NI PXI​および​モジュール​式​計測​器​を​使用​した​F-​RAM​メモリ​の​検証​および​デバッグ

Chris Wray, Ramtron International

"PXI​を​使用​し​て、​従来​の​自動​テスト​装置​より​もす​ば​やく​デバッグ​を​行い、​障害​の​ある​メモリ​チップ​を​より​柔軟​に​特性​評価​できる​テスト​が​開発​でき​ま​した。"

- Chris Wray, Ramtron International

課題:

柔軟性​に​優​れ​た​コスト​効率​の​良い​強​誘電​体​の​RAM(F-​RAM)​メモリ​テスト​システム​を​既存​の​自動​テスト​装置​(ATE)​の​代替​手法​として​作成​し、​新​製品​の​検証​と​返品​さ​れ​た​故障​メモリ​装置​の​迅速​な​診断​を​行う。

ソリューション:

モジュール​式​計測​器​と​NI LabVIEW​を​使用​した​PXI​ベース​テスト​システム​を​開発​し​て、​ミックスドシグナルテスト用のパッケージ化された​F-​RAM​メモリ​チップ​に​接続​し、​性能​の​検証​と​デジタル​ビット​エラー​の​原因​特定​を​行う。

作成​者:

Chris Wray - Ramtron International
​Kurt Schwartz - Ramtron International
​Bill Kraus - Ramtron International

 

現在​の​エレクトロニクス​分野​で​よく​使用​さ​れる​メモリ​に​は、​アプリケーション​の​ニーズ​によって​様々​な​タイプ​が​あり​ます​が、​メモリ​の​サプライヤ​は、​高まる​テスト​コスト​引き下げ​という​経済​的​プレッシャー​に​直面​し​ながら​も、​強い​生産​力​を​維持​し​て​お客様​の​設計​に​高​品質​な​部品​を​確実​に​提供​し​てい​ます。

 

Ramtron International Corporation(以下、​Ramtron​社)​は、​シリアル​および​パラレル​の​強​誘電​体​ランダムアクセス​メモリ​(F-​RAM)​デバイス、​プロセッサ​コンパニオン​デバイス​といった、​不揮発​性​の​強​誘電​体​半導体​の​大手​サプライヤ​です。​不揮発​性​の​強​誘電​体​半導体​は、​一般​的​に​プロセッサ​ベース​システム​に​必要​と​さ​れる​個々​の​アナログ​機能​や​ミックス​ド​シグナル​機能​を​統合​する​役割​を​果​た​し​ます。

 

当社​は、​市販​コンポーネント​と​PXI​プラットフォーム​を​使用​し​て​低​コスト​の​メモリ​テスト​システム​を​開発​し、​故障​部品​の​デバッグ​機能​を​増​や​し​て、​より​迅速​な​故障​原因​の​特定​を​図​り​ま​した。​当社​が​開発​した​テスト​システム​では、​返品​さ​れ​た​欠陥​の​ある​メモリ​チップ​を​デバッグ​する​とともに、​シリコン​の​初期​検証​に​使用​し​て、​新しい​メモリ​設計​の​機能​性​を​検証​し​ます。NI​モジュール​式​計測器LabVIEWを​使用​する​こと​により、​従来​の​自動​テスト​装置​より​も​プログラム​が​簡単​な​より​柔軟性​に​優​れ​た​テスト​システム​を​構築​する​こと​が​でき​ま​した。

 

F-​RAM​など​の​一般​的​な​メモリ​デバイス​の​概要

現在​の​半導体​メモリ​は、​主に​揮発​性​メモリ​と​不揮発​性​メモリ​の​カテゴリ​に​分ける​こと​が​でき​ます。 揮発​性​メモリ​は、​高性能​で​高密度​タイプ​の​メモリ​で、​電力​供給​さ​れ​て​いる​間​は​値​を​保持​し​ます​が、​電力​供給​が​なくなる​と、​保存​し​てい​た​値​を​保持​でき​なく​なり​ます。​不揮発​性​メモリ​は​通常、​低​密度​ですが、​電力​供給​が​中断​さ​れ​たり、​なく​な​っ​たり​し​て​も、​保存​メモリ​を​保持​し​続ける​という​メリット​を​持​って​い​ます。

