ナショナル​イン​ス​ツル​メンツ​の​Synchronization and Memory Core(SMC) ~​ミックス​ド​シグナル​テスト​の​ため​の​新しい​アーキテクチャ~

概要

昨今​の​最新​エレクトロニクス​設計​業界​は、​一つの製品に多様の機能が集積化され、​アナログ​技術​と​デジタル技術​の​機能​性​の​集束​さ​れる​傾向​が​あり​ます。​ビデオ、​オーディオ​と​データ​が​1​つ​に​集​まっ​た​3G​ワイヤレス​ハンド​セット​(FOMA)​および​セット​トップ​ボックス​は​その​よう​な​システム​が​例​として​挙​げ​ら​れ​ます。​この​様​な​システム​を​テスト​する​に​は​共通​の​ベース​バンド​サンプリング​レート、​ひずみ、​タイミング​特性​を​持つ​緊密​に​統合​さ​れ​た​アナログ/​デジタル​集録・​生成​ハードウェア​が​必要​です。​タイムベースが分散され、​異なる​アナログ​特性​を​持つ​単独​型​計測​器​を​使用​する​の​は​非常​に​困難​となり​ます。​さらに​今日​では​生産​工場​が​世界​各地​に​分散​さ​れ​て​いる​場合​が​多く、​テスト​システム​は​様々​な​温度​環境​内​で​昼夜​稼動​さ​れ​てい​ます。​より​信頼​性​と​スループット​(処理​能力)​が​高い​テスト​システム​を​構築​する​に​は、​広い​温度​範囲​内​で​安定性​および​一貫性​を​保持​可能​な​計測​ハードウェア​が​不可欠​です。

​ナショナル​イン​ス​ツル​メンツ​では、​多​機能​集積​型​デバイス​を​テスト​する​際​の​難題​に​対処​する​ため​に​高速​モジュール​式​計測​器用​の​共通​アーキテクチャ​として、​Synchronization and Memory Core(SMC)​を​設計​しま​した。​統合​型​ミックス​ド​シグナル​プロトタイプ​作成・​テスト​システム​作成​に​重要​な​SMC​の​主​な​機能​に​は​以下​の​よう​な​もの​が​あり​ます。

​1. 柔軟性​に​富​ん​だ​入力/​出力​データ​転送​コア
​2. チャンネル​につき​最大​512 MB​に​拡張​可能​な​高速​の​大​容量​オン​ボード​メモリ
​3. 高​精度​タイミング​および​同期​エンジン

​サンプリング​レート​と​柔軟性​の​両方​を​備え​た、​SMC​ベース​の​ミックス​ド​シグナル​テスト​システム​の​構築​に​適​した​計測​器​に​は、​以下​の​3​製品​が​あり​ます。


内容

柔軟性​に​富​ん​だ​入力/​出力​データ​転送​コア

SMC​アーキテクチャ​の​中核​を​なす​の​は、​FPGA(field-​programmable gate array)​コントローラ​で​ある​DSF(DataStream FPGA)​で、​計測​器​の"CPU"とも​言​われ​ます。​これ​は​すべて​の​指令​を​処理​し、​トリガ​を​管理​し、​信号​を​外部​に​ルーティング​し​て、​計測​器​と​ホスト​コンピュータ​間​の​波形​転送​など​を​管理​し​ます。

DSF​に​は、​入力​用​と​出力​用​の​2​つ​の​主要​な​データ​転送​コア​が​実装​さ​れ​てい​ます。​入力コアは高速アナログ波形のデジタル化およびデジタル波形入力用に設計され、​出力​コア​は​高速​アナログ​波形​生成​および​デジタル​波形​出力​用​に​設計​さ​れ​てい​ます。​DSF​の​データ​転送​コア​は、​データ​および​指令​の​処理、​イベント​トリガ​の​管理、​トリガ​および​マーカ​信号​の​ルーティング、​波形​バッファ​の​リン​キング​と​ルーピング、​デバイス​間​および​デバイス​内​で​の​通信​バス​など​の​処理​を​行い​ます​(図​1)。


