NI​の​cDAQ-9188XT​シャー​シ​を​使用​し​て、​自動車​速度​の​世界​新​記録​に​挑戦

- Steve Wallace​氏 (North American Eagle)

「NI​は​1​つ​の​パッケージ​に​大変​種類​豊富​な​ミックス​ド​I/​O​を​取り​揃​えて​いる​ため、​オブジェクト​指向​プログラミング​環境​で​簡単​に​組み合わせる​こと​が​可能​です」

- Steve Wallace​氏 (North American Eagle)

課題:

超音速​で​走行​する​North American Eagle​チーム​の​車両​の​空気​力学、​圧力、​歪み、​油圧、​速度、​加速度、​および​操舵​データ​を、​極めて​過酷​な​条件下​で​収集​する。

ソリューション:

NI​の​cDAQ-9188XT​シャー​シ​と​LabVIEW​ソフトウェア​を​使​って​データ​収集​システム​を​構築​する​こと​で、 全体​の​セットアップ​時間​を​短縮​し、​セン​サワ​イヤ​ハーネス​と​コンピュータ​の​間​の​接続​を​簡素​化​しま​した。

 

自動車​速度​の​新​記録​樹立​を​目指​して

North American Eagle (NAE) は、​世界最速の自動車を開発することを目的として結成された、​米国​と​カナダ​出身​の​男女​混合​グループ​です。​最終​的​に​私​たち​が​目指す​の​は、​超音速​で​安全​に​地上​を​移動​し、​1997​年​に​打ち​立て​ら​れ​た​自動車​速度​の​現在​の​世界​記録​で​ある​763 mph (341 m/​秒) を​更新​する​自動車​の​機能​テスト​を​行う​こと​です。​この​プロジェクト​から、​将来​の​高速​鉄道​技術​を​具体​化​し、​高速​航空機​の​着陸​時​の​地面​効果​に関する​詳細​情報​を​提供​し、​高速​自動車​の​新しい​減速​方法​を​提案​する​こと​が​でき​ます。

 

安全​性​は​最​優先​事項​で​あり、​自動車​速度​の​新​記録​を​追求​する​こと​によって、​ドライバー、​クルー、​傍観​者​にとって​容認​し​が​たい​リスク​を​生​じ​さ​せ​て​はい​け​ま​せん。​したがって、​テスト​走行​の​前、​走行​中、​走行​後に​車両 (ロッキー​ド​社​製​F-104A-10​スター​ファイター​の​機体​に​ターボジェット​エンジン​を​搭載) に​徹底​した​テスト​を​実施​し​ます。​過去​8​年間​において、​幅広い​過酷​な​環境​条件下​で​33​回​の​テスト​セッション​を​実行​しま​した。

 

この​ケース​スタディ​では、​NAE​車両​の​次回​テスト (アル​ボード​砂漠​に​て​2013​年​10​月​に​実施​予定) を​サポート​する​データ​収集​システム​および​プロセス​について​紹介​し​ます。​この​テスト​では、​約​635 mph​を​達成​する​こと​を​目指​し​てい​ます。

 

 

テスト​の​目的​と​課題

走行​速度​を​徐々に​上げ​ながら、​車両​操作​の​特性​を​観察​する​必要​が​ある​ため、​データ​収集​システム​が​次​の​データ​を​確実​に​収集​できる​必要​が​あり​ます。

  • 計算​流体​力学​から​算出​した​予測​値​と​比較​する​ため​の​空気​力学​データ
  • 後部​の​サスペンション​システム​部品​の​ストレス/​歪み​構造​データ
  • ビデオ​データ
  • 前輪​操舵​システム​および​応答​の​データ

 

