフルに活用するには、新しい技術、アルゴリズム、通信プロトコルを開発する必要があります。ミリ波チャンネルの特性は現在のセルラーモデルとは根本的に異なり、まだわかっていないことも多いからです。 特にミリ波の研究の初期段階において、ミリ波のプロトタイプを構築することには極めて重要な意味がありますります。 ミリ波システムのプロトタイプを構築することで、シミュレーションだけではわからない技術や概念の実現可能性を実証することができます。リアルタイムの無線通信を行うミリ波対応のプロトタイプを利用することで、ミリ波チャンネルについての理解が深まり、技術の採用や普及につながります。

ミリ波での通信を実現する完全なプロトタイプシステムを構築するには、数々の課題があります。 ここでは、数GHz幅のチャンネルの処理が可能なベースバンドサブシステムについて考えます。 現在のLTEシステムの多くは10 MHz (最高で20 MHz) のチャンネルを採用しており、演算の負荷は帯域幅を拡大すると直線的に増加します。 つまり、5Gのデータレート要件を満たすには、100倍以上の演算容量が必要となるのです。 ミリ波システムの物理層演算では、プロトタイプの開発にFPGAが不可欠です。

ミリ波アプリケーションのプロトタイプ開発が可能なカスタムハードウェアを構築することは、気の遠くなる作業です。 ミリ波周波数が通信にとって非常に魅力的である理由の1つは、連続帯域幅が広いことです。 5Gアプリケーションに必要な1​~2 GHzの帯域幅を持つ既製のハードウェアトランスミッタまたは受信機を見つけることは、非常に費用がかかるか、必要な周波数によっては不可能です。 たとえそうしたハードウェアが開発されて利用可能になったとしても、未処理のデータを構成して処理する機能は制限されます。 こうした理由から、FPGAを採用した処理用のボードをカスタム設計するというのが魅力的な選択肢になります。 FPGAを搭載するボードのハードウェア設計に必要なエンジニアリング時間は重要ではないように思われるかもしれませんが、FPGAを搭載するボードと通信するソフトウェアインタフェースの開発に必要な時間を合わせて考慮すると、非常に熟練したエンジニアでさえその設計プロセスに1年以上を容易に費やしてしまう可能性があります。 そして、そのプロセスはプロトタイプシステムのほんの一部にすぎません。

ミリ波のプロトタイプシステムでは、FPGAを搭載するボードに加えて、1​~2 GHzの帯域幅を捕捉するために最先端のDACやADCを利用する必要があります。 現在市場に流通しているRFICには、ベースバンドとミリ波の間で周波数変換を行うチップが含まれていますが、これらの選択肢は限られており、ほとんどが60 GHz帯域を対象としています。 RFICの代わりにIF/RF段を用いることもできます。 エンジニアがベースバンドやIFのソリューションを入手できれば、ミリ波ラジオヘッドのベンダの選択肢はベースバンドのRFICよりも増えますが、数は多くありません。 ミリ波ラジオヘッドの開発にはRFやマイクロ波の設計の専門知識が必要ですが、これはFPGAを搭載するボードを開発するために必要なスキルセットとはまったく異なります。つまり、必要なすべてのハードウェアを開発するためには、さまざまなスキルセットを持つチームが必要になります。 FPGAは、ミリ波ベースバンドのプロトタイプシステムにおけるコアコンポーネントとして捉える必要があります。数GHzのチャンネルを処理できるマルチFPGAシステムをプログラミングするには、システムの複雑さが増大することになります。 サービスプロバイダや通信研究者が直面するシステムの複雑化やソフトウェアの課題への対策として、NIでは、ミリ波に対応するプロトタイプ向けの構成可能なハードウェアの製品群を提供するとともに、ミリ波システムのベースバンドの根本的側面を構成するミリ波物理層をソースコードに含めているほか、複数のFPGA間でのデータの転送と処理を抽象化することでタスクの簡素化を実現しました。 これらのツールは、新しいプロトタイプを、5G技術の開発に不可欠なシステムや製品へと移行するのに役立ちます。

 