 

現在​の​市場​で​活発​に​使用​さ​れ​て​いる​メモリ​アーキテクチャ​は、​アプリケーション​によって​様々​な​種類​が​あり​ます。​最も​よく​使用​さ​れ​て​いる​揮発​性​メモリ​の​タイプ​は​2​つ​で、​スタティック​RAM(SRAM)​と​ダイナミック​RAM(DRAM)​です。​これら​は​現在、​多く​の​PC​で​メイン​メモリ​として​使用​さ​れ​てい​ます。​ROM、​EEPROM、​および​フラッシュ​メモリ​は、​その他​の​不揮発​性​メモリ​で、​何​度​も​消去​し​て​再​プログラム​できる​技術​に​基​づ​い​てい​ます​が、​揮発​性​メモリ​に​比べ​て​書き込み​が​遅​く、​より​高い​電圧​が​必要​と​なる​場合​が​あり​ます。​また、​EEPROM​を​ベース​と​した​技術​は​最終​的​に​は​消耗​し​ます​(1E5​サイクル​という​低い​耐久性)。​これ​は、​高​耐久性​が​必要​と​さ​れる​工業​用​アプリケーション​にとって​リスク​となり​ます。

 

強​誘電​体​RAM(F-​RAM)​は、​Ramtron​社​が​開発​した​不揮発​性​メモリ​の​一種​で、​RAM​と​ROM​の​長所​を​1​つ​の​パッケージ​に​まとめ​た​もの​です。​F-​RAM​メモリ​に​は、​一般​的​に​PZT​と​呼ばれる​チタン​酸​ジルコン​酸​鉛​[Pb(Zr,Ti)O3]​系​の​強​誘電​体​薄膜​が​含​まれ​てい​ます。​PZT​の​Zr/​Ti​の原子は電界の極性を変化させます。​その​結果、​バイナリ​スイッチ​が​生​じ​ます。​RAM​デバイス​と​は​異​なり、​F-​RAM​は​PZT​結晶​が​極性​を​維持​する​ため、​電源​が​オフ​に​な​っ​たり​遮断​さ​れ​て​も​データ​メモリ​を​保持​し​ます。​これ​により、​F-​RAM​は、​高速​の​書き込み、​高​耐久性、​超低​消費​電力​といった​特長​を​持つ​独特​の​不揮発​性​メモリ​技術​として、​他の​不揮発​性​メモリ​の​性能​を​上回​って​い​ます。

 

シリコン​の​初期​検証​および​メモリ​チップ​の​デバッグ​の​テスト​要件

当社​は、​密度​および​動作​電圧​の​異​な​っ​た​あらゆる​F-​RAM​メモリ​チップ​の​パッケージ​を​製造​し​てい​ます。​一部​の​チップ​に​は、​テスト​が​必要​な​リアルタイム​クロック​や​プロセッサ​に​付属​の​機能​が​搭載​さ​れ​てい​ます。​各​テスト​システム​は、​3.3V​および​5V​の​メモリ​チップ​の​機能​テスト​を​実行​し​て、​メモリ​ビット​の​良​し​悪​し​を​決定​できる​必要​が​あり​ます。​また、​この​システム​は、​一般​的​な​パラレル​および​シリアル​インタフェース​プロトコル​の​双方向​デジタル​通信​(SPI、​I2C​など)​も​サポート​する​必要​が​ある​ため、​異なる​テスト​モード​を​チップ​に​設定​し​て、​タイミング​を​微​調整​した​り、​0​~​1​の​間​の​電圧​降下​の​基準​ライン​を​調整​した​り​でき​ます。

 

 