大変​過酷​な​条件下​で​運用​する​ため、​NAE​テスト​プログラム​の​すべて​の​システム​に​極めて​高い​性能​が​要求​さ​れ​ます。​現場​では、​極めて​細か​く、​腐食​性​の​高い​アルカリ性​の​粉塵​が​大気​中​に​漂​って​いる​ため、​日​中​の​視界​が​6​フィート​未満​に​制限​さ​れる​可能性​が​あり​ます。​さらに、​砂漠​の​温度​は​118 °F​に​達し、​タービン​および​点火/​再​燃焼​スパーク​発生​器​から​高い​RF​スタティック​ノイズ​が​発生​し​ます。​予測​不能​な​進路​の​逸脱​による​20 g​の​加速度​に​耐える​こと​も​求め​ら​れ​ます。​ちなみに、​スペースシャトル​の​打ち上げ​時​の​加速度​は​約​3 g、​F1​車両​の​レース​時​の​加速度​は​最大​で​約​5​~​6 g​です。

 

チーム​は、​NAE​車両​が​ベースキャンプ​から​14​マイル​コース​の​スタート​地点​に​向かい、​ゴール​地点​に​到着​し、​再び​ベースキャンプ​へ​と​移動​する​まで​の​間​に、​Windows Remote Desktop​アプリケーション​を​使​って​「同乗」​し​ます。​実装​する​ネットワーク​は、​自己​完結​型​で​広域​を​網羅​する、​ポータブル​な​ブロード​バンド​ワイヤレス​Ethernet​ネットワーク​です。​データ​収集​装置​が​NAE​車両​に​搭載​さ​れ​て​いる​ため、​遠隔​測定​では​なく、​データ​を​走行​中​の​実際​の​車両​で​収集​する​こと​が​でき​ます。​プログラム​の​開始、​データ​収集​の​トリガ、​オン​ボード​メモリ​へ​の​データ​の​ダウンロード、​データ​の​視覚​モニタリング、​ファイル​の​保存​など、​コンピュータ​の​制御​は​リモート​デスク​トップ​経由​で​行い​ます。​過酷​な​条件下​で​走行​する​NAE​車両に搭載された、​これらの​システム​を​効率​良く​リモート​管理​する​ことに​は、​多大​な​困難​が​伴​い​ます。​セットアップ​の​ため​の​ロジスティクス​や、​全体​の​システム​の​整合性​を​何​日間​も​維持​し​続ける​ため​に、​さらに​複雑​な​問題​が​生​じ​ます。

 

cDAQ-9188XT​シャー​シ​は、​慎重​に​設計​を​施​した​データ​収集​システム​の​要​と​なる​要素​です。​小型​パッケージ​化​さ​れ​た​マルチ​ファンクション​I/​O​は、​既存​の​オン​ボード​および​リモート​の​コンピュータ/​通信​システム​と​簡単​に​統合​する​こと​が​でき​ます。​次​の​表​は、​データ​収集​チャンネル​の​割り当て​を​示し​てい​ます。

 

cDAQ-9188XT​を使った​NI​マルチ​ファンクション​I/O

チャンネル                   センサ                                                入力           データ                                                             

      3 1 PCB 3​軸​加速度​計 NI 9234 前輪​車両​振動

      6 2 PCB​高​重力加速度​計 NI 9234 ミ​ッド​ホイール​振動

      1 Parker​社​製​油圧​トランスデューサ NI 9206 フロント​サスペンション​コン​プ​レ​ッ​ション

      1 SpaceAge Control​社​製​ストリング​式​ポテンショメータ NI 9206 フロント​サスペンション​コン​プ​レ​ッ​ション

      1 差​圧​トランスデューサ NI 9206 マッハ

      1 歪み​ゲージ/​カスタム​セン​サ​アセンブリ NI 9206 操舵​位置

      3 歪み​ゲージ (ブリッジ​アンプ) NI 9206 リア​サスペンション​歪み​負荷

      1 線形​ポテンショメータ​分​圧​器 NI 9206 操舵​コマンド​ポジション

      13 絶対​圧​トランスデューサ NI 9206 静​圧、​機体

      3 Endevco​社​製​ピエゾ​抵抗​トランスデューサ NI 9206 静​圧、​機体

      1 ブリッジ​アンプ​の​出力 (ゼ​ロ​設定) NI 9481 N/A

 

