PXI、​LabVIEW、​および​DIAdem​を​使用​した​AD​コンバータ​の​自動​特性​評価

Manfred Pauritsch, University of Applied Sciences

"PXI​によって、​ADC​の​特性​評価​の​質​が​大幅​に​向上​し、​貴重なテスト開発時間が短縮されて、​テスト​コスト​が​軽減​さ​れ​ま​した。"

- Manfred Pauritsch , University of Applied Sciences

課題:

既存​の​ベンチ​トップ​装置​を​全​自動化​した​計測​システム​と​置​き​換え、​AD​コンバータ​(ADC)​を​正確​に​特性​評価​し​て、​品質​の​向上、​コスト​の​軽減、​および​テスト​開発​時間​の​短縮​を​実現​する。

ソリューション:

あらゆる​計測​が​可能​な​PXI​コンポーネント​を​ベース​に​した​計測​システム​を​構築​する。​積分​非線形​性​(INL)、​微分​非線形​性​(DNL)、​信号​対​ノイズ​および​歪み​比​(SINAD)​など​が​可能​で、​austriamicrosystems​社​の​ADC​を​特性​評価​する。

作成​者:

Manfred Pauritsch - University of Applied Sciences
​Wolfgang Koren - austriamicrosystems

 

集積​回路​の​生産​を​本格​的​に​開始​する​前​に​は、​十分​な​数​の​サンプル​を​使用​し​て​任意​の​温度​範囲​で​性能​を​きちんと​テスト​する​必要​が​あり​ます。​この​プロセス​を​実行​する​こと​によって、​高​品質​な​製品​を​お客様​に​提供​する​こと​が​でき​ます。

 

austriamicrosystems​社​は、​高性能​アナログ​集積​回路​(IC)​の​設計/​製造​業界​における​トップ​メーカー​です。​弊社​は​専門​知識​と​技術​を​駆使​し、​低​電力​で​高​確度​な​最高​の​製品​を​作り​上げ​て、​世界​各国​の​通信、​工業、​医療、​および​自動車​の​市場​に​提供​し​てい​ます。​高性能​な​規格​品​や​カスタム​ソリ​ュ​ー​ション​を​含む、​業界​最高​の​アナログ​半導体​を​開発/​製造​し​てい​ます。

 

弊社​は​オーストリア​の​グラーツ​市​に​ある​応用​科学​大学​の​オートメーション​システム​部​と​協力​し​て、​ADC​の​高​確度​な​特性​評価​を​サポート​する、​PXI​を​ベース​に​した​全​自動​計測​システム​を​開発​しま​した。​この​計測​システム​を​使用​し​て、​austriamicrosystems​社​の​ADC​を​特性​評価​しま​した。

 

ADC​の​特性​評価

ADC​は、​非常​に​低い​消費​電力​で​最大​400 kS/​秒​で​サンプリング​できる​10​ビット​および​12​ビット​コンバータ​です。

 

各​製品​は、​マイクロ​コントローラ​に対して、​シリアル​あるいは​パラレル​の​デジタル​接続​を​使用​し​ます。​弊社​の​ADC​は、​最大​8​チャンネル​を​備え​た​シングル​エンド​で​なおかつ​真​の​差動​型​の​製品​から​構成​さ​れ​てい​ます。

 

ADC​の​計測​シーケンス

弊社​では、​ADC​チップ​計測​に​共通​する​計測​パラメータ​を​設け、​9​つ​の​異なる​グループ​に​分割​しま​した。​各​データ​シート​の​パラメータ​の​他​に、​コンバータ​の​品質​に​相互​関連​し、​さらなる​開発​に​有益​な​情報​と​なる​追加​仕様​を​特性​評価​しま​した。​ADC​の​テスト​グループ​に​は​次​の​もの​が​含​まれ​ます。

 

1)  ダイナミック​性能

a. SINAD - 信号​対​ノイズ​および​歪み比
​b. SNR - 信号​対​ノイズ比
​c. THD - 全​高調​波​歪み
​d. EOB - 有効​ビット​数​(EOB)
​e. PHSN - ピーク​高調​波​または​スプリアスノイズ​(PHSN)

2)  統計​的​性能

a. INL - 積分​非線形性
​b. DNL - 微分​非線形性

3)  オフセット​性能​(オフセット、​ゲイ​ン)

4)  相互​変調​歪み​性能

a. IMD - 相互​変調​歪み
​b. ISO – 絶縁
​c. 2​次/​3​次項

5)  論理​入力​(入力​高/​低​電圧)

