Hyundai Kefico社、標準共通プラットフォーム使用製造テスト時間15%短縮

Hyundai Kefico社、Minsuk Ko氏

「NI自動テストプラットフォーム使用した、カスタマイズ可能ユーザ定義テストシステム採用することで、製造パワートレインECU機能テスト必要な、開発時間短縮テスト速度高速達成しました。開発時間以前システム1/6短縮し、システムコスト70パーセントまで引き下げ、テスト時間15パーセント短縮できした。」

- Hyundai Kefico社、Minsuk Ko氏

課題:

当社は、200以上のピンと20,000以上のテストステップから構成された、複雑化するパワートレイン電子制御ユニット (ECU) の製造テストの期限を厳守し続ける必要があった。テスト時間内に必要なスループットを必ず満たせるようにする一方で、市場での競争力を維持するためにテストコストを削減する必要もあった。

ソリューション:

NIのテストプラットフォームを使用して標準アーキテクチャを構築することで、グローバルな標準テストのデプロイメントと操作を可能にしながら、すべてのパワートレインECUタイプの柔軟なテストシステム構成と、研究開発から製造までテストカバレッジのアライメントを保証する、再利用可能なテストスクリプトおよび手順を実現した。

お客様名:

Hyundai Kefico社 - Minsuk Ko氏
Hyundai Kefico社 - Minho Yoo氏
Hyundai Kefico社 - Hyunjick Lee氏
Hyundai Kefico社 - HyoungJoo Kim氏

 

概要

自動車技術は未曾有の速さで進化しています。パワートレインの電動化、高度な安全システムの幅広い採用、運転や快適さの機能強化といったトレンドに伴い、必要とされるソフトウェアの量は大幅に増加しています。その結果、電子制御ユニット(ECU)はさらに複雑化し、需要が高まっています。その中で最も重要な点として挙げられるのが、パワートレインECUです。このようなECUは、車両を動かすパワートレインの適切な動作を保証するのみならず、購入者が真剣に検討する要素である車両の環境パフォーマンス、経済性、乗り心地に影響を与えます。

 

Hyundai社の子会社であるHyundai Kefico社は、1972年以降、パワートレインの自動車用電子機器を提供してきました。市場での競争力を維持したいその他の自動車サプライヤと同様、Hyundai Kefico社のエンジニアも、予算とスケジュールの課題を管理しながら、テスト需要の増大と排出量規制の厳格化に直面しました。当社のパワートレインECUが200ピンに達し、多様性が増すECUタイプに対して、品質を保証するために必要な機能テストが20,000テストステップにまで及んだとき、従来のテストエンジニアリングアプローチでは自動車用電子機器の進化のペースについていけないことが明らかになりました。それが転機となりました。

 

 

新しいアプローチ

これまで、ECU機能テスタでは、ECUの種類ごとに、センサ/アクチュエータエミュレータ、車両通信モジュール、テスト実行エンジンとアプリケーション、テスト手順、およびテスト結果管理ツールを設計する必要がありました。つまり、新しいECUごとに新しいテスタを開発しており、テストエンジニアリング資産の再利用は最小限にとどまり、テストのコストに悪影響が出ていました。

 

この問題を解決するために、当社はまず開発プロセスに着手し、共通プラットフォームテスタ(CP-Tester)と、標準化されたECU機能テスタ開発プロセスを作成しました(図1)。CP-Testerは、センサ/アクチュエータエミュレーション、車両通信、テスト実行 (テストエンジン)、オペレータインタフェース (テストアプリケーション)、およびテスト結果管理を定義する、CP-Standardと呼ばれる標準化されたテスト資産に基づいています。

 

システム成功

CP-Testerには、テスト開発プロセスを合理化する重要なコンポーネントがいくつかあります。研究開発または製品エンジニアは、CP-Editorと呼ばれるテストスクリプトモデルツールを使用して、テストシーケンス開発用に事前作成された200以上の機能から選択することで、各テストステップとパラメータを構成できます。このようなテストステップを適切なハードウェアI/Oにマッピングし、異なるECUタイプに合わせて再構成できます。CP-Serverは、エンジニアがテスト結果データを効率的に管理して、新しいテスト要件の改善につなげることができる、もう1つのコンポーネントです。当社のエンジニアは、CP-Testerの3つのメリットを実感しています。

 

  • 様々な種類のパワートレインECUへの適応力により、テスタ開発時間が短縮する
  • 研究開発から製造までテストステップを再利用および再構成できるので、テストエンジニアリング資産を効率的に使用できる
  • 標準フォーマットでのデータ処理とトレーサビリティにより、製造テストデータからさらに価値を引き出せる

 


当社がNI PXIプラットフォームを選択したのは、当社の複雑なパワートレインECUへの対応により適していたからです。NI PXIソリューションのメリットは以下のとおりです。

  • 様々なレイアウトによる、多数かつ柔軟なチャンネル数(200ピン以上)
  • ソース機能と計測機能を持つI/O構成
  • ECUを適切にテストするためにダミー負荷(抵抗およびインダクタンス)に接続する機能
  • 幅広いスイッチオプションと、NI-SWITCHでの使いやすさでI/Oの柔軟性が増加
  • SENT(Single Edge Nibble TransmissionおよびSAE J2716)などの特殊なセンサ通信プロトコルを実装するためにFPGAを通じてI/Oをカスタマイズする機能

 

市販されているほとんどのターンキーECUテスタは、新製品のための新しいテスト計画を採用するために10~12か月を要するうえ、ベンダとの綿密なやり取りが必要となり、高いコストがかかります。開発時間短縮の重要性を考えて、NIの自動テストソリューションのメリットを生かし、独自の標準テスタを3か月足らずで開発しました。その結果、開発時間が80パーセント短縮され、将来、製品の要件が進化した場合にも柔軟なデータレートでCANなどの機能を追加することが可能になりました。

会社レベルでは、ECUに対する需要の高まりを考慮して、NI PXIのタイミング/同期機能によりテスト時間が15パーセント短縮し、テストシステムのコストが30パーセント削減できました。これにより、市場での競争力が高まりました。さらに、NIのグローバル展開のおかげで、当社の世界中の製造拠点でCP-Testerを調達して組み立てることが可能です。
 

最初の17台のCP-Testerで、以前のソリューションに比べてプロジェクトROIが45パーセント改善し、100万ドル以上の節約が達成できました。

 

著者​情報:

Minsuk Ko
Hyundai Kefico社
韓国

図1. 過去と現在のECU機能テストの開発プロセス
図2. CP-Testerの概要