コード​長、​垂直​レンジ​および​垂直​オフセット、​入力​カプリング、​プローブ​の​影響

概要

この​チュートリアル​は、​ナショナル​イン​ス​ツル​メンツ​の​高速​デジタイザ​を​使用​し​て、​効率​の​最も​よい​データ​サンプリング​システム​を​構築​する​ため​の​ヒント​と​テクニック​を​紹介​し​てい​ます。​また、​高速​デジタイザ​を​使用​した​サンプリング​の​基本​と​なる​理論​や、​データ​サンプリング​の​パフォーマンス​を​最適​化​する​ため​の​さまざま​な​方法​について​の​基礎​的​な​情報​を​説明​し​ます。​この​セクション​に​は​以下​の​トピック​が​含​まれ​てい​ます。

内容

レコード​長​および​大​容量​メモリ

レコード​長​は、​1​回​の​集録​後​の​処理​または​表示​の​ため​に、​デジタル​化​さ​れ​た​サンプル​を​格納​する​メモリ​量​を​示し​ます。​デジタイザ​では、​単発​集録​で​の​最大​集録​時間​が​レコード​長​によって​制限​さ​れ​ます。​たとえば、​1,000​サンプル​の​レコード​を​20 MHz​の​サンプル​レート​で​集録​する​場合、​集録​時間​は​50 µs(ポイント​数​を​サンプル​あたり​の​集録​時間​で​乗算、​すなわち​1,000×50 ns)​に​なり​ます。​100,000​サンプル​の​レコード​を​20 MHz​の​サンプル​レート​で​集録​する​場合​は、​集録​時間​は​5 ms(100,000 x 50 ns)​となり​ます。

多く​の​場合、​測定​の​品質​は​高速​サンプル​レート​で​デジタイザ​が​連続​集録​を​維持​できる​か​によります。​集録​メモリ​量​は​集録​さ​れ​た​信号​の​品質​を​決定​し​ます。​大​容量​集録​メモリ​が​搭載​さ​れ​た​高速​デジタイザ​は、​高度​な​時間​領域​および​周波数​領域​測定​の​実行​が​可能​です。

垂直​レンジ​および​垂直​オフセット

垂直​レンジ​は、​デジタイザ​で​測定​可能​な​ピーク-​ピーク​電圧​範囲​です。​通常​デジタイザ​に​は、​複数​の​垂直​レンジ​の​選択肢​が​あり​ます。

垂直​オフセット​は、​垂直​レンジ​の​中心​と​なる​電圧​です。​垂直​オフセット​は、​任意​の​DC​値​に​波形​を​配置​し​ます。​この​オフセット​を​使用​すると、​入力​信号​の​小さな​変化​を​把握​する​こと​が​できる​ため、​測定​確度​を​上げる​こと​が​でき​ます。

たとえば、​図​1​に​示す​よう​な​0.75​~​1.25 V​を​出力​する​波形​を​集録​する​場合​を​考え​て​み​ま​しょう。​垂直オフセットを有効的に使用すれば、​0.5 V​の​範囲​(1.25​~​0.75 V)​を​指定​する​だけ​で​十分​です。


図​1. 垂直​の​長​さ​と​オフセット​の​説明


入力​カプリング

多く​の​デジタイザ​では、​入力​チャンネル​を​DC、​AC、​または​GND​カプリング​に​構成​でき​ます。​DC​カプリング​では、​DC​信号​および​低​周波数​成分​が​減衰​する​こと​なく​通過​させる​こと​が​でき​ます。​これ​に対し、​AC​カプリング​は​DC​オフセット​を​除去​し、​信号​の​低​周波数​成分​を​減衰​し​ます。​AC​カプリング​を​有効​に​すると、​コンデンサ​が​入力​と​直列​に​挿入​さ​れ​ます。​この​機能​は、​12V​の​電源​の​スイッチング​ノイズ​など、​大きな​DC​オフセット​を​含む​AC​信号​の​詳細​情報​を​取り出す​ため​に​使用​でき​ます。​GND​カプリング​は​入力​を​切断​し、​チャンネル​を​グランド​に​内部​接続​する​こと​で​グランド、​および​ゼ​ロ​電圧​基準​を​提供​し​ます。

カプリング​に​関係​なく​注意​すべ​き​入力​制限​について​は、各​デジタイザ​の​仕様を​参照​し​て​くだ​さい。

また、​以下​の​項​も​参照​し​て​くだ​さい。
Input Coupling Selector

プローブ​および​その​影響

プローブ​は​測定​システム​の​一部​として​デジタイザ​とともに​使用​し​ます。​信号​は​プローブ​の​端​から​高速​デジタイザ​の​入力​に​入り、​ADC​によって​デジタル​化​さ​れ​ます。​この​信号​パス​では、​プローブ​が​測定​確度​に​影響​する​重要​な​電子​システム​の​構成​要素​に​なり​ます。​プローブ​は​測定​さ​れ​た​振幅​および​位相​に​影響​を​与える​可能性​が​あり、​信号​は​入力​ステージ​に​到達​する​まで​に​ノイズ​を​拾​って​しまう​場合​が​あり​ます。​プローブ​は​NI​高速​デジタイザ​に​付属​さ​れ​てい​ま​せん​が、​受動、​アクティブ、​および​電流​プローブ​を​含む​数種類​の​プローブ​を​利用​する​こと​が​でき​ます。