6)  内部​性能​(バンド​ギャップ、​VBG、​TK、​IREF、​VREF)

7)  エネルギー​性能​(電流​消費、​VREF)

8)  タイミング

9)  抵抗​および​容量​の​性能​(アナログ/​論理​入力​キャパシタンス、​入力​インピーダンス)

 

計測​シーケンス​を​自動化​する​こと​によって、​現在​生産​中​の​多数​の​コンバータ​を​特性​評価​し、​製造​時​の​ばらつき​を​統計​的​手法​で​把握​しま​した。

 

計測​ハードウェア

計測​システム​の​コンポーネント​は、​計測​精度​の​観点​から​選択​しま​した。​最終​的​に​完成​する​システム​は、​信号​の​生成/​集録​が​同期​する​完全​自動化​を​目指​しま​した。​システム​の​核​と​なる​の​は​NI PXI​シャー​シ​で、NI PXI-5422​任意​波形​発生器NI PXI-6552​デジタル​波形​発生​器/​アナ​ラ​イザ​>NI PXI-4130​ソース​メジャー​ユニット​NI PXI-4110​プログラマブル​電源、​およびNI PXI-6259​マルチ​ファンクション​データ​集録​(DAQ)​モジュールが​収容​さ​れ​てい​ます。​次に、​これらの​計測​器​が​それぞれ​どの​よう​に​システム​で​使用​さ​れ​て​いる​の​か​を​説明​し​ます。

 

NI PXI-5422​モジュール​は、​16​ビット、​200 MS/​秒​の​任意​波形​発生​器​(ARB)​で、​高​帯域​幅​を​必要​と​する​時間/​周波数​領域​計測​に​使用​さ​れ​ます。​ARB​を​使用​し​て、​あらゆる​アナログ​パターン​を​ADC​に​送信​し、​INL、​DNL、​SNR​など​多数​の​仕様​の​性能​を​特性​評価​しま​した。​PXI​の​同期​機能​によって、​ARB​は​位相​が​揃​っ​た​マルチ​チャンネル​発生​器​として​操作​する​こと​が​でき​ま​した。

 

NI PXI-6552​モジュール​は、​100 MHz​デジタル​波形​発生​器/​アナ​ラ​イザ​で、​20​チャンネル​の​DIO​を​備え​て​おり、​VOH、​VOL、​VIH、​および​VIL​の​電圧​レベル​を​プログラム​設定​でき​ます。​この​デジタル​発生​器/​アナ​ラ​イザ​は、​ADC​から​の​出力​値​を​集録​し、​ARB​と​同期​し​て、​緊密​に​相互​関連​した​ミックス​ド​シグナル​システム​を​実現​しま​した。

 

NI PXI-4130 4​象限​ソース​メジャー​ユニット​(SMU)​および​NI PXI-4110​プログラマブル​電源​は、​最大​1 nA​の​電流​分解能​を​必要​と​する​ADC​の​パラメータ​計測​に​使用​し​ます。​この​電源​を​使用​し​て、​ADC​に​電力​供給​し、​供給​電流​を​監視​する​一方で、​SMU​を​使用​し​て、​デジタル​出力​の​高低​電圧​レベル​を​特性​評価​し、​デジタル​出力​で​電流​を​ソース/​シンク​し​て、​ADC​で​駆動​させる​バス​負荷​を​シミュレート​し​ます。

 

NI PXI-6259​は、​ミックス​ド​シグナル​高速​データ​集録​モジュール​で、​あらゆる​アナログ​および​デジタル​I/​O​機能​が​備​わっ​てい​ます。​この​モジュール​では、​標準​的​な​ハウスキーピング​処理​情報​を​集録​し、​解析​ボード​の​内部​スイッチ​を​制御​し​て、​ADC​の​異なる​テスト​モード​を​選択​しま​した。

 

また、​この​計測​ステーション​は、​プログラマブル​電源、​マルチ​メータ​3​台、​100 MHz​オシロスコープ​1​台、​400 MHz​デジタル​化​オシロスコープ​1​台、​外部​機能/​任意​波形​発生​器​1​台​で​構成​さ​れ​てい​ます。​これらの​計測​器​を​温度​特性​評価​用​の​温度​チャンバ​または​サーモ​ストリーム​と​合わせ​て​使用​し​て、​ADC​の​特定​温度​範囲​全体​で​計測​を​行​いま​した。

 

 