​メモリ​サブシステム​は​2​つ​の​ブロック​から​なり、​それぞれ​を​入力​または​出力​バンク​として​構成​する​こと​が​でき​ます。​この​構成​では、​高速​2​チャンネル​デ​ジ​タイ​ザ​など​の​2​チャンネル​入力​デバイス​で、​両方​の​メモリ​バンク​を​使用​し​て​データ​の​集録​を​行い​ます。​単一​チャンネル​の​任意​波形​発生​器​に​は、​出力​用​に​構成​さ​れ​た​メモリ​ブロック​が​1​つ​搭載​さ​れ​て​おり、​デジタル​波形​発生​器/​アナ​ラ​イザ​は​1​つ​の​バンク​を​入力​用​に、​もう​1​つ​を​出力​用​に​使用​する​こと​が​でき​ます。

​各​メモリ​ブロック​は​最大​で​512MB​の​容量​が​あり​ます​ので、​計測​器​あたり​の​合計​は​1024 MB​に​なり​ます。​各​メモリ​ブロック​は​64​ビット・​133MHz​の通信バスに接続され、​1GB/​秒​の​持続​データ​転送​が​可能​となり​ます。​メモリ​サブシステム​は​NI-​MITE ASIC​を​介​し​て​PCI​バスに最高通信速度で接続され、​ホスト​コンピュータ​と​SMC​の​間​で​の​波形​の​高速​ダウンロード/​アップ​ロード​を​可能​にし​ます。

​図​2、​3、​および​4​は、​高​分解能​デジタイザ、​任意​波形​発生​器、​および​デジタル​波形​発生​器/​アナ​ラ​イザ​の​子​カード​の​詳細​を​示し​てい​ます。




入力​データ​転送​コア

DSF​入力​転送​コア​は、​デジタル​波形​発生​器/​アナ​ラ​イザ​の​デジタル​波形​入力​や、​高速​デジタイザ​の​AD​コンバータ​(ADC)​から​の​高速​データ​入力​ストリーム​など​を​処理​し​ます。​各集録したデータは独立したレコードに保存され、​単一​の​バッファ​から​200​万​を​超える​小さな​レコード​まで​対応​でき、​レコード​間​の​再​アーミング​時間​が​2 µs​という​速​さ​で​連続​集録​が​可能​です。​オン​ボード​の​大​容量​メモリ​は、​通信​テスト​システム​における​転送​パケット​の​集録、​クロックジッタ​の​計測、​エラー​診断​テスト​など​で​必要​と​さ​れる​大量​の​データ​レコード​を、​簡単​に​処理​する​こと​が​でき​ます。​DSF​タイミング​および​同期​エンジン​の​特殊​カウンタ​の​おかげ​で、​すべて​の​レコード​は​元​の​ソース​に対し​時間​相関​する​こと​が​でき​ます。​たとえば、​外部​トリガ​信号​を​使用​する​時、​DSF​は​各​集録​した​レコード​に対して、​トリガ​信号​と​の​時間​差​を​10 ns​の​分解能​で​タイム​スタンプ​する​こと​が​可能​です。​NI 5122​デジタイザ​では、​タイム​スタンプ​の​分解能​は​TDC(デジタル​変換​必要​時間)​技術​によって​100 ps​に​まで​上げる​こと​が​でき​ます。 大​容量​メモリ、​メモリ​を​複数​レコード​に​分割​化、​100 ps​の​タイム​スタンプ​分解能、​高速​再​アーミング​など​の​機能​により、​高い​サンプリング​レート​を​保​ち​ながら​きわめて​頻度​の​少ない​イベント​や​散発​性​の​イベント、​又は​急速​に​発生​する​イベント​など​を​集録​する​こと​も​可能​です。​その​よう​な​機能​によって、​キャプチャ​した​波形​間​の​時間​コヒーレンス​を​失​わ​ず​に​関心​領域​のみ​を​集録​する​こと​で、​有効​メモリ​サイズ​を​増やす​こと​が​でき​ます。

