オフセット補正抵抗
- 更新日2023-08-23
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オフセット補正抵抗
オフセット補正抵抗は、抵抗テストシステム内の接触電位またはオフセット電圧を除去します。オフセット補正抵抗は2線式にも4線式にも適用されます。この測定には下の図に示すように2サイクル含まれます。次の図は電流ソースをONにした最初のサイクルを示します。
次の図は電流ソースをOFFにした第2サイクルを示します。
2つの測定間の違いが最終結果となります。これは、両サイクルでオフセット電圧が存在するため減算され、抵抗の計算に影響を与えないためです。
VOCO = VM1—VM2 = (ISRX + VTHERMAL)—VTHERMAL= ISRX
よって、
RX = VOCO/IS
オフセット補正抵抗を使用する場合
4線式測定は、測定システムで銅製の相互接続装置と低熱リレーを使用すると正確な結果が得られます。しかし、存在するオフセット電圧によって大きな誤差が発生する場合があります。
- 非補正のリードリレーを使用したスイッチシステムでは、デバイスのガラス封着にコバールのリード素材が使用されているため、オフセット電圧が10 µVを超えます。
- インサーキット抵抗測定(たとえば、サーキットが通電状態で、電源コンダクタの抵抗を測定する)。
- バッテリのON状態における抵抗、前バイアスダイオードの動的抵抗などの測定。
シナリオ1の場合、テストシステムは抵抗測定以外の機能を最適化したスイッチで構築されている場合が多々あります。たとえば、リードリレーは、予想可能なインピーダンス特性および信頼度に優れているためRFのテスト装置でよく使用されます。このようなシステムを抵抗測定にも使用したい場合があるかもしれません。少数チャンネルの抵抗測定のためにスイッチハードウェアを増築するのは経済的でなく、RFリレーがすでにある場合などです。
シナリオ2の場合、例として、電源バスケーブルの抵抗測定などが挙げられます。抵抗は10 mΩになる可能性があります。100 mAがこの抵抗に流れる場合、電圧降下は次のようになります。
V = 100 mA x 10 mΩ = 1 mV
100 Ωレンジでオフセット補正なしのDMMではこれを1.05 Ωとみなします (105 Ωが名目上100 mVと対応するソース電流および最大テスト電圧の表を参照)。DMMおよびオフセット補正では、1 mVオフセットは取り除かれ、正しい抵抗値が返されます。
シナリオ3の場合、ダイオードがすでに前バイアスである場合のみこのテストは動作します。DMMは、オフセット補正抵抗のダイオードへDCバイアスを供給しません。DMMは微小の信号変位電流を供給しますが、ダイオードへさらにバイアスを供給する必要があります。次の図に、このダイオードの例を示します。
ダイオード (またはトランジスタ) の動的抵抗値の取得には、適切な測定レンジを選択することが重要です。バイアス電流レベルの10%以下の電流ソース値に対応するレンジを選択することをお勧めします。
NIは、DMMを使用して1 Vを超える直列抵抗のセルを直接測定することは推奨しません。DMMは、低抵抗レンジにおいてこの動作を実行できるだけの電圧ダイナミックレンジを備えていません。もちろん、DMMと外部電流ソースまたは負荷を併用してこの動作を行うことができます。
大きなDCオフセットが存在する場合の抵抗測定における原則として、次の式に必ず従います。従わない場合、結果が間違った値になる可能性があります。
Vos+ IsRx ≤ Vt
ここで、
Vos = オフセット電圧 (補正対象)
Is = ソース電流(レンジに依存。上記の表を参照)
Rx = 測定する抵抗 (またはその上限)
Vt = 最大テスト電圧 (上記の表を参照)