NI-SWITCH

熱電対測定

  • 更新日2023-02-21
  • 5分で読める

NI PXI/PXIe-2527 (NI 2527) およびNI TB-2627では、熱電対を測定することができます。

ヒント  NIのソフトウェアを使用して熱電対からの電圧を温度に変換することができます。サンプルプログラムを入手するには、nini.com/examplesの検索フィールドに2527と入力します。

熱電対を測定するときには、測定誤差を考慮する必要があります。熱電対測定の誤差は、システム誤差 (NI 2527の接触電位とNI TB-2627のCJC (冷接点補償) 温度による) と熱電対誤差 (使用する熱電対のタイプによる) を合わせたものです。

システム誤差を計算する

NI 2527/TB-2627のシステム誤差を知るには、まず次の式を使用してNI 2527の接触電位誤差を計算します。

EEMF = [(T+1T) / (V+1V)] × VEMF (1)
ここで、 EEMF = NI 2527の接触電位誤差
T = 測定された温度 (摂氏)
T+1 = (T + 1℃)
V = Tに対応する電圧
V+1 = T+1に対応する電圧
VEMF = NI 2527の接触電位
メモ  熱電対基準表のTT+1 は、熱電対の温度vs. のスロープを計算するために使用される既知の値です。熱電対基準表を参照して、TT+1 に対応するVV+1 の値を確認します。

NI 2527の接触電位値については『NI PXI/PXIe-2527仕様』を参照してください。熱電対測定のパフォーマンスを最大限 (VEMF = 2.5  µV) に用いるには、NI 2527のラッチ型リレーの電源を切ります。ラッチ型リレーの電源の切り方についての情報は、NI-SWITCHの「デバウンス後ラッチリレーの電源を切る」プロパティまたはNI-DAQmxの「整定後ラッチリレーパワーダウン」プロパティを参照してください。

式1を使用して接触電位誤差を確認した後、次の式を使用してシステム誤差を計算します。

ES = EEMF + ECJC (2)
ここで、 ES = NI 2527/TB-2627のシステム誤差
EEMF = NI 2527の接触電位による誤差
ECJC = NI TB-2627のCJC温度センサによる誤差

Kタイプ熱電対を200℃で測定する場合 (CJC温度は25℃)、NI 2527/TB-2627のシステム誤差を次のように計算します。

接触電位を標準 (2.5 μV) と想定し、まず、式1を使用して接触電位による誤差を計算します。

EEMF = [(201℃ – 200℃)/(8.178 µV – 8.138 µV)]×0.0025 µV
= 0.063℃
メモ  この例のV の値とV+1 の値は、Omega Engineeringの『The Temperature Handbook』Vol. 29. Stamford, CT: Omega Engineering Inc, 1995に記載されています。

システム誤差は、式2を使用して接触電位による誤差をCJC温度センサによる誤差に加算することで取得します。

ES = 0.063℃ ±0.5℃
= 0.563℃

熱電対誤差を測定する

NI 2527/TB-2627システムとは関係なく、熱電対誤差は±温度範囲または±測定の割合の大きいほうの値となります。

この例では、200℃の測定に標準Kタイプ熱電対が使用されています。『The Temperature Handbook』では、この熱電対誤差は測定温度の±2.2℃または±0.75%と記載されています。200℃ (±1.5℃) の±0.75%は、±2.2℃より小さい値であるため、標準レベルのKタイプ熱電対の誤差は±2.2℃ということになります。

総合誤差を計算する

熱電対測定における総合誤差は、システム誤差と熱電対誤差を足した値です。熱電対測定の総合誤差の計算には次の式を使用します。

ET = ES + ETh (3)
ここで、 ET = 熱電対測定の総合誤差
ES = システム誤差
ETh = 熱電対誤差

このの熱電対測定における総合誤差を計算するには、下記示されているように式3を使用して、熱電対誤差をシステム誤差に加算します。

ET = 0.56℃ ±2.2℃
= 2.76℃

接触電位を標準と想定すると、NI 2527/TB-2627をKタイプ熱電対を使用して200℃で測定した熱電対の総合誤差は±2.76℃となります。

Log in to get a better experience