メモリ​チップ​に​は、​様々​な​ピン​パッケージ​が​あり、​高密度​パラレル​F-​RAM​デバイス​に​よく​使用​さ​れる​の​は​TSOP-​II-44​ピン​パッケージ​(図​1)​で、​2​つ​の​電力​用​ピンと​2​つ​の​グランド​ピン​が​搭載​さ​れ​てい​ます。​基本​特性​は​デジタル​I/​O​で​トラッキング​し​ながら​全て​の​ビット​に対して​高速​で​テスト​さ​れ​ます。​また、​パワーアップ​と​パワーダウン​時​の​ランプ​速度​に対する​ソース​電圧​(VDD)​の​テスト、​動作​時​の​スタンバイ​(アクティブ)​電流​の​チェック​が​行​われ、​電力​(バンド​ギャップ)​監視​によって、​VDD​が​一定​の​しき​い​値​より​降下​する​か​どうか​が​チェック​さ​れ​ます。​計測​によって、​全て​の​ピン​に対する​漏れ​電流​テスト​が​行​われ​ます。​これ​は​通常、​ナノ​アンペア​レベル​で​行​われ​ます。

 

テスト​システム​ハードウェア

当社​の​装置​が​全て​の​テスト​要件​に​見合う​と同時に、​異なる​メモリ​パッケージ​へ​の​接続​に​必要​な​柔軟性​を​持ち合わせ​て​いる​こと、​また​障害​の​ある​箇所​の​デバッグ​時に​特別​な​計測​が​可能​で​ある​こと​が​必要​で​した。​モジュール​性​と​省​スペース​の​面​から、​テスト​装置​の​開発​にはPXIを​使用​しま​した。​その他​の​機器​に​は、​NI PXI-4110 電源、NI PXI-6551 50 MHz​双方向​デジタル​I/​O​モジュール、NI PXI-4071 7 ½​桁​デジタル​マルチ​メータ​(DMM)、NI PXI-2532 512​クロス​ポイント​マト​リ​クス​スイッチ​モジュール​など​を​使用​しま​した。

 

NI PXI-4110​モジュール​は、​メモリ​チップ​の​主​電源​となり、​優​れ​た​機能​を​発揮​し​ます。​その​理由​は​チャンネル​が​3​つ​ある​から​です​(2​つ​が​正極​で、​1​つ​が​負極)。​この​モジュール​を​使用​し​て、​3​つ​の​各​チャンネル​で​それぞれ、​電源​投入、​正極​電圧​の​供給、​検​流​計​モード​で​の​負極​電圧​の​供給​を​行い​ます。​電源​を​使用​し​て、​VDD​の​ランプ​速度​を​最速​1​ミリ​秒​未満​から​10​秒​まで​で​制御​し​て、​パワーアップ/​パワーダウン​テスト​を​行い​ます。​供給​する​電力​を​変化​さ​せ​ながら、​NI PXI-6551​デジタル​I/​O(DIO)​モジュール​を​使用​し​て​デジタル​ビット​エラー​を​測定​し、​電圧​および​電流​を​NI PXI-4071 DMM​で​読み取り​ます。

 

 

 

NI PXI-6551​デジタル​モジュール​は、​チップを動作させ、​アドレス​ピン​に​デジタル​信号​を​与​えて、​異なる​メモリ​の​場所​を​テスト​し​ます。​この​DIO​モジュール​は、​VOH、​VOL、​VIH、​および​VIL​の​電圧​レベル​を​10 mV​ずつ​増加​する​よう​に​プログラム​可能​なので、​メモリ​チップ​の​入出力​電圧​レベル​の​仕様​を​スイープ​し​て​特性​評価​する​こと​が​でき​ます。​また、​タイミング​を​調節​し​て、​有効​な​チップ​の​立ち​下がり​エッジ​に対して​異なる​ホールド/​読み取り​時間​を​可能​にし​ます。

 

NI PXI-2532​スイッチ​は、​電源​と​DMM​の​間​の​信号​ルーティング​を​処理​し、​パッケージ​メモリ​チップ​の​DIO​ピン​全て​に対し、​パ​ラメ​トリック​テスト​を​行い​ます。​この​スイッチ​は​DIO​モジュール​とともに​カスタム​PCB(プリント​基板)​の​メイトコネクタ​に​接続​し​ます​(図​2​参照)。​この​カスタム​PCB​はパッケージされた​F-​RAM​チップ​セット​を​テスト​中​に​収容​し​て​作成​した​もの​です。

 