出力​データ​転送​コア

NI 5421​任意​波形​発生​器​や​NI 6552​デジタル​波形​発生​器/​アナ​ラ​イザ​など​の​出力​デバイス​の​場合、​シーケンス​指令​は​波形​データ​と​同じ​物理​メモリ​に​保存​さ​れ​ます。​従来​の​任意​波形​発生​器​に​採用​さ​れ​て​きた​アーキテクチャ​では、​波形​の​シーケンス​指令​は​波形​データ​と​異なる​数​キロバイト​の​SRAM​メモリ​に​保存​さ​れ​てい​た​ため、​シーケンス​可能​な​波形​の​数​が​著​しく​制限​さ​れ​てい​ま​した。​SMC​では​より​柔軟性​に​優​れ​た​方法​を​採用​し、​シーケンス​指令​および​波形​データ​を​同じ​物理​メモリ​に​組み込む​こと​が​可能​となり、​メモリ​サイズ​による​シーケンス​指令​数​の​制約​を​受ける​こと​は​ありま​せん。​最大​512 MB​のメモリがボード上に搭載され、​シーケンス​指令​に​必要​な​メモリ​を​好き​な​だけ​自由​に​使う​こと​が​でき​ます。​以下​の​表​2​~​4​は​任意​波形​発生​器​の​シーケンス​仕様​を​記載​し​てい​ます。​表​より​波形​と​指令​間​の​共有​メモリ​の​柔軟性​を​確認​する​こと​が​でき​ます。

表​1​は​従来​の​任意​波形​発生​器​(AWG)​の​波形​メモリ​と​シーケンス​指令​の​構成​例​を​記述​し​てい​ます。


従来​の​AWG​には波形と指令のメモリ容量が固定され、​上記​の​AWG​は​シーケンス​内​で​4,096​ステップ​を​超える​こと​は​でき​ま​せん。​8 MB​の​標準​メモリ​を​搭載​した​NI 5421​任意​波形​発生​器​は、​波形​と​指令​の​メモリ​の​共有​が​可能​な​ため、​表​2、​3、​4​に​示す​よう​な​柔軟性​の​高い​構成​が​可能​です。



上の​表​に​示す​数値​は、​メモリ​を​波形​と​指令​で​共有​する​こと​により​達成​可能​な​典型​値​です。​共有​メモリ​を​使う​と、​短い​波形​で​非常​に​長い​シーケンス、​非常​に​長い​波形​で​短い​シーケンス、​あるいは​その間​を​取る​よう​に、​自由​に​メモリ​スペース​を​使用​する​こと​が​でき​ます。​さらに、​64MB​および​512MB​の​大​容量​メモリ​オプション​により、​最大​シーケンス​仕様​が​向上​する​とともに​波形​メモリ​も​増え​ます。​従来​の​AWG​に​大​容量​メモリ​が​搭載​さ​れ​てい​て​も、​波形​メモリ​が​増える​のみ​で​シーケンス​ステップ​や​波形​セグメント​は​増え​ま​せん。​大​容量​の​波形​メモリ​は​長い​波形​を​処理​可能​ですが、​場合​によって​は​大​容量​波形​メモリ​だけ​では​要件​の​厳しい​アプリケーション​に​対処​する​こと​は​でき​ま​せん。​異なる​波形​セグメント​の​複雑​な​シーケンス​指令​により、​アプリケーション​が​必要​と​メモリ​要件​を​低減​する​こと​が​でき​ます。

