LabVIEW​を​用​い​た​ソフトウェア​検証​ツール​の​開発

佐藤 慧​氏, オム​ロン​オート​モー​テ​ィ​ブ​エレクトロニクス​株式会社 開発​統括​室 モータ​制御​開発​部 商品​開発​3課

"結果​より、​試験​毎​に​必要​な​作業​時間​は、​過去​に​作成​した​テストケース​を​使用​でき​ない​新規​試験​の​場合、​従来​システム​では​試験​1​件​あたり​78min、​新​システム​では​31min​となり、​約​60%​の​工数​を​削減​でき​た。​また、​過去​に​作成​した​テストケース​を​そのまま​使用​できる​場合​約​90%​の​工数​を​削減​できる。"

- 佐藤 慧​氏, オム​ロン​オート​モー​テ​ィ​ブ​エレクトロニクス​株式会社 開発​統括​室 モータ​制御​開発​部 商品​開発​3課

課題:

1)​LabVIEW​を​用​い​た​ソフトウェア​検証​ツール​の​開発  2)​電気​信号​と​RAM​値​の​同期​取得

ソリューション:

本​システム​は​PC、​PXI​モジュール、​横​河​デジタル​コンピュータ​社​製​RAMScopeGT150、​電源、​及び​ターゲット​と​なる​EPS_ECU​から​構成​さ​れる。​本​システム​では​EPS_ECU​に​搭載​さ​れ​た​マイコン​の​入出力​端子​の​うち、​検証​で​必要​と​なる​全て​の​端子​に対して​配線​を​行う​ため、​多​チャンネル​の​入出力​が​可能​な​PXI-6723、​PXIe-4300、​PXIe-6363​といった​モジュール​を​採用​し​て​いる。​これらの​モジュール​を​電流​増幅、​トランジスタ​を​用​い​た​端子​地​絡​といった​機能​を​有する​I/​F BOX(自作​ハードウェア)​を​介​し​て​EPS_ECU​に​接続​し​て​いる。

【背景】


​現在、​EPS_ECU(電動​パワー​ステアリング​コントローラ)​の​ソフトウェア​開発​において​ソフトウェア​の​複雑​化​に​伴​い、​その​妥当​性​を​確認​する​検証​試験​に​多く​の​工数​が​か​かって​いる。​これまで​は、​電気​信号​の​取得、​注入​及び​内部​変数​(RAM)​の​モニタリング​といった​検証​試験​に​必要​な​機能​を​複数​の​機器​を​用​い、​それら​を​同時に​操作​する​こと​で​検証​試験​を​行​って​きた。​この​試験​方法​では、​機器​ごと​の​インター​フェイス​で​試験​の​設定​を​行う​必要​が​あり、​また、​各ツールの設定をテストケースとして一括して資産化することができなかった。​そのため、​オペレーション​の​煩雑​化​や、​再​試験​時に​システム​を​再​構築​す​こと​が​容易​で​ない​等​の​問題​が​あっ​た。​これらの​問題​に​対処​する​ため、​操作​を​PC​上​に​集約​し、​設定をテストケースとして保存可能なシステムの開発を行った。

 

 

【課題】


​1)​試験​毎​の​配線


​EPS_ECU​に​搭載​さ​れ​て​いる​マイコン​に​は​100​個​の​入出力​端子​が​存在​し​て​おり、​入力​端子​へ​の​電圧​の​注入​や、​出力​端子​から​の​出力​電圧​を​モニタ​する​こと​で​試験​を​行​って​いる。​これらの​端子​の​うち、​どの​端子​の​信号​を​モニタ​する​か​は​試験​によって​異​な​って​いる​ため、​従来​の​システム​では​試験​毎​に​マイコン​の​対応​する​端子​に​IC​クリップ​を​装着​し、​再​配線​を​行​って​い​た。

 

2) 電気​信号​と​RAM​値​の​同期​取得


​ソフトウェアェア​の​複雑​化​により、​外部​出力​と​外部​入力​の​関係​が​単純​では​なく​な​って​き​て​いる。​そのため、​電気​信号​に​加​えて、​ソフトウェアェア​の​内部​情報​として​RAM​値​を​モニタ​する​必要性​が​出​て​きた。​その​際、​マイコン​に​入力​さ​れる​電気​信号​と​RAM​値​の​相関​を​確認​する​ため​に​は、​これら​を​同期​し​て​取得​する​必要​が​ある。​従来​の​システム​では​日置​電機​社​製​CAN​アダプタ​8910​で​CAN​バス​上の​信号​を​D/​A​変換​し、​電気​信号​と同時に​オシロスコープ​に​記録​し​てい​た。​しかしながら、​CCP(CAN Calibration Protocol)​通信​経由​で​RAM​値​を​リード​し​て​いる​制約​上、​電気​信号​と​D/​A​出力​の​間​に​は​数​ms​の​遅れ​が​発生​する。​また、​モニタ​できる​RAM​値​の​数​は​数個​に​限​ら​れ​てい​た。

