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変化する要件厳しい納期満たすため利用最大限高め行う自動駐車システム設計およびテスト

Derek O'Dea、Valeo

 

「新世代カメラ通常、新しいカスタム通信プロトコル搭載ています。PXIモジュールFPGA構成可能アドオンあるFlexRIO使用することで、システム設計必要なるは、DUTそれ以外システムインタフェースとして機能するアダプタボードのみです。また、PXIプラットフォーム使用することで、必要柔軟性確保つつ、DAQ機能HIL環境といった全て共通要素引き続き利用できます。」

- Derek O'Dea、Valeo

課題:

車両安全システムは、ソフトウェアコンポーネントの増加によりますます複雑さを増す一方で、開発期間は短くなっています。当社では、自動駐車システムの設計およびテストをより効率的に行うために、従業員のスキルセット、ソフトウェア、およびハードウェアを再利用するシステムを開発する必要がありました。

ソリューション:

NIプラットフォームを使用すれば、最小限のシステム変更だけで設計から量産テストまで進めることが可能です。要件の変更に対応し、短い開発期間でプロジェクトを完了することができます。

Valeo社は売上165億ユーロの大企業であり、数々の大手自動車ブランドにコンポーネントおよびテクノロジを供給する、世界最大級のサプライヤです。同社の計測機器およびツールの担当グループは、ソフトウェアコンポーネントの増加によりますます複雑化する安全システムで使用されるコンポーネントを検証しています。同時に、従来は2年だった自動車の開発サイクルは徐々に短くなっており、スケジュールを圧迫しています。お客様の要求に応じて設計することが重要ですが、設計の開始段階で必要なもの全てをお客様が把握していることはめったにありません。その結果、機能と要件は刻々と変化し、プロジェクトスケジュールは、複雑で余裕のないものになります。

 

 

Valeo社が特に関心を寄せている分野は自動駐車システムです。このカメラベースのシステムには、複雑な組み込みシステムが必要で、複数の設計段階があります。第1段階は、コンピュータビジョンのアルゴリズムを調整することです。このために、広範な計測タイプに対応して様々なセンサおよび自動車ネットワークと連動できる、NIのモジュール式PXIハードウェア制御プラットフォームを使用しています。まず、PXIシャーシを車両に取り付け、通常の運転状況におけるカメラ、超音波、車載ネットワーク、環境センサのライブデータに接続します。その後、ベンチでこのライブデータを使用して、コンピュータビジョンのディープラーニングアルゴリズムのトレーニングと検証を行います。トレーニングが終わると、カメラシステムに付属している実際のECU (電子制御ユニット) に、アルゴリズムをデプロイします。これにより、ソフトウェアがデプロイされた状態でコントローラをいかにテストするかという課題が生じます。

 

実世界のシナリオでコントローラを包括的にテストする必要がありますが、路上でのテストは非常に費用が高いため、全てのシナリオをテストすることは不可能ではないものの、かなり困難です。HIL (hardware-in-the-loop) テストを実施することで、シミュレーション環境と実環境のセンサデータを組み合わせて、テスト対象の組込コントローラを、実際の環境であるかのように動作させます。これにより、何千というシナリオを実行して、システムの信頼性と安全性を確保できます。

 

 

テストシステムの構築では、同じPXIハードウェアを異なる用途で使用します。物理的なセンサに接続する代わりに、コントローラが物理的に車両に取り付けられた場合の全てのセンサ入力をシミュレーションすることで、PXIは広範なHILテストを実行します。グラフィックカードと多数のPXI I/Oを使用して、仮想世界の中で、検査対象デバイス (DUT) が制御できるバーチャルの車を作成します。これは、デバイスがバーチャルの車をどれくらいうまく制御できるか評価するのに役立ちます。つまり、ソフトウェアを使用して、センサとコントローラで構成される複雑なシステムの機能を検証できるよう、テスト環境をシミュレーションするのです。

 

並行して、先ほど車両に取り込んだセンサデータをコントローラに再投入して、DUTが車内に搭載された場合と全く同じセンサデータを受信するようにできます。HILベンチと実際の車両で同じテスト結果を得るためには、複数のセンサストリームで時間の同期を行うことが重要です。ここでPXIでの完全な時間同期が鍵となります。

 

NIのモジュール式ハードウェアに基づくこの柔軟なテストシステムは、機能や要件の変更に対応するという当社のニーズを満たしましたが、依然として厳しいスケジュールという課題が残っています。この課題に対処するため、私たちは効率化に焦点を当てました。ツールの再利用を促進し、プロジェクトの複数の部分で作業するために必要な知識をスタッフに習得させました。

 

ツールに関し、例としてソフトウェアIPについて見てみましょう。私たちはLabVIEWを使って、設計プロセスにおける複数の段階を通じて実装できる、また複数のプロジェクトに実装できる、共通のソフトウェアツールを作成しています。プロジェクトのコンセプト段階から本格的な生産まで、同じテストコードを使うことを想像してください。当社ではこれを目標としています。​通常​は​コード​の​80%​を​再​利用​でき​てい​ます。

 

 

コードの再利用に関しては大きな成功を収めてきましたが、カメラモジュールごとのハードウェア要素の変更についても考慮する必要があります。新世代のカメラには通常、新しいカスタム通信プロトコルが搭載されています。PXIモジュール用FPGA構成可能アドオンのFlexRIOを使用することで、別システムで再設計が必要になるのは、DUTと他システムとの間のインタフェースとなるアダプタボードのみです。また、PXIプラットフォームを使用することで、必要な柔軟性を確保しつつ、DAQ機能やHIL環境といった全ての共通要素を引き続き再利用できます。

 

短い納期を守るために重要なもう1つの要素は、人材です。私たちはチーム全体でLabVIEWの操作を習得しました。エンジニアはFPGAコードに加えて、データ収集、車両インタフェース、HILシミュレーションなどの作業を行うことができます。NIプラットフォームのおかげで、新規プロジェクト受注時に、チーム、ソフトウェアIP、コアハードウェアシステムを最大限再利用できます。プロジェクトの切り替え時に唯一変更が必要なのは、1個のFlexRIOアダプタモジュールのみです。メンバーをプロジェクト内の他の役割にシフトできるので、誰も同じタスクに飽きてしまうことがなく、チームのモチベーションを維持できます。これはチームの効率を高める大きなメリットであり、私たちにとって大きな成功です。

 

NIプラットフォームを使用することで、私たちは要求の厳しい業界の絶え間ない進化に対応しています。新しいテクノロジが導入され、絶えずスケジュールに追われていても、効率的に作業すればこのような課題に対処できると確信しています。スキルセット、ソフトウェア、ハードウェアを再利用することで、現在の取り組みを成功させるだけでなく、将来の課題にも対応できる自信がもたらされるのです。

 

著者​情報:

Derek O'Dea
Valeo
Dunmore Rd
Tuam
アイルランド

図1. 自動駐車中のカメラによるサポート
図2. カメラによる障害物回避
図3. 自動駐車のための障害物回避