受動​プローブ

受動​プローブ​は、​最も​一般​的​な​汎用​プローブ​です。​受動​プローブ​は、​帯域​幅​(または​立ち上がり​時間)、​減衰​比、​補正​範囲、​および​機械​設計​の​側面​によって​特定​さ​れ​ます。​減衰​が​X10、​X100、​または​X1000​の​プローブ​に​は、​入力​時​の​容量​性​による​影響​を​減少​する​こと​が​可能​な​可変​コンデンサ​が​含​まれ​てい​ます。​有効​な​キャパシタンス​を​相殺​または​最小限​に​抑える​こと​により、​プローブ​の​帯域​幅​および​立ち上がり​時間​が​向上​し​ます。​図​2​は、​X10​プローブ​の​モデル​を​示し​ます。


図​2. 受動​プローブ​の​回路


​可変​容量​コンデンサ Cpを​調整​し​て、​平坦​な​周波数​応答​を​取得​し​ます。Cpは​プローブ​の​キャパシタンス、Rpは​プローブ​の​抵抗、Cinは​入力​の​キャパシタンス、Rinは​デジタイザ​の​入力​抵抗​で、

平坦​な​周波数​応答​の​取得​は​以下​に​なり​ます。

Rin/​(Rin + Rp) = Cp/​(Cp + Cin + Cc)

平坦​な​応答​を​取得​する​ため​に​調整​さ​れ​た​式​は​以下​に​なり​ます。

Rin(Cin + Cc) = CpRp

または​プローブ​の​時​定数​が、​デジタイザ​入力​の​時​定数​に​等​しく​なり​ます。

アクティブ​プ​ローブ

差動​および​電界​効果​トランジスタ​(FET)​プローブ​など​の​アクティブ​プ​ローブ​に​は、​ノイズ​を​除去​し​て​信号​を​増幅​する​アクティブ​回路​が​含​まれ​てい​ます。​FET​プローブ​は​高​周波数​で​の​低​電圧​測定​に​適​し​て​おり、​差動​プローブ​は​高​コモ​ン​モード​除去​比​(CMRR)​および​浮動​基準​を​提供​し​ます。

電流​プローブ

電流プローブは直列抵抗を使わずに、​導線​を​流れる​AC​もしくは​DC​電流​を​磁気​的​に​測定​し​ます。​このように​直列​抵抗​の​影響​が​少ない​場合、​テスト​中​の​回路​で​ほとんど​干渉​が​起​こ​り​ま​せん。

プローブ​補正

減衰​プローブ​の​帯域​幅​を​最大​化​する​に​は、​デジタイザ​の​入力​キャパシタンス​が​確実​に​打ち​消​さ​れる​よう​に​プローブ​の​コンデンサ​を​調整​する​必要​が​あり​ます。​可変​容量​コンデンサ​を​微​調整​し​て​平坦​な​周波数​応答​を​得る​こと​を、​プローブ補正と呼びます。​次に​説明​する​プローブ​補正​手順​を​実行​する​際​は、​以下​の​図​3​を​参照​し​て​くだ​さい。




図​3. プローブ​補正​の​説明


​1. プローブ​の​BNC​側​を​CH 0​に​接続​し、​プローブ​の​端​の​本体でX10​減衰を​選択​し​ます。

​2. BNC​アダプタ​(プ​ローブ​アクセサリ)​を​プローブ​の​端​に​取り付け​ます。

​3. SMB 100​プローブ​補正​ケーブル​を​PFI 1​に​接続​し​ます。

​4. BNC​アダプタ​を​取り付け​た​プローブ​を、​SMB100​ケーブル​の​BNC​の​メス​側​に​取り付け​ます。

​5. Scope​ソフト​フロント​パネル​を​開き​ます​(スタート » プログラム » National Instruments » NI-​SCOPE » SCOPE​ソフト​フロント​パネル)。

​6. プローブ​補正​を​行う​デジタイザ​を​選択​し​ます。

​7. Scope​ソフト​フロント​パネル​ツール​バーのユーティリティメニュー​から​プローブ​補正​信号​を​アクティブ​化​し​ます。​また、​プローブ​補正​信号​は​NI-​SCOPE​計測​器​ドライバ​を​使用​し​て​プログラム​的​に​アクティブ​化​でき​ます。




図​4. NI-​Scope​の​プローブ​補正​信号


​8. 波形​が​できるだけ​方形​に​近く​なる​よう​に​可変​容量​コンデンサ​を​調整​し​ます。



図​5. プローブ​補正​信号​の​さまざま​な​補正​状態


​9. CH 1​および​他の​プローブ​について​も​手順​1​~​8​を​繰り返し​ます。

​正確​な​測定​を​行う​に​は、​各​チャンネル​(CH 0​および​CH 1)​の​プローブ​を​補正​し、​その​チャンネル​のみ​で​補正​した​プローブ​を​使用​し​て​くだ​さい。​プローブ​を​他の​チャンネル​で​使用​する​場合​は、​再度​補正​する​こと​を​お​勧め​し​ます。

また、​以下​の​項​も​参照​し​て​くだ​さい。
Oscilloscope Probes