計測システムした視覚技術選ぶには

概要

データの視覚化は、ほとんどすべての計測システムに共通するテーマです。データ収集 (DAQ) システムの視覚化の選択肢は多岐にわたり、収集した信号をグラフ化するという単純な作業から、計測データを映像、音声、または3Dモデルの投影へと関連付ける作業にまで及びます。未処理データからアクション可能な情報を適切に引き出せるか、それとも重要な洞察を見逃してしまうかは、最適な視覚化ツールを選べるかどうかにかかっています。このホワイトペーパーでは、視覚化ツールを選ぶ際に考慮すべき5つのポイントについて説明します。

適切視覚ツール選ぶため5ポイント

  1. データの視覚化は、インライン、オフライン、もしくはその両方で行う必要があるか
  2. 収集したデータを処理できるか
  3. 必要な機能を備えているか
  4. アプリケーションのニーズに合わせて視覚化をカスタマイズできるか
  5. 計測データを視覚化する際に他のソースから得たデータと同期させる必要があるか

 

1.データ視覚は、インライン、オフライン、もしくはその両方行う必要あるか

ほとんどのアプリケーションでは何らかの視覚化処理が必要ですが、重要なのは、データの処理をどこで行うか、つまりインライン、オフライン、もしくはその両方で行うか必要があるかということです。

 

インライン

インラインでの視覚化では、データの収集と表示を同じアプリケーションで行います。たとえば、収集したデータをコンピュータの画面上に表示すれば、技術者は計測中の信号を文字どおり目で見ることができます。それにより、すべての接続が正しく行われているかどうかを確かめることができます。インラインでの解析をインラインでの視覚化と一緒に実行すれば、収集した信号とフィルタリングした信号をモニタに一緒に表示することもできます。このタイプのアーキテクチャでは収集したデータをほぼリアルタイムで視覚化できるため、フィードバックが瞬時に得られますが、必要な視覚化ツールをすべて備えたアプリケーションソフトウェアを選ぶ必要があります。

インラインでの解析と同様に、データをインラインで視覚化する場合も、必要な計算を実行してデータを表示するための処理能力が別に必要になります。ユーザインタフェースの更新は、CPUが実行する処理の中で最もプロセッサが集中的に使用されるものの1つです。収集アプリケーションに厳しいタイミング要件が求められる場合、データを逃さないようにするため、視覚化がシステムのボトルネックにならないようにする必要があります。アプリケーションの開発中に、データの収集、解析、視覚化にかかる時間を測定し、データポイントがすべてそろっているかどうかを確かめることができます。または、コードを並列化するという選択肢もあります。その場合は、あるスレッドでデータ収集を実行しながら、CPUリソースが使用可能になったときにのみ、別のスレッドですべての信号処理と視覚化を低い優先度で処理することができます。並列化は、ほとんどのマシンに搭載されている複数のCPUを活用することで実現できます。

 

オフライン

インラインでの視覚化は一般的ではあるものの、システムの実装方法として常に適しているわけではありません。実際、インラインでの視覚化さえ必要としないアプリケーションもあります。収集時にデータを表示する必要がない場合、または、コンピュータプロセッサの処理能力をデータの収集とディスクへのストリーミングに集中的に振り分けたい場合は、オフラインでの視覚化を選ぶこともできます。オフラインで視覚化を実行するには、あとで検査できるようにデータを保存する必要があります。そのため、適切な保存形式と専用のオフライン視覚化ツールを選ぶ必要があります。しかし、データをオフラインで表示する方法を選択すると、収集した元の未処理データにアクセスでき、データを自由に操作できるようになります。また、データ収集のタイミングやメモリの制限に縛られることもありません。計算量の多いグラフィック更新処理をCPUで実行する必要もなくなるため、ライブ収集の際に視覚化がボトルネックにならなくなります。

アプリケーションの多くは、インラインとオフラインの両方のデータ視覚化を組み合わせて利用します。通常、インラインの視覚化では、システムの正常な動作を維持するために、処理量を最小限にとどめるように機能します (たとえば、グラフの更新速度を遅くするなど)。オフラインの視覚化をインラインの視覚化と組み合わせることで、収集そのものへの影響がなくなったときにデータを詳細に検査して関連付けを行うことができます。

 

2.収集したデータ処理できるか

データ視覚化ツールを選ぶ際、表示できるデータの量と受信するデータの形式について考慮する必要があります。同じアプリケーションソフトウェアでデータを収集し、インラインで視覚化する場合は、形式が問題になることはありません。ただし、データレートについては、表示する必要のあるデータ量に影響を与え、最終的には視覚化のレンダリングに必要なグラフィック処理能力にも影響を与えるため、注意が必要です。