 


【ソリューション】
​システム​構成

開発​した​ソフトウェア​検証​ツール​の​構成​図​を​Fig. 1​に​示す。

 

本​システム​は​PC、​PXI​モジュール、​横​河​デジタル​コンピュータ​社​製​RAMScopeGT150、​電源、​及び​ターゲット​と​なる​EPS_ECU​から​構成​さ​れる。​本​システム​では​EPS_ECU​に​搭載​さ​れ​た​マイコン​の​入出力​端子​の​うち、​検証​で​必要​と​なる​全て​の​端子​に対して​配線​を​行う​ため、​多​チャンネル​の​入出力​が​可能​な​PXI-6723、​PXIe-4300、​PXIe-6363​といった​モジュール​を​採用​し​て​いる。​これらの​モジュール​を​電流​増幅、​トランジスタ​を​用​い​た​端子​地​絡​といった​機能​を​有する​I/​F BOX(自作​ハードウェア)​を​介​し​て​EPS_ECU​に​接続​し​て​いる。

 

 

また、​RAMScopeGT150​を​用​い​て​RAM​値​の​モニタ、​書き換え​等​を​行う。

 

本​システム​では​電気​信号​の​取得、​注入​及び​RAM​値​の​モニタリング、​書き換え、​といった​操作​の​すべて​を​PC​上の​インター​フェイス​から​行う。​そのため、​信号​入出力、​RAMScope​操作​の​ため​の​ドライバ​が​提供​さ​れ​て​いる​LabVIEW​を使用しインターフェイス開発を行った。​インター​フェイス​上​で​ユーザー​は、​取得​信号​(電気​信号、​RAM​値、​CAN​メッセージ)​の​選択​(最大​20​チャンネル)、​注入​信号​パターン​の​読み込み、​注入​点、​タイミング​の​設定、​及び​それらの​設定​の​保存、​読み込み​等​の​操作​を​行う。​インター​フェイス​画面​を​Fig. 2​に​示す。

 

【結果】
​課題​解決

新​システム​では​EPS_ECU​に​搭載​さ​れ​た​マイコン​の​入出力​端子​の​うち、​検証​で​必要​と​なる​全て​の​端子​に​事前​に​配線​を​行う​ため、​試験毎に再配線を行う必要はなくなった。

また、​電気​信号​と​RAM​の​同期​取得​について​は、​I/​F BOX​から​RAMScopeGT150​の​TRIG_IN​に​同期​信号​を​注入​し、​モニタ​開始​タイミング​を​そろえる​こと​で​電気​信号​と​RAM​値​の​同期​取得​を​実現​し​て​いる。​それ​により​D/​A​出力​分​の​遅れ​が​なく、​多数​の​RAM​値​を​モニタ​可能​と​な​って​いる。

 

効果

従来​システム、​新​システム​それぞれ​で、​複数​件​の​検証​試験​を​行い、​その工数の比較を行った。​その​結果​を​Table. 1​に​示す。

  従来​システム 新​システム
  作業 所要​時間 作業 所要​時間
再​利用​可能​な​作業 機器​接続 4h 配線 7h
    EPS_ECU​別​設定※ 1h

試験​毎​に​必要​な​作業

 

配線 1h

テストケース​作成

(再​試験​時​再​利用​可)

25min
機器​設定 12min 試験​実行 6min
試験​実行 6min -―

            Table. 1 工数​比較​結果   ※​配線​情報​等​の​設定

上記​結果​より、​試験​毎​に​必要​な​作業​時間​は、​過去​に​作成​した​テストケース​を​使用​でき​ない​新規​試験​の​場合、​従来​システム​では​試験​1​件​あたり​78min、​新​システム​では​31min​となり、​約​60%​の​工数​を​削減​でき​た。​また、​過去​に​作成​した​テストケース​を​そのまま​使用​できる​場合​約​90%​の​工数​を​削減​できる。

新​システム​では​初期​の​配線​に​従来​より​も​多く​の​時間​が​かかる​が、​従来​システム​では​テスト​毎​に​配線​を​行う​必要​が​ある​ため、​複数​の​試験​を​行う​場合、​従来​システム​より​も​トータル​の​工数​は​少​なくなる。

今後​は、​さらなる​工数​削減​を​目指​し、​EPS_ECU​へ​の​配線、​テストケース​作成​といった​作業​の​簡略​化​に​取り組む​予定​で​ある。


​本文​中​の​会社​名、​製品​名​は​各社​の​登録​商標、​または​商標​です。

 

著者​情報:

佐藤 慧氏
​オム​ロン​オート​モー​テ​ィ​ブ​エレクトロニクス​株式会社 開発​統括​室 モータ​制御​開発​部 商品​開発​3課

Fig. 2  ​ ​ソフトウェア​検証​ツール​インター​フェイス​画面 ​
Fig. 1 ​ ​ソフトウェア​検証​ツール​構成​図 ​