たとえば​ビデオ​信号​に​は、​水平​および​垂直​同期​パルス、​カラー​バースト、​垂直​帰​線​区間​の​ブラ​ン​キング​ライン​など、​多く​の​反復​セグメント​が​含​まれ​てい​ます。​SMC​出力​データ​転送​コア​では、​各​信号​セグメント​の​コピー​を​メモリ​に​保存​する​こと​が​でき、​セグメント​の​出力​順番​(リン​キング​と​ルーピング)​を​シーケンス​に​保存​でき​ます。​その​よう​な​アプリケーション​の​場合、​大​容量​メモリ​バッファ​でも​画像​全体​や​複数​の​画像​の​保存​に​は​不十分​かも​し​れ​ま​せん​が、​画像​の​重要​な​部分​と​フレーム​の​生成​を​指定​する​シーケンス​指令​リスト​を​保存​する​こと​により​対応​可能​に​なり​ます。​その​よう​な​シーケンス​指令​が​消費​する​容量​は、​従来​の​AWG​で​利用​可能​な​数​キロバイト​の​SRAM​指令​メモリ​を​簡単​に​超​えて​しま​い​ます。​SMC​アーキテクチャ​なら、​必要​な​フレーム​の​セグメント​と​長い​シーケンス​指令​を​共有​の​大​容量​メモリ​に​保存​する​こと​により、​その​よう​な​問題​を​解決​する​こと​が​でき​ます。

SMC​出力​エンジン​は、​表​5​に​示す​よう​に​複数​の​シーケンス​指令​を​保存​する​こと​が​でき​ます。​この​機能​と​大​容量​メモリ​を​組み合わせる​こと​で、​異なる​テスト​シーケンス​指令​を​必要​と​する​機能​テスト​の​中​で​1​つ​の​シーケンス​指令​から​別​の​シーケンス​指令​へ​す​ば​やく​切り替える​こと​が​可能​に​なる​ため、​テスト​スループット​を​大幅​に​向上​させる​こと​が​でき​ます。​例​として、​ビデオ​機材​の​テスト​に​は​複数​ある​業界​標準​の​テストパターン​を​生成​する​必要​が​あり​ます​が、​この​機能​で​パターン​の​生成​を​より​迅速​および​連続​的​に​する​こと​が​可能​となり​ます。


高速​大​容量​オン​ボード​メモリ

ビデオ​から​通信​まで、​多く​の​アプリケーション​で​求め​られる​の​が、​長い​波形​の​生成​および​集録​機能​です。​AWG​を​使​っ​た​ビデオ​テスト​画像​生成、​デジタル​波形​発生​器/​アナライザを使った​ADC​の​スパーク​ル​コード​テスト、​デジタイザ​を​使​っ​た​ベース​バンド​変調​器/​復調​器​の​エラー​ベクトル​振幅​(EVM)​計測​など​は、​波形​の​集録​と​生成​に​大​容量​の​メモリ​を​要する​数多く​の​アプリケーション​の​一部​です。

SMC​の​入力​および​出力​データ​転送​コア​は、​メモリ​バンク​と​計測​器​の​入出力​電子​部品​間​の​波形​を​200 MHz​で​転送​する​こと​を​目的​として​設計​さ​れ​た​もの​です。​SMC​に​は、​DSF​とともに​ナショナル​イン​ス​ツル​メンツ​の​SCARAB​メモリ​コントローラ​が​組み​込​まれ​てい​ます。​SCARAB​メモリ​コントローラ​は、​メモリ​バンク、​DSF、​および​スキャタ/​ギャザベース​の​DMA​コントローラ​で​ある​当社​の​MITE​の​間​の​インタフェース​を​提供​する​もの​です。​SCARAB​は、​波形​と​指令​が​メモリ​の​どこ​に​保存​さ​れ​て​いるか​を​効率​的​に​追跡​し、​DSF​や​MITE​から​の​要求​により​適切​な​データ​を​取り出し​ます。​この​機能​によって、​最大​サンプリング​レート​で​実行​し​て​も、​メモリ​と​の​間​で​波形​の​ストリーミング​を​損なう​こと​なく​行う​こと​が​可能​に​なる​ため、​大​容量​の​波形​の​集録​や​生成​に​対応​する​こと​が​でき​ます。​SMC​入力​コア​は、​大​容量​メモリ​を​2​ポート​FIFO​バッファ​として​扱い、​デジタイザ​の​ADC​または​デジタル​波形​発生​器/​アナ​ラ​イザ​の​デジタル​ライン​から​の​データ​を、​200 MHz​の​最大​サンプリング​レート​で​メモリ​バンク​に​書き込み​ます。​さらに​PCI​バス​で​使用​可能​な​帯域​幅​を​全て​使い、​データ​を​ホスト​PC​の​メモリ​に​高速​ストリーミング​し​ます。

