組み込み設計パワーで、自動車テストシステム画期的計測センサ開発

 Luca Marassi、Loccioni Group

「信頼柔軟使いやすいフレームワーク持つNIテクノロジ利用したことで、画期的自動車テストシステム設計することできした。」

- Luca Marassi、Loccioni Group

課題:

ディーゼルエンジンノズル流量を計測しチャートに表示する、信頼性に優れた柔軟な自動車テストシステムを設計する。

ソリューション:

NI LabVIEWグラフィカルプログラミング環境を使用して、データの収集、管理、処理、レポート作成を行う制御プログラムを設計する。

投稿者:

Luca Marassi - Loccioni Group
Alessandro De Grassi - Loccioni Group
Francesco Siano - Loccioni Group
Carmine Ungaro - Loccioni Group

 

多くの分野で品質、快適性、安全性を重視したカスタム技術ソリューションを提供する、NIパートナーのLoccioni Groupは、イタリアでイノベーションを主導する企業の1つと考えられています。私たちは、大学や研究所と緊密に連携し、テクノロジを利用したターンキーシステムを開発し実装しました。今回の開発では、当社の計測とテストにかかわる専門技術や知識を投入しました。それらの専門技術や知識は、自動車、電化製品、環境、医療、製造など、様々な業界での品質管理、オートメーション、ICT、エネルギー、各種サービスで利用されるものです。当社のラボでは、品質が極めて重要であると認識しています。とういうのも、当社は高度な専門知識を駆使して、自動テストと品質管理を統合したシステムの設計と実装を行う企業を目指しているからです。当社では、自動車と電化製品の2つ分野に重点を置いています。現在、自動車部品製造のパートナー企業向けに、カスタムラインやテスト用ワークベンチを提供しています。 

 

研究、開発、および製造

当社の研究開発ラボは、グループのアイデアが生まれる「高鳴る心臓」ともいえます。自動車分野の難題に対して、ラボはすばやく柔軟に取り組みます。さらにラボは、新しいソリューションのテストと検証のほか、社内およびエンドユーザ向けの計測キャンペーンにも使用されます。特に、圧力計測、体積流量、質量流量、およびノズル特性評価の実施に重点を置いています。この中のノズル特性評価から、NIのテクノロジを利用した画期的なノズル専用計測システム開発プロジェクト、Mexusプロジェクトが誕生しました。

 

 

このプロジェクトは、1回に注入される燃料の詳細な定量化を通じて、ディーゼルエンジンのノズル流量を計測する必要性から生じたものです。完成された計測器は、世界中のインジェクタメーカーの完成品性能テストに使用されています。当社が目指したのは、他の計測器よりも高性能で、最先端技術を使用した製品を低コストで提供することです。 

 

その結果、1回の注入流量および瞬時流量のチャートという、インジェクタを特徴づける2つの基本パラメータを正確に特定できる信頼性の高い製品を開発することができました。この計測器は、1回転での注入イベントの最大値を10回として (マルチインジェクション)、1回の注入イベントの燃料注入量を計測します。エンジン操作を3,000 rpmでシミュレーションすることで、各回転における注入の読み出し値をシステムが簡単に検出可能となるため、1回の燃料注入での量をリアルタイムで確認することができます。このプロジェクトが画期的なのは、このソリューションで使用した微積分アルゴリズムです。このシステムでは、様々なアナログ信号を収集しリアルタイムで処理することで、インジェクタの動作レートに伴う1秒間に最大50個の瞬時流量値という、信頼性に優れたテスト結果が得られます。 

 

また、このシステムでは1回に注入される燃料の量を特定することができます。これは、排気規制が厳しくなる中、インジェクタ特性評価の重要な情報となります。このような状況下、燃費の改善、または大気中の汚染ガス量の削減と両立させながら、高水準の燃焼を実現するためのより詳細な情報を、メーカーに提供していく必要があります。 

 

技術統合

計測の信頼性を確保にするため、当社ではプロジェクトのサポートとしてNIの製品を使用しました。Mexus制御プログラムの設計では、LabVIEWを使用してデータの収集、処理、レポート作成を行いました。

 

 

Mexusシステムで最も重要な要素が注入チャンバです。これは制御センサとバルブを備え、燃料が注入されるシリンダで、この部分で個々の計測が行われます。注入チャンバとその制御システムは、LabVIEW Control Design and Simulation Moduleを使用してモデル化されており、現在、LabVIEWプロフェッショナル開発システムに含まれています。 このステージでLabVIEWグラフィカルプログラミング環境を使用して、PCでシミュレーションを実行します。試作ステージでは、機能の特性評価と検証を行うPCベースのNIデータ収集ボードにより、PCとWindowsからなる同じプラットフォームが維持されます。この重要な開発ステージで、より洗練されたチャンバ注入モデルの必要性が明らかになりました。これはLabVIEW System Identificationツールキットを使用することで、対応することができました。このツールキットにより注入チャンバの伝達関数の取得が可能になり、結果として適切な制御アルゴリズムを設計することができました。

 

大規模な実装には、障害とは無縁のテクノロジで24時間休みなく稼働し、産業環境に適したフォームファクタの小さなハードウェアデバイスが必要でした。

 

ソフトウェアとの互換性を最大限に高めるため、私たちはNI CompactRIOを選択しました。このハードウェアを使用したことで、試作から実装へ迅速に移行できたほか、サンプリングレートの要件を満たし、リアルタイムで確定的なプロセス制御を実現することができました。 

 

このソリューションのユーザインタフェース制御は、イーサネット経由でCompactRIOに接続し、LabVIEWでプログラムしたWindows XPe OS搭載のタッチパネルコンピュータにより行っています。 ソリューションを開発する上で最も重要な利点となったのは、1つの開発環境で設計、試作、実装を行うことができたことです。これにより、サードパーティのプログラミング言語とのインタフェースが不要となりました。またLabVIEWは、開発の統合、操作性、ハードウェア制御などにおいて優れた柔軟性を発揮してくれました。 

 

Mexusの最終製品は、テストの実行において最高の信頼性を発揮することを保証します。優れた計測確度を得られたのは、最も厳しい規制へのテストの適合を保証する、画期的な方法を採用した結果です。信頼性が高く柔軟で使いやすいフレームワークを持つNIのテクノロジを利用したことで、画期的な自動車テストシステムを設計することができました。 

 

当社が持つノウハウとNIとの技術提携により、Loccioni Groupは自動車業界に画期的な製品をもたらすことに成功しました。その製品は、マシンにダウンタイムを発生させず使いやすいユーザインタフェースを備えた、質の高いテスト標準を提供するものです。

 

投稿者​情報:

Luca Marassi
Loccioni Group
電話: +39.0731.8161
l.marassi@loccioni.com

注入チャンバとその制御システムは、LabVIEW制御系設計/シミュレーションモジュールを使用してモデリングしました。
Mexus制御プログラムは、LabVIEWを使用してデータの収集、処理、レポート作成を行います。