プログラマブル​DC​電源​および​高​精度​DC​ソース​の​一般​的​な​用語​および​定義

概要

この​チュートリアル​は、​ナショナル​イン​ス​ツル​メンツ​の​計測​の​基礎​シリーズ​の​一環​です。​この​シリーズ​の​各​チュートリアル​では、​理論​の​説明​および​実用​的​な​サンプル​を通して、​一般​的​な​計測​アプリケーション​に関する​特定​の​項目​について​習得​し​ます。​この​チュートリアル​では、​プログラマブル​DC​電源​の​一般​的​な​用語​について​説明​し​ます。

詳細​な​電源​のみ​の​概念​について​は、電源​の​基礎​メイン​ページを​参照​し​て​くだ​さい。​チュートリアル​の​一覧​について​は、NI​計測​の​基本​メイン​ページに​戻​って​くだ​さい。

内容

定​電流

定​電流​モード​は、​負荷​で​設定​さ​れ​て​いる​電流​制限​以上​の​電流​を​流​そう​と​すると​出力​チャンネル​で​有効​に​なり​ます。​定​電流​モード​では、​負荷​を​流れる​電流​は​電流​制限​で​指定​さ​れ​た​値​を​保持​し、​負荷​が​必要​と​する​電力​に​応​じ​て​電圧​が​上下​し​ます。​そのため、​電圧​レベル​設定​は​電圧​制限​の​役割​を​し​ます。​定​電流​モード​では、​出力​チャンネル​が​電流​ソース​の​役割​を​し​ます。

メモ: 定​電流​モード​は​電流​制御​モード​と​同じ​です。


​図​1. DC​電源​の​定​電流​出力

定​電圧

定​電圧​モード​は、​負荷​で​電流​制限​以上​の​電流​が​必要​ない​場合​に​出力​チャンネル​で​有効​に​なり​ます。​定​電圧​モード​では、​負荷​が​変化​し​て​も​出力​電圧​は​一定​です。​電流​制限​以上​の​電流​を​負荷​に​流​そう​と​すると、​定​電流​モード​が​有効​に​なり​ます。

メモ: 定​電圧​モード​は​電圧​制御​モード​と​同じ​です。


​図​2. DC​電源​の​定​電圧​出力

象限

象限​は、​入力​または​出力​の​シンク​および​ソース​機能​を​示し​ます。​シンク​および​ソース​は、​負荷​に​入力​および​出力​する​直流​電流​の​流れ​を​表​し​ます。​ソース​デバイス​は​負荷​に​電流​を​流し、​シンク​デバイス​は​電力​を​取り​込​んで​グランド​へ​電流​を​流し​ます。

4​つ​の​象限​内​で​起こる​電源​出力​の​操作​について​考え​ます。​象限​図​は、​正​および​負​の​電流/​電圧​の​さまざま​な​組み合わせ​から​構成​さ​れ​てい​ます。​図​3​を​参照​し​て、​出力​機能​が​指定​さ​れ​た​電圧​および​電流​(正​または​負)​に対して​シンク​で​ある​か​ソース​で​ある​か​を​判断​し​ます。


​図​3. プログラマブル​電源​で​考え​られる​4​つ​の​象限

たとえば、​正​の​電圧​および​正​の​(ソース)​電流​の​場合、​出力​操作​は​第一​象限​に​なり、​出力​は​ソース​電流​に​なり​ます。​正​の​電圧​および​負​(シンク)​電流​の​場合、​出力​操作​は​第二​象限​となり、​出力​は​シンク​電流​となり​ます。

単一​象限​電源​に​は、​ソース​電流​のみ​に​対応​する​出力​チャンネル​が​あり​ます。​4​象限​電源​に​は、​バイポーラ​(正​と​負)​電圧​が​可能​な​ソース​および​シンク​電流​対応​の​出力​チャンネル​が​あり​ます。

