ラピッドコントロールプロタイピンプラットフォーム開発高度エンジン制御システム実装する

E.Corti氏、Alma Automotive

NIデータ収集 (DAQ) ハードウェア使用したLabVIEWパッケージで、実際機能するシステム迅速設計/開発する必要すべてツールした。記述したコード柔軟性移植によって、NI CompactRIOなど、異なるプラットフォーム実装簡単なりした。

- E. Corti氏、Alma Automotive

課題:

ラピッドプロトタイピングプラットフォームを開発して、内燃エンジン用リアルタイム制御システムを実装する。このリアルタイム制御システムでは、ポジション測定、噴射量、点火制御など、通常ECUで管理されるすべてのタスクに対応し、センサと接続して、標準の制御/診断、および新しい高度な制御アルゴリズムの開発を実装することができる。

ソリューション:

FPGA (field-programmable gate array) を搭載したNI PXI-RシリーズマルチファンクションRIOモジュール、およびNI LabVIEW Real-Timeモジュールを実行できるNI PXI-8186組込コントローラを使用してシステムを構築する。このシステムは複数のI/Oボードを経由してエンジンセンサに接続し、タイムクリティカルタスクに対応する。ポジション監視と、噴射時間、噴射位相、および点火進角 (SA) 位置の高確度な制御に必要な角度/タイミング要件に対応できることが必要。

作成​者:

E.Corti氏 - Alma Automotive
L. Solieri氏 - ボローニャ大学

 

当社が開発したのは、新しいエンジン制御を実装するための柔軟性に優れたプラットフォームとなる、内燃 (IC) エンジン用の仮想ECU (VECU) です。ECUの機能の複製、誤動作の生成、高度な燃焼診断、試験的なアルゴリズムなどの新しい機能が必要でした。さらに、実行中にリアルタイムでパラメータのほとんどを調整する必要もありました。

 

システムの実装には、ラピッドコントロールプロトタイピングの技術を使用した新しいアプローチが必要でした。開発時間を短縮するため、LabVIEWLabVIEW FPGA、およびLabVIEW Real-Timeモジュールで構成したNIプラットフォームを使用しました。このプラットフォームでは、LabVIEWでFPGAコードを生成して、リアルタイムターゲットにデプロイすることができます。

 

システム要件

複数の要件によってシステムアーキテクチャが決定します。1) プラットフォームが異なるエンジンのタイプ (スパークイグニッション (SI) または圧縮イグニッション (CI)) に対して機能する必要があります。2) ポジション測定が0.1度より優れた確度で検出する必要があります。3) 噴射タイミングの確度は1μsより優れている必要があります。4) 点火進角位置は0.1度内の確度が必要です。5) 噴射パターンは制限できないため、シングルポイント、マルチポイント、マルチジェット、およびフルグループの噴射が可能になるようにします。6) 高度な制御アルゴリズムを実装できるコントローラの処理能力が必要です。

 

 

RシリーズマルチファンクションRIOモジュールでは、クランク角度位置を監視します。正確な位置を決定するには、一般的に使用されている可変リラクタンス速度 (VRS) またはホール効果による位置センサを、広く普及している60-2センサホイールなどとの組み合わせで使用して、そこから送られてくる角度の基準信号を処理します。FPGAが持つ処理速度によって、「歯」が125 ns以内で横切るような物理的遷移も認識することができます。

 

システムの主な出力は、噴射および点火の制御信号です。低レベルの出力ですが、外部のパワードライバによって増幅されます。すべてのアクチュエータは、相互に依存せずに駆動させます。テストでは8シリンダエンジンの処理を成功させました。噴射時間やSAなどの駆動パラメータは、燃焼ベースで各シリンダの1サイクルに1回、NI PXI-8186コントローラのアプリケーションのリアルタイムで評価します。次に、演算がFPGAのキューに入り、要求される角度およびタイミングの確度で実行されます。FPGAコードは、エンジン部品、点火コイル、および燃料噴射装置の安全装置をターゲットとした複数の保護手順にも対応します。シングルサイクルタイミングループストラクチャも大規模に使用して、確定的に納期を守れるようにしました。

 

FPGA上の高速アナログI/Oを使用すれば、シリンダ内信号の高速処理を最大200 KHzで実装し、ノッキング、熱発生率、MFBといった情報を収集することができます。したがって、図示平均有効圧 (IMEP) の最大化に的を絞った高度な制御、50%のMFB制御、ノッキングを超過しない最高のSAを開発することができます。

 

 

システムの層

システムのレイアウトは、FPGA、リアルタイム、GUIの3つの層に分けました。優先度が最も高いタイムクリティカルタスクは最も低いレベルで、FPGAレベルです。最も優先度の低い機能はユーザインタフェースにあります。GUIはリアルタイムシステム上では実行されません。その代わり、Ethernetを経由してリモート接続され、仮想ECU (VECU) の操作には必要とされません。GUIタスクは主に低周波数のデータロギングおよびシステム管理です。AFRターゲット、SA、誤動作誘導など、パラメータ変更のリアルタイム面の操作も含まれます。ホストの誤動作はエンジン制御システムに対する障害にはなりません。低レベルのアプリケーションは、Pharlap社のリアルタイムOSおよびFPGAで実行され、ホストGUIは実質上、Windows PC、Linux PC、パームトップPCなどの任意のデバイスにデプロイすることができます。

 

また、システムの有効性を評価するために、マセラティV8 3.2リットルターボチャージャ付きエンジン (AM585) に対して多数のテストを実行しました。エンジンの位相および位置が125 nsの遅延で正しく決定され、最大65 msの持続時間および1μsの確度で複数の独立噴射を実現でき、SOIは0.1度より優れた確度で選択できることがわかりました。他にも、点火進角位置が0.1度より優れた確度を持っていること、高速リアルタイムアナログ信号処理が実行可能であること、NI PXI-8186の処理能力で高度な制御戦略および新しいアルゴリズムを実装できること、開ループおよびマッピングベースの制御があればCPU使用率は6,000 rpmで20%未満になること、FPGAは1Mゲートのボード上で90%のゲートを使用することがわかりました。ボードのアナログ機能が不要な場合、デジタルのNI PXI-Rシリーズが費用効率の高い代替品として使用できます。

 

成功開発および将来システム変更

当社のラピッドコントロールプロトタイピング (RCP) システムを仮想エンジン制御ユニット (ECU) を実装するための基礎として使用した場合、NIのハードウェアとソフトウェアの機能は明らかになります。たとえば、ポジション測定、点火/噴射管理など、高分解能でタイムクリティカルタスクにおけるFPGAの多用途性などは顕著にわかります。FPGA (field-programmable gate array) を使用することによって、主に信号調節など、複数の外部電子回路を取り除けるため、システムのレイアウトはシンプルになりました。さらに、NI DAQハードウェアを使用したLabVIEWパッケージで、実際に機能するシステムを迅速に設計/開発するのに必要なすべてのツールが賄えました。記述したコードの柔軟性と移植性によって、NI CompactRIOなど、異なるプラットフォームへの実装が簡単になりました。

 

少々の変更を加えれば、類似システムをさらに小型で手頃な価格のNI CompactRIOプラットフォームに実装することができます。性能のレベルは異なりますが、必要な処理能力が同様の柔軟性とさらなる移植性で実現します。このシステムを使用して、オンボードプログラミングおよびVECUアルゴリズムチューニングを行うことができます。

 

作成者​情報:

E.Corti
Alma Automotive
電話: +39 051 6447130
ecorti@alma-automotive.it

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