Xilinx 7シリーズFPGASoCデバイスメリット

概要

NI LabVIEW FPGAハードウェアターゲットは、Xilinx FPGAおよびSoC技術を使用して、エンジニアや科学者がオンボード処理機能を備えたカスタムの再構成可能なシステムを構築し、複雑な制御と測定の課題を解決して、総コストを削減しながら市場投入までの時間を短縮できるように支援します。NI FlexRIO、Rシリーズ、PXI、CompactRIO、Single-Board RIO、System on Module (SOM)、myRIO、その他の製品には、Xilinx 7シリーズFPGAとSoCが搭載されています。さらに、LabVIEW 2014以降では、7シリーズを使用する開発者は、Xilinx社の最新かつ最速のコンパイル技術であるVivadoの恩恵を受けられます。LabVIEW FPGAのユーザは、VivadoがNIツールチェーンに完全に統合されているため、Vivadoの使用方法を習得しなくても、これらのメリットを活用できます。

内容

7シリーズFPGA概要

Xilinx社では、FPGAの定義を拡大し、業界最先端のFPGAを提供するだけでなく、考え方を根本から変えるSoC/3D ICラインナップを、28 nmプロセスで提供しています。NIは、Xilinx 7シリーズデバイスの要件を定義する上で重要な役割を果たし、SoCプログラムのリードパートナーでした。

 

Xilinx社では、PCのグラフィカルチップセット用高性能/高消費電力プロセスまたは携帯電話デバイス用低電力プロセスを採用せず、その代わりにTSMC社と共同でデバイスの要件に合わせたプロセスを開発しました。こうして、TSMC 28 nm高性能低消費電力 (HPL) プロセス技術は、Xilinxデバイスの市場全体において、性能と低電力をバランスよく実現します。高性能で動作する必要がある設計では、消費電力が増加するという極端なコストがかかる必要はありません。逆にいうと、厳しい電力要件を満たす必要がある設計でも、比較的高い性能を維持することが可能です。全7シリーズラインナップが同じ28 nm HPLシリコンプロセスを利用できることで、Xilinx社はさらに集中的にアーキテクチャの改良に取り組むことができました。7シリーズについて、Xilinx社は、新しい低コストのArtix-7シリーズ、ミッドレンジのKintex-7シリーズ、ハイエンドのVirtex-7シリーズを含む、多種多様なスケールで選択可能FPGAのフルラインナップを発表しました。論理セル、DSPブロック、ブロックRAMなどの基本FPGAビルディングブロックは、7シリーズ全体で一貫しているため、設計の移行が非常に容易です。

 

Xilinx社は、FPGAのフルラインナップの開発に加え、Zynq-7000 SoCとVirtex-7 3D ICという2つの世界初のデバイスを開発しました。これらのデバイスは両方とも、世界中の業界誌や業界団体から数々の賞を受賞しました。

 

Zynq-7000 SoCs:CPUFPGA単一デバイス統合

図1に示すように、Zynq-7000 SoCはシングルチップ上で、デュアルコアARM Cortex-A9 CPUと豊富な標準I/O周辺機器セット、SoCプロセッシングシステムドメインのマルチポートメモリコントローラ、プログラマブル論理ドメインのFPGAファブリックを組み合わせています。2,000を超える相互接続により、処理システムとプログラマブルロジックが繋がっています。これにより、プリント基板を介して個別のプロセッサベースのデバイスをFPGAに接続する他のシステムでは実現できない、処理とプログラマブルロジック間の高性能、低レイテンシの通信、拡張、柔軟性、機能を提供します。この統合は、CompactRIO cRIO-906x、Single-Board RIO製品 (sbRIO-9607/9627/9637)、パワーエレクトロニクス制御システム用Single-Board RIO GPICキット、System-On-Module (SOM) sbRIO-9651、myRIO、グリッドオートメーションシステムなど、Zynq-7000ベースのNIプラットフォームにとって重要な価値を持ちます。処理システムとプログラマブルロジック間の高性能かつ低レイテンシの相互接続により、16個の並列DMAチャンネルと300 MB/秒を超える機能帯域幅が可能になります。

7シリーズのデバイスはすべて、ARM AXI-4バスプロトコルを使用するよう標準化されています。ARMベースシステムに実装するために作成されたIPは、任意の7シリーズデバイスに簡単に移行できます。NIではLabVIEW FPGAを使用してアプリケーション固有のIPセットを提供し、AXIインタフェースで標準化されたXilinx CORE Generator IPへのアクセスも提供します。これにより、ベンダ間のIP相互運用性が提供され、長期にわたる設計の保守と改善が容易になります。