リプル​および​ノイズ

ノイズ​—​出力​チャンネル​に​存在​する​不要​な​信号​で​あり、​出力​チャンネル​に​接続​さ​れる​デバイス​に​影響​を​及ぼす​可能性​が​あり​ます。​ノイズ​は​ノーマル​モード​または​コモ​ン​モード​ノイズ​として​特徴​づける​こと​が​でき​ます。​ノイズ特性に関わらず、​ノイズ​は​関連​する​帯域​幅​で​指定​さ​れ​た​時​のみ​意味​の​ある​もの​となり​ます。

ノーマル​モード​ノイズ

ノーマル​モード​ノイズ​は、​出力​HI​と​LO​の​間​に​存在​し、​出力​に対し​直列​(定​電圧​モード)​または​並列​(定​電流​モード)​に​現れ​ます。​ノーマル​モード​ノイズ​は、​出力​チャンネル​の​制御​モード​に​応​じ​て​電圧​ノイズ​または​電流​ノイズ​として​表​さ​れ​ます。​定​電圧​モード​では、​適切​な​測定​対象​は​直列​電圧​ノイズ​源​となり​ます。​定​電流​モード​では、​適切​な​測定​対象​は​並列​電流​ノイズ​源​となり​ます。​AC-​DC​整流​により、​周期​的​な​ノーマル​ノイズ​で​ある​リプル​が​発生​し​ます。


コモ​ン​モード​ノイズ

コモ​ン​モード​ノイズ​は、​出力​LO​と​シャー​シ、​または​グランド​間​に​存在​し​ます。​等価​回路​は​これら​2​つ​の​端子​に​接続​さ​れ​た​電流​ノイズ​ソース​です。​出力​LO​と​シャー​シ、​または​アース​間​に​インピーダンス​を​接続​すると、​インピーダンス​に​ノイズ​電流​が​流れ、​予期​しない​オフセット​または​その他​の​不要​な​誤差​が​発生​する​可能性​が​あり​ます。

ノイズ​測定​時​の​注意事項

電源​など​の​出力​デバイス​で​ノイズ​を​測定​する​際​に​は​注意​が​必要​です。​電源​の​指定​さ​れ​た​広帯域​ノイズ​を​確認​する​時、​グランド​ループ、​必要​以上​に​長い​プローブ​の​グランド​リード​線、​電気​的​ノイズ​環境​の​影響​が​組み​合​わ​さ​り、​測定​に​悪影響​を​及ぼす​可能性​が​あり​ます。

電源​で​ノイズ​測定​を​行う​際​は、​以下​の​推奨​事項​を​確認​し​て​くだ​さい。

プローブ​を​電源​の​端子​に​直接​接続​し​ます。​長い​リード​線、​弛​ん​だ​ワイヤ、​または​シールド​さ​れ​てい​ない​ケーブル​を​使用​しない​で​くだ​さい。​プローブ​の​グランド​リード​線​を​最大​数​インチ​に​制限​し​ます。​この​リード​線​を​チャンネル​の​出力​LO​端子​に​直接​接続​し​ます。​測定​デバイス​の​帯域​幅​を​必要​な​値​に​制限​し​ます。​たとえば、​200 MHz​の​帯域​幅​を​持つ​計測​器​で​20 MHz​の​ノイズ​測定​を​行​って​も、​指定​した​値​を​得る​こと​は​でき​ま​せん。

環境​ノイズ​が​測定​に​含​まれ​ない​よう​に、​コンピュータ、​電子​安定​器、​スイッチング​電源​など​が​ある​実験​環境​で​ノイズ​を​測定​する​際​は​ご​注意​くだ​さい。

絶縁

絶縁​は、​測定​デバイス​の​2​つ​の​部分​を​物理​的​および​電気​的​に​切り離す​こと​を​指し​ます。​電気​絶縁​では、​2​つ​の​電気​装置​間​の​グランド​経路​が​除去​さ​れ​ます。​電気​絶縁​を​行う​こと​により、​グランド​ループ​を​切断​し、​電源​の​コモ​ン​モード​範囲​を​増加​し​て、​信号​の​グランド​リファレンス​を​信号​システム​グランド​を​基準​に​レベル​変化​させる​こと​が​でき​ます。

