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PXIハードウェアLabVIEW使用て、柔軟性統合質量分析システム制御ソリューション構築する

Ryan Danell、Danell Consulting

「このソリューションは、イオントラップ質量分析必要なること考えられるあらゆる実験構成対応できます。その性能機能は、市場入る商用計測以上ものってます。NI PXIハードウェアLabVIEWソフトウェア柔軟性いるため、この分野実験ニーズ将来変化も、システム拡張することできます。」

- Ryan Danell、Danell Consulting

課題:

複雑度および難易度ともにばらつきのある多様な実験に対応できる、研究レベルのイオントラップ質量分析システム用に、エンドツーエンドの制御・収集・解析システムを構築する。

ソリューション:

NI LabVIEWソフトウェアとNIの多様なデータ収集 (DAQ) ハードウェアを使用して、モジュール式で高い柔軟性を持つ、完全統合型のソリューションを構築し、時間刻みの分解能を選べるようにすることで、時間に幅のある実験にも対応できるようにする。

Danell Consulting Inc.社は、科学コンサルティングを専門とした会社で、特に計測器制御、データ解析、およびシミュレーションを得意分野としています。当社が最も重点を置いているのは質量分析です。世界各地の研究所で大量のデータが収集されていますが、そうしたデータをマイニングするのに役立つ、カスタムハードウェア、ソフトウェア、およびデータ解析アルゴリズムを提供しています。 商用の質量分析システムは多数出回っていますが、多くの場合、研究者が必要とするのはカスタマイズされたシステムです。当社では、ハーバード大学とジョンズ・ホプキンス大学におけるハードウェアおよびソフトウェアの設計プロジェクトを通じて、イオントラップ質量分析システムのための、機能豊富で柔軟性に優れたソフトウェア/ハードウェアベースの制御アーキテクチャを開発しました。このプラットフォームは、気相における生物学的種群および無機種群の調査と、火星探査機に欠かせない計測器となる質量分析器の制御およびテストに使用されてきました。

 

イオントラップ質量分析

イオントラップ質量分析では、電界を使用して真空中のイオン化分子を捕捉します。形状を変更した電極にRF電圧を加えて電界を作ります。補足されたイオンは、電極に追加のRF電位およびDC電位を適用することによって、さらに操作することができます。補足されたイオンを制御および操作することで、イオントラップは、化学研究においてさまざまな目的に対応し、幅広く使用されています。イオンの質量を決定するには、トラップ室から出るイオンを順次スキャンし、電子増倍管で検出します。増倍管の出力は増幅され、電圧に変換され、コンピュータに接続されたADCでデジタル化されます。 イオントラップ質量分析器を完全に制御するには、イオン源を制御するさまざまなRF電位およびDC電位の操作も必要になります。このようにして、イオンを生成し、トラップ室に移動します。イオントラップ実験は時間をかけて行われるので、複雑な一連の電極電位とデータ収集イベントは正確に同期させながら制御する必要があります。

 

モジュールPXIハードウェアメリット

商用計測器は通常専用の電子機器を使用し、必要な信号と入力を供給して計測器を制御しますが、イオントラップを制御するには、スタンドアロン型ハードウェアを使用することができます。当社では、研究所レベルの電源、波形発生器、およびスコープをアンプ、遅延発生器、その他の小型カスタム回路に接続することで、完全な制御システムの構築を可能にしました。こうしたソリューションでは、同期を行うために個々のコンポーネントの大幅な変更が必要ですが、いまだ研究者は実行する実験のタイプに関して大きく制限されている場合があります。1つのシャーシ (または接続された複数のシャーシ) に組み込まれたPXIハードウェアは、スタンドアロン型ハードウェアのあらゆる制限を緩和し、さまざまな接続オプションや同期オプションを提供します。接続の再配線や個々のコンポーネントの設定を行わなくても、ソフトウェアを使用することで、簡単にハードウェア構成を変更できます。さらに多くのPXIモジュールを導入すれば、システムに機能を簡単に追加できます。こういった特長は、このプロジェクトで既に何度も利用しています。現在のシステムでは、アナログ出力 (レンズ制御)、デジタル出力 (トリガ)、およびアナログ入力 (イオン信号) のそれぞれに対応したマルチファンクションデータ収集モジュール、専用アナログ出力PXIモジュール、および任意波形発生器PXIモジュールを使用しています。