オフライン用の視覚化ツールを選択する場合は、形式について考慮する必要があります。選択した視覚化ツールが、データの保存に使用する予定のファイル形式やデータベース形式に対応できるかどうかを確認する必要があります。

また、オフライン用のデータ解析ツールであっても、オペレーティングシステムによって割り当てられるメモリ量の制限を受けるため、大量のデータセットを視覚化しようとしても一部のデータしかロードできない場合があります。こうした制限があるために、視覚化ツールの多くはデータ量に制限を設けており、その制限を上回る量のデータのロードやグラフ化ができないようになっています。一般的な金融関連のツールを例にとると、列ごとにロードできるデータポイントは1,048,576 (220) 個、チャートごとにグラフ化できるデータポイント数は32,000個に制限されています。エンジニアリングデータセットの処理を目的に開発された視覚化ツールを選べば、データに適切にアクセスして視覚化できるようになります。また多くの場合、大量のデータセットの処理を簡素化するデータ低減技術を利用できます。

 

3.必要機能備えいるか

ほとんどのエンジニアには、少なくとも基本的なチャートやグラフの作成機能が視覚化に必要です。幸い、市販されているほぼすべてのデータ視覚化ツールでは簡単なチャートやグラフを作成できます。また、専用の視覚化ツールはさらに充実した機能を備えており、データをより詳しく解析できます。

同じチャートでY軸のスケールが著しく異なる複数の曲線をグラフ化する必要が想定される場合は、そうした複数のスケールを区別できる機能を持つグラフツールが必要です。多くのツールはこうした機能を備えていますが、Y軸の最大数が制限されている場合もあります。

また、2Dグラフ以外の視覚化ニーズについても検討する必要があります。たとえば、極プロットを使用してデータを表現するニーズがある場合や、データを3Dで表示することが最適な場合は、そうした機能をサポートしている視覚化ツールを選ぶ必要があります。

 

4.アプリケーションニーズ合わせ視覚カスタマイズできるか

視覚化の拡張性とカスタマイズは重要な考慮事項です。エンジニアリング向けの計測アプリケーションでは、使用する目的や計測のタイプが多岐にわたります。そのため、アプリケーションのニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできる視覚化ツールを選択する必要があります。データ収集と視覚化の機能をクローズドなパッケージに組み込んだツールは、すぐに利用することはできますが、多くの場合、利用できる視覚化のタイプが著しく制限されています。こうしたツールは初めのうちは便利かもしれませんが、十分な情報に基づいて重要な決定をする場合に、曲線ごとにもっと多くのデータをグラフ化したり、グラフごとにもっと多くの曲線をプロットしたり、もっと多くのグラフを表示したりするなど、収集したデータをさらに詳しく調べる必要があります。また、一般​的​な​視覚​化​ツール​では​利用​でき​ない、​ズーム、​スクロール、​拡大​縮小​といった​ツール​が​必要​と​なる​場合​も​あり​ます。​アプリケーションの拡張に伴って視覚化を拡張する必要が見込まれる場合は、拡張性のある視覚化ツールを選ぶことをお勧めします。

 

5.計測データ視覚する他のソースからデータ同期させる必要あるか

エンジニアリング向けの高度なデータ後処理ツールは、単純なスプレッドシートや静的グラフとは次元の異なる視覚化同期機能を備えています。グラフ軸のズームやスクロールに加えて、グラフ間でカーソルを同期させ (通常は共通のタイムベースを使用します)、表示される情報をグラフ間で相互に関連付けることができます。たとえば、グラフのカーソルを使って、曲線の始点と終点のx領域部分を指定でき、これらの領域を用いてデータの高速フーリエ変換 (FFT) を動的に計算して表示することができます。そうして得られた帯域を、データのスーパーセットに沿って前後にパンしたり、拡大縮小したりして、興味のある領域のみを表示することができます。

高度なツールでは、計測データのグラフを他のデータグラフや計算結果と同期させることができるほか、グラフの計測データを映像や音声、3Dモデル、GPSといった他のソースのデータと同期できます。計測データをこうした他のソースの情報と関連付けることで、多くの場合、グラフの単純な曲線だけでは分からない、もっと多くのエンジニアリング情報が得られ、計測​に対する​投資​から​さらに​多く​の​こと​を​発見​できる​よう​に​なり​ます。​たとえば、こうした同期ツールで提供されている高度な視覚化機能を利用して、計測データを映像や音声に関連付けて再生すれば、計測時に何が起きたのかを目や耳で確認したり、GPSに関連付けて場所を特定したりできます。

ステップ

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