テスト​システム​ソフトウェア

過去​の​テスト​システム​で​経験​した​問題​の​一つ​に、​ATE​の​プログラミング​が​できる​スタッフ​の​数​に​限り​が​ある​という​こと​が​ありま​した。​この​新しい​システム​を​誰​も​が​使用​できる​簡単​な​もの​に​する​ため​に、NI LabVIEWLabVIEW SignalExpressなど​の​NI​ソフトウェアとNI デジタル​波形​エディタの​組み合わせ​を​使用​し​て、​メモリ​チップ​で​実行​する​テスト​を​設計​しま​した。

 

メイン​アプリケーション​と​ユーザ​インタフェース​は​LabVIEW​で​記述​し、​同じく​LabVIEW​を​使用​し​て、​曲線​追跡、​計測、​電圧​に対する​電流​の​プロット​など​の​テスト​の​大半​を​自動化​しま​した。​デジタル​I/​O​モジュール​を​構成​し​て、​メモリ​チップ​の​機能​を​検証​する​ため​の​異なる​パターン​を​送信​し、​テスト​モード​を​呼び出し​て​信頼​性​の​チェック​を​行​いま​した。​LabVIEW​の​柔軟性​は​大変​便利​で、​将来、​必要​に​応​じ​て​計測​器​を​追加​する​プロセス​を​簡素​化​し​てく​れ​ます。

 

メモリ​チップ​に​送​られる​デジタル​テスト​ベクトル​は、​NI​デジタル​波形​エディタ​を​使用​し​て​作成​さ​れ​ま​した。​エディタ​は、​グラフィカル​ソフトウェア​ツール​で、​デジタル​波形​を​可視​化​し​て、​エッジ​の​ドラッグ​を​簡単​にし、​異なる​機能​テスト​に​応​じ​て​波形​を​操作​し​ます。​NI​デジタル​波形​エディタ​は​LabVIEW SignalExpress​とともに​使用​し​て、​クイック​テスト​を​実行​し​ます。​NI​デジタル​波形​エディタ​と​LabVIEW SignalExpress​の​統合​は、​プログラミング​なし​で​の​テスト​の​実行​を​可能​に​しま​した。

 

また、​ナショナル​イン​ス​ツル​メンツ​の​その他​の​ソフトウェア​ツール​も​使用​しま​した。 NI Switch Executiveは、​グラフィカル​インタフェース​で​スイッチ​マト​リ​クス​の​構成​と​その​やり取り​に​使用​しま​した。​これ​によって、​スイッチ​ルート​を​命名​でき、​LabVIEW​と​の​やり取り​が​し​や​すく​なり​ます。​また、​電源​と​DMM​の​ソフト​フロント​パネル​を​使用​し​て、​メモリ​チップ​の​デバッグ​時​の​単発​の​クイック​測定​を​行​いま​した。

 

PXI​を​使用​した​モジュール​式​テスト​プラットフォーム​開発​の​成功

PXI​で、​F-​RAM​メモリ​チップ​の​特性​評価​と​デバッグ​を​行う​ため​の​テスト​要件​を​全て​満たす、​モジュール​式​テスト​プラットフォーム​が​実現​しま​した。​当社​の​PXI​システム​は、​省​スペース​で​持ち運び​が​便利​な​ため、​研究室​間​で​テスト​システム​を​簡単​に​移動​さ​せ​たり、​オンサイト​解析​で​お客様​を​訪問​する​際​に​携帯​し​てい​く​こと​が​可能​です。​PXI​を​使用​し​て、​従来​の​自動​テスト​装置​より​もす​ば​やく​デバッグ​を​行い、​障害​の​ある​メモリ​チップ​を​より​柔軟​に​特性​評価​できる​テスト​が​開発​でき​ま​した。​これ​により、​お客様​に​信頼​性​の​高い​製品​を​手頃​な​価格​で​提供​する​こと​が​可能​となり​ま​した。

 

著者​情報:

Chris Wray
Ramtron International
​Tel: 719.481.7182
chris.wray@ramtron.com

図​1. ​ ​メモリ​チップ​の​パッケージ​に​は、​複数​の​ピン​タイプ​(アドレス​および​データ​ライン、​制御​ピン、​電源​接続​など)​が​あり​ます。 ​
図​2. ​ ​カスタム​PCB​を​作成​し​て、​PXI​計測​器​を​異なる​F-​RAM​メモリ​パッケージ​に​接続​しま​した。 ​