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図1:Zynq-7000 SoCは、デュアルコアARM Cortex-A9プロセッサシステム、28 nm FPGAファブリック (プログラマブル論理)、主要な周辺機器を1つのデバイスに統合しています。

Kintex-7:性能電力消費ベストバランス

Xilinx社は、1988年にFPGAを開発し、それ以来、最新のFPGA技術を世に送り出しています。Kintex-7はFPGA技術の頂点を極めるものです。このデバイスシリーズが特徴としているのは、FPGAファブリックのクロックレート性能、低消費電力、高速I/O、容量、セキュリティ、信頼性が完璧なバランスで組み合わされている点です。

 

そのようなバランスの取れた機能を搭載したデバイスは、カスタムトリガ、ハードウェアタイミングによるテストシーケンス、医療画像、ビッグフィジックス制御/監視、超広帯域通信/レーダー、シギント、プロトコル対応デジタルテスト、リアルタイムビジョンアルゴリズム、ソフトウェア無線など、多彩なテストや高性能組込アプリケーションに最適です。

 

新しいKintex-7 FPGAは、LabVIEW再構成可能I/O (RIO) アーキテクチャを使用する多くの製品に適しています。このデバイスシリーズは、従来のハイエンドFPGAの容量と性能を備えながら、消費電力は半分で済みます。電力消費が顕著に少ないことで、NIの旧世代のFPGA対応ハードウェアに比べ、各デバイスに搭載できるデジタル信号処理能力が倍以上に増えています。このように論理/DSPリソースが増えたことで、より複雑なアルゴリズムを実装することができ、信号処理やリアルタイム解析がさらに広く利用できるようになったほか、I/Oデータレートの高速化や昨今のアプリケーションの複雑化にも対応することが可能となっています。

 

DSPリソースが増えているだけでなく、DDR3メモリコントローラのおかげで、旧世代のレートは3.2 GB/秒だったところ、10 GB/秒 (理論上) の一時記憶装置へのインタフェースを実装することができました。さらに、内蔵のPCI Expressコントローラの帯域幅は800 MB/秒から1,600 MB/秒に向上していますので、FPGAからホストへのデータ転送はさらに高速化しています。

 

Kintex-7のメリットを活用するNIプラットフォームおよび製品には、RシリーズマルチファンクションRIO、PXIプラットフォームFlexRIOデジタルI/OCompactRIOプラットフォーム、USRP (Universal Software Radio Peripheral) プラットフォーム (ソフトウェア無線) があります。

 

Artix-7:小型、消費電力、高性能体現

Artix-7はKintex-7と同じFPGAリソースを使用しますが、さらに消費電力が少なくなり、パッケージサイズが小さくなるように最適化されており、しかも同様のメリットをお手頃価格で提供します。Artix-7 FPGA技術は、カスタムタイミング、オンボード処理、制御を実装するために、Zynq-7000 SoCを搭載したNI製品およびCシリーズ拡張シャーシで使用されています。FPGAのビルディングブロックはKintex-7と機能的に同一であるため、特にLabVIEW FPGAを使用している場合には、デバイス間の移行は容易に行えます。

 

Xilinx Vivado:コンパイル性能向上 

LabVIEW 2014以降、Xilinx 7シリーズFPGAとZynq-7000 SoCを搭載したNI RIOハードウェアを使用している開発者は、Xilinx社の最新コンパイル技術、Vivadoの恩恵も受けることができます。Vivadoコンパイルツールには、以下をはじめ多くのメリットがあります。

  • より一貫した信頼性の高いタイミング調整 
  • リソース使用率の向上
  • 以前Xilinx ISEを使用していたKintex-7 FPGAターゲット (NI cRIO-9068およびNI PXIe-7975R) でコンパイルが高速化

 

図2:Xilinx社の新しいVivadoコンパイル技術を利用すると、以前はXilinx ISEを使用していたKintex-7およびZynq-7000 SoCターゲットでコンパイルにかかる時間が短縮できます。

著者情報

Xilinx Inc.戦略的マーケティング/事業計画部門シニアディレクター、Robert Bielby

NI主席マーケティングマネージャ、Greg Brown

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