チャンネル間

最も​確実​な​絶縁​トポロジー​は​チャンネル​間​絶縁​です。​この​トポロジ​では、​各​チャンネル​は​互いに、​また、​非​絶縁​システム​コンポーネント​から​絶縁​さ​れ​てい​ます。​さらに、​各​チャンネル​に​は、​独自​の​絶縁​さ​れ​た​電源​が​あり​ます。

立ち上がり​時間​および​整​定​時間

立ち上がり​時間

立ち上がり​時間​は、​最大​電流​時、​プログラム​した​電圧​の​10%​から​90%​へ​と​出力​が​推移​する​の​に​かかる​時間​を​表​し​ます。​以下​の​式​を​使用​し​て、​単​極​システム​の​立ち上がり​時間​を​計算​し​ます。

立ち上がり​時間 = 2.2 x 時​定数

立ち上がり​時間​を​使用​し​て、​以下​の​式​を​使用​し​て​帯域​幅​を​計算​し​ます。

帯域​幅 = 0.35 / 立ち上がり​時間

整​定​時間

整​定​時間​は、​出力​チャンネル​が​安定​した​操作​モード​に​達する​まで​に​かかる​時間​を​表​し​ます。​時​定数​と​以下​の​式​を​使用​し​て、​単​極​システム​における​最大​誤差​レベル​に​整​定​する​時間​を​計算​し​ます。

整​定​時間 = (ディケード x 2.3 x 時​定数)

上記​の​式​で​ディケード​は、​必要​な​最大​誤差​によって​決定​さ​れる​整​定​時間​を​表​し​ます​(1%​誤差​に​整​定 = 2​ディケード、​0.1%​誤差​に​整​定 = 3​ディケード​など)。​たとえば、​1%​誤差​に​整​定​する​時間​は​(2 x 2.3 x 時​定数)​で、​0.1%​誤差​に​整​定​する​時間​は​(3 x 2.3 x 時​定数)​により​計算​する​こと​が​でき​ます。

必要​な​最大​誤差​が​奇数​の​ディケード​に​なる​場合​は、​以下​の​式​を​使用​し​て​整​定​時間​を​計算​し​ます。

整​定​時間 = -​ln(必要​な​最大​誤差) x 時​定数

たとえば、​0.05%​の​誤差​まで​整​定​する​時間​は​(-​ln(0.0005) x 時​定数)​または​(7.6 x 時​定数)​により​求める​こと​が​でき​ます。

分解能

分解能​は、​プログラマブル​DC​電源​で​取得​可能​な​出力​電圧​または​電流​における​最小​変化​です。​分解能​を​計算​する​ため​の​式​は​2^n​です。​たとえば、​12​ビット​ADC​の​分解能​は​2^12 = 4,096​です。​したがって、​この​ADC​の​最大​分解能​は​4,096​分​の​1、​すなわち​フル​スケール​の​0.0244 %​となり​ます。​ADC​は​アナログ​信号​を​取り込み、​2​進数​に​変換​し​ます。​したがって、​ADC​から​の​2​進数​は、​ある​電圧​レベル​を​表​わし​てい​ます。​分解能​は、​デジタイザ​が​識別​できる​最小​入力​電圧​変動​です。​分解能​は、​フル​スケール​の​比例​または​割合​として​ビット​(LSB)​で​表​さ​れ​ます。

分解能​は、​測定​の​精度​を​制限​し​ます。​分解能​(ビット​数)​が​高​く​なるほど、​測定​の​精度​が​向上​し​ます。​16​ビット​ADC​は​入力​アンプ​の​垂直​レンジ​を​65,536​の​離散​レベル​に​分割​し​ます。​垂直​レンジ​が​20 V​の​場合、​電源​の​16​ビット​ADC​では、​最小​0.31 mV​の​電圧​差​を​識別​する​こと​が​でき​ます。