中小企業大きな課題挑むElvesys社、世界最速病原検出プラットフォーム開発

Dr Maël Le Berre、CTO兼共同設立者、Elvesys社

「データ収集は、確度、精度、高速求めます。当社では、初期段階からNIハードウェア採用おり、NI魅力価格設定価格方針によって、販売する製品価格抑えることできています。開発コスト削減できこと大きなメリットです。」

- Dr Maël Le Berre、CTO共同設立者、Elvesys社

課題:

公衆衛生の危機は、残念なことに、もはや終末論的小説やスリラー映画の脚本だけの話ではなくなってきています。エボラ出血熱やインフルエンザといった疾病や炭疽菌のような病原体は、増え続ける世界人口とその移動によって、リアルな脅威となっています。そのような脅威をすばやく確実に診断できる検出手法を確立することで、多くの命を救うことができます。

ソリューション:

病原体検出の最前線を行くフランスの中小新興企業、Elvesys社は、NIのデータ収集ハードウェアとLabVIEWソフトウェアを使用して、低コストで患者を診断できる世界最速の病原体検出プラットフォームを開発しました。

お客様名:

Dr Maël Le Berre、CTO兼共同設立者 - Elvesys社
Dr Guilhem Velvé Casquillas、CEO兼共同設立者 - Elvesys社

 

大きな課題挑戦パンデミック (汎流行) と闘い

病原体を効果的に検出するにあたって、時間と確度は極めて重要な要素です。全米技術アカデミーが、健康情報学の発展を21世紀の工学界における大きなチャレンジの1つと位置づけたのはそのためです。このチャレンジを衝き動かす最も大きな要因となるのが、パンデミックや化学/生物兵器など、公衆衛生上の緊急事態への備えと対策です。

 

 

記録救命活動実現

既存の病原体検出技術では、正確で信頼できるテスト結果を導き出すには、かなりの時間と高価な実験装置が必要です。ただしエボラや炭疽菌といった生命の危機をもたらす病原体の急激な増加を食い止めるには、数分がものを言います。

 

そこでElvesys社は、Fastgeneを開発しました。これは、1滴の血液や唾液中に含まれる病原体を世界最速で検出する技術です。Fastgeneを利用すると、エボラを6分、炭疽菌を7分で検出することができます。これは現在の世界最高技術と比較して、それぞれ実に7倍と14倍の速さです。それによって患者の治療時間が確保でき、大流行につながりかねない病原体との接触を最小限に抑えることができます。

 

技術

Fastgeneは、Elvesys社のマイクロ流体技術に基づいています。マイクロ流体技術とは、マイクロエレクトロニクスから派生したもので、液体サンプルの高精度制御を可能にします。サンプルサイズを劇的に縮小し、1滴の血液や唾液での検出が可能となったことで、1つの「ラボオンチップ」で複数回の診断操作が行えるようになります。 Fastgeneラボオンチップ病原体検出技術では、DNAの特定の部分をすばやく増殖して、サンプルに含まれる複製の数を増やし、より容易に病原体を検出できるようにします。

 

このマイクロ流体プラットフォームが成功する決め手として、重要な要素が3つあります。それは、マイクロ流体サンプル管理システム、蛍光マーカー検出/計測システム、そして全工程を制御するソフトウェアインタフェースです。DNAの増殖に伴い、DNAの各複製の蛍光斑点を検出することで、サンプルに含まれる病原体の総量を特定することができます。

 

DNAの増殖速度が速いため、蛍光マーカー検出システムは確度を犠牲にすることなく同じ速さで動作できることが極めて重要となります。それを実現するため、Elvesys社では、NIのUSB-6003低コストマルチファンクションDAQデバイスを使用して、カスタム蛍光リーダーを開発し、Elveflowというブランド名で商品化しました。 その際複雑な実験手順を簡素化するため、100 kHzの収集速度と、ノイズ信号が存在する中でもDNAのわずかな変化を検出する能力を持ち、16ビットの分解能でDNAサンプルを正確にカウントできるソフトウェア統合ハードウェアが必要でした。

 

Elvesys社は、LabVIEWソフトウェアと内蔵の950種類以上の解析関数を使用して、精度と速度を高めつつ開発にかかる時間の削減に成功しました。そして蛍光リーダーの自動化、DNA検出、データ解析など複雑な機能にもかかわらず、現場で操作しやすいLabVIEWユーザインタフェースを開発したのです。

 

 

LabVIEWNIデータ収集製品開発時間短縮

Elvesys社では、わずか20人ほどの小規模チームで、Fastgene病原体検出システムの開発に使用された技術を、Elveflowという形で市場に送り出しました。外部からの財政投資を受けず開発にも時間をかけられない新興企業にとって、カスタマイズ可能なDAQハードウェアを高レベルな開発環境でプログラミングできたことこそ、本製品や他のElveflow計測器を成功に導いた要因です。

 

実際にElvesys社では、病原体検出プラットフォーム全体の設計、開発、試作すべてを2年弱で終え、フランスの調達機関 (SAE) にも注目されました。さらにSAEからは、フランス軍に配備して現場で運用するための試作機の開発も委託されました。この試作機は軍や町を守ることに役立っています。ただし本製品の主要な使用目的は、あくまでも診察時に患者をすばやく低コストで診断することです。

 

最先端のマイクロ流体技術と信頼性の高いNIの計測システムを採用したことで、Elvesys社はフランス政府から「Worldwide Innovation Challenge賞」を授与されています。

 

お客様情報:

Dr Maël Le Berre、CTO兼共同設立者
Elvesys社
フランス

図1. Fastgene病原体検出技術
図2. Elvesys社がNIのDAQハードウェアを採用した理由は、その確度、精度、収集速度、そしてコストにあります。
図3. NIのDAQハードウェアとLabVIEWはシームレスに統合してFastgeneシステムを制御できるため、開発時間を大幅に短縮できました。
図4. Elveflowは、今やマイクロ流体の科学計測技術で世界をリードしています。

Elvesys社、NIコストDAQLabVIEW使用病原検出システム開発