SMC​出力​コア​は、​メモリ​が​波形​と​指令​で​共有​さ​れ​て​いる​ため、​メモリ​の​処理​方法​が​入力​に​比べ​多少​複雑​に​な​って​い​ます。​AWG​の​D/​A​コンバータ​または​デジタル​波形​発生​器/​アナ​ラ​イザ​の​デジタル​ライン​に​最大​サンプリング​レート​の​200 MHz​で​データ​を​ストリーミング​し​ながら、​出力​波形​の​シーケンス​指令​を​波形​データ​の​ストリーミング​に​妨害​しない​よう​に​読み取る​必要​が​あり​ます。​数​十万​個​の​指令​に​およぶ​大規模​な​シーケンス​に​なる​可能性​が​あり、​DSF​の​限​られる​内部​メモリ​に​すべて​の​シーケンシング​指令​を​生成​開始​時に​コンパイル​する​こと​は​不可能​です。​そのため、​SCARAB​は​大​容量​メモリ​から​200 MHz​の​最大​サンプリング​レート​で​波形​を​取り​出​さ​な​け​れ​ば​なら​ない​ばかり​で​なく、​リアルタイム​で​実行​する​シーケンス​指令​を​DSF​に​提供​する​こと​も​必要​です。

高​精度​タイミング​および​同期​エンジン

同期​は、​チャンネル​拡張​の​ため​に​同じ​タイプ​の​計測​器​を​同期​する​場合​(同種​同期)​や、​2​つ​の​異なる​計測​器​の​入力​や​出力​を​緊密​に​相関​する​場合​(異種​同期)​に​重要​な​役割​を​果​た​し​ます。​定義​上​ミックス​ド​シグナル​テスト​システム​では、​図​5​に​示す​よう​に​3​つ​の​計測​器​(デジタイザ、​任意​波形​発生​器、​デジタル​波形​発生​器/​アナ​ラ​イザ)​の​うち​少なくとも​2​つ​使用​する​こと​が​条件​と​な​って​い​ます。​同期​を​必要​と​する​その他​の​アプリケーション​に​は、​通信​における​ベース​バンド​I/​Q​信号​生成​および​集録、​家庭​電化​製品​における​RGB​ビデオ​信号​生成​および​集録、​24​ビット​ADC​および​DAC​テスト​用​の​24​チャンネル​デジタル​波形​生成​および​集録​など、​さまざま​な​もの​が​あり​ます。



同期​の​目的​は、​複数​の​SMC​計測​器​間​で​波形​を​正確​に​同時​生成​および​受信​できる​よう​に​する​こと​です。​たとえば​任意​波形​発生​器​を​2​つ​使用​する​場合、​同期​を​達成​する​に​は、​2​つ​の​AWG​が​完全​に​整合​し​て​全く​同一​の​波形​を​生成​する​か、​または​波形​間​の​位相​の​ズレ​を​微​調節​する​こと​が​でき​なく​て​は​なり​ま​せん。​3​つ​の​デバイス​すべて​の​サンプリング​レート​が​高速​で​ある​ため、​それらの​デバイス​間​で​の​クロック​と​トリガ​の​分配​に​は​それなり​の​注意​が​払​われ​ます。​数​十​ピコ​秒​の​分解能​で​の​サンプル​クロック​スキュー​調整、​トリガ​伝達​遅延​および​スキュー​キ​ャ​リ​ブ​レ​ー​ション、​全​デバイス​上の​ピコ​秒​レベル​の​クロックジッタ​(実行​値)​など​の​機能​により、​ナノ​秒​以下​の​レベル​において、​100​~​200MS/​秒​で​3​つ​の​デバイス​すべて​を​同期​する​の​に​求め​られる​性能​を​実現​し​ます。