まとめ

5Gが今後具体的にどのように導入されるのかはまだはっきりしていませんが、ミリ波がこうした技術の1つになることは確かです。 データのスループットに対する要件を満たすためには、24 GHz以上の帯域で利用可能な広大な連続帯域幅が必要ですが、すでに研究者はプロトタイプの開発を通じて、ミリ波技術を用いて14 Gbpsを超えるレートを提供できることを実証しています。 未解決となっている最大の問題は、モバイル通信に利用されるミリ波の周波数帯域です。 ITUは、モバイルで5Gを利用するための単一の周波数を決定するうえで役割を果たす可能性があります。 今日の携帯電話はグローバルな対応のために複数のチップを必要としていますが、その代わりに1つのシリコンセットのみを開発して用いることになれば、コストが削減され、携帯電話メーカーや消費者はそのメリットを受けられます。 ただし、既存の周波数帯の割り当てを変更するにはコストがかかります。 世界中で合意が得られる単一のバンドを見出すことは素晴らしい目標ですが、最終的にこの目標が達成されるとは限りません。 各地域のサービスプロバイダはできるだけ早く5Gを実現したいと考えています。そのため、ITUの勧告を無視し、世界規模の拡張は行えなくても、最も簡単に利用できるスペクトルを採用することを選択しています。また、5G開発の重要な部分となる実地試験やトライアルで、双方向通信リンクの精密なプロトタイプを開発できる能力を活用しようとしています。その結果を活用することで、研究者たちはこうした新たな技術の実証を行い、これまでにないスピードで標準化に向けた動きを進めることができます。

数多くの未知数はありますが、今後はミリ波技術が導入されること、そしてその日が近いことは確かです。 次世代​の​ワイヤレス​通信​が​登場​する​日​を​目前​に​控え、​世界中​が​その​具体​的​な​実装​方法​に​期待​を​込​め​つつ​注目​し​てい​ます。

 

次のステップ

NI mmWave Transceiver Systemの詳細

Nokia社によるミリ波システムの迅速なプロトタイプ開発の事例

 

参考資料

[1] CISCO VNI 2016: http://www.cisco.com/c/en/us/solutions/collateral/service-provider/visual-networking-index-vni/mobile-white-paper-c11-520862.html

[2] RAN 5G Workshop, Sep 19, 2015   http://www.3gpp.org/news-events/3gpp-news/1734-ran_5g

[3] IMT 2020 https://www.itu.int/dms_pubrec/itu-r/rec/m/R-REC-M.2083-0-201509-I!!PDF-E.pdf

[4] Taub, H., & Schilling, D. L.(1986).Principles of Communication Systems. (通信システムの原理)McGraw-Hill.

[5] Resolution Com6/20, Provisional Final Acts WRC-15.WRC-15 (pp. 424-426).Geneva:ITU. http://www.itu.int/dms_pub/itu-r/opb/act/R-ACT-WRC.11-2015-PDF-E.pdf

[6] Use of Spectrum Bands Above 24 GHz for Mobile Radio Services (24 GHz​以上​の​スペクトル帯域​を​使用​した​モバイル​無線​サービス)、GN Docket No. 14-177, Notice of Proposed Rulemaking, 15 FCC Record 138A1 (rel.Oct. 23, 2015)

[7] T. S.Rappaport, J. N.Murdock, and F. Gutierrez, ‘‘State of the art in 60 GHz integrated circuits & systems for wireless communications (60 GHz​を​利用​するワイヤレス​通信​用​の​IC/​システム​の​最新​動向),’’ Proc.IEEE, vol. 99, no. 8, pp. 1390–1436, Aug. 2011.

[8] Samsung “5G Vision (5G​の​ビジョン)”, p. 7, http://www.samsung.com/global/business-images/insights/2015/Samsung-5G-Vision-0.pdf page 7

[9] O’Rielly, M.(2016, January 15). 2015 World Radiocommunication Conference:A Troubling Direction (WRC-15: 憂慮​すべ​き​方向​性) https://www.fcc.gov/news-events/blog/2016/01/15/2015-world-radiocommunication-conference-troubling-direction