NI​の​CompactDAQ​を​選​ん​だ​理由

これまで​の​8​年間、​テスト​走行​時​の​データ​は、​持ち運び​可能​な​装置​では​なく、​実験​室​向け​の​装置​を​使​って​収集​してき​ま​した。​特殊​シャー​シ​の​設計/​製作、​信号​線​の​25​ピン​インタフェース​へ​の​適応、​電力​系統​の​構築​に​多大​な​時間​を​割​い​て、​データ​収集​システム​を​完成​さ​せ​ま​した。​3​つ​の​独立​した​実験​室​レベル​の​データ​収集​ユニット​を​1​つ​の​システム​として​まとめる​に​は、​複雑​な​Ethernet​構成​と​トリガ​方法​を​使​わな​け​れ​ば​なり​ま​せん​で​した。​システム​の​プログラミング​は​容易​で​した​が、​費​や​した​時間​は​膨大​で​した。

 

過去​2​年間​で、​この​システム​は、​信頼​性​を​欠く​よう​に​なり、​予備​部品​の​在庫​が​なく​なり​ま​した。​そこで、​簡単​に​組み合わせる​こと​が​でき​て、​そのうえ、​あらゆる​要件​を​すべて​満たす​よう​な​ソリューション​が​必要​に​なり​ま​した。 サイズ​も​より​小​さく​て、​プログラミング​も​より​簡単​に​できる​と​なる​と、​堅牢​な​NI​の​CompactDAQ​プラットフォーム​が​選​ば​れ​た​の​は​当然​の​結果​で​した。​NI​は​1​つ​の​パッケージ​に​大変​種類​豊富​な​ミックス​ド​I/​O​を​取り​揃​えて​いる​ため、​オブジェクト​指向​プログラミング​環境​で​簡単​に​組み合わせる​こと​が​可能​です。​NI​は​信頼​性​の​高い​精密​な​実験​装置​を​提供​し​て​いる​こと​で​有名​ですが、​その​優​れ​た​装置​が​堅牢​で​ポータブル​な​パッケージ​に​な​っ​た​製品​を​選択​する​こと​は、​間違い​の​ない​ソリューション​で​した。

 

cDAQ-9188XT​で​時間​と​コスト​を​削減

10​月​の​テスト​では、​スタティック​ポート​から​読み​取​っ​た​空気​力学​データ​が、​これまで​取り​組​んで​きた​有限​要素​法 (FEM:Finite element method) モデル​の​近似​値​を​示す​と​予想​さ​れ​てい​ます。​この​モデル​は、​NI​の​CompactDAQ​システム​で​取得​した​実際​の​データ​と​比較​し​て​検証​する​必要​が​あり​ます。​これ​によって、​予測しなかったデータが見つかれば、​データ​に​基​づ​い​た​信頼​性​の​ある​計算​を​実現​し​て、​さらに​高速​な​走行​が​可能​に​なる​で​しょう。​すべてが成功すれば、​2014​年​秋​に​記録​更新​を​目指す​予定​です。

 

全体​的​に、​cDAQ-9188XT​に​は​非常​に​満足​し​てい​ます。​最初​に​電源​を​入れる​と、​即座​に​データ​収集​が​開始​さ​れ​ます。​配線、​プログラミング、​バグ​など​の​トラブル​シューティング​に​何​時間​も​費やす​こと​は​なく​なり​ま​した。​既存​の​セン​サワ​イヤ​ハーネス​や​コンピュータ​と​の​接続​も​大変​簡単​で​した。​モジュール​は​簡単​に​取り付け​られる​ため、​さまざま​な​種類​の​I/​O​を​簡単​に​追加​する​こと​も​でき​ま​した。​NI​の​LabVIEW​プログラミング​環境​は、​希望​する​データ​集録​構成​を​開発​する​際、​完璧​に​機能​しま​した。​まさに​時​は​金​なり​で、​NI CompactDAQ​システム​を​実装​する​こと​で、​$200,000​に​相当​する​時間​を​節約​する​こと​が​でき​ま​した。

 

著者​情報:

Steve Wallace
North American Eagle
​電話:​253-302-3221
stevew@landspeed.com

図​1. ​ ​超音速​走行​が​可能​な​ターボジェット​エンジン​搭載​の​North American Eagle​車両 ​
図​2. ​ ​ブラック​ロック​砂漠​で​テスト​用​監視​装置​を​準備​する​データ​収集​チーム ​