応用​科学​大学​が​開発​した​解析​ボード​(図​3)​に​は、​高度​な​設計​が​施​さ​れ​て​おり、​ADC​全体​に対する​ほぼ​全​自動化​さ​れ​た​特性​評価​の​サポート​を​可能​にし​てい​ます。​計測​を​自動化​する​ため​に、​任意​波形​発生​器​から​の​アナログ​信号​を​直接​高​精度​リレー​で​切り替え​て、​ADC​の​各​入力​に​送信​しま​した。​ADC​の​応答​は​デジタル​波形​アナ​ラ​イザ​を​使用​し​て​計測​し​ます。​また、​高速​デジタル​計測​器​を​使用​し​て、​ADC​の​デジタル​制御​ライン​を​操作​しま​した。​任意​波形​発生​器​と​高速​デジタル​計測​器​の​両方​の​同期​に​は、​高速​かつ​最適​化​さ​れ​た​計測​サイクル​を​保証​する​NI T-​Clock​が​採用​さ​れ​ま​した。

 

計測​ソフトウェア

集録​と​制御​の​統合​型​システム​の​開発​に​は、NI LabVIEWを​使用​しま​した。​LabVIEW VI​は、​計測​システム​を​制御​し​ます。​この​VI​は、​さらに​グループ​パターン​生成、​デジタル​集録、​アナログ​信号​生成/​集録​といった​あらゆる​ルーチン​の​サブ​VI​に​分割​しま​した。​各​サブ​VI​は、​必要​と​なる​で​あ​ろう​各​ルーチン​の​タスク​と​特別​な​パラメータ​を​制御​し​ます。​各​ルーチン​を​分割​した​サブ​VI​と​パターン​指向​構造​を​組み合わせる​と、​柔軟性​が​高まり、​新​製品​の​テスト​時​の​再​利用​性​が​保証​さ​れ​ます。

 

LabVIEW​で​の​実行​が​完了​すると、​テスト​データ​は​NI DIAdem​ソフトウェアに転送され、​完全​自動化​さ​れ​た​計測​ログ​が​作成​さ​れ​ます。

 

 

図​4​の​左側​の​画像​は、NI DIAdemで生成された、​SINAD、​SNR、​THD、​EOB、​および​PHSN​の​ダイナミック​性能​の​値​が​ま​と​まっ​た​ログ​を​示し​てい​ます。​図​4​の​右側​の​画像​は、​INL​と​DNL​から​構成​さ​れ​た​統計​的​性能​を​示す​ログ​を​示し​てい​ます。

 

ADC​特性​評価​の​テスト​時間、​コスト、​および​品質​を​向上​する

弊社​の​テスト​システム​は、​既製​の​ハードウェア​および​ソフトウェア​コンポーネント​を​PXI​とともに​使用​し​て​優​れ​た​設計​を​施​した​計測​システム​が、​どの​よう​に​半導体​特性​評価​の​品質​を​向上​する​か​を​実証​し​てい​ます。​PXI​の​よう​な​統合​型​システム​では、​クロック同期を使用して生成信号と集録信号を緊密に相互関連させ、​ADC​の​特性​評価​を​行う​こと​が​でき​ます。​PXI​によって、​ADC​の​特性​評価​の​質​が​大幅​に​向上​し、​貴重なテスト開発時間が短縮されて、​テスト​コスト​が​軽減​さ​れ​ま​した。​この​システム​は、​austriamicrosystems​社​の​特性​評価​担当​エンジニア​全員​にとって​の​標準​ADC​テスト​システム​となり​ま​した。​この​アプローチ​の​おかげ​で​貴重​な​解析​時間​が​短縮​さ​れ​ま​した。​また、​システム​ハードウェア​および​ソフトウェア​の​高​再​利用​性​によって、​将来​の​プロジェクト​の​実現​を​早める​こと​も​可能​です。

 

著者​情報:

Manfred Pauritsch
​University of Applied Sciences

図​3. ​ ​AS1526​の​解析​ボード ​
図​4. ​ ​NI DIAdem​ソフトウェア​を​使用​し​て、​ADC​の​統計​的​性能​を​まとめ​た​ログ​を​自動的​に​生成​する ​
図​1. ​ ​ADC​の​入出力​信号​の​典型​的​な​説明​図 ​
図​2. ​ ​ADC​は​通常、​あらゆるサンプリングおよび定格電流を持った、​I2C​など​の​シンプル​な​制御​バス​を​必要​と​する ​