同期​は、​トリガ​と​リファレンス​クロック​を​複数​の​デバイス​間​で​共有​する​こと​によって​実現​し​ます。​リファレンス​クロック​は、​指定​の​マスタ​デバイス​あるいは​専用​の​高​精度​クロック​ソース​により​供給​さ​れ​ます。​各​SMC​計測​器​は、​図​6​に​示す​よう​に、​電圧​制御​水晶​発振器​(VCXO)​を​搭載​し​PXI 10 MHz​リファレンス​クロック​に​位相​ロック​さ​れ​てい​ます。​さらに​タイミング​精度​を​高める​に​は、​ルビジウム​や​恒温​槽​型​発振器​(OCXO)​に​基​づ​い​た​周波数​ソース​など​の​モジュール​を​利用​する​方法​も​あり​ます。​これらの​デバイス​の​確度​は​±100 ppb(parts per billion)​を​上回る​場合​も​あり​ます。​たとえば、​±100 ppb​確度​を​持つ​OCXO​ソース​は、​10 MHz​の​クロック​を​生成​時​の​誤差​は​±1 Hz​となり​ます。​NI PXI-6653​タイミング​および​同期​コントローラ​は、​その​よう​な​アプリケーション​に​最適​です。​搭載​し​て​いる​OCXO​クロック​を、​PXI​バック​プレー​ン​クロック​の​代わり​に​10 MHz​の​リファレンス​クロック​を​ライン​上​で​駆動​する​こと​が​可能​です。​そのため、​VCXO​を​搭載​し​て​いる​全て​の​計測​器​が​その​10 MHz​に​ロック​すると、​すべて​が​±100 ppb​の​確度​を​備える​ことに​なり​ます。

 

混合​サンプル​レート​の​同期

ミックス​ド​シグナル​テスト​では、​異なる​サンプリング​レート​で​実行​し​て​いる​計測​器​も​同期​を​とる​必要​が​あり、​データ​は​各​計測​器​の​正しい​サンプル​クロック​エッジ​で​サンプリング​しな​け​れ​ば​なり​ま​せん。​各​計測​器​の​サンプル​クロック​が​10 MHz​リファレンス​クロック​の​整数​倍​の​場合、​すべて​の​サンプル​クロック​の​立ち上がり​エッジ​は、​10 MHz​クロック​エッジ​と同時に​立ち上がり​ます。​したがって、​すべて​の​計測​器​の​サンプル​クロック​が​同期​さ​れ​た​ことに​なり​ます。​サンプル​クロック​が​25 MHz​など​の​よう​に​整数​倍​で​ない​場合​は、​10 MHz​の​リファレンス​クロック​に​位相​ロック​し​てい​た​として​も、​サンプル​クロック​が​同調​する​という​保証​は​ありま​せん​(図​7)。​この​問題​を​解決​する​に​は、​位相​ロック​ループ​(PLL)​を​すべて​同時に​リセット​し​て、​同じ​周波数​の​サンプル​クロック​を​同調​させる​の​が​一般​的​な​方法​です​(図​8)。​すべて​の​サンプル​クロック​は​この​時点​で​同期​し​てい​て​も、​まだ​完全​では​ありま​せん。​完全​な​同期​と​は、​デバイス​間​で​集録​した​データ​が​同じ​サンプル​クロック​サイクル​内​で​集録​した​こと​を​意味​し​ます。​そのように​する​に​は、​マスタ​デバイス​から​スレーブ​デバイス​に​トリガ​を​渡し​て、​集録​または​生成​の​始まり​時間​を​伝える​必要​が​あり​ます。​完全​な​同期​を​実現​する​に​は、​サンプル​クロック​の​調整​と​トリガ​の​組み合わせ​が​不可欠​です。