 

 

 

ある構成例では、NI PXI-6229マルチファンクションDAQモジュールを使用して、イオン信号のアナログ入力、システムトリガのデジタル出力、およびアナログ出力を提供し、レンズの電源を制御しています。また、NI PXI-6723アナログ出力モジュールを使用して、残りの電源用に追加の相関アナログ出力を提供しています。また、2台のNI PXI-5412任意波形発生器を同期させており、そのうち1台はイオンを補足するために使用する基本的なRF信号を供給し、もう1台は補足されたイオンを操作するために使用する特殊な波形を生成します。

 

PXIアーキテクチャを使用することで、2つの波形を位相ロックおよび位相シフトする機能を簡単に実装できました。位相制御は高性能なイオントラップ操作には欠かせません。同一のPXIクロックで実行され、PXIバックプレーンを使用して同期される2台の波形発生器を使用することで、数個の簡単なソフトウェアルーチンによって、これらの信号の位相関係に対する完全な制御を実装することができます。通常、これと同様のタスクを行うには、高度なスタンドアロン型装置や追加の遅延発生器が必要になります。

 

ソフトウェアによる統合および同期

当社の制御ソフトウェアの開発する上で、LabVIEWに完全に統合されているDAQハードウェアは適切な選択であったと言えます。LabVIEWが持つ多くの機能を使用することで、高品質の制御アプリケーションを効率良く作成でき、そのうえ、実験の変更が必要な場合にはアプリケーションを変更することもできました。 実験装置の制御機能の他にも、データ解析/処理機能を作成して、ユーザが収集したデータを容易に解釈できるようにしました。UI設計でダイアログ制御器を独占的に使用することで、ユーザは、洗練されたプロ仕様で、簡単に習得できる使いやすいインタフェースを利用することが可能になりました。

 

 

 

前述のとおり、イオントラップ質量分析器は、実験全体の操作を指示するイベントの正確なタイミングに依存しています。実験のさまざまな部分で、計測時間の範囲にわたって異なる分解能が必要とされます。高速 (数十ミリ秒単位) で実行する必要のある実験もあれば、もっと長くかかってもよい (数十秒単位) 実験もあります。実験中にボードを再構成して時間分解能を変更できるように、ハードウェアをセットアップしてソフトウェアを作成し、DAQモジュールの機能をフル活用しながらも、使用するシステムリソースは最低限に抑えることができました。LabVIEWがオブジェクト指向プログラミングに対応しているため、高度な機能を効率良くシステムに追加することもできます。たとえば、実験の実行中に実験の各部分を再構成して、これらの特定の出力や波形を即座に更新し、後続の質量スキャンに適用させることができます。

 

結果

当社では、複数の異なる計測器でこのハードウェア/ソフトウェアアーキテクチャを使用し、さまざまなタイプの実験と構成に対応してきました。このアーキテクチャを繰り返し率の高い実験に対応させ、データがディスクへ書き込まれているとき、繰り返しの間に生じるデッドタイムをわずか数ミリ秒に抑えました。非常に複雑な実験でも、複数の波形アプリケーションステップを使用して簡単に設定することで、高度なイオンの制御/操作を実現できました。

 

当ソリューション全体は、イオントラップ質量分析器で必要となることが考えられるあらゆる実験構成に対応できます。その性能と機能は、市場で手に入る商用計測器以上のものとなっています。NI PXIハードウェアとLabVIEWソフトウェアは柔軟性に優れているため、この分野での実験ニーズが将来変化しても、システムを拡張することができます。

 

作成者​情報:

Ryan Danell
Danell Consulting
米国
電話: (252) 258-7569
rdanell@danellconsulting.com

図1. ソフトウェアのデータ収集部分のUI
図2. サンプル信号を示す基本的なイオントラップの実験順序
図3. ハードウェアの設定と相互接続を表したブロック図
図4. レーザー脱離イオン化法でイオン化された多環芳香族炭化水素 (PAHs) の質量分析。このレーザーはPXIモジュールからのデジタル出力によってトリガされます。この画像はピレンの同位体で得た分解能を示しています。