​複数​の​デバイス​間​で​トリガ​信号​を​分配​する​に​は、​トリガ​信号​を​サンプル​クロック​と​関連​付け、​各​デバイス​が​正しい​時点​で​トリガ​信号​を​感知​させる​必要​が​あり​ます。​200 MS/​秒​の​サンプル​クロック​レート​の​場合、​トリガ​伝播​達​遅延​と​スロット​間​スキュー​が​正確​な​トリガ​の​分配​の​妨げ​となり​ます。​その​場合​他の​分配​チャンネル​が​必要​です。​トリガ信号は遅いクロック領域を介して確実に分配され、​それ​が​受信​側​の​計測​器​の​高速​サンプル​クロック​領域​に​再度​変換​さ​れ​ます。​論理​的​に​は、​トリガ​信号​の​分配​を​10 MHz​の​リファレンス​クロック​で​同期​する​べ​き​ですが、​この​構成​でも​2​つ​の​ボード​が​同じ​サンプル​クロック​サイクル​内​で​トリガ​信号​の​受付​を​保証​する​こと​は​でき​ま​せん。​この​問題​点​を​説明​する​ため、​10 MHz​の​リファレンス​クロック​領域​から​サンプル​クロック​領域​へ​の​トリガ​変換​用​の​2​つ​の​ボード​の​回路​が、​図​9​に​示す​よう​な​シンプル​な​もの​で​ある​と​仮定​し​ます。



​ボード​の​サンプル​クロック​が​同調​し​てい​て​も、​両​デバイス​の​同じ​サンプル​クロック​サイクル​内​で​トリガ​が​発生​しない​場合​が​ある​理由​を、​図​10​の​タイミング​ダイ​ア​グラム​に​示し​ます。



​最初​の​フリップフロップ​回路​の​出力​(cTrig)​は、​サンプル​クロック​の​立ち上がり​エッジ​に​近​すぎる​可能性​が​ある​ため、​最後​の​出力​の​mTrig​が​不安定​な​状態​に​陥る​ことに​なり​ます。​各​デバイス​の​フリップフロップ​回路​に​は​異なる​特性​が​ある​ため、​出力​が​安定​する​まで​違う​時間​が​必要​となり​ます。​その​安定​する​まで​の​時間​差​により、​二つ​の​デバイス​で​トリガ​が​感知​する​瞬間​が​ずれる​可能性​が​あり​ます。
​SMC​では、​特許​出願​中​の​独自​の​デジタル​同期​スキーム​を​採用​し、​もう​1​つ​の​クロック​領域​信号​を​使用​し​て​トリガ​の​駆動​と​受信​を​行​って​い​ます。​この​信号​は​トリガ​クロック​(TClk)​と呼ばれ、​サンプル​クロック​を​ベース​にし​て​生成​した​低​周波数​の​信号​です。​トリガ​クロック​の​周波数​は​PXI​トリガ​ライン​または​RTSI(リアルタイム​システム​統合​バス)​上​で​の​トリガ​転送​を​より​高い​信頼​性​を​求め​られる​よう​に​調節​さ​れ​てい​ます。​この​テクニック​により、​サンプル​クロック​と​10 MHz​リファレンスクロックとの関係に左右されずに、​計測​器​間​で​の​同期​を​実現​する​こと​が​でき​ます。

計測​器​ドライ​バ​ソフトウェア

SMC​と​の​インタフェース​として​存在​する​ドライ​バ​ソフトウェア​は、​SMC​の​一部​では​ありま​せん​が、​柔軟性​に​富​ん​だ​データ​コア、​大​容量​オン​ボード​メモリ、​タイミング/​同期​エンジン​など​の​利点​を​実現​する​上​で​の​重要​な​コンポーネント​となり​ます。​当社​では、​SMC​と​の​インタフェース​の​ため​に、​新しい​NI-​DAQmx​アーキテクチャ​に​基​づ​い​た​共通​の​ドライ​バ​フレーム​ワーク​を​開発​し、​統合​性​と​操作​の​効率​性​を​さらに​高め​ま​した。​クロック​処理、​メモリ​制御、​信号​ルーティング、​PCI​バス​インタフェース、​その他​の​機能​面​は、​統一​した​ソフトウェア​により、​異なる​製品​ライン​でも​同じ​機能​を​提供​する​こと​が​でき​ま​した。

NI-​DAQmx​アーキテクチャ​に​基​づ​い​て​開発​さ​れ​た​計測​器​ドライバ​に​は、​デジタル​波形​発生​器/​アナ​ラ​イザ​用​の​NI-​HSDIO、​高速​デジタイザ​用​の​NI-​SCOPE、​信号​発生​器用​の​NI-​FGEN​が​あり​ます。​これらの​ドライバ​は、​PCI​バス​経由​で​の​波形​の​DMA​転送​の​高速​化​や、​オペレーティングシステム​の​カーネル​遷移​を​最小限​に​抑え​た​マルチ​ス​レッド​アーキテクチャ​による​並列​実行​など、​多く​の​点​で​改良​を​加える​こと​によって、​高い​計測​スループット​を​実現​し​てい​ます。

高い​計測​スループット

SMC​アーキテクチャ​の​開発​にあたって​重要​な​条件​と​なる​の​が、​高い​計測​スループット​です。​製造​テスト​と​設計​検証・​確認​は、​テスト​スループット​の​継続​的​な​向上​を​求め​られる​分野​です。​SMC​では、​PCI​バス経由でデータ転送を行うために開発された​ASIC​で​ある​NI MITE​を​採用​し​てい​ます。​すばやい​バースト​転送​しか​でき​ない​多く​の​市販​PCI​バス​マスタ​リング​チップ​と​異​なり、​MITE​は​バースト​だけ​で​なく​連続​データ​転送​に​も​対応​し、​最適​化​さ​れ​てい​ます。​NI-​DAQmx​アーキテクチャ​を​使用​する​こと​により、​SMC​ベース​の​計測​器​は​それ​まで​の​性能​を​上​回り、​波形​転送​において​10​~​17%​の​向上​を​実現​する​こと​が​でき​ま​した。​図​11​は、​ソフトウェア​アーキテクチャ​の​改良​と​最適​化​さ​れ​た​ハードウェア​による​性能​の​向上​を​示し​てい​ます。​グラフ​に​は​3​つ​の​標準​パルス​測定​が​表示​さ​れ​てい​ます。​最も​高速​な​の​は​NI 5122​で、​GPIB​制御​の​オシロスコープ​の​47​~​210​倍​の​速度​を​誇り​ます。​また、​ソフトウェア​を​改善​する​こと​によって、​ナショナル​イン​ス​ツル​メンツ​の​従来​の​デジタイザ​に​比べ、​計測​速度​が​わずか​ですが​明らか​に​向上​し​て​いる​の​が​わか​り​ます。

 

まとめ

SMC​という​100​~​200MS/​秒​の​ミックス​ド​シグナル​テスト​テスト​システム​用​の​共通​アーキテクチャ​を​提供​する​こと​によって、​デジタル​信号​と​アナログ​信号​が​混合​した​システム​でも​テスト​できる​よう​に​なり​ま​した。​緊密​な​タイミング​と​同期、​柔軟性​に​富​ん​だ​大​容量​オン​ボード​メモリ、​完全​に​プログラム​可能​な​データ​転送​コア​など​を​特徴​と​する​SMC​は、​ミックス​ド​シグナル​モジュール​式​計測​テスト​プラットフォーム​として、​現在​および​将来​でも​優​れ​た​アーキテクチャ​です。